こんばんは。主宰です。
国際ワークショップに参加してきたので、その報告をしたいとおもいます。
かごしま丸の海洋観測終了直後に、髭おじさんから連絡があり、12月に台湾で国際ワークショップを開催するから黒潮生態系の研究成果を紹介しなさいという指令がありました。髭おじさんにはだいぶお世話になっていますし、うちの研究室の学生さんたちのおかげでだいぶ研究成果も蓄積してきたので、レビューするにはよい機会とおもい参加することにしました。
開催場所は、国立台湾海洋大学です。台湾の東京大学みたいなところで、台湾の優秀な頭脳が集まる大学です。街中にキャンパスがあり、多くの学部が集群しながらも美観が保たれている大学でした。
国立台湾大学には、海洋研究所があります。東京大学にも海洋研究所(現大気海洋研究所)があり、教育研究協定が結ばれていて、研究者や学生たちの交流が多くあるようです。ビルディング自体は古く、どこか懐かしい感じがします。戦前に台湾は日本の統治下にあったので、年代が経過した古いビルにはその面影が残っているのかもしれません。他方、数多くの著名な研究者が、意外にもこの古い建物内で世界最先端の研究成果をあげていることに驚きました。
建物内に入ると、学問領域が階ごとに異なっていて、海洋物理学の階には観測機器が展示されていました。研究成果を示すポスターや論文が壁一面に掲載されていて、研究アクティビティが高い所ってこうだよなぁと納得しました。
年末なので、一部はクリスマスの装飾が施されていました。
ワークショップは大きなカンファレンス会場で行いました。こちらは、黒潮研究で著名なChen-Tung Arthur Chen博士です。うちの研究室のみなさんは、卒論・修論でもちろん引用してますよね?論文でしか見たことないような、著名な研究者と会っておはなしさせてもらうという機会は、国際ワークショップ・学会だからこその醍醐味です。黒潮が流れていく過程で、水塊の性質が変わっていく様を、たいへんわかりやすく説明してくださいました。
こちらは、あの著名なChih-Hao(Zac) Hseih博士の研究室です。1日目の国際ワークショップ、2日目の国際会議が終了した後、共同研究の協議をするために研究室にお邪魔しました。彼は数理生態学の視点・考え方を使った生物海洋学を行っています。アメリカで学位を取得され、その研究成果の一部がNatureに掲載されています。Natureに2本も論文をもっている、著名な研究者です。ありがたいことに、彼がポスドクの頃(今から20年前頃)に国際学会で意気投合したことがあり、それ以来の付き合いをさせてもらっています。今から10年前頃に台湾にもどってきて、台湾大学海洋研究所に着任され、その頃の博士課程学生だった研究者と一緒にタンパク質合成酵素活性を測定したことがあります。今後、黒潮上流域と下流域で生態系プロセスを比較する研究をしていこうということになりました。いずれ、彼の研究室メンバーがうちのかごしま丸に乗船することがあるかもしれません。
その研究協議の後、彼の紹介で台北市内のレストランにつれていってもらいました。丸いテーブルを囲んで、台湾料理の素材・味・調理の説明やその料理に関する思い出話に華が咲きました。こういった雑談を通して相手のことをよく理解できるようになり、寝食を共にする海洋研究ではこの無駄にもみえるような時間がとても大切になります。
今回の台湾訪問は南星丸乗船直後だったこともあり、ホテルに到着するまでいろいろとトラブルがありました。いろいろとたいへんで重たい気分だったのですが、ザックのおもてなしのおかげで、台湾訪問の思い出が浄化されました。感謝したいとおもいますし、次に日本に来られるときには私が十分なおもてなしをしようとおもいました。