2024春アニメ 6月24日視聴分 | アニメ視聴日記

アニメ視聴日記

日々視聴しているアニメについてあれこれ

2024年春アニメのうち、6月23日深夜に録画して6月24日に視聴した作品は以下の5タイトルでした。

 

 

響け!ユーフォニアム3

第12話を観ました。

今回を含めて残り2話、いよいよクライマックスが近づき、次回の最終話では全国大会が描かれると思われ、今回はその前の最後の部内オーディションが描かれたのですが、圧巻の超神回でしたね。涙腺大崩壊の涙、涙の超神回。冗談抜きで日本アニメ史に残るエピソードでした。今期は全体的にはそんなにレベルは高くないクールという印象ですが、この「響け!ユーフォニアム3」と「ガールズバンドクライ」の2作品のエピソードのクオリティの突出具合が凄まじいですね。まだ両作品とも最終話を残しているので最高を更新してくる可能性は高いのですが、現時点では「ガールズバンドクライ」のあの伝説になったと言われる第11話と比べても、今回のこの「響け!ユーフォニアム3」の第12話は超ハイレベルの比較ですが更にもう1つ上に行ったと思います。

ここまでハイレベルだと厳密にどっちが上とかもうどうでもよくて、これで晴れて両作品ともSSランクとすることが出来ます。ただ「ガールズバンドクライ」の11話がライブシーン込みの評価と考えると、演奏シーン無しでここまでやってのけた今回のエピソードはやはり凄いと思う。話の展開自体は個人的にはそんなに驚きの内容ではなかった。だから細部の脚本・作画・演出・演技含めた総合力の勝利だと思っています。むしろ「展開に驚きは無かった」という点の方が意外に思う人が多いかもしれませんね。何せ今回のエピソードは原作とは真逆のアニオリ展開だったそうですから。私は原作未読なのでそのことは知らなかったんですが、原作ファンの方がむしろビックリしたのだろうと思う。

そのことを聞いて、私は脚本の内容自体には驚いてはいなかったが、原作改変したという事実には驚愕しました。普通は原作付きのアニメ作品で原作を改変するというのはやらないし、やったとしても、余分な部分を省いたり、キャラ設定をアニメ向きに変えたりという程度であって、物語の展開を大きく変えるようなことはしないものです。そんなことをしたら原作者に失礼であるし、たとえ許可を貰って改変したとしても、それは「原作のままではイマイチ」と言ってるようなものですから、普通は失礼だからそんなことはしない。

私は原作未読なので詳細は知らないが、今回の最後のオーディションの勝者と敗者を逆にしてしまったらしいので、それは物語の結末を変えるようなものですから、かなり大胆な改変です。よくそんなことが出来たものだなと驚く。しかもそこらへんの売れないなろう系ラノベのアニメ化ではなくて、原作小説はかなりのヒット作であるし、アニメ作品としては現代日本アニメを代表する作品の1つですから、これほどのビッグタイトルでよくそこまで大胆な原作改変をしようと思ったなと驚く。

しかし改変した内容自体には全く驚きは無かった。私はもともとこの展開は予想していた。この作品自体が1期の頃から「実力のある人が公平に選ばれるべき」というテーマを一貫して描いており、この3期になってから黒江真由という主人公の久美子のライバルキャラが登場して、この「実力のある人が公平に選ばれるべき」というテーマが1期や2期以上に極めて強調されるようになったことによって、最終的に久美子の「実力のある人が公平に選ばれるべき」という主張の正しさを描くためには「久美子の敗北」を描くしかないとは思っていた。それも滝先生が選ぶのではなく、1期11話で完全な形で示せなかった「部員全員の総意」という形でなければならないと思っていた。だから、あの時と同じようにステージで部員たちを前にして吹いて、部員たちの多数決で決める形で久美子が敗北することによって真由に久美子の意見の正当性を認めさせるしかないと思っていた。

ただ「それしかない」と思っていたわけではない。関西大会前のオーディションで真由が一旦勝ったことで、それなら全国大会前のオーディションで久美子が勝つのかもしれないとも思えたし、その前に何らかの形で久美子と真由が理解し合うという形もあり得るとも思っていました。また、真由の抱えている問題が何なのかも予想はつかなかったし、今回明らかになった真由の真実は私には全く予想外のものでした。久美子の進路問題が絡んでくるという展開も予想していませんでしたし、この勝負の勝敗に麗奈が大きく絡んでくることも想定外でした。だから不確定なことだらけではあったのですが、今回あの1期11話の時の再オーディションと全く同じシチュエーションとなった時点では「やはり久美子の負けなのだろう」とは思った。

