2024夏アニメ 7月29日視聴分 | アニメ視聴日記

アニメ視聴日記

日々視聴しているアニメについてあれこれ

2024年夏アニメのうち、7月28日深夜に録画して7月29日に視聴した作品は以下の4タイトルでした。

なお「杖と剣のウィストリア」の第4話は今週はお休みで来週放送となります。

 

 

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?

第3話を観ました。

今回はカイやリンネやジャンヌ達が悪魔族の本拠地に乗り込んで悪魔族の英雄ヴァネッサと対決するお話でした。立ち塞がる悪魔たちを仲間たちが食い止めてくれているうちにカイがたった1人で遂に最上階のヴァネッサのもとに辿り着くという展開は、ヒーローものの王道展開みたいでした。そしてカイとヴァネッサは対峙して、戦いの前に問答した際、カイが英雄シドの名を口にした時、ヴァネッサは一時的に混乱して「世界輪廻」という言葉を呟いた。だがすぐに気を取り直したヴァネッサとの戦闘が始まり、ヴァネッサの強大な攻撃に追い詰められつつもカイはシドの聖剣の力で何とか持ちこたえる。そこにリンネが追い付いてきて2人でヴァネッサと対峙することになるが、突然に次元の裂け目のようなところから化け物が現われてヴァネッサを襲う。その化け物は「墓所」でカイとリンネを襲ったあの化け物だった。この化け物は「ラスタライザ」と名乗り、どうやら「シド」という言葉を聞いてヴァネッサが混乱したことが世界の秩序に悪影響を及ぼすと判断してヴァネッサを世界から「切除」するために襲ってきたらしい。だが、これによってそれがどういう事態であるのかを理解したらしいヴァネッサは反撃に転じてラスタライザにダメージを与えたため、ラスタライザは撤退していった。ここでヴァネッサとラスタライザは「ヴァルフレイヤ」や「ゼロコード」など意味不明な単語を含む遣り取りを交わしていた。そうしてラスタライザを退けたヴァネッサは再びカイとリンネを倒そうとしてくるが、リンネの言うには、かつてリンネが戦ったヴァネッサはここまで強力ではなかったとのこと。こんな感じで今回は終わり次回に続くのですが、正直ヴァネッサがシドの名を聞いて混乱するまでの場面はありきたりでつまらなかった。しかしヴァネッサが混乱し、更にラスタライザが登場して以降は物語の展開が読めなくなり面白くなってきました。おかげで次回に期待を持つことが出来ましたので楽しみに待ちましょう。

 

 

しかのこのこのここしたんたん

第4話を観ました。

今回は新キャラの生徒会役員の3人が登場します。生徒会の会長は3年生の虎子なのだが、同じく3年の副会長の猫山田根子は会長選挙で虎子にボロ負けした腹いせに虎子の追い落としを図っており、虎子が部長を務めるシカ部の廃部を秘かに目論んでいる。その他、生徒会には書記の狸小路絹と、会計の燕谷千春という2人も居て、今回はこの2人の方がメインで描かれて、猫山田の方はおそらく次回あたりに主に描かれるのでしょう。

まず今回の冒頭は猫山田が虎子の弱みを見つけようとしていたり背が低くて踏み台を持ち歩いているという描写があった後、書記の狸小路がものすごいネガティブ思考の持ち主で、自分の失敗で虎子が学園を追われることになることを恐れて仕事もロクに出来ない様子が描かれる。更に燕谷は無表情で反応も薄くて何を考えているのか分からず、喋りかけても会話が続かない。ただ燕谷はシカ部のことが少し気になっている様子なので、虎子は燕谷がシカ部がいい加減な部活だということに気付いているのではないかとヒヤヒヤします。

そんなある日、シカ部に燕谷がいきなりやってきて、虎子は自分の本性がバレることを恐れる。それで何とか誤魔化そうとするのだが、このや餡子やめめがアホなことばかりして虎子は焦りまくる。だがのこに絡まれると何故か燕谷は嬉しそうになり、それを見て虎子は対抗心を燃やして燕谷を接待しまくるが惨敗する。そうして燕谷は帰っていったが、実は燕谷はのこの大ファンだったようです。

打って変わって翌日、虎子は狸小路と体育倉庫で作業をしていると誤って閉じ込められてしまう。それでネガティブ思考の狸小路はもう死ぬのだと思って遺書を書いたり地縛霊になるとか言い出す。そうしていると体育倉庫裏をのこが通りかかったので虎子は助けてもらおうと呼びかけるが、のこは「家族になろうよ、日野で」とかいう変な歌を唄って去っていく。

