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本日の新聞でも報道されているように、昨日、最高裁は、大阪府南部・泉南地域
のアスベスト加工工場の元労働者らが提起した集団訴訟の上告審判決で、石綿
による健康被害について国の責任を初めて認めました。
【事案の概要】
被上告人らは、大阪府泉南地域に存在した石綿(アスベスト)製品の製造、加工
等を行う工場又は作業場(以下「石綿工場」と総称する。)において、石綿製品の
製造作業等又は運搬作業に従事したことにより、石綿肺、肺がん、中皮腫等の
石綿関連疾患にり患したと主張する者又はその承継人である。
本件は、被上告人らが、上告人に対し、上告人が石綿関連疾患の発生又はその
増悪を防止するために労働基準法に基づく規制権限を行使しなかったことが
違法であるなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求める
事案である。
この国家賠償請求訴訟の中で主張されているのが、皆さんにも馴染みのある、規
制権限不行使パターンです。
最高裁は、規制権限不行使が、国家賠償法1条1項の適用上違法となる場合の判
断基準を、次のように述べています。
『国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使は、その権限を定めた法令
の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、具体的事情の下において、その不
行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、その不
行使により被害を受けた者との関係において、国家賠償法1条1項の適用上違法
となるものと解するのが相当である。』
最高裁判例の全文は
↓こちらから
この最新判例が、今年の本試験で出題されることはありませんが、規制権限不行
使パターンは、本試験でも頻出している超重要テーマですので、もう一度、きちん
と知識を確認しておいてください。
1 平成16年の行政事件訴訟法改正後、従来、法令に基づく申請についてのみ
認められていた不作為違法確認訴訟が、規制権限の不行使についても認められ
ることになった。(平成18年度) → ×
2 Xの家の隣地にある建築物が建築基準法に違反した危険なものであるにもか
かわらず、建築基準法上の規制権限の発動がなされない場合、Xは、当該規制
権限の不行使につき、不作為違法確認訴訟を提起することができる。(平成19年
度) → ×
3 平成16年の行政事件訴訟法の改正によって義務付け訴訟が法定されたのと
同時に、不作為の違法確認訴訟の対象も、申請を前提としない規制権限の不行
使にまで拡大された。(平成20年度) → ×
4 国または公共団体の公務員による規制権限の不行使は、その権限を定めた
法令の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、具体的事情の下において、
その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、
その不行使により被害を受けた者との関係において国家賠償法1条1項の適用
上違法となる。(平成21年度) → ○
5 国・公共団体の機関は、規制権限の行使・不行使に関する判断をする裁量的
な権限を一般的に有しているが、国民の生命・身体に直接の危害が発生するお
それがある場合には、規制権限の不行使が国家賠償法上責任あるものとして認
められる場合がある。(平成17年度) → ○
肢1~3までが、行政事件訴訟法(直接型義務付け訴訟)、肢4・5が、国家賠償
法からの出題です。 平成21年度は、大問での出題です。
受講生の皆さんは、規制権限不行使というキーワードを見たら、三面関係パター
ンが、アタマの中から検索できるようにしておいてください!
行政法は、問題文が短いものが多いので、キーワード反応できるように、キーワ
ードを中心に、知識の集約化→定着化を図っていくことが大切です。
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