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1 フォロー講義
第33・34回目は、損害賠償、債権者代位権、詐害行為取消権を中心に講義を
進めていきました。
今回は、記述式問題15・14について、フォロー講義を行っていきます。
まず、問題15ですが、判例は、詐称代理人への弁済についても、準占有者へ
の弁済と捉えて、478条で保護しています。
表見代理説だと、本人の帰責事由が必要となりますが、預金通帳を盗まれた
場合、本人には帰責事由がなく、銀行が保護されなくなってしまうからです。
学説は、次のような理由で、この判例の見解を支持しています。
① これから取引をする場合、相手方は、代理権の存否について疑念があれ
ば、取引をしない自由があるが、債務者の弁済の場合、弁済の義務があり、
遅滞すると債務不履行になってしまうので、債務者をより保護する必要がある。
② 盗人が、本人と名乗るか代理人と称するかは、偶然の事情であり、いずれ
であるかが必ずしも明確でない場合がある。
次は、問題14ですが、この問題が本試験で出題されたらほとんどの方が何の
テーマなのかピンとこない類の問題だと思います。
民法の中には、外観を信じた者を保護する制度(権利外観理論)がいくつかあ
ります。この権利外観理論は、原則として、本人の帰責事由が必要となってき
ます。
しかし、192条・478条・468条(公信力)などは、本人の帰責事由は必要とされて
いませんので、この点を含めて権利外観理論については、しっかりと復習して
みてください。
今の時期は、細かい知識をただ暗記するよりは、民法の大きな制度、原理、原
則から、じっくりと理解していくことが大切だと思います。
2 復習のポイント
① 損害賠償
まずは、カード107で、損害賠償の要件と効果をしっかりと記憶してみてくださ
い。特に履行不能の場合には、危険負担と区別するために、要件③が重要で
す。
民法の問題を考える際(特に事例問題の場合)、この要件を事例にあてはめる
問題が数多く出題されています。
例えば、「この肢は、要件のこの部分を充たさないので効果は発生しない」とい
ように、常に要件を意識した問題が出題されます。
したがって、受験生の側から言えば、日頃の学習をする上でも、常に要件と効
果を意識した学習が必要になってくると思います。
この要件と効果は、ほとんどが条文に書かれていますので、記述式は言うに
及ばす択一式についても、条文を常に引くという習慣を身につけていってくださ
い。
次に、問題61とカード103で、債務不履行責任と不法行為責任を比較の観点か
ら整理しておいてください。
② 債権者代位権
まずは、パワーポイント179、基本民法p162で、債権者代位権の本来型の趣旨
(強制執行の前段階として責任財産を保全するための制度)を理解してみてく
ださい。
次に、パワーポイント180、カード110で、本来型が変容する場合と転用型とを区
別して、それぞれの類型のポイントを整理してみてください。
特に、転用型の登記請求権の事例は、中間省略登記の問題も絡んできます
ので、もう一度、パワーポイント181で、両者の関連させて整理してみてくださ
い。
債権者代位権については、平成17年に直球で出題されていますので、今年の
出題可能性は低いと思いますが、詐害行為取消権との比較の観点は重要に
なってきます。
③ 詐害行為取消権
まずは、パワーポイント183、基本民法p174で、詐害行為取消権の制度の趣旨
を、債権者代位権との比較の観点から理解してみてください。
次に、カード111で、債権者側の要件、債務者側の要件に分けて、各要件で問
題となる点について確認してみてください。
債権者側の要件では被保全債権が金銭債権であることが必要なってきます。
この点、問題となったのが、パワーポイント184、カード112です。
この二重譲渡事例は、行政書士試験の平成12年にも出題された論点ですが、
二重譲渡で負けた方がリベンジを果たし得る手段という点から、もう一度、整理
しておいください。
合格コーチとしては、記述式のテーマとして、かなり前から、物上代位と詐害行
為取消権を予想していました。
平成18年には、物上代位の方が出題されてしまいましたので、次は、詐害行為
取消権ではないかと密かに思っています。
詐害行為取消権については、物上代位と同様に、平成に入ってから数多くの判
例も出されていますし、結構面白い問題が作れるのではないか思います。
次回は、債務者側の要件について検討していきます。記述式は、問題10、11に
ついて検討していきますので、事前に解いておいてください。