高校を卒業した小麦は義父の経営するラブホテルに就職し、ホテルマンの一歩を踏み出す。

彼の父親はホテルマンだったが、ある日から働かなくなり、母は家を出た。父が持っていた大きな鍵が原因のようだ。その後伊勢にあるホテルに勤務するようになったが、ある日ホテルに放火し、投身自殺する。天涯孤独になった彼女を引き取り、養女とした義父の五間岩。義父の言われるままに就職。半年後、小麦は義父の指示で伊勢のホテルに就職。そこは父が勤め、自殺した因縁のホテル。嫌がる彼女を説得した義父。父を嫌い、目を背けてきた小麦だが、いつかは直視しないと先に進めないと。

今は外資系ホテルの傘下になったホテル。送り込まれた二人のGM。サブは地元出身の日本人、仲野。利益をあげて、早々にホテルを立ち直らせないと、本社は売却するかもしれない。リストラと経費節減に勤めるも、実績は上がらない。

そんなホテルを取り戻そうと暗躍する元のオーナー塚原と元のGM上原。

小麦は実は創業者小宮の孫だった。かつて御師として、全国の伊勢講の人々を楽しませた小宮家。明治になってからは旅館として、戦後ホテルをたてて、伊勢講の人々を歓待した。竜宮城のような一夜の夢を与えたホテル。志半ばで自殺して、塚原家にホテルを奪われた祖父。

その祖父がホテル内に隠し金庫をもうけたという話が伝わっている。その金庫の鍵は祖父から身内に受け継がれている。

それを知り、家族を放り出し、自殺した父親。本当に金庫はあるのか?鍵は今、誰の手に?

塚原たちの陰謀に翻弄されながらも、孤立無援の小麦にも陰で支えてくれる人々がいた。

そして迎えたラスト。金庫の中身は?

もと新聞記者で、ライターをしている大路亨は、もと新聞記者で、ガンを患う父親から一人の女性、辻珠緒を探してくれるように頼まれる。

ヒットしたゲームの開発で有名な珠緒は、なぜか行方不明になっていた。

亨は彼女の知り合いを訪ねて回り、話を聞いていく。

彼女の転機になったのは昭和31年に起きた福井県の芦原温泉の大火だった。調べていくうちに、亨は珠緒の数奇な人生を追うことになり、それは彼女の祖母、母親から彼女までの親子三代の女性のたどった数奇な運命をたどる旅になる。

そして迎えたラストに、亨は珠緒に会い、彼女から亨の祖父の遺書と、父親が靴職人だった祖父につくってもらった初めてのシューズを手渡される。

なかなか読みごたえがある話だった。

朝に、交通安全街頭指導に参加。

終わってから、八時過ぎに出掛けたが、なんとか始業時間ギリギリに間に合った。


仕事帰りに、市立図書館分館へ。

土日に読み終えた四冊を返却。

新たにまた四冊借りた。

今日借りた本


堂場瞬一

「鷹の飛翔」

講談社、202407


畑野智美

「世界のすべて」

光文社、202409


荻原浩

「我らが緑の大地」

角川書店、202502


小野寺史宜

「町なか番外地」

ポプラ社、202405