前回は、日坂宿や小夜の中山について見てきました。今回は、事任八幡宮そのものについて少し調べてみましょう。
事任八幡宮がいつできたのかは、はっきりとは分かっていません。ただ、とても古くからこの地にあった神社です。
伝承では、今から1200年以上前の807年ごろ、坂上田村麻呂が東国へ向かう途中、桓武天皇の命令によって神社をすぐ北側の本宮山から現在の場所へ移したとされています。
事任八幡宮の主祭神は、己等乃麻知比売命(ことのまちひめのみこと)。言葉や言霊に関わる神様として知られています。
そして、神社の名前にもなっている「ことのまま」。
昔から「願ったことが、その言葉のままにかなう神社」として信仰されてきたそうです。
ずいぶん頼もしい神社ですね。そう感じたのは、現代の私たちだけではなかったようです。
平安時代の『枕草子』には、
「ことのままの明神、いとたのもし」
と記されています。

清少納言〈イラストはイメージ〉
(平安時代に活躍した、「春はあけぼの」で有名な『枕草子』の作者)
その後、武士の時代になると八幡さまへの信仰が広がり、1062年ごろには源頼義が京都の石清水八幡宮の神様をここにお迎えしたと伝えられています。
事任八幡宮には、主祭神のほかに八幡大神三柱も祀られていて、合わせて四柱の神様が祀られています。
「願ったことが、その言葉のままにかなう」と聞くと、気になるのが「言葉の力」です。
日本には昔から、「言葉には力が宿る」という「言霊(ことだま)」の考え方があります。
普段何気なく使っている言葉も、漢字で見てみると面白いものがあります。
「ありがとう(有り難う)」
「有ることが難しい」ほど、めったにないことへの感謝。
「おかげさま(お陰様)」
「陰」は、直接は目に見えないところ。自分ひとりの力ではなく、誰かの支えがあって今があることへの感謝。
「いただきます(頂きます)」
「頂」は頭のてっぺん。ありがたいものを、頭を下げて受け取るという意味につながる言葉です。
こうして見ると、普段使っている言葉にも、それぞれ意味や思いが込められていることが分かります。
そう考えると、「ことのまま」という名前も、なんだか今までより身近に感じられてきます。
言葉に関わる神様を祀り、「願ったことが、その言葉のままにかなう」と信仰されてきた神社。
事任八幡宮は、「言葉」というものについて改めて考えてみるのにも、面白い神社なのかもしれません。
次回は、独特な形で目を引いた屋台を取り上げます。
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