空也の武者修行を描いた空也十番勝負シリーズ第10作。完結編。

京のふくろもの問屋の隠居又兵衛と知り合い、旅に同行することになった、空也。大和の国室生寺の修理費用五百両を京都から運ぶ又兵衛は、用心棒代わりにと、空也を誘ったらしい。

剣術好きな又兵衛は、途中、空也を柳生の里にある道場に案内する。徳川家剣術指南の柳生家も今や一大名となり、剣術は昔に比べ落ちていた。それに気づいた空也は、やかて又兵衛と室生寺にいき、その奥山を最後の修行地にする。

その後、最後の修行地と決めていた大台ヶ原に向かう。紀州と伊勢の国境にあるそこは、標高こそそれほどないが、雨が多い秘境だった。おりしも雪におおわれた大台ヶ原にて、空也は最後の十番勝負を、宿敵佐伯彦次郎とたちあい、怪我をしたものの、勝ちを得る。

霧子や眉月たちが待つ姥捨ての里にたどり着いたのは、一ヶ月もたった頃。

修行を終わりにしたものの、今後に迷う空也は、ともかく江戸に向かう船に乗る。眉月を伴侶としたものの、今後がどうなるか、気にはなるが、シリーズはひとまず終わる。

空也の今後は、磐根の晩年を描く新たなシリーズと共に描きたいと、著者は構想するも、はたしていつになるのか?

警察小説は嫌いではないが、公安とか政治がらみの話は、好きではないから、あまり読まないの他が、これは結局最後まで読まされてしまった。

発端は渋谷のラブホテルで見つかった高齢の男性の遺体。性交死と思われた男の身元は、近くの介護ホームに暮らす、元校長の藤村とわかる。そして、防犯カメラの映像から制服姿の少女が相手だとわかる。数日後警察で事情聴取を受けたのは、カリスマ美人女子高生神子。彼女のファンだと思われる若者が警察署に集まり、警察は不安を抱く。

警察上層部は二人の関係などに神経を尖らせ、異常な捜査体制をとる。

以前、警視庁の警護課でSPをしていた高瀬は、上司に逆らい、所轄の渋谷署の知能犯相手の刑事に異動していた。

そんな高瀬が、かつての上司からの指示で、この女子高生が関わる事件の捜査本部に駆り出される。公安特殊課が牛耳る捜査本部。

はじめは公安らしく、なんの説明もなく、指示のまま捜査をしていた高瀬。上層部が恐れているのは何か?

ハロウィーンで渋谷に集まる仮装の若者たち。カリスマを利用することで、騒動にすることも可能だと危惧する警察。

果たして、高瀬たちが直面した事態とは何だったのか?

その結末はいかに?


藤村と同じホームに暮らす仙人と呼ばれる老人のヒントにより、事件解決に導かれた高瀬。この二人の会話とかやり取りが、なんかよかった。

芸大卒で、美術館勤務をしていた著者のデビュー作の美術ミステリー。

ようやく読めた。長いこと積ん読状態だった。

マスコミはもちろん美術関係者でさえ姿を見たことがないという、現代美術の芸術家、川田無名。若い頃に、墨を使ったインクアートで、ニューヨークで評判となり活躍していたものの、帰国後は全く無名だった。ひとつには中国人とのハーフだったことと、そのアートが時代に会わなかった。それが最近は再評価され、人気は急上昇。しかも正体がわからない神秘さから、神格化され、作品は高価で取引されていた。

そんな無名の作品だけを一手に引き受けて売買する画商唯子。彼女に誘われ、大学卒業後、助手として画廊に勤務する佐和子。安月給でこきつかわれることで、退職を考えることもある佐和子。

そんなある日、唯子が、アトリエの倉庫で、死体で発見される。無名は作品の規格やタッチなど、作品の描き方を指示はするが、実際に作るのは職人たち。出来上がりがよければ、無名がサインを描き、売買に回る。

深夜、密かにサインに現れた無名が、唯子を絞殺したのか?警察はその線で捜査を進めるも、肝心の無名の居所を誰も知らない。

折しも、画廊のバックヤードには、唯子が生前送らせた、無名の最初の大作が置いてあった。オークションにかければ、10億にもなる大作。

残された佐和子は、その大作を守ろうと腐心しつつ、無名のことを調べ始める。

唯子には、今は別居中の夫がおり、画廊の経営を引き継ぎ、佐和子も協力し、大作を狙うコレクターたちと対峙する。

オークションにだされ、史上最高値で落札された無名の大作。

一体、誰が落札したのか?

唯子殺害犯は誰だったか?

無名は死んでいるのか生きているのか?

最後に、それを明らかにしたのは佐和子だった。

絵画の取引ら摩訶不思議だね。

画家当人以外が描いても、画家がサインいれたら、画家の作品になるなんて。

なかなか、興味深かった。