去年の秋か冬、何かのテレビ番組で、断崖絶壁に建つ神社として西日本最高峰石鎚山の石鎚神社頂上社(神社のある山は石鎚・弥山[1972m])が紹介され、お笑い芸人のノッチが、鎖場の続く北側からの成就社コースを登り、結局、ギブアップして登頂できず、「石鎚山は普通の人には登れない山」として放送を終えました。
私はこの放送を見て、怒りを禁じえませんでした。それは、石鎚山は実際、園児でも登っている(滅多にいないが)山で、最短コースであれば、大人なら二時間ほどで登頂できる「大衆の山」だからです。
その最短コースは東からの「土小屋コース」で、登山口が既に稜線にあり、尾根道を辿るため、高度差もさほどないのです。
石鎚山(弥山や天狗岳、北岳等の総称)は見る角度によって山容が大きく変わる山で、先日「雲海遺産」記事の瓶ケ森の項で紹介したように、あの方向から遠望すれば、幅広の山頂であまり特徴のない山容のように思えますが、石鎚スカイラインの途中から仰げば、山頂部は恐ろしいまでに切り立っています。
更に石鎚山の中での最高峰である天狗岳(1982m)は、どこから見ても石斧のように切り立ったナイフリッジをしており、登頂欲をそそります。
土小屋の登山口の標高が1500mですから、天狗岳との高度差は僅か482m。これなら登山初級者は言うに及ばず、ハイカーでさえ、苦もなく登頂できます。私が登った時は、家族連れの中に5歳位の女児もいました。
弁当を持たなくても、山頂の山小屋には食堂もあり、宿泊し、御来光を拝むこともできます。
土小屋からは瓶ケ森林道が東の瓶ケ森登山口を越えて国道194号まで続いており、その間、高山がいくつもあるので、四国以外の遠方の方は、しらさ山荘で一泊して瓶ケ森近隣の山に登り、次の日は土小屋にある国民宿舎等に宿泊し、翌朝、石鎚山に登るといいでしょう。
尚、土小屋は夏場のシーズン中でも、路 線バスは一日二便ほどしかないので、車利用になります。旅行会社各社が主催する登山旅行に参加する手もあります。
マイカーでのアクセスは、愛媛県西条市から国道194号を南下し、旧寒風山トンネルを抜けて瓶ケ森林道に入り、終点まで行く方法と、松山市から国道33号を南下し、久万高原町の道の駅みかわの東方で標識を見て面河方向に左折し、国道494号から石鎚スカイラインに入る方法等があります(いずれも四国以外から来る場合を想定)。
日帰りで登る際は、休日、土小屋の駐車場には早い時間帯に行かないと満車になります。
因みに私が登ったのはまだ30代の頃で、当時はハイカーが登れるような簡単なコースを最後まで辿ることを良しとせず、途中から左に折れて、ザイルを要す上級者用の「東稜コース」に入り、直接天狗岳へと登頂しました。
その東稜コースとの分岐には帰路、手製の道標を立てましたが、今はもう朽ちて消滅していることでしょう。
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