だから、その予想通りになったこと自体は全く驚かなかった。しかし原作を知っている人は当然原作通りに「久美子の勝ち」が描かれると思っていたのでビックリしたようです。だが私は原作の内容という先入観が無かったので全く驚かなかった。アニメ作品だけを追ってきた目で素直に今回の展開を見れば結末は「久美子の敗北」しか考えられなかった。一応言っておきますが、別に私は「原作の展開はダメ」と言っているわけではない。原作を読んでいないのでそんなことをそもそも言えるはずがない。むしろ私の展開予想は「アニメ作品としてのユーフォだけを見てきた上での当たり前の思考の結果」でしかなくて、その想定を超えた真逆の展開を描いた原作の方が、原作を読んできた人間の目から見れば更に面白い可能性は十分ある。ただ、アニメ作品としては、むしろそういう当たり前な展開を選んだということであり、それを細部まで完璧に仕上げたことによって原作者も大いに賛同してくれたようです。

そのあたりは媒体の違いで伝わるニュアンスというものが違うので、小説では伝わるニュアンスがアニメでは伝わらないのなら、あえてアニメでは話の展開自体を変えるというのも1つの選択肢なのであり、それを原作者も納得出来るレベルで仕上げた制作陣も素晴らしいし、それを認める度量のある原作者も素晴らしいと思う。そうした素晴らしいクリエイター達の総力で作られた今回の「響け!ユーフォニアム3」の第12話、そして次回の最終話の第13話は、「アニメオリジナル改変の大成功例」として後々まで語り継がれることになるのでしょう。これもまた1つの「伝説」の目撃例なのであり、こういう形の「伝説」は「ガールズバンドクライ」には作れないタイプのものです。

今回は話の展開自体はかなりシンプルです。まず冒頭、今回はいつものように前回のダイジェストからのOPテーマという流れではなく、OPテーマはカットでいきなりアバンだけが始まります。これだけで、この「響け!ユーフォオニアム」シリーズでは珍しいパターンですからこれは特別なエピソードだということが伝わります。そして、このOPカットでもういきなりオーディションが始まっていて、真由が吹いています。そして真由が吹き終わり、替わって久美子が音楽室に入っていき、滝先生と松本先生の前で吹き始めるところまでが描かれて、そこで今回のサブタイトル「さいごのソリスト」が出ます。これは久美子の高校時代最後のコンクールのソリストという意味でもあると同時に、今回のエピソード内容を踏まえて「今回のオーディションで最後に決まるソリスト」という意味でもあるのでしょう。

そしてサブタイトルのカットが終わって本編が始まると、もう松本先生が翌日に部員全員の前でオーディション結果を発表している場面となる。展開が異常に速くてビックリしましたが、ここでユーフォニアムのソリストだけは久美子と真由とで再オーディションを行うという発表があり、この冒頭の展開の異常な早さも納得がいきました。ここからが本編だったわけです。

このオーディション結果発表はまずはコンクールメンバーの発表、次いでソリストの発表という順番で進行したが、コンクールメンバー発表時、今回もやはりユーフォニアムは2人編成となり、久美子と真由が選ばれ、奏は落選した。この時、奏はちょっと落胆した様子を見せており、どうやらコンクールメンバーに入る一縷の望みを抱いていたようです。ただ実力的に久美子と真由に勝てるとも思っていないので、ユーフォが3人編成に戻ることに一縷の望みを賭けていたのでしょう。しかし、それは叶わず落胆したようです。

続いてソリストの発表となり、ユーフォニアムでは最初に久美子の名前が呼ばれて久美子は嬉しそうな表情になりますが、その隣でそれ以上に奏が嬉しそうな顔をしており、奏が心の底から久美子にソリを吹いてほしかったということが分かる。しかし続けて真由の名前も呼ばれて、ユーフォニアムのソリストは後日に部員全員の投票による再オーディションで決定するという方針が告げられて、奏も他の部員たちも困惑する。久美子も一瞬困惑するが、隣で真由が平然としているのを見て、真由の方に気をとられてむしろ冷静になる。真由は自分の名前が最初に呼ばれなかった時も平然としており、本当にソリを吹くことにこだわりは無いようだった。

