ちょっと遅まきながら、EQA(H243)に試乗してきました。
EQCがN293だったので、EQシリーズはNから始まるのかと思いきや、ベース車のGLA(H247)に連なるH系列、しかもGLAよりも数字が若いと言うことは、基本設計はGLAより早い?そうなると実はEQAの方がオリジナルでGLAがその派生車??などと、型式だけで想像が色々湧いてきます。
試乗車
グレード・価格
・EQA250
・本体640万円
ボディーカラー
・ポーラーホワイト(白・ソリッドペイント)
装備/オプション
・パノラミックスライディングルーフ
・AMGライン
・AMGレザーエクスクルーシブパッケージ
・ナビゲーションパッケージ
オプションを足してざっと700万円でしょうか。
これから補助金など諸々引くと500万円くらいだそうです。
実はベース車のGLAはGLA180でも495万円なので、もしGLAを検討しているのなら並べて考えてみても良いかもしれません。
今回もお馴染みさんならではの単独試乗です。担当者からキーを預かって1時間くらい試乗してきてしまいました。山坂道もバイパスも、さらに渋滞もしっかり経験。
以下、それぞれの項目に沿って全くの私見でお送りします。
車名
最近の車名、特にメルセデスの「数字」にはどうも違和感が多いので今回もコメントしてみます。
EQA250なので2.5Lクラスという表記になります。確かに出力は190PSと2.5Lのイメージ通りでとても普通。トルク370N・mはなかなか強力ではあるものの、GLAとの比較で言えばGLA200dが150PSと320N・mなので近いですね。250と言う数字、今回はなんとなく納得です。
しかし走らせてみると、、と走行編に続きます。
外観
ボディラインは基本現行GLAなので、あまりゴチャゴチャしたキャラクターが無い世代のデザイン。やはりシンプルなのは良いですね。
グリル
こちらのグリルがEQAならではの最大の識別ポイントかも。ヘッドライトと樹脂カバーでツライチにしたグリルは、正直高級感は無いもののちょっとだけ先進感を醸し出してます。
私の好きな、いわゆるエレガンスグリルは先進感とは相入れにくいので不採用は仕方ないかな。やり方でどうとでもなりそうですが。
ホイール
オプションのAMGラインはご覧の通り本数数えてられないので「マルチスポーク」という名称になってます。これはうーん、シンプルとは言えず、先進感とは違うベクトルですね。単体で見れば悪くは無いのですが。
一方、標準モデル(写真は公式からお借りしました)は空力性能を追求したとのこと、こちらの方が見た目の先進感は上だと思います。ついで言うとアンダーグリルの造形もこちらの方が好み。
内装
次は内装です。
私、この「ジェットエンジンをモチーフ」だかなんだかの吹き出し口はどうも馴染まないんですよね。これだけ浮いてる気もします。
例えばこのメーター(グラフィック)の実にオーソドックスな装いと、ジェットでGOGOな吹き出し口。合ってますかね?
助手席のこちら、夜になると透過照明で妖しく光るらしいです。これとジェットは合ってるかも?私には必要ありませんが。
シート
今回、実は気になってしまったのがシート。
たった1時間(笑)の試乗なのに、なんだか腰が落ち着かなかったんですよ。素材なのか構造なのかよくわかりませんが、ちょっと残念でした。これが15分の試乗だったら気にならなかったかもしれません。やはり本気で購入を考えるのなら、1時間くらい試乗させてもらいたいものですね。
スイッチ
前回Sクラスで絶賛したシートの位置調整スイッチと調整機構。EQAは"クラス相応"でした。ま、仕方ないですよね。ちゃんと動くし目的もだいたい果たすし。こうなるとあまり言うことも無いのでこれで。
走行
例によってここまでお待たせしました。
今回は単独走行なので、慣れた道で思う存分楽しめ、もとい試せます。バイパスではガンッと踏み込み、山坂道ではタイヤを軋ませ、渋滞ではひたすら待つ。交差点では前との間隔を見ながら右左折ともにアクセルONしながらの発進。こんな感じで走らせた結果、以下。
良いところ
普通に運転すると凄く普通。クリープ現象やエンブレなどがとても良く「再現」されていて、いきなり単独で運転していても不安感はゼロ。これは新興メーカーでは真似出来ない、老舗の味付けですね。
その上で、当たり前のようで当たり前で無い静粛性。いや、エンジン音が無いからその分静かなのは当たり前だろうって、そりゃあ数値上は当たり前なんですが、人間は厄介なもので静かなら静かなりに聴覚が鋭敏になってしまうんですよ。だから適当に電動車を作るとまず気になるのがインバーターの高周波音。そしてタイヤのロードノイズ。ミラーの風切り音。足回りのガタガタ音。などなど。
それがこのクラスにしてほとんど消し切っているのが凄い。乗って最初に気になったのがエアコンの送風音と言えば、そのレベルが伝わりますかね?その後風量を最小にしても、ほぼ気になる音はありませんでした。
そしてパワー感。数値的にはまあ今どきこんなものかなと言うレベルの190PS/370N・mなんですが、ゼロから最大トルク発生のモーター特性を上手く活かしているのか、発進から法定速度(くらい・汗)まではまさに最新AMGクラスの加速。EQAの車重は約2tとしっかり重量級ですが、それより500kg軽い自分のC36は間違いなく置いていかれます。。
気になった点
静粛性を誉めておいて何ですが、一番気になったのも音でした。それも作動音。何の作動音なのか、最初は分からなかったのですが(単独試乗なので聞く相手がいない)、メーターコンソールを見ていて気付きました。リアカメラです。
センサーがリアへの車などの接近などを感知すると、このスリーポインテッドスターが開いて中のカメラが画像を撮り始めるんですね。これ、駐車する時に顔を出すバックカメラだと思ってましたが、そんな機能も兼用していたとは。おかげでセンサーが感知するたび「ガガガ、ガコン」と派手な音が車内に鳴り響く訳です。数分に1回くらい、それが運転中ずっとなんです。最初に聞いた時は何かモノが当たったのかと心配になりましたよ。これ、私だけでなく複数の販売スタッフも全く同じ感想でしたから、一般的意見としても良いと思います。
その他必ずしもネガとは言い切れないですが違和感をいくつか。
・AMG並みの加速なのに速度計は上限200km/hまで。(まあ使わないですけど)
・タイヤが縒れるのか、アシストの介入が早いのか、理由は不明なれど山坂道でペースを上げるとなんだか走りにくい。
・同じような話で、バイパスでガンッと踏んだ時にトルクステアのような現象が出る。
例によって運転アシスト系の確認はほとんどしていないのですが、レーンキープアシストはやたらと警告が鳴っていたことを書き留めておきます。あと後席やシートアレンジは確認してません。
まとめ
乗り換えても違和感が殆ど無い上に、AMG並みの加速も手に入る電気自動車。それがメルセデスのエントリーカー程度の費用で手に入るのでお買い得感もアリ。ただ、シートその他にメルセデスらしからぬところも散見され、所詮セカンドカーやお買い物クルマの域を出ないのかも。(ヤナセにおける、かつてのVWの立ち位置)
基本構成がこれと同じで、出力とバッテリー容量を減らしたe-smartが今後実質250万円くらいで手に入るとするならば、それが自分の選択肢(セカンドカー)としては本命かも。