最終日、日が落ちて、あたりがだんだん暗くなってきました。
それまで静かに控えていた屋台が動き出します。
事任八幡宮前の交差点では、大きな屋台がクルクルと回り、ゆっくりと身を揺らします。
夜の交差点に、屋台ならではの躍動感が広がってきました。
しかも、この日は雨。
屋台には雨除けの透明な合羽がかけられていました。
そこへ信号の光が当たります。
赤い光が反射したかと思うと、次には青い光が透ける。
屋台が回るたびに、光の当たり方が変わり、表面の色も次々と変化して見えます。
雨にぬれた合羽が光を拾い、屋台全体がゆらゆらと色を変えていく。
その様子を見ていて、ふと頭に浮かんだものがありました。
『眠れる森の美女』のラストシーンです。
王子とオーロラ姫が踊る中、妖精たちの魔法で、オーロラ姫のドレスの色が変わっていく、あの場面です。
青になったり、ピンクになったり。
踊るたびに色を変えるオーロラ姫。
そして目の前では、大きな屋台がクルクルと回りながら、信号の光を受けて色を変えていく。
しばらくのあいだ、屋台の動きには、どこか踊るような美しさがありました。
雨、信号の光、透明な合羽、そして回転する屋台。
それらが合わさって、交差点は幻想的な景色に変わっていました。
もちろん、屋台と『眠れる森の美女』に直接の関係があるとは思えません。
……でも、ひょっとして何かあるのでしょうか。
昔、ディズニーのスタッフが偶然この祭りを目にして、ヒントを得ていたりして。
そんな想像をするのも、ちょっと楽しいものです。
晴れた夜には見られない、雨ならではの景色だったのでしょう。
記憶というものは、不思議なものです。
目に映った景色だけではなく、そこから心に浮かんだ物語まで、いつまでも残ることがあります。
私にとって、この夜の屋台は、
「オーロラ姫のダンス」
でした。
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