ただ、再オーディションをすると言われた時も真由は動揺する様子は無かった。どうしてもソリを吹きたくないのなら、ここで辞退すればいい。しかし真由は辞退を申し出るわけではなく、再オーディションそのものには抵抗は無いみたいです。その結果、自分がソリストに選ばれるかもしれないのだが、そのこと自体に抵抗は無いようにも見える。つまり真由は本当は辞退するつもりなどなく、かといってソリを吹くことに強いこだわりも無く、ただ単に久美子に「辞退してほしい」「ソリを譲ってほしい」と言わせたいだけであり、久美子を侮辱して愚弄したいだけなのだという奏の見方が正しいようにも思えてくる。だが久美子はそうではないのだと既に確信していた。

ただ、久美子は滝先生がどうして再オーディションをしようと思ったのかはよく分からなかったので、職員室の滝先生のところに行くと、滝先生は久美子がユーフォニアムの再オーディションの理由を聞きに来たのだろうと察して、自らその理由を説明してくれた。それによると、まず久美子と真由は甲乙つけがたくて、どちらもソリが務まると思えたのだそうです。だが久美子が部長である以上、部員全員が納得する必要があると滝先生は考えたようです。それで2年前と同じ形式で部員の投票によるオーディションで決めようと考えたのだそうです。

これを聞く限りでは、どうやら滝先生は今回は久美子を選びたいと思っていたみたいです。しかし久美子が真由よりも明らかに上手ならばそれで何ら問題は無いのですが、2人の実力が互角であるので、真由を選べば公平に選んだように見えるが、久美子を選んだら「やっぱり最後のコンクールだから部長に吹かせてあげたいと思ったのだろう」と邪推されてしまう。関西大会前の久美子のスピーチで部員全員が北宇治の実力主義の方針に完全に賛同している状況なので、そういう邪推をされてしまうと、再び滝先生への信頼が揺らいでしまい全国大会に悪影響が出てしまう。ならば実力的には申し分が無いのですから、真由を選んでおく方が滝先生としては楽な選択なのです。それなら再オーディションなどする必要は無い。

ところがそこで滝先生があえて再オーディションという方法を選んだのは、久美子がソリを吹ける可能性をどうしても残したかったからです。自分が久美子を選ぶと変に邪推されて上手くいかないので、それなら部員全員の投票という形にすれば久美子がソリを吹ける可能性は出てくる。むしろ部員の多くは久美子を支持する可能性が高い。滝先生はそう考えたのでしょう。「滝先生自身が選ぶと滝先生への信頼が揺らいでしまう」というのは2年前の麗奈と香織先輩の時と同じ状況であり、その場合の解決策として「部員全員の投票で再オーディションで決める」というのが2年前に選んだ解決策であり、それならば今回も同じ解決策が適切だろうというのがあくまで建前です。だが今回は真由を選べば不満は出ない状況であり、麗奈を選んだことで不満が出て収拾がつかなくなった2年前とは状況が違う。その状況であえて滝先生が自分で判断するという顧問としての職務を放棄して再オーディションを決めたのは、実は久美子にソリを吹かせてあげたいと思っているからなのです。

2年前は結局は部員たちの大部分は麗奈と香織先輩のどちらにも投票できず、香織先輩の辞退によって勝負が決した。しかし今の北宇治の部員たちならば自分たちでどちらかに投票できるはず。思えば部内のアンサンブルコンテストで部員たちに投票させるようにしたのも、2年前の苦い経験を踏まえて、生徒たちが自分で選べるようにしようという滝先生の考えだったのかもしれません。そうして今の北宇治なら2年前のように中途半端な形にならず、きっと久美子か真由かを実力で公平に見て判断できるはずだと自負していると滝先生は言うのだが、これもあくまで建前であり、滝先生は「きっと部員たちは実力が互角ならば久美子を選んでくれるはず」「そうなれば部内は上手くまとまる」と内心では考えている。

だが久美子は久美子で2年前の苦い経験を踏まえて改善策を考えてきており、再オーディションをするのならば音だけで判断出来るようにして、誰が吹いているのか分からないようにして実施してほしいと願い出る。2年前、部員たちがどちらにも手を挙げられなかったのは、自分が麗奈と香織先輩のどちらを選んだのかを他の部員たちに知られてしまうことを恐れたからだったのです。だからどちらを選んだのか全員が分からない状況にしてしまえば、全員が安心して挙手できるというのが久美子の考えた改善策でした。

