災害と人権学習を関連づける | 神戸国語教育研究会カプスのブログ

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勤務校は関西にあるので、1.17という日が重みを持っている。例年、その日の前後に、何らかの災害に関する学びを行う。

 

今年度は、そこに東日本大震災と、人権学習とを関連づけて実施する試みを行った。

 

まず、「ふくしま学びのネットワーク」事務局から、前川直哉氏をお迎えしての講演。元々、灘中高で教師をされていたが、東日本大震災を機に福島に移り住み、そこで被災地の子どもたちに学習を教える非営利団体を立ち上げて活動されている。

 

なぜ自分が福島に移り住む決意をしたのか、そして福島の現状がどうなのかを話していただいた。こういうケースの講師はその道には長じていても、生徒の前で話すことになれていないため、難しい話になってしまい、生徒の頭がついていけない、ということがよくある。しかし、前川氏はさすがに元中高の教師。しゃべりがうまい。あっという間に生徒たちは引き込まれていった。

 

その講演をふまえて、翌週は人権学習を行った。災害と人権学習がどう結びつくのか? ピンと来づらいかもしれない。

 

が、立派に成立した。

 

テーマは「災害避難所の人権」。被災直後、避難所となった学校の体育館の写真を見せる。とりあえず体育館の床の上で、毛布1枚で寒さをしのぐ被災者たち。雑然としている。

 

次に、それから10日後の写真を見せる。前の写真との違いは何かを考えさせる。具体的には、パイプイスが配布され楽に座れるようになっていた。また、飲食物の配布が始まっている様子も見られる。被災者の数も少しではあるが減っているようだ。

 

さらに1か月語の写真を見せる。今度は、簡易のパーティションで仕切られた様子。一応、パーソナルスペースが確保されている。人数はさらに減っている。

 

この違いを見つける、というところで終わるのではない。

 

前提として、自分たちが南海トラフの地震に見舞われて、学校の体育館で避難所生活をすることになったとしたら、という仮定で考えさせる。そうなった場合、この写真を見て、困ることは何だろうか。

 

やはり出てくるのは、プライバシーの確保の問題、着替えはどうする、お風呂は、トイレは……と意見が出されていく。そして、その問題を解消するためにはどうすればいいのか、解決策も考えさせた。

 

まさに人権学習。しかも、遠い東北の話を、自分たちに起こりえるかもしれない身近な話に置き換えて考えさせることで、学びが深まった。

 

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