満点じゃないから好きな本 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

ベルクのお皿
ベルクのお皿のロゴマーク。
かすれてるところに年月が感じられて好き。


0点なんかじゃ許さない~
100点取る人大嫌い~
知っているのにわざと間違える65点の人が好き~♪
という歌が昔 流行りましたが、
私が今年、唯一読了した本も やっぱり満点ではありませぬ。

その本は とっても長いタイトル。
『新宿駅最後の小さなお店ベルク』。
略したくっても、うまく略せないため
通称「ベルク本」と呼ばれる1冊の感想を
おくればせながら私も残してみよっと。

いちお、ビジネス本にジャンル分けされているベルク本ですが、
この1冊は個人店開業のノウハウを伝授するものでも、
繁盛の法則を検証するものでも
渡世術を語ったウンチクでも、
自分探しのバイブルでも、ない。
ベルクという得体の知れない小さなお店を
いちお、便宜上「ビジネス本」という角度でまとめた
ベルクスタッフが語った「ベルク本」の第1弾。
あ、第2弾の予定は未定だと察しますが、
たったの1冊ではベルクの魅力は語れません。
ぜひ、2弾、3弾をお願いしたいところ。

書店発売時に書いた紹介文にもあるように、
守りたいもの、続けたいことがある人間は必読です。
または持っているエネルギーを
「何かにかけたい」とお考えの方はぜひ!
読んで、ベルクに関わる人々のエネルギーを感じ、
自分も動かなくっちゃ、と衝動にかられたら、
さぁ動け! なのです。
いわずもがな、本の通りに動いたって駄目ですよん。

私がこの本にジャンル分けするなら、
「足語りモノ」です!そんなジャンルはないですよね。
でもね、私の中にはあるんです。
ただ歩いて、歩いて、歩いて。
本能のまま歩いて。
その結果、「肌で感じたまま」に、また歩く。
歩いてみたらこうなった。
「足の能力を露にする物語」。
これを私は「足語り」と呼んでいて。

私が住まいを離れ、旅に出るときもガイドは重要で無く、
ただ「気ままに歩く」のが好きで、
誰かが歩いた道筋を「まんま歩くのはつまらない」と思う。
異国を旅すると日本を再発見出来たり、
日本では常識とされることが非常識になったりして、
価値観の逆転を体験できたりするから面白い。
けど、異国旅行は再発見の荒療治。
日本にいたって、それは可能なんよね。
たとえば・・・という例え話が小さなお店「ベルク」。


私は常々思うのです。
世界を胯にかけて旅行する冒険家と
小さな、極限られた場を丁寧に手入れしながら暮らす人間は
同じ世界、いいえ同じ宇宙を共有する、と。

私が「ベルク本」を、ジャンル「足語り」だと思うのは、
ベルクの経営に関わった著者と相方さんが、
「これをやりたい!」という大志を抱きつつ、
一方では目の前の「難関」や「課題」を確実に
一歩ずつクリアしていったら、
ベルクというお店が今の状態になった、
というガイド無しのところ。
偶然の産物がベルクなんでしょうね。で、
それは必然でもあったわけで。

ベルクに次々と押し寄せる危機。
それらを超えることが力になった。
マイナスをプラスに変える真のパワーは、
活字にはならない、まず動く、歩く、ではないかな。

このことを著者はわきまえていらっしゃる?
だからこそ、
「ベルク本」の末文に書かれている「若い人への4ヶ条」に沿って
本書をまとめれば「完璧なビジネス本」になるところを避けた、
と私は憶測するのです。
4ヶ条に沿ってかけば、かなりのインパクトだし、
ビジネス本として、かなりのブームをもたらしたかもしれない。
でも、しなかった、
ベルクはブームでもトレンドでもないからね。
避けたからこそ、ベルクという台風の目に居る人物の
「等身大」が浮き彫りになった。
「ベルク本」第1弾はベルクの魅力を残したというより、
台風の目の「足語りモノ」だと思うのです。
ベルクの魅力については、
75%に留まるんじゃないかなぁ。あえて辛口です。

ただね、
ベルク本でベストセラーを狙うなどの野望があったなら、
ベルクへ行ったことのない層にも
伝わりやすいよう細工は必要だったかも。
「4ヶ条」に沿い、本書を
行儀良くまとめる必要があったかもしれないし、
強く思うのは、なぜ? 何故に、
ベルクの神髄である「奇跡のメニュー」の写真を
ドンっと載せなかったかな?
味覚は活字ではなかなか伝えられないものです。でも、
ベルク副店長であり著者の相方で写真家の迫川氏なら、
活字では伝えられない「ベルク・メニュー」を
言葉・活字の外に位置する写真に残せただろうに…!
つまり、ベルク本の第1弾の本書については
ベルクの台風の目に位置する店長&副店長の素顔、
あくまでもベルク本のプロローグだと思う。

ベルクへちょくちょく行っている私自身は
「新宿の奇跡」にところどころ感動しました。
が、大衆的なアピールにはならなかった、と思う。
ベルク本第1弾は「ベルクを知る人・上級編」であり、
「活字マニア」「本の虫」「目標ある人」のいずれかに一致すれば
リズム感ある本書がしっくりくると思うのです。
あ、貶しているんじゃないです、
私は大好きなんです、ベルク本第1弾が。


そんなわけで、私はベルクを溺愛しているゆえ、
文章が長くなりそう~なので (すでに長いけど)、
以下に私の想った事柄を短くあげてみます。

*継続は力なり。されど最大の難関。
 私自身の考えも同じ。
 一発大発明をするよりも持続する力を重んじる。
 が、ただダラダラと持続するんじゃ駄目。
 要は心をしなやかにすること、かな?

*新宿に「有りもの」を持ってくるんじゃなく、
 自分らの「理想」を無理矢理当てはめるのでもなく、
 新宿の地力に乗った経営姿勢に共感。
 ベルクのある「土地」は磁力がかなり強い!
 磁力に負けない強さが乗っかる人には必要なんだね。

*お金は道具であり「目標」ではない。私もハイ。

*ベルクは「お客さまのもの」というスタッフの考えは
 すんばらしいエンターテイメント!

*著者は一見すると常に謙虚に見えるが、
 相当に負けん気の強い持ち主、かな?
 …それは私がそうだから感じるの?

*出来ないスタッフほど実は骨がある。うんうん。

*ベルクってイスタンブールみたい。
 イスタンブールは私が異国で一番影響された街。
 西洋と東洋の交差点、イスラム。ごった煮のエネルギー。

*辛口にベルクの魅力は75%の紹介に留まるとしたけど、
 あとの25%にベルクと名付けられた土地の
 底知れない力を感じる。

*本書を20代前半の女性に貸したところ、
 「ジョン・レノンって誰?」という質問が…。

*井野店長と迫川副店長のリレーで綴られているが、
 どこからどこまでをどちらが書いているのか?
 きちんと分かるようにすべきだったと私は思う。

*本書を読了後、「もし私がベルクを形にするのなら…?」と
 あれこれとアイデアを巡らせることが出来て面白かった。

*本書に関わられた全員に感謝!
 ベルク本、おもしろかったです。ありがとー。


やぎ座 5*

●Amazon 『新宿駅最後の小さなお店ベルク』
●「ベルク」サイト
●私の記事「ベルク本『新宿駅最後の小さなお店ベルク』発売」



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