それを聞いて、滝先生はそんな方法では久美子の有利が消えてしまうと困惑したが、久美子自身が自分の不利になるかもしれない方法を提案して、あくまで公平な実力勝負にこだわるのを見て、小細工を弄しようとしていた自分を恥じる。それで「私もまだまだ未熟ですね」と溜息をつき、久美子や他の部員たちが実力で公平に選ぶという方針に真摯に向き合う想いを自分は甘く見ていたのだと反省し、自分が理想に到達しようとする道はまだまだ険しいのだと思い知ります。そして、そんな自分の過ちに気付かせてくれたのは久美子や部員たちなのだと思い「皆さんのような生徒に出会えたことを幸運に思います」と久美子に言う。そして、久美子の提案した方法で再オーディションを実施することを滝先生も了承してくれた。

この後、久美子が滝先生に質問をする場面があり、その続きは後の方の再オーディションの結果発表の後の場面で久美子の回想という形で描かれているのだが、ここでは分かりやすくするためにこの流れのまま紹介します。久美子はこの後、上記の滝先生とのやり取りの際、滝先生が「自分が理想としているところに到達するのは難しい」と言ったのを承けて、滝先生に「先生にとって理想の人ってどういう人ですか?」と質問した。それに対して滝先生は「正しい人」と答えている。そして「本当の意味での正しさは皆に平等ですから」と言っている。そして滝先生は「黄前さんはどんな大人になりたいですか?」と久美子に問いかけ、久美子は「私もそんな人になりたいです」と答えている。

この回想場面は、後の再オーディション場面に深く関わってくる内容だからわざわざ回想シーンとして別個にして再オーディション場面に挿入されているのであり、そのまま普通に再オーディション場面のレビュー時に触れるべきなんでしょうけど、それを何故こうしてわざわざ前倒して触れているのいかというと、どうもこの久美子と滝先生の会話内容がこの後のシーンにも関係があるように思えるからです。ここで久美子に何かの変化が起きているように思えるのです。

まず滝先生との職員室でのやり取りのあった日、下校時に麗奈と一緒に帰った久美子が麗奈に「私に追いついたって言ったなら頑張って」と言われて「頑張る」と返す場面はあんまり関係は無い。これは久美子が麗奈と出会ったことで中学時代の自分とは変われたということであり、そのことを証明するために頑張るという意味です。そして、そこには中学時代の久美子と似たところのある真由を超える意味というのも込められている。ここは後の方の再オーディション前の久美子と真由の会話シーンに関係する場面と言っていいでしょう。

問題はこの後、久美子が帰宅して父親に何か説教されそうになったところ、先に久美子の方から父親に何かを言う場面だが、ここで久美子が父親に何を言ったのかは明確に描かれていない。ただその後で自室に入った場面で久美子は「言ったぞ」と繰り返しているところを見ると、かなり重大なことを言ったみたいです。そしてテーブルの上にあった未だ白紙のままの進路希望調査票を手に取って机に方に向かい、次の場面では翌日の学校で松本先生に進路希望調査票を提出しているので、おそらく父親は久美子の進路がまだ未定であることを説教しようとして、それに対して久美子は自分の進路希望をちゃんと伝えたのでしょう。それも父親に説教される前に機先を制するように久美子の方から言っているので、最初から久美子は帰宅してすぐに両親に自分の進路希望を伝えようと決めていたのでしょう。しかし、久美子は未だ進路希望調査票が白紙のまま自室のテーブルに置いてあったということは進路を決めていなかったはずです。それが急に決まっているということは、学校で何かがあって進路を決めたということになる。そうなると心当たりのあるのは滝先生との会話の中で「私もそんな人になりたいです」と言ったことぐらいしか無い。「そんな人」とは滝先生の言う「正しい人」であり「本当の意味での正しさは皆に平等」という言葉に関係しているはずです。

それはどういう進路なのかは不明だが、とにかく久美子からそれを聞いた父親は最終的には納得したようであり、久美子はそうして決めた進路希望を記入して松本先生に提出したのだが、松本先生はそれを見て「予想通りすぎてつまらん」とコメントしている。松本先生も滝先生も久美子がこの進路を選ぶことは予想していたそうです。久美子は2人の先生がそんなふうに予想していたとは想定外だったようで驚く。この遣り取りを見ると、久美子自身には意外な進路選択であったようだが、周囲から見るとあんまり意外な進路というわけではないようです。