その間に狸小路が跳び箱の中に入ってしまい、扉が開いてのこが入ってきたので助けに来てくれたのかと思ったら跳び箱の中で栽培しているキノコの収穫に来たという。そうして跳び箱を開けたら、中で狸小路がキノコまみれになっていて、シカ部ではキノコご飯を食べたが、何故かそこに狸小路と燕谷も参加して一緒にキノコご飯を食べ、猫屋敷が生徒会室に誰も来ないことで怒っているという場面で今回は終わり次回に続きます。

 

 

菜なれ花なれ

第4話を観ました。

今回は杏那がメインのお話で、前回までのかなたや恵深や詩音や涼葉が中心だった話がひと段落して、今回から新展開という印象で、杏那と隠花が中心という感じですね。ただ、おそらく次回で決着がつくエピソードなのだとは思います。この作品は「チア」を題材にしていますが、かなたや恵深が目指している競技チアリーディングを描きながらも、あくまで作品全体のテーマは「応援としてのチア」みたいですから、その部分を描かなければならない。前回までの序盤のエピソードは割と競技チアが多く描かれていて、応援としてのチアはまだ方向性を模索しているという印象でした。おそらくクール終盤には再びかなたや恵深の競技チアリーディングの話が多めになってくると思うので、ここからのクール中盤は「応援としてのチア」を中心にしたエピソードが必要なのだと思います。そういう意味で今回のエピソードは、まさに「応援としてのチア」を描く話の導入だったのだと思います。ただ、今回の話はかなりしっかりと作りこまれていた話であり、単に「頑張っている人をチアで応援しよう」とかいう安っぽい感動エピソードとは異なる印象を受けました。そういうところを見ても、この作品はかなりこだわって作られているんだろうなという印象を受けましたね。作画も良いしキャラも可愛いのだから、別にありきたりな感動エピソードでまとめてもそれなりの評価を受ける作品になるはずなんですが、あえてそういうことはせず、良い意味でマニアックな作りになっている。

今回は「アナログレコード」というものが中心に据えられたエピソードであり人間ドラマであり、これはアナログレコードに関連した時代背景というものを理解していないと話の趣旨が伝わりにくい作りになっている。そこでパッと見で意味が分からず「つまらない」と言ってオシマイみたいな視聴者をこの作品はハナから相手にして作っていない印象です。説明ゼリフも少ないし、読解力の無い人を振るい落としにかかってる。そういう姿勢の是非は別に論じたいとは思わない。別にこの作品を「分かりにくい」「伝わりにくい」から「駄作」だと言いたい人がいるなら勝手にすればいいと思う。私は別に制作側の人間じゃないので庇う気も無い。どうでもいい。ただ、私はこの作品を「理解したい」と思えるぐらい面白いと思っているし、だから理解出来るように労力も払って、その結果ちゃんと楽しめてるから大満足している。ただ、そんなやり方を他人に推奨しようとは思わない。頭空っぽで楽しめる作品だけを楽しみたいというのも立派なアニメ鑑賞姿勢だと思うから尊重したい。

今回、まず冒頭は前回のエンディング映像として流された、詩音の新曲で5人がチアダンスを踊って最後にかなたがキックトリプルを決めた映像が配信されて、その再生数が100回を超えたと言って杏那と隠花が喜んでいる場面から始まります。ここまでのエピソードが割とかなたと恵深と詩音と涼葉側の視点で描かれてきたので杏那と隠花は脇役的な扱いでしたが、もともと動画配信を始めていたのはこの2人の方です。

ただ、ここまでのエピソードで断片的に描かれたこの2人の描写を見た感じ、動画配信者としての実績はほぼ無かったと言っていいでしょう。杏那はかなた達を誘った時に自分たちのやっているのは音楽配信だと言っていたが、その割に著作権のことにも無頓着であったり、配信内容についても思い付き次第でコロコロ変わったり、どうも最近になって配信をやろうと思い立って未だ迷走中という段階のように見えます。つまり動画配信では初心者だといえます。今回の冒頭の場面でも、前回のエンディング映像の配信には「チアはじめました」とテロップしてあり、これがチア配信の1発目だったことが分かるが、それで再生数が100で喜んでいるぐらいですから、配信者としての実績などゼロに等しいのだと思われます。

