「ベネッセ総合学力調査」という、中高一貫の私学用の中学模試がある。
一昨年くらいから、この模試の問題の傾向が、少しずつ変化してきた。
国語の場合、大枠は変わらない。
大問一が漢字、語彙、文法。
大問二が説明的文章の読解。
大問三が小説の読解。
大問四は、中1が随筆の読解、中2が対訳付き古文の読解、中3が対訳なしの古文の読解。
ただ、この枠組みの中で、出題傾向に変化が生じている。
問題文から読み取ったことを、自分の日常生活にあてはめて考えさせる問題。これが増えてきた。
たとえば、会話文。日常生活での会話のやり取りもあれば、文章を読んだあとの生徒たちの会話もある。どちらにしても、会話自体が、日常生活の場面を想定したものだ。
説明的文章なら、筆者の主張をふまえて、具体例を考えさせる問題。また、筆者の主張を、日常生活の場面に置き換えて考えさせる問題。いずれも選択肢で適切なものを選ばせることが多い。
小説なら、そもそも出典となる文章に会話文があるので、そこを空所補充にして適切な言葉を選ばせるパターン。
従来型の選択肢問題なら、本文に書いてあるかどうかの整合性で処理していた。今は、本文を踏み台にして、自分たちの日常に引き寄せて考えさせる。
つまり、学んだことを活用する問題になっているのだ。まさしく、大学入学共通テストを意識した問題である。
中学受験用に、本文に書いてあることと対照する解き方を塾で仕込まれた生徒は、面食らう。
ただし、形が新しいだけであって、問われている内容自体はそんなに難しくない。むしろ、「常識的に考えたら」「文脈で考えたら」わかるようになっている(ある意味で、「常識力」とか「生きる力」を試されているとも言える)。
このように、(日常生活と関連づけていくことがいいのかは別として)問題のバリエーションが増えたことは事実だ。
生徒が思考するという点では、悪くはない問題だと(個人的には)思っている。
ただ、これを定期考査でも出題するとなると、かなり大変だ。作問するのに時間がかかるだろうし、そもそも、なかなか問題のアイデアを出しづらい。何年かかかって、模試や大学入学共通テストの問題を教員も経験していかねばならないのだろう。
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