そして久美子は自分の進路を予想していたという松本先生たちに感嘆して「大人ってすごいですね」と言うのだが、それに対して松本先生は「大人になったらすぐに子供ってすごいと思うようになる」と返している。これは、むしろ松本先生や滝先生が久美子たち生徒たちから学ぶことが多いのだという気持ちを示してのセリフなのでしょうけど、ちょっと引っかかる言い回しではある。これはまるで久美子が大人になったら「子供ってすごい」と思うようになると予告しているようであり、久美子が将来的に子供に接する仕事に就くということを示唆しているようにも受け取れる。

そうなると「教師」という線もあり得るんですが、今回のこの後の再オーディション後の場面での麗奈とのやり取りなどを見ると「音大進学」という線も消えたわけではないようにも思える。松本先生も滝先生も「予想通りすぎる」というなら音大というのも十分あり得るし、前回「音大は行かない」と決意した割には今回は「音大は行かない」とは一切断言していないところも気になる。あえて久美子の父親との会話や進路希望調査票の記入内容を隠しまくっているのも、次回明かされるであろう久美子の進路がよほど視聴者にとってはサプライズだからなのでしょう。だが私たちが久美子の進路としてサプライズと感じるものなど特に無いのであり、「教師」なんかだとむしろ無難な線にも思える。そうなると「前回は音大は行かないとか言っておいて結局は音大」という意味合いのサプライズなのではないかとも邪推してしまう。まぁどうせ次回明らかになることなので久美子の進路そのものについてはこれ以上考察はしませんけど、そこにどうも「正しい人」という言葉が関わっているみたいなので、それが気になるんですよね。せめて「本当の意味での正しさは皆に平等」という滝先生の言葉の意味は理解したいところですが、それはおそらく再オーディションの結果が出た後の場面に関係してくるので、まずそこに向かって進んでいきましょう。

ここで場面は再オーディション当日になります。2年前と同じ会場で、2年前と同じように大会前のステージ練習のためにホールを借り切っての練習の前に再オーディションをやろうという場面となります。久美子の提案を承けて、ステージ上に幕を設置して、久美子と真由は幕に隠れて演奏して、観客席でそれを聞く部員たちは誰の演奏なのか分からず音だけ聞いて、音の優劣だけで判定するということになる。そして久美子と真由の2人が会場の設営が終わるまで廊下に出て待機することになり、その際に奏が久美子に「ソリ獲ってください」と言うのだが、久美子は奏に「ちゃんと音を聴いて、良いと思った方に入れてほしい」と言って去っていく。

そうして久美子と真由はトランプを引いて演奏順を決めて、2人で廊下で椅子に座って待機となる。ここで真由は「高坂さんとソリ吹きたいよね?」と久美子に話しかけ、また久美子から「ソリを譲ってほしい」というセリフを引き出そうとしてくる。それに対して久美子は自分が上級者の真由が転校してきて焦ってしまい真由の気持ちを理解しようとしていなかったことを認めて、今まで真由が困っていたのに北宇治の方針を一方的に押し付けてしまっていたことを謝罪した。

つまり、久美子は真由が執拗に自分に向かって「ソリを譲ってほしい」というセリフを言わせようとしているのは、別に自分を侮辱したり愚弄しているからではなく、あくまで真由が北宇治の方針を受け入れることが出来ず困惑していたからだったのだと解釈している。真由はどうしても久美子が「実力のある人が吹くべき」と言っているのが本心だとは信じられないのであり、久美子に本心を言ってもらいたいと思って執拗に「本当にそれでいいの?」と絡んできていたということになる。そして久美子はどうしてそこまで真由が自分の言葉を信じてくれないのかの理由は、おそらく真由がオーディションで辛いことがあったからなのではないかと考えて、そうではないのかと真由に問いかける。

久美子自身が中学の時に下級生なのにコンクールメンバーに選ばれて上級生にキツく当たられて嫌な想いをして、それで「実力のある人が吹くべき」なんていう言葉を信じられなくなり、頑張って練習するのは無駄だと思うようになってしまった。そういう無気力だった頃の自分と真由がどこか似ていると感じた久美子は、真由も自分と同じようにオーディションで嫌な想いをして、それで「実力のある人が吹くべき」なんていう言葉をどうしても信じられないのではないかと思ったのです。