ただ、その一方で杏那は音楽的な素養は確かなようで、サンプリングやアレンジなどは非常に巧みでしたし、詩音の作った曲を聞いただけで何時頃の流行に合わせて作った曲なのか言い当てたり、ボーカル曲であるかどうかも言い当てたりしている。ただ、その一方で詩音のように作曲が出来るというわけではないようです。つまり「聞き手」として優秀なのであり耳が肥えている。それはセンスもあるのでしょうけど、非常に多くの楽曲を聞いているのだといえます。そしてアレンジャーとしても優秀であるのだが、これも豊富に幅広いジャンルの音楽を聴いているからこそセンスが磨けているのだといえます。楽器をやっている人間なら作曲したくなるものですが、杏那の場合はそういう志向は全く無いのでバンドマンや演奏家ではないと思われます。ただ実際にサンプリングやミックスも出来ているので機材の扱いには長けているようです。

杏那は音楽配信チャンネルをやろうと思い立ったは良いものの、結局は音楽配信は出来ておらず、隠花と一緒に普通の動画配信者のように「ラーメンを食べてみた」とかの身体を張った面白動画みたいなものをやっていて、かなり迷走していたようです。そもそもオリジナル曲も無いし楽器が出来るわけでもないし歌いたいわけでもないし著作権のこともよく知らないのに、どうして音楽配信チャンネルをやりたいと思ったのかが不可解なぐらいです。それで、音楽配信チャンネルとは名ばかりで実態は音楽配信チャンネルではない状態で迷走していたところに、今度は町で噂のパルクール少女に動画に出てもらおうと思いついて涼葉を追いかけまわしたりしていた。本気で音楽配信をやりたかったのかどうかも今となっては怪しいと思えてくる。

そして、涼葉を追いかけている時に知り合ったかなたと詩音との奇妙な縁で恵深の家のお寺に集まった時に、隠花とかなたにチアという共通項があることが分かって話が盛り上がったのがきっかけでチア動画をやることになり、詩音が作曲してくれることになり、実はチア経験者だった涼葉も参加して、まずは第一弾のチア動画企画として、イップスで苦しむかなたを応援するチアの動画を撮って配信したのが前回までの流れだったということになります。

そうして、その動画の再生数が100を超えたことを喜ぶ杏那と隠花の場面となりますが、ちなみにアカウントの画面を見るとフォロワー数は現在11人です。そして、ここで隠花は杏那がどうしてチアのチーム名を「POMPOMS」にしたのかと問いかける。恵深が選んだチア衣装に「POMPOMS」というチーム名ロゴを入れることを決めたのは杏那だったからです。理由は「ポンポン作るのが大変だったから」というテキトーなものでした。この遣り取りを見た感じでは、あくまで動画配信を主導しているのは杏那であり、隠花は友達として付き合っているという状況のようです。逆に言えば、これだけ思い付きでコロコロと方針を変える杏那に振り回されながら友達というだけでここまで付き合っているのですから、2人はよほど仲が良いのでしょう。

この場面、杏那と隠花は下校時だったようで、2人が盛り上がっていた場所は隠花の家の前でした。隠花の家は仏具屋で、そのまま隠花は家に帰宅しますが、杏那は向かいにある「スタウトレコード」という店名のレコード屋に入っていく。ここが杏那のバイト先なのだそうです。そういえば動画配信のアカウント名は「スタウトレコード」となっており、杏那は自分のバイトしているレコード屋の名前を自分の動画配信チャンネルのアカウント名にしているようです。

この杏那がバイト先のレコード屋に入って来た場面ですが、店主と思われる初老の日本人男性と外国人の女性客と杏那とで英語で会話する場面が描かれる。女性客はどうやらミュージシャン風で、ライブの仕事で日本にやってきてこの店に立ち寄ったっぽい。そして来月に「フェス」というのがあって、そこで同様のお仲間が多数集まるみたいで、そのことを杏那もとても楽しみにしているようです。店内には洋楽のアナログレコードが大量にコレクションされており、店長の収集によってかなりマニアックなレコードも揃っているようです。当然ながらアナログレコード用のプレイヤーもあり、店長のお勧めの盤をプレイヤーにかけて針を落としたところで冒頭の場面は終わりOP曲の場面となります。

