都内の小さな公園で死体が見つかる。殺人と断定され、特別捜査本部が立ち上がる。その本部で相棒となった警視庁捜査一家の刑事、音喜多と、所轄の女性刑事、鳴海桜子。音大の声楽科出身で、警察音楽隊志望で、警官となった鳴海だが、その能力により、刑事に引き上げられた。人の顔が覚えられない病のために、それ以外の観察力や洞察に優れていて、職質での検挙に優れている。

身元調べから始まった捜査、被害者がコンサート会場で目撃されたことがわかり、彼はコンサートに出ていた有名な指揮者と知り合いらしいとわかる。しかし、指揮者は否定。被害者が泊まっていたマンガ喫茶から知らせがあり、そこの遺留品から、被害者は関西から来たとわかる。しかも、身分証明に使った保険証は大阪のどや街にすむ男のものとわかり、鳴海と音喜多は大阪へ出張する。

こうして始まった被害者の身元と過去を探る刑事の旅と、指揮者の過去を描いた文章が交互に描かれていく。

そして、指揮者の過去があきらかになり、最後の目的である殺人計画があきらかになり、それを阻止すべく、刑事は音楽会場に飛び込んでいき、無事に阻止し、指揮者を逮捕する。


関係者の過去を探ることで、明らかになっていく過程が、読みがいがあり、面白かった。

特命捜査対策室七係、とサブタイトル。

未解決事件を専門に扱う警視庁特命捜査対策室に異動となった新人刑事、鬼切壮一郎。

先輩の女刑事、辰巳麻妃らと共に、5年前の未解決事件の捜査に当たる。コンビニで働いていた男が失踪した事件。刑事をしていた兄がおり、遺産相続でもめていたことから、第一容疑者として取り調べを受けたものの、確たる証拠もなく逮捕されなかったものの、刑事時代の悪行を取りざたされて、退職した。

妻子と離婚し、アル中となり身を持ち崩している兄と会ってみるも、犯人とは思えず、被害者のことを調べ始めた壮一郎たち。

窃盗犯から量刑取引を申し出られ、被害者が何かヤバイバイトをしていたらしいという情報が得られ、その線で、新たな捜査を進めていく。

彼らの捜査の展開は遅いながら、次第に事件の核心に近づき、その結果、新たな事件を引き起こして、ついに真相が明らかになる。

登場人物が誰も小物で、ヒーローはいないが、それなりに楽しめたかな。

調べてみたり、これは2年前に既読だったが、再読してもあまり思い出さなかった。

神田紅梅亭寄席物帳シリーズの帯二作。

今回のメインは福の助の弟弟子が、故郷で初めての独演会をやることになり、生い立ちに関わる事情から、若手では無理な演目をやらざるを得なくなり、兄貴分の福の助に泣きついてきたものの、福の助も困惑する。

今回も前の師匠である山桜亭馬春からヒントをもらい、福の助が解決策を見いだす。

今作も中編三編で構成されている。

最初の作では、馬春師匠の奥さんの実家の姪の婿から、福の助が演じた落語、野ざらしのなかで幽霊が本当に来たのかどうかと、質問してくる。落語家は今まで誰も考えたことがない質問に当惑する福の助。落語は芝居に比べて、荒唐無稽だとの非難をうけたものの、うまく切り返せなくて、悩む福の助。最後には、馬春のヒントで解決策を見つけ、その設定で、落語を語り直す。

それと共に、亮子は教育者で堅物だった伯父からとんでもない依頼を受ける話が、落語の改作から真相がばれるというエピソードが描かれる。


二作目が、弟弟子が芝浜をやることになり、どうするかというメインの話。


三作目が、その弟弟子の独演会当日の騒ぎが描かれる。

独演会とはいえ、兄貴分の福の助も出るものの、今だ二つ目の福の助では客を呼べないから、現在いる寿笑亭での兄貴分で、テレビタレントとしても有名な小福遊師匠が出てくれることになった。

それが本番時刻になっても現れず、客も騒ぎ出したことで、たまたま近くにすんでいた馬春師匠が急遽代わりに出ることになるというエピソードが、描かれる。

しかもいまだ本調子にはできないことから、福の助とのリレーでの落語を演じる。もう二度と、馬春師匠の落語を聞けないと諦めていた福の助ら弟子や奥さん、さらにはいまだ忘れていない客たちがみな感動する演技だった。

そのあとに演じた弟弟子の本番も無事にできた。