そうなのではないかと久美子に問われた真由は、実は自分も久美子を見て自分と似ていると思ったのだと打ち明ける。だからきっと自分の気持ちを分かってくれるはずだと思ってしつこく食い下がっていたのです。そして、久美子の中学時代の告白を聞いて、真由は自分の直感は正しかったのだと思った。やはり自分たちは似た者同士だったのだと思った。だが、それは中学時代までの話だったのだとも真由は思った。結局、中学時代は似た者同士だった自分と久美子は高校に入ってから道が分かれたのだと真由は思った。だから久美子からいくら本心を聞き出そうとしても無駄だったのだと真由は悟った。

2人の運命が別れたのは、久美子は麗奈と出会い、真由は麗奈のような人間に巡り合わなかったからだった。久美子は麗奈に会って変わることが出来た。強く「実力のある人が吹くべき」と信じて揺るがない麗奈を見て、自分もそうなりたいと思って、「実力のある人が吹くべき」と心から信じることが出来た。しかし真由はそういう出会いが無く、中学時代と考え方が変わらなかった。いや、そもそも自分と久美子は根本的に違っていたのだろうと真由は言う。真由は久美子に「私の場合は、私のせいで友達が音楽を辞めちゃったから」と過去の真実を打ち明ける。

真由は中学時代に一緒にユーフォニアムをやっている友達がいたが、いつもコンクールメンバーに選ばれるのは自分の方であり、その友達は平気だと言い続けていたので真由も安心していたのだが、その子は最終的には音楽を辞めてしまったのだという。それで真由は自分が「実力のある人が吹くべき」なんて言葉を安易に信じていたことで友達に嫌な想いをさせて追い詰めていたのだと罪悪感を覚えるようになり、自分なんかが実力があるという理由でコンクールメンバーに選ばれたりソリを吹いて誰かを傷つけるようなことがあってはいけないと強く思うようになったのです。そんなことよりも皆で仲良く合奏することの方が真由には大切だった。そうしていれば誰も傷つけることはないから。そのためならばコンクールとか金賞とか自分にはどうでもいいのだと真由は言う。

つまり中学の時に自分のせいで友達が音楽を辞めてしまったという罪悪感が大きすぎて、真由はオーディションで選ばれることに大きな抵抗があるのです。しかし、よくこんなトラウマを抱えていて聖良女子でオーディション絡みで今回みたいなトラブルを起こさなかったものだと思いますが、おそらく全国大会常連の聖良女子はレベルが高くて、2年生までの真由は普通に3年の先輩たちに勝つことが出来ずオーディションはいつも落ちていたのでしょう。もし3年生に進級しても転校せず聖良女子に居たままであったら、おそらく今回みたいなトラブルは起こしていたと思います。

ただ、久美子はそうした真由の中学時代の話を聞いて、やっぱり中学時代の真由は中学時代の自分とは違うと感じた。中学時代の自分はオーディションで嫌な想いをした後は無気力になって練習もちゃんとやらなくなってしまい、高校で麗奈と再会してからようやく変わることが出来て、それから必死になって上手くなろうとした。しかし真由はきっとそうではなくて、そんな辛いことがあったのにずっと上手くなろうとしていたのだろうと思えた。コンクールや金賞もどうでもいいのに努力を続けられたのは、きっと純粋にユーフォが好きだったからなのだろうとも思えた。

どうして久美子は真由のことをそう思ったのかというと、真由がオーディションで合格したくないのに、決してワザと下手に吹こうとしないからでした。音楽に嘘をつくことだけは出来ず、どうしてもワザと下手に吹くことが出来ず、自分から音楽に背を向けて辞退することも出来ない。それでも自分がオーディションで選ばれることは罪悪感があって嫌だから、他人に「辞退してほしい」と言わせようとしているのだ。そうすれば「辞退してほしい」と言ってきた相手に罪を被せることが出来る。音楽を裏切ったのは自分ではなく相手の方なのだと思うことで「自分は音楽を裏切っていない」と自分に言い聞かせることが出来る。「友達を傷つけた罪悪感」を抱え続けて生きる真由にとって唯一の心の支えであった音楽を失うことなく自分を罰し続けるためのただ一つの選択肢がそういう歪な方法だけだったのです。それが黒江真由の真実でした。