杏那はブラジル出身であり、ブラジルの公用語はポルトガル語ですから当然ポルトガル語は喋れます。加えて英語も喋れることは既に劇中でも描かれていましたから、ここで3人で英語で会話しているのは別に意外ではない。ただ店長も日本人だが流暢に英語を喋っており「YJ」というニックネームで女性客のミアに呼ばれているところを見ると、この店はどうも外国人客が多い洋楽レコード専門店という感じですね。かなり通好みの音楽が集まっている印象で、杏那の「聞き手」としての音楽的な素養の高さはこの店でのバイトで培われたものなのではないかとも思える。ただ、杏那はまだ高校1年生でありバイトとしては経験は浅いはずなので、その割にはかなりYJやミアとも慣れ親しんだ印象ですので、おそらくバイトをする以前からこの店には出入りしていたように見えます。

OP曲の後、杏那の自宅の場面となりますが、杏那の母親が日本人でウェディングプランナーの仕事をしていることや、杏那の家にも洋楽アナログレコードのコレクションが多少はあることも描写されます。大きな箱にいっぱいぐらいはあるようで、杏那がスタウトレコードで購入したものもあるのかもしれませんが、どうもそれだけではないようです。そのレコードコレクションの中には杏那の父親のお気に入りだったものもあるようで、父親のコレクションでもあるようです。ただ、杏那の自宅には父親の姿は無く、小さいアパートの部屋に暮らしているのは母親と杏那の2人だけみたいに見えます。部屋の中には父親と母親と杏那の3人で映った写真が飾ってあるが、その写真に映る杏那は10歳ぐらいに見えます。もう1枚の写真は同じく10歳ぐらいの杏那が両親を含む大勢の大人たちと共に映っているものだが、周囲の大人はみんな外国人であり、おそらくブラジルで撮られたものなのでしょう。つまり杏那は10歳ぐらいまではブラジルに居たのであり、その頃は両親と一緒だったが、日本で暮らしている現在は父親は不在のようです。

そして、この場面で杏那の母親が、杏那が日本に来た頃に「なんでプレイヤーが無いのか」と言ってレコードを抱えて大泣きしていたという想い出話をしていますが、これはつまり杏那が日本に来た時点でこの部屋のレコードコレクションは既に存在していたということを示唆している。そして、その中に父親のお気に入りの曲もあったということは、このレコードコレクションは元々は父親のものだったのだと思われる。おそらく杏那が後で買い足したものもあるのでしょうけど、大部分は父親譲りのコレクションだったのではないかと思われる。

そのレコードコレクションを聴くためのプレイヤーが無いということで杏那が日本に来た当時は不満で泣いていたということなのですが、杏那が日本に来たのが6年前だったと仮定して、当然そんな最近の時代に日本の近所の家電屋でアナログレコードのプレイヤーなんて売っていませんから、それで杏那は怒って泣いていたのでしょう。ただ、それは裏返せば、ブラジルで住んでいた家にはアナログレコードのプレイヤーが普通にあったということを意味します。そもそも、こんなにアナログレコードのコレクションがあったのにプレイヤーが無かったと考える方が無理がある。ただ、地球の反対側のブラジルといえども6年前の時代には既にアナログレコードプレイヤーなんてそこらの家電屋には売っていなかったのは日本と同様のはずです。それでも杏那の父親はアナログレコードのコレクションをしており、家にアナログレコードプレイヤーを置いてレコードを聴いていたのです。それはかなりの音楽好きだったということを意味します。

1980年代にCDが普及すると共にアナログレコードは衰退しました。しかし2000年代に入ると音楽はデジタル配信のストリーミングが主流となってCDは衰退しました。しかしストリーミングでは音楽を聴くことは出来るが収集欲が満たされない。それならそういう収集欲の強い人はCDを買えばいいということになるが、それならばいっそアナログレコードの方がコレクションとしてはカッコ良いという風潮が若者の間で生まれた。そうして、2000年代にストリーミングが主流になって以降はCDの売り上げは落ちていき、アナログレコードの売り上げが伸びるという逆転現象が起きたのです。

一般人が普通に音楽を消費するだけなら配信で十分なのですが、音楽好きな若者の間ではアナログレコードをコレクションするという風潮が生まれて、家でアナログレコードプレイヤーでコレクションしたアナログレコードを聴くのがカッコ良いと考える音楽好きな若者たちが増えていった。こうした波は日本よりも欧米の方が早く起きており、杏那の父親もまさにこの時期にブラジルで青春時代を送った世代でした。だから、こうしてアナログレコードコレクションがあり、家でアナログレコードプレイヤーをかけていたということは、杏那の父親はかなり音楽好きだったのでしょう。

