セブン-イレブンの正体 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

◆ cinemazoo-大正のラガー
コンビニで買った缶ビール。
いつでも開いてるから安心のコンビニですが…。


『セブン-イレブンの正体』は非読書家の私が、
昨年読んだ貴重な2冊のうちの1冊です。
著者は『週刊金曜日』取材班と、
友人のルポライター古川 琢也さん。
私の身近にこんなにも雄々しい人物がいるなんて!
かなり自慢してしまいます。
巻尾の『体当たり手記』を読んだときは
「男だね~」と拍手っ。
多くの人に読んでほしいな、この本。
ちなみにもう1冊読破した本はベルク本でした~。

奈良の新居から、
歩いてすぐのところにもコンビニはあります。
ライバル関係の大手全国チェーンが1店ずつあって、
引っ越した当日なんかは、
東西南北も分からない者にとっちゃ、
やっぱりコンビニの明かりが心強かった。
あそこなら「あれ」がある、と想像がつくから。
でも土地のことが少し分かってくると、
ちと哀しく、ちと物足りない。
東京とほとんど変わらない品揃えなんやもん。
もうちょぼっと、この土地ならではの
目玉商品とかオリジナルがあってもいいのに。
奈良だったら、線香や数珠があってもいいだろうし、
製造日本一という「奈良の靴下」もあっていい。
よそのコンビニと違うのは『奈良新聞』が売ってるぐらいか。

2店のコンビニはどちらも24時間営業だけど、
これも無駄に思えてならない。
うちの辺りは早寝早起きの住人ばかりなのに、
夜の3時なんて、誰が行くんだろう?
カラーコピーを取りにいく私ぐらいだ、深夜族なんて。

深夜のコンビニへ行くと、
店員さんがひとり、私ひとりのことが多く、
広い店内を明々と灯す電気がもったいなく思える。
眠らない街・歌舞伎町だったら分かるけど。
しかも、夜中に不必要なほど弁当が揃ってるのも気色悪い。
おにぎりも、サンドイッチも、おでんも。
あれって、期限が来たら捨てられるのかな…?

私、知ってる。
東京の有名デパートに潜入したことがあるから。
パンもお弁当もお菓子も野菜も、
まだ食べられるものがポリ袋に投げ入れられ、
トラックで次々に捨てられる。
ポリ袋の山で、いったい何人の命が救えるんだろう?
社会の実情を目の当たりにしたとき、
涙がポロポロあふれてきた。
食べ物だけじゃない、洋服だって靴だって、鞄だって、
シーズンが終われば同じ運命が待ってる。
なのに、表向き企業は「エコロジー」を掲げてるから、
よけいに空しい。でも一方で、
真面目に再利用を考え、もったいないことはやめよう、
そんな企業だってちゃんとある。だから、
やればできるはずなのに、なぜやらないんだろう。
見栄えだけじゃ物は売れない、
時代の歯車は回りはじめているのに。

どこへ行っても同じ商品、
いつ行っても食べ物がきちんと整列している風景が、
ずっと前から私は恐ろしかった。
感性を規制されてるようで
「自由」を感じないし、どこかに無理があるんじゃないか?
例えば、この本を読んじゃいけないとか、
あの音楽は聴いちゃいけないとか、
そんなふうに感性を締め付けられるのは、
窓のない暗闇に閉じ込められてるのと同じ。

チェーン店が悪いというんじゃなくて、
もう少し、各店舗の声を反映してもいい。
そんな中、京都に本社をかまえる「餃子の王将」はおもしろい。
看板商品の餃子は本社が手配するようだけど、
それ以外のメニューは各店舗自由。
店によって味が違うので、当たり外れもあるけど、
餃子はほぼ同じ味だから、客には一応「保険」がある。
店も『餃子の王将』の看板をあげられるのは「保険」だし、
あとは自分たちの努力でやるしかない。
すごく自然な形だと思う。
京都の店舗ではお金のない学生のための学割や、
皿洗いをすれば割引するユニークなサービスもある。

『セブン-イレブンの正体』では、
これまでメディアがふれなかった大手チェーン店の真の姿が
確実な取材を通して、
ひとつひとつ つまびらかにされていく。
特に「ピンハネ疑惑」。
三文推理小説よりスリルがある、と言ったら問題あり?
分かりやすい言葉で綴られているので、
私にも理解できました。でも右脳人間の私は
「ロスチャージ」の計算では目が泳いでましたが…。
ようは「お客に喜んでいただきたい」、
これが商いの姿勢じゃないかな。
利益追求のみ、企業の権力誇示のため、
これだと、いつか人の心は離れるし、信頼関係は壊れる。

『セブン-イレブンの正体』の著者のひとりの古川さんは、
私がずっと関心をもっている一連の「ベルク問題」も
ずっと取材なさっていて、
『週刊金曜日』に掲載されたそれらの記事が、
本書を読んでいる時、常に重なった。
セブン-イレブンとベルクに圧力をかける企業は、
問題視すべき根底がかなり似てる。さらに、
昨日のブログで紹介した映画『フツーの仕事がしたい』とも似てる。

権力による見えない暴力が、
あちこちで横行している実情を知る、
風穴はここじゃないだろうか。

東京時代に通ったセブン-イレブンの店長は、
よく肉まんをおまけにくれたけど、
もしかして苦労してたのかな…。


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