今更2023年の振り返り?でも今季が始まるから昨年の事をわかっておくのも良いでしょう?
前回から、間が空きましたが、先ずは全日本学生新人選手権の振り返りから、学生ラクロスの今を紐解いてみる。「こんな風に関連があるんだ!」と思っていただければ幸いです。
ラクロス振り返り編2023##全日本学生新人選手権に見る男女差を普遍的に考えて! | 鼓舞 平(こぶ平)のラクロス応援チャンネル (ameblo.jp)
https://ameblo.jp/kobhey10/entry-12847593868.html
上記のコラムで、
「女子は2012年以降全国大会での、関東、関西地区と他の地区との戦いの点差が大きくなる傾向にある。
一方男子は、2019年の東北大学の大学選手権決勝にもある通り近年、地域格差が減少してきている。
この現象を生み出している理由が、全日本学生新人選手権の予選、決勝結果に見えているというのがラクロス応援チャンネル的考察だ。次回、掘り下げていく」と語った。そしてその理由を読者で考えて欲しいと、勝手に言った。
又「第1回、2回の全日本新人選手権大会の結果を下記に改めて掲載する。それを見て、読者の皆さんにも考えていただければ幸いである。」
一か月以上経過したが、皆さん何か分かった事はあっただろうか?これを知れば、もう少しラクロスの見方も、そしてプレイへの取り組み方も変わってくると(勝手に)考えている。
<第2回全日本学生新人選手権大会から見えたもの>
・男子は新人選手権大会での地区の力の拮抗がそのまま全国大会での拮抗に繋がっている。
・女子は新人選手権大会での関東&関西とその他の地区との差がそのまま全日本大学選手権での差に繋がっている。
●上記ポイントは日本ラクロス協会が推進した、コーチングのサポート制度によるコーチング技術の向上と均質化が影響していると考えている。
そして、男女の違いは大学1年時点での男女のラクロス経験の差が大きく影響しており、ラクロス経験の地域差が大きいことが根源にあると言える。
女子の場合大学1年時のラクロス経験の地域差が大きく、新人戦においてはその差を埋める事はできない。さらにその後は全国で均質化されたコーチーング、育成がなされて行っている。これでは1年時の差が埋まることは無い。
という論理だ。
男子のように、Startが同じで均質化されたコーチングがあれば拮抗状態が続く。さらに、男子特有のオタク的な独自トレーニング(自主的な海外からの新技術の導入等)も加わり戦国時代状態になりえるのは道理だろう。
更に言えばこの辺りに女子ラクロスの全国的活性化のポイントがあるという事も言える。
それでは結果の詳細を見て行こう
<男子>
第1回男子 予選結果
第2回男子 予選結果
北海道地区は12月から3月頭まで外でのラクロスができないハンディキャップがある以上、この場はチャレンジの場となり、そのハンディキャップを埋める方法を交流を通して学ぶ場としてとても有効な物だろう。雪のハンディキャップのある北海道地区代表の結果を除き、各チームの平均得点や結果に注目して欲しい。これは女子でも同じだ。得失点差に関して男子の場合地域差が無いことがわかる。さらに言えば第2回では予選で
中四国第1代表 岡山大学が関東代表 武蔵・明星大学を破っている。正にこれがこそが、男子ラクロスの拮抗状態を表している。そして決勝戦は
関西代表が新人選手権大会2連覇を成し遂げている。このまましっかりと育成が進めば日本一が見えてくる。
その可能性を他の地区にも見せた事が最も大きなことだと言える。これからの全国の動きに注目したい。
<女子>
女子の予選結果は第1回と見比べても、大きな違いはない。今年参加した北海道代表の酪農学園・藤女子大学合同チームも雪と遠距離合同のハンディキャップを乗り越えて戦えた事は成果だろう。これからは雪国のハンディキャップを少なくする、SIXESのような(体育館での練習でハンディキャップを少なくできる)形の形式でも良いのではないか。そうすれば4月以降に行われるあすなろカップの意義がもう少し高くなると思える。
第1回女子 予選結果
第2回女子 予選結果
結果の深堀をする。
女子の場合の地域差は関東、関西地区代表の突出ぶりに象徴される。そしてそれが近年の全日本大学選手権の結果でも同様の傾向があるというのは先に述べた通りだ。
少々複雑なデータだが2022.23年の全日本大学選手権での関東・関西と他の地域の1試合当たりの得失点差を計算したデータだ。女子の23年/17.6点 22年/13.2点に対して男子は3.6点、3.2点とその違いは歴然としている。
そして2023年全日本学生新人選手権では
女子 7.6点 (北海道データ抜き 7.2点)
男子 3.2点(北海道データ抜き 2.4点)
新人戦は24分の試合なので時間ファクターを掛けると
女子 19点
男子 8点
女子は3年たってもほぼ同じ差があり、男子はその差が詰まっているという事が分かる。
まず、この男女差は、男女の新人時のラクロス経験の差から生じているというのは先に述べた。
具体的には何か
●ティーンズラクロスの存在
全国でティーンズラクロスを学校として活動しているのは全国で男子5校(関東の慶應義塾高校は特別。後述)女子40校。そしてその活動の大半は関東地区と関西地区(例外は仙台育英学園/男女。聖霊中学高校/愛知県瀬戸市)。男子はチームが少なく、試合の経験も多くないので、その力は大学チームとの比較では厳しいものがあるが、女子の場合全国大会も行われ、リーグ戦も多くその力は高いものがある。全国大会への出場チームは関東5校、関西3校(聖霊中高は西日本所属だがまだ全国大会への出場は叶っていない。)