その上で、久美子は自分は2年前にこの場所で麗奈と誓った「実力のある人が吹くべき」という自分のワガママを貫くために吹くから、真由も自分のワガママを貫いて吹いてほしいと頼む。ここで久美子が言う「真由のワガママ」とは、「中学時代の友達のために自分を罰し続けること」ではない。「音楽だけは決して裏切らない」というワガママです。そっちのワガママを貫いて今日の再オーディションに臨んでほしいと久美子は頼んでいる。その久美子の言葉を聞き、真由は自分の貫くべき本当のワガママはどっちなのだろうと考え、関西大会の後でつばめに言われた言葉を思い出す。それは「演奏をしている真由ちゃんが本当の真由ちゃんな気がする」というものだった。そのことを思い出した真由は、やはり自分の貫くべき本当のワガママは「音楽だけは決して裏切らない」なのだと心に決める。

そうして再オーディションが始まり、ステージ上には麗奈が立ってトランペットのソリを2回吹き、それに合わせて久美子と真由がそれぞれユーフォニアムのソリを吹きます。久美子と真由は幕に隠れているので観客席の部員たちにもステージ上の麗奈にもどちらが吹いているのかは分からない。まず1番の奏者が吹き、次いで2番の奏者が吹いて、その後で全員の挙手で優劣を決めることになったが、なんと部員の挙手では1番と2番は同数となってしまった。だが部員の数は奇数のはずなのでおかしいと滝先生が不審に思うと、実はまだステージ上の麗奈が挙手していなかった。つまり麗奈が選んだ方が勝つという状況となる。

ここで麗奈は実は1番が真由で2番が久美子だということが分かっている。別に不正をしたわけではなく、麗奈ならば久美子の音は分かるのです。ちなみに滝先生にも音で1番が真由で2番が久美子だということは分かっている。それで滝先生は麗奈に1番か2番かの選択を迫り、やはり滝先生は麗奈が2番を選んでくれることを少し期待している。麗奈も2番を選びたいという想いに心は揺らぎますが、2年前の同じ場所での自分と香織先輩の再オーディションの際に久美子と交わした「実力のある人が吹くべき」という誓いを思い出し、その誓いだけは裏切れないと思い、1番を選びます。

こうして真由がソリストに決定するが、さすがに僅差の判定ということもあり、部員たちは騒然とします。その様子を見て、真由はやはり自分が選ばれたことで他人を傷つけてしまったという罪悪感に押しつぶされそうになってしまう。久美子の方もさすがに負けたことにショックを受けて落胆していたが、そこに滝先生に「理想の人」を質問した時に返ってきた答えが脳裏に甦る。それは「正しい人」であり「本当の意味での正しさは皆に平等」という言葉だった。それを聞いて久美子は自分もそんな人になりたい、そんな大人になりたいと思ったことを思い出し、一歩前に進み出て部員全員に向かって「これが今の北宇治のベストメンバーです!ここに居る全員で決めた、言い逃れの出来ない最強のメンバーです!これで全国へ行きましょう!そして一致団結して必ず全国大会金賞を獲りましょう!」と大声でスピーチする。これに応えて部員全員の拍手が起こり、これによって真由のソリに対する疑念も消え去り、真由の罪悪感も解消したのでした。そうして真由はユーフォニアムを握りしめて拍手を浴びながらポロポロと涙を流し、久美子の方を見て頷く。

ここで久美子が滝先生との会話を回想する意味とは何なのか考えると、やはり「本当の意味での正しさは皆に平等」という言葉に意味があるのでしょう。「正しさ」とは要するに「自分が正しいと信じているもの」ということであり、それは人それぞれバラバラです。つまり久美子の言葉を借りれば「ワガママ」ということになる。久美子のワガママは「実力のある人が吹くべき」であり、真由のワガママは「音楽に嘘はつきたくない」であったりするようなものです。あすか先輩は久美子はワガママを口にするところが良いところだとも言っていた。それで久美子は自分のワガママとして「このメンバーで全国金を獲りたい」という言葉を関西大会前にスピーチした。しかしそのスピーチが皆の心を1つにした。久美子の個人的に正しいと信じているだけのワガママに過ぎなかったはずのものが何故か皆の心を1つにまとめることが出来たのです。これがつまり「本当の意味での正しさ(ワガママ)」なのではないでしょうか。