だとするなら、もし父親も日本に一緒に来ていたのなら、レコードだけ持ってきてプレイヤーを持ってこないなどということはあり得ない。また逆に父親がブラジルに残ったのだとするなら、レコードは父親が手元に引き取ったはずであり、日本にレコードだけが来ているはずがない。そこから導き出される解答は、父親は来日もしていないしブラジルに残ってもいないということであり、つまり父親は死んだのだと考えるのが適切でしょう。杏那と母親は父親が亡くなった後で母親の故郷である日本に戻ってきたのであり、レコードコレクションは父親の形見だったのだと思われる。そして、その父親との思い出の曲を聴こうとしたところ、プレイヤーが無いことに気が付いて杏那は悲しんだのでしょう。

ただ、それはもう過去の話であり、今の杏那は既にレコードプレイヤーも手に入れている可能性が高いし、少なくともバイト先のスタウトレコードに行けばプレイヤーはある。だから母親に昔の来日したばかりの恥ずかしい想い出話をされても大して気にすることもなく、父親の一番のお気に入りだったレコードを見て何かを思いついたようで、翌朝に隠花の家に迎えに行って一緒に登校して、途中でたまたまかなたに会ったりして、その思いついたことを喋ります。

それは、父親の一番お気に入りだった曲を使って次のチア動画を作るという話でした。ここで杏那は「YJの機材を借りてサンプリングする」と言って張り切っており、自分が最高だと思う曲を最高のアレンジで皆に楽しんでもらいたいと言う。また「YJは昔は凄腕のDJだった」とも言っており、夏のフェスに出演するために遠方から来るDJやラッパーや指揮者などがYJのことを慕っていて、スタウトレコードはそうした人たちにとっては「YJのコレクションを買える店」として有名な店なのだそうだ。

ここの杏那のセリフから分かることは、まず杏那のバックグラウンドです。杏那が音楽に関する知識が豊富で耳が肥えていることは洋楽レコード屋に出入りしているからということで説明がついていたが、杏那がアレンジやサンプリングが上手なのは、元凄腕DJのバイト先の店長であるYJに教えられたからだったのです。また、YJはDJ用の機材も持っており、杏那はそれを借りてアレンジやサンプリングをしていたのです。だからあんな本格的な音源を用意することが出来ていたのですね。

そして、ここでの杏那のセリフから分かるもう1つのことは、YJのバックグラウンドです。YJは昔は凄腕DJだったのだそうですが、それで今は洋楽アナログレコード店を営んでおり、膨大な洋楽アナログレコードのコレクションを持っている。そうしたYJの持っているDJ用の機材というのは当然ながらアナログレコード対応機種なのでしょう。杏那が父親のアナログレコードを使ってYJの機材でサンプリングすると言っていることからも、YJの機材がアナログレコード用のターンテーブル2台とミキサーが一体となったものだということは分かる。つまりYJは昔ながらのDJなのです。

先ほど、アナログレコードが1980年代にCDの普及によって廃れて、2000年代にストリーミングの普及によって逆にCDが廃れてアナログレコードが復活したと言いましたが、この1980年代から1990年代のアナログレコードの冬の時代においてアナログレコードを使い続けた人たちがいます。それがDJなのです。クラブなどでのDJは「DJプレイ」と呼ばれる特殊な再生技法を使うために1990年代までアナログレコードしか対応できず、アナログレコードが使用され続けた。2000年代に入るとCDでDJプレイも可能になったのだが、アナログレコードの方がより広い表現技法があるため、今でもアナログレコードでのプレイにこだわるDJが多いようです。

YJは年齢的には完全にアナログレコードしかDJプレイに対応していない時代にバリバリの現役だった年代の元DJなのであり、だからアナログレコードのDJ機材を持っており、アナログレコードの音源をコレクションとして大量に保有しているのです。そして、国内外を問わずYJを慕うDJ仲間や後輩たち、その他のミュージシャンなどがYJのコレクションのレコードを買うためにYJの店であるスタウトレコードにやってくるのだが、皆売れっ子になったりして忙しく、最近は夏のフェスの期間ぐらいしか立ち寄れないみたいです。冒頭のシーンでミアが言っていた「フェス」というのはそのことを指していたのでしょう。

