神田紅梅亭寄席物帳シリーズの帯二作。
今回のメインは福の助の弟弟子が、故郷で初めての独演会をやることになり、生い立ちに関わる事情から、若手では無理な演目をやらざるを得なくなり、兄貴分の福の助に泣きついてきたものの、福の助も困惑する。
今回も前の師匠である山桜亭馬春からヒントをもらい、福の助が解決策を見いだす。
今作も中編三編で構成されている。
最初の作では、馬春師匠の奥さんの実家の姪の婿から、福の助が演じた落語、野ざらしのなかで幽霊が本当に来たのかどうかと、質問してくる。落語家は今まで誰も考えたことがない質問に当惑する福の助。落語は芝居に比べて、荒唐無稽だとの非難をうけたものの、うまく切り返せなくて、悩む福の助。最後には、馬春のヒントで解決策を見つけ、その設定で、落語を語り直す。
それと共に、亮子は教育者で堅物だった伯父からとんでもない依頼を受ける話が、落語の改作から真相がばれるというエピソードが描かれる。
二作目が、弟弟子が芝浜をやることになり、どうするかというメインの話。
三作目が、その弟弟子の独演会当日の騒ぎが描かれる。
独演会とはいえ、兄貴分の福の助も出るものの、今だ二つ目の福の助では客を呼べないから、現在いる寿笑亭での兄貴分で、テレビタレントとしても有名な小福遊師匠が出てくれることになった。
それが本番時刻になっても現れず、客も騒ぎ出したことで、たまたま近くにすんでいた馬春師匠が急遽代わりに出ることになるというエピソードが、描かれる。
しかもいまだ本調子にはできないことから、福の助とのリレーでの落語を演じる。もう二度と、馬春師匠の落語を聞けないと諦めていた福の助ら弟子や奥さん、さらにはいまだ忘れていない客たちがみな感動する演技だった。
そのあとに演じた弟弟子の本番も無事にできた。