高校三年の千葉のもとに、南木から連絡が来る。四年前、中学生の時に彼らと仲間たちは何かをしでかしたらしい。どうやら犯罪めいたことを。そんな彼らが再会するらしい。しかし、中学生が何をしたのか?最初は肝心なそれがわからず、読むのが退屈で、つまらなくて中断しかけたが、休日のお陰で、時間はあり、なんとか最後まで読めた。

幼稚園時代から仲良しの仲間たち、その一人の女児が、変質者の男児に襲われ、不幸にも死んだ。犯人は逮捕されたものの、罪には服さずにすむ。それに我慢できなかった彼らは復讐を企てる。それをまだ小学生の南木がリーダーとなって、計画をたて、六年後に実行した。

茨城県南部の田舎の街では、時代の波で変わりつつあった。市長が海外企業を誘致して、ベッドタウンから産業都市に。古いものがなくなり、彼らが楽しんだ自然や隠れ家がなくなっていった。そんな市長に待ったをかけたいと思った彼らは、仲間の復讐と共に、それを行う計画をたてた。

市長の娘である生徒会副会長を拉致し、監禁して、市長に要求を突きつけた。まさか、誘拐事件の犯人が高校生とは考えられず、警察に知られぬままに、半ば成功。最後に企てた復讐をリーダーの南木が仲間を助けようと、単独で敢行し、警察に逮捕された。未成年だった南木は、数年の服役をおえて、出所する。そして、昔の仲間に会いたいといって来たのだろう。幸いにも事件は南木の供述通り、単独犯として処理され、逮捕されなかった仲間たち。しかし、あらたな生活を取り戻した者もいれば、いまだに過去を引きずっている者もいる。

そんな彼らの犯罪がメインの話で、最後に彼らが再会する様子が描かれる。

悪くはないが、いまいちかな。果たして、中学生にできることかな?

幼稚園時代からの仲間の絆というのも、経験ないことだから、信じられない。


東京という都会にすみ仕事をしている人々が感じる不安やストレス。それを癒してくれる隠れ家的な場所を見つけ、一息つき、またあらたな日々に向かい合っていく人々を描いた連作短編集。

ネットでショッピングモール、パラウェイ、を運営する会社。そこに入社したものの、最初の配属が物流倉庫だった若者、矢作が、最初に登場。運良くマーケティング部に移動したものの、生来の真面目さが周囲の反感を買い、悩む。目立たない同僚が昼休みに出掛けるあとをつけて、見つけたのが、プラネタリウム。昼すみに、星空を見て過ごすひとときが彼には救いとなる。

中途採用でマーケティング部のマネージャーを勤めるママ社員の恵理子が、次の主人公。家庭では年下の夫や二人の男児に、会社では上層部とパート従業員との板挟みになる中間管理職の彼女は疲弊していた。ある日、通勤電車を乗り過ごし、終着駅の新木場へ。思いきって、会社をサボり、近くにある夢の島公園ですごし、命の洗濯をする。

恵理子の大学時代の友人の一人、大森智子。その息子、圭太は高校に入学したものの、中学時代のいじめっ子に再会し、また辛い日日になる。好きなファンタジー作品の女主人公にそっくりな女性を街で見かけ、あとをついていくと。ボクシングクラスのインストラクターだった。進められるまま、運動音痴だった彼は、ボクシングをやり始める。弱虫の圭太が変わる。

恵理子の大学時代の友人の久乃は、仲間で唯一、いまだに独身。カフェチェーン店に、バイトからはじめて、今は小さいながら新橋店の店長。時代の流れに逆らい、あえて全席喫煙可の店にして、そこそこ常連客をつかむ。実家の母親や友人たちからは結婚を進められているものの、彼女はなぜか男女のごとに興味が湧かない。彼女の趣味は美術鑑賞。お気に入りの場所は、皇居に隣接する東京国立近代美術館。最上階にある眺めのよい部屋。展望休憩室。

映画会社から転職してきた瀬名。自分ではなにもしないで、人の後始末をそつなくこなして生きてきた彼。彼のお気に入りの場所は、喫煙ができる久乃の店と、品川にある水族館。特にクラゲがお気に入り。餌に向かって泳いでいくことができず、偶然触れた餌を捕まえて生きているクラゲに魅了された。そんな彼も、矢作からクラゲの話を聞いて、生き方を変えることになる。脳も心臓も血液もないクラゲは、その実、身体全体が脳であり、心臓だという研究があるのだと。社内で起きたセクハラ事件。上層部の反対に逆らい、真相究明に協力すると言い出す瀬名。

社内では目立たない神林璃子の昼休みの楽しみはプラネタリウムで眠り、亡きいとこに再会すること。他にも、無料で利用できる上野公園のはずれにある国際子ども図書館がある。休日には朝から一日過ごす。閲覧室はかつての帝国図書館時代の貴賓室で、内装が素晴らしい。

彼女には幼い頃に誘拐されかけたことがあり、それがトラウマとなり、男性に近づけない。さらわれかけたのは、彼女が目立つ少女だったからと、周囲に言われて、以後どこでも目立たないように努めてきた。お気に入りのカフェでも、自分が認知されたら、行けなくなる。

プラネタリウムでの眠りができなくなったある日、そんな彼女を心配した矢作が近づいてくる。誰にも話したことがないトラウマを打ち明けた璃子。彼女を尊敬していたという矢作の言葉に癒される璃子。矢作にもトラウマがあった。地球自体が恒星である太陽のまわりを回る惑星、つまり惑う星なんだ。そんな話を矢作から聞かされる。周囲の世界は自分とは無関係なんだが、それを考えてしまう自分。自意識過剰も承認欲求も、周囲の世界が自分とは無関係だと認めたくなくて、悲しくて、悔しくて、腹立たしくて、生まれてくる感情なんだ。背負い込むことは依存してるのと同じだと。地球同様に、そこにいきる我々もみな、不完全な存在なんだと。そんな矢作の言葉に癒される璃子。亡きいとこを見送り、あらたな人に目を向けようとする璃子。

警察小説というよりは伝奇小説か?

神奈川県警少年捜査課の刑事高尾のもとに、知り合いの高校教師水越から、生徒の一人賀茂が失踪したとの連絡がある。調べてみると、最近賀茂が川崎の半グレのテルのことを口にしていたという。彼の消息を調べて川崎に飛ぶ高尾と相棒の丸木。賀茂は一見おとなしい高校生だが、たまに古代の霊能者、役小角に憑依され、異常な能力を発揮するという。今回の失踪もそれが原因かと調べを進めると。

川崎で対立している半グレと半ば外国人のギャングの若者が対立している。賀茂はその双方に本音を語らせて、言霊により仲介しようとしていた。

若者に人気のカリスマボーカリスト、ミサキやギャングの保護司葛城などがからみ、ついにはミサキが半グレに拉致される。ホテルに立てこもる彼らを説得し、事件を解決したのは、賀茂だった。