ただ、このYJやそのDJ仲間たちというのは、音楽シーン全体においては極めてニッチな存在です。アナログレコードの冬の時代においてアナログレコードを買っていたのは彼らのようなマニアックなDJ稼業を生業とする人たちだけだったと言っていい。いわば、DJが存在したからこそ、1980年代から1990年代にアナログレコードは最低限の需要が維持されたために生産中止に追い込まれずに済んだのだと言っていい。そうして2000年代になってアナログレコードは復活したのだが、2000年代以降に新たにアナログレコードを買うようになった音楽好きな若者層と、このDJ集団とでは、アナログレコードや音楽というものに対する見方にズレがあるのだろうと思う。そこが今回のエピソードを読み解くためのポイントなのでしょう。

この後、杏那は学校帰りにスタウトレコードに行くと、YJに機材を借りて父のレコードをサンプリングしようとするのだが、その際にYJにこの店を閉店するということを聞かされる。店に客がほとんど来ていない現状でせっかくのコレクションを埋もれさせておくよりも、ここを閉店してコレクションを全部、東京のレコード店に引き取ってもらった方が良いとYJは言うのです。杏那は反対しますが、YJは2週間後の高崎中央銀座カーニバルの日を閉店の日と決めてしまいます。それで杏那は何とかしようと焦るがどうしていいか分からず塞ぎこんでしまい、いつも集まっている恵深の家のお寺でのミーティングも欠席する。それでPOMPOMSの皆は心配し、隠花は杏那が出会った頃の姿に戻ってしまったようだと心配して、皆に杏那と出会った頃の話をします。

それによると、杏那はブラジルで生まれて育っていたのだがブラジル人の父親が亡くなって母親の故郷である高崎に移り住むことになって隠花と同じ小学校の同じクラスに転校してきたが、最初はクラスの皆と馴染まなかったようです。日本語は母親に教えられてペラペラだったので言葉の壁は無かったのだが、杏那の父親が亡くなったばかりで、しかも杏那は酷く落ち込んだ様子で全然喋ろうとしていなかったので、クラスの皆もどう接していいのか分からず遠慮して話しかけられなかったのです。それでますます杏那は心の距離を感じたようで、クラスに馴染もうとしなかったのです。

それを聞いて、恵深や詩音は前回のエピソードでイップスのかなたにどう接したらいいか分からなくなったPOMPOMSの皆がかなたとチアを遠ざけた方がいいと言った際に杏那が1人だけ猛反対したのはそういう理由だったのだと納得した。あの時、杏那は「ダメ!気を遣うって遠ざけるってことだよ!」と言って反対したのだが、それは杏那自身が子供の頃に父親の死で周囲に気を使われて心の距離を感じて辛かった記憶があったから出て来た言葉だったのです。

ただ、小学校時代の杏那はその後、しばらくして隠花たちクラスメイトに挨拶してくるようになり、ちょっと態度が丸くなったのだという。それで仲良くなったのかとかなたが問うと、隠花はそれはもう少し後だったと答える。どうやら杏那と隠花が親友になったきっかけとなった別の出来事があったようだが、それについては今回のエピソードでは触れられませんでした。ただ、とにかく杏那の方から挨拶してくるようになった時期があり、それはどうやらスタウトレコードの店長のYJとの出会いが関係しているのだそうです。ただ、それが具体的にどういう出来事であったのかは隠花も杏那からは聞いていないようです。しかし隠花はスタウトレコードが無くなってしまうと杏那が昔の1人ぼっちだった頃の杏那に戻ってしまいそうで寂しいと言う。それでかなたがスタウトレコードに今から行って杏那に事情を聞いてみようと言い出し、皆で行くことになった。

そうしてスタウトレコードの前に着いてかなた達が躊躇していると、涼葉はビルの屋上に杏那が居ることに気が付いて1人でビルの上に行く。残りのメンバーは涼葉が勝手に帰ってしまったと思い、杏那は今日もバイトで店内に居るものだと思い込んで店内に入っていく。すると杏那は休んでいて、かなた達は店長のYJに挨拶して杏那を心配して来たのだと伝え、杏那が閉店することを悲しんでいることや、杏那がこの店のことを好きだという話をする。どうしてかなたが杏那がこの店を好きだと思ったのかというと、POMPOMSのチア動画を配信している杏那のアカウント名が「スタウトレコード」だからだと言う。それを聞いてYJは杏那が動画配信を始めた理由はスタウトレコードの宣伝のためだったのだと悟る。

