三上脩には大切にしていた写真があった。


“大好きなお姉ちゃんとずっと一緒にいれますように…”


そう願いを込めた加奈江と幼い三上脩の写真だった。

二人は寄り添い
笑顔でカメラに顔を向け
幸せを感じていた。

父と脩と姉と…

幸せなのは今。


大好きなお姉ちゃんがいてくれたから…
“池田麻衣”

一樹守が中学時代に親しかった少女の名。

手帳から明らかになった

彼女の心の叫び。

信用されたと思っていた。

だから心を許した。

“特別”な目で見ない

彼だけに。

でも結局は周りと一緒だった。

彼も…一樹守も“特別”な目で見てくる。

池田麻衣の胸の“アザ”が“特別”。

周りとは違う

たった1つのモノ。

それは少女を狂わせる。

多分…永遠に…。



その後、彼女は一樹守に遺書を残し

自殺を図った。

結局は未遂で終わったが…。

一樹守には何の悪気も無かった。

だけど些細な行為が

彼女を追い詰めた。

何がいけなかったのか…
何をしてあげれば良かったのか…


それがトラウマとなり

以降、一樹守は女性には優しくなった。
阿部倉司は何かを拾った。

小さなボトル。

中には小さな紙。


“助けて!”


紙には少女の叫びが書き綴られていた。

本土で閉じ込められている少女のメッセージだった。

名前も書かれていたが

阿部倉司には解らない。


聞き覚えもない名…

“岸田百合”

そして最後に書かれていた一文…

“あの女は…”


その後は破られていて

読むことはできなかった。