これらの学校のラクロスのレベルは、大学1年生のラクロス未経験者のチームを凌駕するのは勿論、関西、関東の1部校の下位のAチームに匹敵しうる強さを持っている。
★男子には慶應義塾高校という高校ラクロス界の孤高の存在がある。関東大学のリーグ戦に参入が認められ活動をしている。
昨年の関東学生リーグ3部Aブロックに慶應義塾高校がいた
だが、慶應義塾大学では、慶應義塾高校でのラクロス経験者も多いが、彼らは大学の新人戦に出場しないのが矜持となっている(慶應義塾高校は大学の新人戦に参加している。)従って、どこかの大学で大きなラクロスの経験値の差は出ない状況にある。
今年のあすなろカップでの慶應義塾高校vs慶應義塾大学
☆女子は多いとは言えないが、新人チームに経験差をもたらす程度のティーンズ出身者が存在し、彼女たちがチームの技術、戦術、経験値を引き上げる役割を果たしていくので、ティーンズ経験者の在籍しないチームとの差が生じる。(これは地域差だけではなく、関東、関西でもティーンズラクロス出身者の存在感は大きいものがある。)
2024年関東あすなろカップ女子決勝トーナメント結果
今年の関東あすなろカップ(最後の新人戦)でもベスト4に残ったチームは全てティーンズラクロス出身者が多く在籍している。
2024年新人選手権準優勝の同志社大学にもティーンズ経験者が在籍している。
そんなチームが未経験者の1年目のチームと戦った結果は、高い得点差になってしまうのが実情だ。
<ポイント>
そんな、1年時の差が存在する現状で、全国で均質化された育成方法で育成、トレーニングを受けていたら、3年経過してもその差が埋まることは無い。それが全国大会での対 関西・関東の得失点差の真の理由だ。
☆それを克服するには
単純に言えば、日本ラクロス協会の認定の指導者から受ける均一の育成・トレーニングではなく、関東関西を越える独自の練習をするしかない。
それは、どんなものか?
チームのありようによって変わるので、自分たちが目指すラクロスと、自分たちの持つ今の力(体力/走力、技術力、戦術力等々)を把握することで足りない部分を補強していくしかない。
皆と同じことをしていては追いつかない。同じことをするならアメリカNCAA D1のチームと同じことをするべきだろう。何故ならNCAA D1は確実に日本の大学レベルを超えているのだから。
☆それは現実的ではない?
とはいえ、経験値も少ない中でNCAAと同じことはできないだろ
では、どうすれば良いか?絶望しなくても良い
女子には関西学院大学というロールモデルがある。
関西学院大学は過去に3度の学生女王に輝く強豪であることはご存じだろう。関西学院大学にはティーンズラクロス出身者は極めて少ない。1っ昨年の新人選手権大会出場チームにもティーンズラクロス出身者は存在しなかった。
しかし、2023年は全日本新人選手権大会準優勝(予選では経験者のいる同志社大学を破っている)そして、全国大会でも稀有の戦いぶりでその存在感は大きい。
☆関西学院大学に学ぶ
関西学院大学には、ラクロス運動能力で日本一になるという伝統的な考え方があるように見える。筋肉トレーニングやランニング瞬発力や、ターン、ダッジのスピードを高めるための独自のトレーニング方法、育成プランがあり、日々それを新しいものに更新されていると聞く。
ラクロスの経験で差があるとすれば、運動能力やショット力、あるいはパスの正確さ、パススピードの速さと言ったラクロスの根幹部分で経験者を凌駕する事で、強いチームとなっていく。
各チームでトレーニングをどこまでの強度にしていくかは経験が無いとわからないという事を聞く。
一つ言える事は、今行っている基本的なトレーニングの50%増という数字をチームで共有できるか?(簡単に言うな!ですよね)
基本能力で
日本代表候補でも
50m 6秒台の選手は珍しい
400m走 70秒を切る選手も珍しい
ショットのスピードは日本のトップレベルで120kmは越えない
こういう数字に少しでもチームで近づいていけたら、やれることが変わってくる。先ずは基本的な能力把握(20mシャトルランの値は重要)からその進化の目標値の設定をすると、その目標に向けたトレーニングも固まるし、独自の目標設定でそのアプローチもかわるはずだ。
https://athleticslovers.com/%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88%E5%B9%B3%E5%9D%87%E5%80%A4/
新人戦で見つかった差をどのように克服するのか、今真剣に考える時期が来ている。
男子に関しては、女子と比べて独自の練習、独自の課題設定ができていて、進化を加速している傾向がある。これには2018年から始まった全国強化プランも役だったように思われる。女子も2025年日本代表や、U20 代表練習等で日本を越える強さの求め方が普及する事が予想される。
今年の全日本大学選手権において、まずは男子の変化に注目したい。
頑張れニッポン
新人選手権大会決勝の模様は次回にします。
やっぱりラクロスは面白い!!
こぶ平