ブイ漂着 | COPE (KOBARI Lab)

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絶滅危惧研究室の営みをつづるブログです

こんばんは。主宰です。

 

以前、かごしま丸に乗船して東シナ海で漂流する流れ藻を、船舶観測をしたことについて報告しました。その時、位置情報を発する漂流ブイ(GPS漂流ブイ)を流れ藻に結び付け、再放流して流れ藻がどのように黒潮に輸送されるのかを観測していました。その結果が、以下の通りです。

4つの漂流ブイを放流したのですが、そのうち3つは東シナ海陸棚域で消えてしまいました。流れ藻に固く結んだのでそう簡単には外れないとおもいますし、もし外れたり漁師に回収されたりすれば、それ以降も位置情報がつかめているはずです。従って、これら3つは、流れ藻が浮力をなくして沈んだものと思います。1ヶ月くらいは漂流してましたが、なかなか黒潮に輸送されないことが分かりました。残り1つは先月下旬頃に黒潮に輸送され、大隅海域を通って太平洋に抜けた後、四万十川付近に漂着したようです。種子島・屋久島西方海域では、黒潮が貫入して大隅海域に分岐流が来ることが分かっていますが、今回の漂流ブイはこの流れにうまく乗ったみたいです。

こうやって、漂流ブイを追跡すると面白いですね。黒潮に輸送されたとしてもずっと黒潮に流されるのではなく、また沿岸域に輸送されたり黒潮域に輸送されたりを繰り返しながら下流へ向かうことが分かりました。九州周辺では多くの回遊性浮魚類が産卵し、これらの仔稚魚が索餌しながら下流へ流されますが、こういうような流れに乗るのでしょう。

来年も、かごしま丸に乗船して同じことをやる予定です。毎年、流れ方がちがうので面白いです。