<1万年に一人の逸材>
先日、TBS系列の「プロフェッショナルランキング」で「アイドル名曲ランキング」が放送されていたが、時代や曲のジャンル等、偏りが見られたので、1960年代から去年までの65年間を年代別に満遍なく取り上げ、各ベスト1曲を発表したい。
《1960年代・恋の歓び/吉永小百合》
大女優、吉永小百合も若い頃はミニスカートを穿き、俳優の他、歌手としても活動するアイドルで、昭和中期は明星や平凡の表紙を度々飾っていた。ルックスや表現力からすると、1万年に一人の逸材と言っても過言ではない。
因みに1万年前は、各地の「日本ピラミッド」の神殿でのシャーマンの助手的若い女性が、アイドル的人気があったのかも知れない。1万年後はAIアイドル等。
以前も解説したように、昭和30年代後期から40年代初頭は、若者向けの「リズム歌謡」が流行っていた。
歌謡曲にロックのエッセンスを加えた曲というか、説明はやや難しいが、「恋の歓び」も同様。当時、アップテンポの曲はリズム歌謡以外、殆どなかったかも知れない。但し、歌詞は普通の歌謡曲的。因みにバックコーラスはスクールメイツ。
《1970年代・ダンスに夢中/レイフ・ギャレット》
今はどうか分からないが、アメリカの音楽界は本物志向が強いため、アイドル文化は根付かなかった。これはレコードがアルバム重視だったため。が、例外もあった。その一人がレイフ・ギャレットである。
元々人気子役の俳優だったが、中学生時、ビーチ・ボーイズのカヴァー曲(3枚目のシングル)を出すとビルボード・チャートの20位に入る大ヒットを記録。
人気も沸騰したが、1978年、ディスコ・ブーム真っ只中の折、発売したディスコナンバー「ダンスに夢中」はビルボード10位まで上がり、日本のオリコン総合チャートでも12位に入る快挙を成し遂げた。
ディスコと言っても黒人のものはソウルミュージックから発展したものと理解しているが、白人のものはソウルにロックやポップスを融合したものが多く、曲調のバリエーションも豊富。それ故、踊り易い。
《1980年代・ミストレス/横山みゆき》
フォーク・バンド「アリス」のアルバム曲のカバーで1979年、デビューしたことから、「ニューミュージック・アイドル」とも呼ばれた。が、活動期間は数年ほどで、1983年に発売された「ミストレス」のジャケットやミュージック・ビデオを見る限りでは、アイドルを脱却した観がある。
このナンバーのジャンルは和製A.O.R.。シティポップとも言えるか。妻子ある男性との不倫を歌ったものであるから、活動期間の終盤になるとアイドルではなくなっている。
《1990年代・Body & Soul/SPEED》
この曲はグループと共にメジャー故、「アイドル名曲ランキング」に入っていたと思う。曲を最初聴いた時、「小学生にこの声量が出せるのか」と驚いた。勿論、ダンスも、プロのダンサーも顔負け。
‘90年代はCDを売るための曲作りがなされており、サビに高音を入れた、テンポのいい、踊れる曲が多かった気がする。経済のバブルは’91年に弾け、当方の勤務先も倒産したが、音楽界に於いては、’90年代末までバブルが続いていたのではないだろうか。
《2000年代・secret base〜君がくれたもの〜/ZONE》
バンドのアイドル、バンドルとして活動していたが、このグループも活動期間は数年。
「secret base〜君がくれたもの〜」はアイドル・ソングとは思えない(悪い意味ではない)曲調のミディアムナンバーだったこともあり、当初、シングルCDとしての発売に否定的なスタッフが多かったが、メンバーの強い意向により、発売。オリコンチャート2位の記録的大ヒットとなった。
全年齢層に訴えかける旋律と歌詞がヒットの要因だろう。ひと夏の思い出を転校してからも忘れず、またきっと会える、と、信じている、という切ない内容。
アニメファンの全員が思っていることだと思うが、この曲と歌詞は、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」のために作られたのではないかと。タイムスリップして。或いは、「あの花」はこの歌詞を元にストーリーが作られたのではないかと。
それだけ、「あの花」のED主題歌としてマッチしていて、この歌を聴きながら、アニメの登場人物たちに感情移入し、涙した者も多い筈。
《2010年代・MR.TAXI/少女時代》
‘11年発売の少女時代初の日本オリジナル曲。’70年代後期のディスコ・ブーム時に発売されていたら、レコード売上はミリオンにいっていたかも知れないが、配信DLでは’17年、ミリオンを達成している。
secret baseとは対照的で、歌詞はあってもなくてもいいような内容で、曲とそれによるダンスを重視した楽曲。日本のアイドル・グループの曲にはあまりない曲調。
《2020年代前期・空色の水しぶき/僕が見たかった青空》
昭和の人間からすると、「どっちが曲名で、どっちがグループ名なんだ!?」と言いたいが、「僕が見たかった青空」はAKB48グループの公式ライバルである乃木坂46の公式ライバル。ライバルのライバルは仲間では?
この曲は劇場アニメ「がんばっていきまっしょい」の主題歌だから、好きになった。このCDを買ったのも「がんばっていきまっしょい」の聖地、デュークショップ松山店。「がんばっていきまっしょい」のボート部のモデルがある高校にも行き、許可を得て校内の実写映画版のロケ地を見学したほど。
アニメはストーリー展開やボートを漕ぐ様が躍動的だったが、それは主題歌の作曲・編曲、振付、ミュージック・ビデオにも言える。
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