これといった事件も起こらず、たんたんと一人の若者が描かれる。27歳になり、5年勤めた会社をやめた主人公鳴海。会社では大したことが起きたわけではないが、毎日の些細なストレスが溜まり、我慢できなくなった。

偶然見つけたブルーと言う昔風の喫茶店。雰囲気が気に入り、やがてバイト始める。店主がなぜか似た者のようで、居心地かいい。そして、いつか詩文でもこんな喫茶店を開きたいと思うようになる。

鳴海には実は秘密かあった。彼は男としての性欲もわかず、性的なことにも興味が持てない。学生時代には周囲に合わせて、嘘をついていた。職場では周囲の些細な冗談にもついていけず、かといって自分の思いも話せず、ストレスを溜め込んでいた。

ブルーの店主には妻があり、一人娘もいるが、妻は別の仕事をしていて、さらには別の男もいるが、店主は気にしていない様子。そんな店主に親しみを覚える鳴海。

普通の喫茶店だが、実は変わった性的趣味を持つ客もいることが鳴海はやがて知る。そんな彼らにも偏見なく、優しく接する鳴海は、彼らから打ち明け話を聞かされたり、相談事を聞くようになる。

そんな彼が自分の思いに正直に生きていく様子がたんたんと描かれた話。


正直、色々な性的趣味趣向に関して、偏見なく見られるかどうかは自信ないが、頭から否定したりするのはやめたいとは思う。

日曜の昨日は雨だったが、今日は晴れて暖かな日に。予報では夕方から雨となっていたが、午後七時の今はまだ降りださない。

明日は雨になるらしいが、明後日からは晴れの日が続く見込み。


仕事帰り、市立図書館分館へ。

土日に読み終えた四冊を返却し、

新たに三冊借りた。

今日借りた本


里見蘭

「藍のエチュード」

中央公論新社、2014


佐々木譲

「遥かな夏に」

新潮社、202501


貴志祐介

「さかさ星」

角川書店、202410



高校時代に突っ張っていた二人が同窓会に出る。今はサラリーマンの赤城と青葉。赤鬼と青鬼と当時呼ばれていた二人。同窓会である女性に再会するのを期待していた二人だが、あいにく彼女は来なかった。今はどうしてるかと気になり、ダメもとで、ネット検索をしてみると、一件だけ、ヒットした写真。背景からすると最近の写真なのに、彼女は二十年前と変わらない容姿。不思議に思いながらも、連絡をしてみると。

しばらくして返事が来て、会うことになる。あってみれば確かに彼女なのに、こちらは四十のおっさんなのに、彼女は昔のまま。

そして話してくれた不思議な一族の話。千年前にイースター島で生まれた不死の一族。聖地の土壌で実ったある果実の実を食べた子供たちが不死の体を得た。病にかからず、特殊な身体能力をもつ。そんな彼らはランバと呼ばれた。その数が百人を越えた頃には、周囲から恐れられ、迫害されるようになり、彼らは島を逃れて世界各地に逃避した。ユダヤ人と同じように世界に散ったランバたちは、名を変え、住まいを変えて、生き続けた。仲間同士で連絡を取り、助け合う組織ができ、その上層部は評議会と呼ばれ、秘密裏に組織を指導した。死なないでいることは、無限の思い出を持ち続けることで、必ずしもよいことではない。だから彼らは、あの果実を研究して、普通の人間になる道を探そうとしていた。しかし、二十世紀になり、組織のなかに新しい考え方をするものができた。鳥人と呼ばれた彼らは、自分達の秘密を公表し、世界を導く存在になろうとした。

現地では絶滅した果実たが、島を出るときにひそかにわずかな果実を持ち出したランガたちがいた。

両陣営をは、そのわずかな果実を手に入れようと、互いに暗躍していた。彼女もその渦中にあり、赤鬼と青鬼は、彼女を助けるために、その騒動に巻き込まれていくことになる。

はたして、どうなるのか?


なかなか面白かった。主人公の二人が魅力的だ。