杏那が音楽配信チャンネルだと言いつつ、ちゃんと音楽配信をやるわけでもなく、とにかく再生数の稼げそうな軽薄な企画に迷走したりしていたのも、元々はとにかく有名になって「スタウトレコード」という名を宣伝したかったからだったのです。杏那だって店が閑古鳥が鳴いていることは分かっていて、このままではマズいとも思っていて、自分の大切なスタウトレコードを守るために何かしたくて、それで動画配信をしようと思いついたのです。そこから始まって今は成り行きでチア動画をやっているが、本来の杏那の目的はスタウトレコードを守るためだったのです。つまりかなた達は自分たちは杏那の目的のために利用されているのだということも気付いている。それでもなお、そんな杏那のことを心配しており、店のことも心配してくれているのです。

そうした杏那の想いやかなた達の想いを知って、YJは杏那がこの店に初めてやって来た時の想い出話をします。それによると、

杏那は来日してすぐ、小学校にも馴染めなかった時期に、父親の形見のレコードを手にしてスタウトレコードに入ってきたのだという。日本では父の形見のレコードコレクションを再生するプレイヤーが売っていないので絶望していた杏那はレコード屋ならばプレイヤーがあるはずだと思って店に入ってきたのです。だが他人との心の距離を感じていた杏那はYJが話しかけても黙っていた。ところがちょうど客として来ていたミアが英語やポルトガル語で挨拶すると、杏那は父と同じポルトガル語に反応して口を開き、このレコードをプレイヤーにかけて聴かせてほしいと頼んだ。

そうしてYJがそのレコードを手にしてセンスが良いと褒めると、杏那は父親のことを褒められて嬉しく思い、そして父のレコードを大切に扱って良い音で聴かせてくれたYJや一緒にその曲を楽しんでくれた店の客たちとすぐに打ち解けていったのだという。だが杏那はその一方で学校では友達と馴染めないままだった。そのことについてYJが聞くと、杏那は「学校の皆は遠くから見てるだけだからいい」と言って打ち解けようとしなかった。それに対してYJは「みんなが来ないなら自分から行けばいい」と諭した。そして初めて杏那が店に来た時にミアの挨拶のおかげで杏那が打ち解けたことを挙げて、「挨拶は人と人の間の垣根を取り払ってくれる」と言う。そして学校の皆に杏那の方から挨拶をするようにとアドバイスしてくれたのです。その結果、杏那は隠花たちに挨拶をするようになり、クラスに馴染めるようになっていったのです。

ここで描かれていることは、同じアナログレコードを愛好する者同士でも、杏那とYJでは音楽観が異なるということです。杏那がレコードを通して聴いていた音楽は、父親譲りの「普通にカッコいい音楽を部屋で1人で聴く」という音楽だった。もともと黙って音楽を聴くことが好きだった杏那は他人と距離を感じていても、それでいいと納得してしまっていた。だがYJやスタウトレコードに出入りしていた客たちはみんなDJでした。DJにとってレコードを再生して聴かせる音楽というのは自分1人で聴くものではなく、他人に聴かせることを前提とした音楽でした。彼らにとって音楽は1人で黙って聴くものではなく、他者とのコミュニケーション手段でした。そのDJ達の世界に触れることによって杏那は既に他者と繋がることが出来るようになっていた。あとはそれを学校でも実践するだけでいいのだとYJは諭してくれたのです。

そうして杏那は学校にも馴染むことが出来るようになり、その延長線上に現在の杏那がいる。杏那が店を救うために動画配信という方法を考えたのも、音楽配信チャンネルを思いついたのも、「音楽は他人と繋がるためのもの」という考え方があったからです。だから杏那は今の自分のルーツはスタウトレコードだと思っていて、スタウトレコードが無くなれば自分が今の自分ではなくなってしまうという不安で怯えて、他人を寄せ付けない感じになってしまっていた。そうしてスタウトレコードの店が入っているビルの屋上で佇んでいると、そこに涼葉がやってくる。

涼葉もまた口下手で無表情で他人と上手くコミュニケーションが出来ない人間だった。そんな自分が杏那に誘われて、そのおかげでPOMPOMSの皆と仲良くなることが出来た。杏那が本当は店の宣伝のために自分たちを利用していたのだとしても、それでも涼葉は杏那に感謝していた。そして杏那がそこまでして守りたいスタウトレコードを守るために自分も協力したいと思い、何か出来ることは無いかと杏那に尋ねる。だが杏那はもともと自分の目的のために皆を巻き込んでしまった負い目もあったので、閉店阻止のために皆を巻き込むのは申し訳ないと思い「これは私とYJの問題だから皆に関係ない」と言って助けを拒む。だが涼葉は自分達が利用されていたことには気付いていると言い、その上で「私たちを巻き込んでおいて関係ないなんて言わせない」「勝手に遠慮して勝手に遠ざけないで」と言い、杏那が心の距離を作られるのが嫌なのと同じように、自分たちだって杏那に心の距離を作ってほしくないのだという気持ちを伝える。それで杏那も素直になるのだが、それでも実際にどうしたらいいのかも分からず、皆に何を手伝ってもらえばいいのかも分からないのだと言う。

