朝、玄関を出たとたんに迫ってきて!
ツバメが二羽、夢中で追いかけっこをしている。
旋回してこちらの顔のすぐそばまで近づいて。

まるで子供のよう。それで気づきました。
巣立ちをしたばかりなんだと。
人にも興味深々なのかもしれません。






夢中なのはミツバチも同じ。
こちらは近づいても、人には目もくれません。


ともに大事な存在です。
彼らがいるから畑の夏野菜が実をつけてくれます。
彼らが田んぼを旋回することで虫の数のバランスをとってくれます。

野の花々も世代を残すことができます。
普段、気に留めない小さな生き物が豊かな自然を守ってくれています。




 

 

 

 
 

 

 

 

 

 

 

田植えを終えてからの大事な仕事がもうすぐ終わります。

となりの稲との間隔は30センチ。
もし何もしなければここに、びっしりと草が生えてきます。
過去に1枚の田んぼがあまりにも草が多くて、一年作付けを休み、
代かきして水だけ張っておいたことがありました。
なんと。一面、大きくなった水草のコナギに覆われて。
「これでは稲は育たなくなる」としみじみ思いました。

それ以来、生やしてから対処することよりも、いかに多くを生やさないかを意識しています。

この除草機を押すことは、草を取るだけではなくてもう一つの効果を生んでくれます。
水の中には稲を育てる応援団がたくさんいて、
その一つが土の表面に住んでいる土着菌。
種類によっては植物のように光合成をするものもいます。
昼間の太陽の光を得て、稲の栄養であるチッソを土に貯えてくれるのです。
貯まるのは表面の数ミリの土。
ここを機械の歯が奥に埋めていくことで稲の根に届きやすくなります。

健康にたくましく育つ姿を見ることができれば嬉しいものです。
そんなことを考えながら、
日中の暑さを避けて、6月の朝は田んぼの中を除草機を押して歩いていました。





除草剤を使った育て方が当たり前のような今の時代です。近くで他に押し歩く人の姿を見ることはありません。
でも、草を生やさないために使う農薬が、栄養を恵んでくれる土壌菌まで痛めてしまいます。

土壌菌が稲と共生して豊かな味と実りを与えてくれる。目指すのはそんな姿です。 .

 

 

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

苗を育てた小さな田んぼも、最後に田植えをして完了です。

今年も無事に全ての田植えが終わりました。

生まればかりは2ミリだったオタマジャクシも今は5センチになって。
ここまでたっぷりの水があれば無事に育ってくれるでしょう。
転んだ稲を直しながら、元気に動き回る彼らの姿にホッとしています。


写真の斜面では「ニョキッ」っと
ハチク(淡竹)が顔を出しています。

地上に出たばかりはとても柔らかくて、気持ちよく折れてくれます。




放置しておくとすごく強い根。
畔を伝って地中から田んぼの中まで侵入してきます。
大きくなったらそれはそれで切り出して間引くのに相当な労力を要すため、今の時期に管理して置くことは必要です。

身近な里山は、できる範囲で手をかけていけば季節の恵みを与えてくれます。


 

 

 

 

先端の柔らかな場所はてんぷらで。残りは炊き込みご飯。

ラー油を入れてシナチクにすると、コリコリした食感が美味しく楽しめました。

 

 

田植えが終われば、今度は除草の仕事に入ります。

朝6時、山の緑はいつもより落ち着いた色です。

 

静か。

 

奥からアカゲラなのかキツツキの音が聞こえてきます。





水の中では草がどんどん生まれてきます。草に負けないように週に一度、朝の涼しいうちにチェーンを引いて田んぼを歩きます。

幼い稲にとっては最初から試練です。上から鎖で踏まれ、さらにアオサギが生き物を狙って歩き回り。

そんな刺激もあって、1週間もすると10センチ以上も土に強く根を伸ばしていきます。

丈夫な根を張り、草に負けずに元気に育ってほしい。
田植えが終わった今の思いです。

 

 

 

 
 

 

 

 

 

 





代かき前の田んぼには、冬を越した草がいっぱい生えています。
背の高いこの草はスズメノテッポウ。
これを土とヒタヒタくらいの水位で、泥に埋め込んでいきます。

鉄の爪と、鉄の輪を付けた小さな機械と一緒に、

土を踏んで歩いていきます。

広い田んぼだけど、1㎡ずつ仕上げていくイメージ。

代かきとは単に、苗を植えれる様に泥にすればいいと思っていました。
ところがこの仕事の質一つで夏の稲の姿が違ってきます。

細かい泥にしすぎると水も減らないと同時に酸素も行かない。
するとそこに植えた稲の根は酸欠気味になります。
根が育たないから成長が遅くなり、後から生えた雑草に勝てなくなります。

肥料も農薬も使わないからこその理由です。

一般的な田んぼは水位が下がらなように丁寧に泥の層を作って、

除草剤を効かせて草を根絶やして。根が伸びなくても稲の成長は肥料がさせてくれます。


教科書がないだけに、毎年様々に試して成長を見守ってきました。
今年も夏に答えを見せてくれると思います。

 

傍らの山のフジが少し疲れを癒してくれています。





 

 

 

 
 

 

 

 

 

 



 


いつもこの時期、この場所に咲く花を見るようになって。
これがヤマブキの花って初めて知りました。
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桜が満開のころに苗を育ち始め、
このヤマブキが咲くころには苗も10センチほどになり、少し安心します。
植物は季節の温度を敏感に感じ取っています。
最低気温がやっと二桁になるこの頃、あと1週間もすると藤が咲き始め、竹の子が顔を出し始めます。

そんな野山の様々な自然を見ながら、
今年はいつもより暖かくなるのが早いとか。

感じながら農作業の段取りを進めています。
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田んぼは水を張って土を泥にする代掻きの真っ最中。
待ちわびていたカエルが一斉になきはじめます。 

 

花や小さな生き物たち。誰も見ないけれど、毎年順に姿を見せてくれて、そんな里山に静かに包まれています。