静岡県北部にある廃村の家から、白骨死体が見つかる。鑑定の結果、十年前の誘拐事件の被害者だと判明する。
静岡県警の静岡中央警察署の日下警部補と水谷巡査、二人の刑事は、十年前の未解決の誘拐事件から捜査を始める。当時捜査した刑事たちや関係者から再度聞き込みを始める。
犯人らしき容疑者も物的証拠もないために迷宮入りした事件だが、改めて聞き込んでみると、死体が見つかった廃村付近で、不審な人物の目撃情報がいくつか出てくる。
ずさんな誘拐と緻密に考えられた身代金受け取りの方法。単独犯ではなく、複数の共犯ではないか?
人質が放置され、亡くなったのは、犯人の誰かが、不慮の出来事で死んだのではないか?
その目で当時の他の事案を調べていくと、若者の車が衝突事故をおこし、死んでいた。その若者の周辺を探っていくと…。
誘拐された少女は、腎臓移植を待つ患者だった。その辺りの事情を調べていくと、彼女の事件により、繰り上げでドナーを得たものがいたことがわかる。少女の移植を担当していた女性とのわずかな関わりがあるのもわかる。
私立の学園理事長が跡継ぎである甥にドナーを優先的に与えるために仕組んだ誘拐事件。事件の構図は見えてきたものの、証拠が全くない膠着状態。
そんなおりに起こったあらたな誘拐事件。殺された少女の父親が、理事長の孫娘を誘拐し、自白を強要しようとして起きた事件だった。理事長の罪を暴くあらたな証拠が見つかったことで、彼ら双方が逮捕され、誘拐された孫娘は無事に見つかり、解決する。
十年前の事件も解決したものの、悲しい結末だ。