そうした杏那の気持ちを涼葉はPOMPOMSの皆に伝え、かなた達は杏那にとって第2の家のような場所であるスタウトレコードを閉店させないために自分たちに何が出来るか分からないけど、とにかく今何かをやらなければいけないのだから、自分たちに出来ることをやろうと決める。POMPOMSに出来ることとは、つまり「応援」でした。かなたは「応援しよう!」と提案し「私たちに出来るのはチアと音楽だから」と言う。

ここで今回は終わり次回に続きますが、さて実際に応援するだけで店が救われるとは思えないので、何か糸口が次回の話において見出されるのだろうとは思います。それが具体的にどういう方策になるのかは分かりませんが、ここでポイントになるのはYJと杏那のアナログレコードというものに対する見方の違いではないかと思う。杏那にとってのアナログレコードというものは根本的には父親譲りの考え方であり「配信全盛時代において音楽好きが楽しむハイセンスなもの」という物なのではないかと思う。一方でYJや昔からDJをやっているような人達というのは「CD全盛時代のマイナーな日陰者」というイメージでアナログレコードというものを見るクセがついているように思う。だから「いまどきアナログレコードなんて売れない」という先入観を持ってしまいがちです。まぁ実際にスタウトレコードは閑古鳥が鳴いていたのですが、それは高崎の商店街で地味な店構えでやっていれば仕方ないといえます。だが、それは「今の時代アナログレコードなんて売れない」と決めつける根拠にはならないと思う。実際はアナログレコードの売り上げは伸びているのです。欧米よりは少し遅い波ですが、日本の音楽市場でも今は確実にその波は来ているのです。それは杏那の父親が楽しんでいたブームが現在の日本にも押し寄せているということであり、父の音楽観を受け継いだ杏那にはそれが何となく感じ取れるから、YJが簡単に閉店しようとしてることに納得がいかないのです。一方でYJは古い時代のDJ特有のアナログレコードへの過小評価のせいで、アナログレコード市場の明るい未来が見えていないのかもしれない。このあたりが救済ポイントなのではないかとも思うんですが、全然見当違いかもしれませんね。何せオリジナルアニメなので正解なんて誰にも分かりません。そういうのを色々と想像するのも楽しいものです。

 

 

ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで

第4話を観ました。

今回はミルズという町に到着した灯河が「ハティ・スコル」という偽名を名乗って逗留して、この世界について情報収集して今後どうするか考えた結果、禁呪の呪文を読める魔女を探すことが当面の目標だが、その前に自分の魔術の向上のために必要な材料入手のために必要なものがミルズの遺跡にあると気付き、ミルズの遺跡ダンジョン攻略の冒険者に紛れてダンジョンに潜ることにする。するとその冒険者の中に「ミルト・バルーカス」という女冒険者がいて、賞金首のエルフの姫騎士なのではないかと言って他の冒険者に絡まれていて、結局人違いであり絡んだ冒険者は大恥を掻いていた。灯河はその女が森で出会ったエルフの女騎士に似ているように思ったが、その後、そのミルトにダンジョン探索に必要な買い物を手伝ってもらったりする。その後、ダンジョンに入った灯河は状態異常スキルを駆使して魔物を倒していき、更にミルトを逆恨みして殺そうとしていた悪い冒険者たちも殺す。そうしてダンジョン攻略に成功した灯河であったが、そこにミルトがやってきて、灯河は自分の目指しているのが更に最下層なのだと言い、ダンジョン攻略の手柄をミルトに譲ると、ミルトは恩返しに灯河の護衛をしたいと言ってついてくる。そうして2人で行動を共にして小休止した時に不眠症気味のミルトをぐっすり休ませてやろうとしてスリープさせたところ、擬態魔法が解けて、ミルトがやはりあの森で出会った女騎士だと判明し、おそらくやはり賞金首のエルフの女騎士セラスであるということに灯河が気付いたところで今回は終わり次回に続きます。ちょっと今回はありきたりの展開になってきましたね。ちょっと心配ではあります。