著者のデビュー作「木曜日にはココアを」の続編。

東京のとある川沿いの桜並木のそばにある喫茶店マーブル・カフェ。

今回も始まりはそこ。マスターが定休日の月曜に、知り合いの京都の茶屋問屋の若旦那に抹茶を供する抹茶カフェを開いた。客は若夫婦と若い女性。携帯ショップ店員の美保は一月半ばに遅い初詣をする。朝からついてないことばかりで腐る彼女は偶然見つけた抹茶カフェにて、若い女性が苦手で愛想がない若旦那に出会う。縁の始まり。

人は偶然の出会いで、緩い関係を結んでいく。そして喧嘩をすることもあるが、知らず知らず相手を動かしていく。時には背中を押してあげたりもする。

そんな関係が東京の抹茶カフェから始まり、京都にまで広がり、ラストではまた東京に戻る。一年間の出来事。

美保の次に登場するのは同じ喫茶店にいた若夫婦。ランジェリーショップのデザイナー兼店主。結婚間近だった恋人に別れを告げたシンガー。祖母に育てられながら折り合いが悪かった紙芝居好きな女性。京都の老舗和菓子やのもと女将と店の名物和菓子と同じ名前を持つ青年の客。彼らの間を行き来する野良猫まで登場する。

好き同士でもボタンの掛け違い、ちょっとしたことで誤解したり、逆に見直したり、人生は色々、人付き合いもいろいろ。心が癒されるハートウォーミングな物語。

小路さんの新しい家族小説。

血はつながらないものの血縁関係にある人々からなる家族を描いた物語。

七十を越えた伽羅は、文筆家、詩人、画家として、今も現役のアーティスト。

彼女が暮らす洋館には何人かの居候がいる。五十代のジャズシンガーで、スナックのママ祐子。裏の家に生まれた彼女は幼い頃から洋館に入り浸り、今は家族もなく、居候に。

三十代になって、ようやく日の目か出たアーティストのタロウ。近所のもと鉄工所を書いとり、アトリエ、展示場にしている。

二十五才の会社員柊也。

彼と今は恋仲のまひろは三年前に、養母の結婚を期に、夫の実母である伽羅のところに来て、今は伽羅のマネージャーをしている。

柊也は北海道旭川に、シングルマザーの母親がいる。まひろの養母と伽羅の息子の夫婦は札幌にすんでいる。

特別変わった事件が起こる訳ではないものの、伽羅の乳ガン再発を期に、新たな展開が生まれてくる。

そんな人々を描いた話なんだが、いまいち盛り上がりにかけるというか、なんとか最後まで読んだものの、東京バンドワゴンシリーズに比べて、つまらない気もする。家族がテーマの話だからかな。

伽羅の章、というサブタイトルがあるということは、続編があるのかな?

語り手は著者と同じく、東北仙台にある国立大学医学部法医学教室で、解剖技官を勤める梨木楓。彼女は上司である今宮准教授と共に、日夜警察から運び込まれる身元や死因が不明の死体を解剖している。遺体の外傷を観察し、メスで体を開いて、内蔵をすべて取り出し、病理検査や細胞を検分し、死因などを究明する。

第一の遺体は温泉旅館の部屋で見つかった編集者。見たところ、どこにも異常がなく、死因不明だったが、二つの異常を見つけたことで、今宮は感電死と見破る。

第二の死体は、顎を破壊され、手足を切り取られて見つかる。指紋も足紋も歯科治療あともわからず、身元がわからない。しかし、たまたま行方不明者の部屋から採取したものと、DNAが一致し、身元がわかる。しかも一卵性双生児がいて、兄か弟か判別しにくい。

第三の遺体は限界集落の小さな池で見つかった老人。自宅を調べてみると、意外なことがわかる。

最後は交通事故でひき逃げされた女子高生。雨のために満足できる証拠は見つからないが、かろうじて加害者は白い車だとわかり、監視カメラから容疑の車が五台見つかる。それらの車の特徴と被害者の損傷の具合から。今宮は安楽椅子探偵もどきに、犯人を推定する。

解剖場面が生々しくて、少し引きそうになり、いまいち楽しめなかった。

まあ、でもまずまずかな。