それも全国的に夏日のところが多いとか。夏になるのが不安になるね。


仕事帰り、市立図書館分館へ。

四冊返却し、新たにまた四冊借りる。

今日借りた本


古内一絵

「東京ハイダウェイ」

集英社、202405


今野敏

「リミックス  神奈川県警少年捜査課」

小学館、202409


翔田寛

「二人の誘拐者」

小学館、202409


竹吉優輔

「レミングスの夏」

講談社、2014



警視庁捜査一課と公安一課の二人の刑事高峰と海老沢。戦後の昭和時代の警察を担当の違う二人の刑事の目からみた、このシリーズもこれが最後。

オウム真理教と東日本大震災という未曾有の大事件が終わった後に、都内で連続殺人事件が起きる。二十数年前に左翼グループが起こした飛翔弾を飛ばし、死傷者が出た事件。その折に容疑者となったグループの一員たちだった。その際には、飛翔弾を作った八田が捕まり、仲間を明かさなかったために、彼だけが罪をかぶり服役した。証拠不十分で仲間たちは逮捕されず、その後グループを抜け、今は普通人となっていた。

事件直後はともかく、今ではなんの監視もされていなかった彼らを誰が殺したのか?

捜査を巡り、公安ともめるものの、今や担当事件が減り、落ち目の公安。主導権は捜査一課で捜査がすすむが、遅々として進まない。連続殺人というには、殺しの手口がみな違う。ために各事件は別々に本部ができる。

そんななか、服役した八田が、ある事件の現場近くにいたことがわかり、彼を監視するようになるも、怪しい点が見つからず、捜査は難航。

胃ガン手術を控える捜査一課の理事官の高峰。定年を迎える公安出身の目黒中央署長。妻との仲はよくなく、離婚の危機を迎えそう。

そんな二人が、互いの担当のためにと、事件捜査に踏ん張る。

八田の監視が緩んだとたんに、新たな事実がわかる。死病を宣告されて、なにか思うところがあった様子の八田が姿を消す。まだなにかをたくらんでいるのか?

堕落した政治家を襲うテロを仕掛ける八田。それを阻止しようとする二人の刑事。

なんとか八田を確保、黙秘を続ける彼をしゃべらせたのは、同じように死病を抱えた高峰だった。

定年後の不安を抱えていた海老沢は、公安の新たな道、改革の手助けをすることしようと決意する。鷹のあらたな飛翔のために。

久しぶりの荻原さんの新作はホラーサスペンス。

ベンチャー企業に勤めるママさん研究者野乃。夫は海外で研究中。一人息子は幼稚園児だが、言葉がなかなか話せなくて、心配やら不安。彼女の勤務先は、植物との会話を研究している。植物にも知性があり、彼らなりの手段で、昆虫や鳥、あるいは同じ植物同士で、コミュニケーションをしている。主任研究員三井の助手をしている村岡野乃。とはいえ、実際に行っているのは、山林にできた研究施設内で、野菜を育てること。

戸外で育つ植物には植食者がつきもの。昆虫や草食動物、鳥など。動けなくて抵抗できない植物は、彼らを食べる無視が嫌がる毒性物質を出したりして抵抗する。さらにはSOS信号を出して助けを呼ぶ。揮発性物質を匂いとして出して、助けを求める。その虫の天敵である昆虫を。施設で育てる植物は、収穫ではなく研究が目的。だから、殺虫剤や農薬は使わない。だから、それらは虫に食われ放題の状態で惨めな状態である。

そんな研究施設の回りで異変な起きるようになる。植生の変化、山奥にすむ動物が施設付近まで降りてきて、食い物を漁る。その数が異常に増えてくる。施設の場所を提供した地主の老人も異常な行動が目立ってくる。

研究員の一人は、AIをつかって、植物な発する会話をなんとか人語にしようとする。そして、明らかになった植物の発言、地球に緑を、我らが緑の大地。さらには、機は熟した、根絶やせ。

こうして植物の反乱が始まる。

植物に操られた地主の老人は、意識を奪われ、研究所所長の教授をナイフで刺し殺し、野乃たちは、大量のサルに襲われることになる。野乃たちを阻む森林の植物たち。

はたして、野乃たちは、無事に生き延びられるのか?

ホラーストーリーはフィクションだが、植物に知性があるとか、会話をするという研究は実際にあるらしい。興味深いと共に、少し怖いかも。