厚木市内にある衆議院議員井上の事務所を訪れた、二人の若者が秘書を虜にして、立てこもる事件が起きた。詳しい事情がわからないまま、時はたち、井上議員が到着して、その説得により逮捕された。

逮捕された二人は完黙を貫き、警察もお手上げ。虜になった秘書も入院したままで面会謝絶。

そのあと、なぜか?物語は三十年あまり昔の群馬県北部の町の町長選挙の話になる。昔から計画だけはあったダム建設の話が復活し、賛成派反対派が対立して、選挙も混乱する。そこに地元出身の大学生、杉原が、反対派の選挙事務所に手伝いにはいる。そんなゴタゴタが描かれ、ついで、今度は十年前の町長選挙の話が語られていく。

正直、ここら辺りで退屈してきて、中断しかけたが。

そして、再び立てこもり犯の話にもどって、その犯人たちの素性や真相か明らかになるラストの話となった。

与党の大物議員の指示により、自殺させられた野党議員事務所員の自殺事件。それを隠蔽した大物議員のやり口を公にするために、遺族たちが結束して起こした事件だった。

しかし、果たして目的は達成できたのかどうか?

大物議員たちは結局無傷のまま生き延びて、これではなんともむなしい結末。

問題定期の物語だと言うことなのかもしれないが、あまり楽しい結末ではないな。

息子の不始末から警察庁の官僚から降格して、都内の大森署長となり、ユニークな信念で、活躍した竜崎。

その彼が、神奈川県警の刑事部長に異動してからのエピソードを綴った今作。

竜崎が去り、新たな署長が就任前の一日を描いた最初の作。難癖に来た方面本部の管理官の難癖を撃退したのは、新たな美人署長の笑顔だった。

空き家で火事があり、死体が見つかった事件を聞いて、竜崎の妻冴子はデジャブを覚える。はっきり思い出せなくて、自分で過去の事件を調べていくうちに、同じ人物による連続殺人に気づく。それをヒントに捜査本部は犯人を逮捕する。

知り合いの女性に頼まれて、白い粉を代理で受け取った竜崎の息子邦彦は、かつて父を降格させるもとになった薬物ではないかと心配になる。なかなか両親に打ち明けられない彼の態度から、竜崎を話を聞き出す。調べてみると、薬物ではなく、岩塩だった。女性の故郷にある有名な岩塩だった。

大事なプレゼン直前に、駅で痴漢逮捕に協力した竜崎の娘美紀は、警察に取り調べられたり、痴漢詐欺の共犯に疑われたり、職場の上司に南橘されて散々。しかし、父親の言葉に従うことで、毅然と立ち向かい、難をよける。

神奈川県警独自の階級、警部待遇の警部補を専門官と呼ぶ。ベテランだが単独行動が多い専門官八坂。新任の刑事部長の竜崎に何か言われるのではないかと心配する捜査一課長や刑事総務課長の悩み。

神奈川県警刑事部には二人の参事官がいる。キャリアの阿久津と叩き上げで、組対本部長の平田。二人の仲が悪いと聞いていた竜崎だが、じかにあってみると、それが逆に互いを認めあっていることを看破する。

かつて米海軍基地付近で起きた事件に際し、海軍犯罪捜査局の特別捜査官を捜査本部に参加させた竜崎。犯人の足取りを追い、都内にまで出掛けたことに、異議を唱える警察庁の審議官。調べてみると、どうやら面子を潰されたことの異種返しらしい。そうとわかれば、審議官をおだてて、花を持たせることもできる竜崎。

大森署の美貌の新任署長目当てに頻繁にやって来る方面本部の管理官。来署の目的として、一見不良なベテラン刑事戸高の非違の調査だと言われて、慌てる係長や課長。悩んだ末に相談したのは、去った署長竜崎。しかし、反対にさとされる。新任署長に話せと。新任署長は鮮やかに管理官を撃退する。

神奈川県警にはキャリアだけの飲み会があり、好きでない竜崎は、出ていなかったが、新たに赴任してきた動機の警務部長に誘われて、渋々出席。酒の席の話がマスコミに漏れて、叩き上げの交通部長に、県警本部長が非難される。それを助けたのは、竜崎だった。


事件捜査と言うより、竜崎の異動がもたらした周囲への波紋のエピソード集か。

それでも面白かった。

奇妙な物語。刑事が出てくるから警察小説の一種かと、借りては見たが。

都内で自殺事件が続いた。被害者間にはなんの共通点もない、バラバラの事件だと思われたが。

ひとつだけ共通点があった。遺体のどこかに同じ文字のタトゥーシールが貼ってあった。日と非をたてに並べた文字。

意味もなければ読みもない、幽霊文字と呼ばれる奇妙な文字。JIS規格にははいっていて、それがタイトルの数字とアルファベット。

普通の捜査では埒が明かないと、担当したのは警視庁総務課所属の別室と呼ばれる部署。女性警部山本と男性警部補早川の二人だけの部署。実態が曖昧で犯罪性の立証が難しい事件を観念的に捜査する。

そんな二人が自殺者たちの関連や残された文字の意味を考えながら捜査を進めていくが、…。

結局は最初の自殺者が偶然見つけた石碑に描かれたものを、文字に当てはめたのが、問題の幽霊文字。答えのない問いと同じで、いつまでも考え続けるのにうってつけ。自分の死後にも同じような自殺志願者たちに考えさせてみようか、そんな思いが発端の事件かもしれない。そんな説明を、最初の自殺者のバイト仲間で、公安警察に繋がる男から話を聞いた二人の別室刑事たちは納得し、捜査は終わる。


正直よくわからないまま終わった感じで、あまり面白くもなかった。