一般に「正しさ」というものは各自の掲げる主義主張や正義であり、あくまで自分の「正しさ」を主張する「ワガママ」に過ぎない。しかし、そうした個人の主張を超えた「本当の正しさ」というものがあって、それは「皆に平等に恩恵をもたらすもの」なのではないでしょうか。実際にそんな都合の良いものがあるのかどうかは分からない。滝先生もあくまでそれは「理想」だと言っている。しかし、そういう「理想」を追い求める生き方が「大人」のあるべき生き方なのではないかと思う。久美子はこの時、そうした「本当の正しさ」によって自分も真由も部員たちもみんなが幸せになれる道を模索して、その解答がこの一歩踏み出してのスピーチだったのでのではないでしょうか。ただ、こうした気付きを踏まえて久美子がどういう進路を選択したのかについてはやっぱりまだ分からない。それは次回を待ちたいと思います。

そして、再オーディションの後はステージでの全体練習を行い、それが終わった後、麗奈が先に帰ったと聞いて久美子は慌てて麗奈を探しに行こうとしたところを奏に呼び止められて、奏に「先輩にソリを吹いてほしかった」「私も最後に先輩と一緒に吹きたかった」と涙を流しながら告げられる。奏は久美子がソリを落選したことも、自分がコンクールメンバーに選ばれなかったことも本当は死ぬほど悔しい。でも久美子が自分の気持ちを押し殺して「本当の正しさ」を示した態度を見て、自分も個人の感情は押さえて前に進むしかないと思って耐えていたのだという。

そんな奏の気持ちに応えてあげるためにも久美子はあくまで自分の感情を露わにするわけにはいかない。その後、麗奈と連絡を取り合って、麗奈が大吉山で待っていることが分かってそこに行くと、麗奈は泣いて「ごめんなさい」と久美子に謝ってくる。それで久美子が麗奈は上手いと思った方を選んだだけなのだから何も悪くないと言って慰めますが、麗奈は自分が謝っているのは久美子が2番だと気付いていたのに1番を選んだことなのだと言う。

それで久美子は「後悔してるの?」と質問して、麗奈は「やっぱり久美子は性格悪い」と泣きながら返す。つまり麗奈は真由を選んだことを後悔はしていない。真由の方が僅かに上手かった。奏者としてその選択を後悔はしないところはさすがに麗奈はブレが無い。だが久美子が好きなのは事実だから悲しいし、そこを突っ込んでくる久美子を麗奈は意地悪だと思ってしまう。

そして久美子も自分よりも真由の方が僅かに上手かったことは自分の演奏が終わった時点で気付いていて、当然自分が2番だと気付いているであろう麗奈もそのことにきっと気付いて、麗奈ならきっと1番の方を選ぶのだろうということも分かっていた。だから最初にかけた言葉の通り「麗奈は上手いと思った方を選んだだけであり、麗奈は何も悪くない」のです。麗奈はあくまで「実力のある人が吹くべき」という信念を貫いたのであり、むしろ久美子はそれが嬉しい。だが同時に、そんな麗奈だからこそ、最高の演奏をして麗奈に選んでもらい、そして最後は麗奈と一緒にソリを吹きたかった。そういう自分の本当の気持ちを、麗奈しか見ていない今だからこそようやく絞り出すことが出来た久美子は「死ぬほど悔しい!」と叫んで号泣し、「どんなに離れていても麗奈と肩を並べられるようにその悔しい気持も誇りにしたい」と言って麗奈と共に泣きじゃくるのでした。

このあたりの久美子の気持ちは「悔しい」というのはよく分かるが、麗奈と肩を並べるというあたりはちょっと意味が分かりにくい。進路にも関係してくる発言のようにも思えてくるがハッキリとは分からない。また自分の演奏が僅かに真由に劣っていた理由についても久美子は「音大じゃないって思い始めた時からの迷いが僅かに音に出た」と言っており、進路に関する迷いが真由との差になったかのように言っている。一方で真由はひたすら音楽に真摯であったのが勝因と考えられ、そうなると久美子は音大に行かないと考えたことが音楽に対して真摯ではなくなりそれが敗因であったようにも思えてくる。それを「迷い」だと言って悔やんでいるところを見ると、久美子はこれから麗奈と肩を並べられるように頑張ると言っているのは、これからは迷いを捨てて音楽に真摯になるという意味にも思えて、つまり音大に行くということにも思えてくるのだが、結局はこういう進路関係は現状は全て謎であり次回において描かれるのを待ちたいと思います。そして次回は遂に最終話であり全国大会も描かれるのだと思われ、シリーズの完結を見届けたいと思います。次回が待ち遠しいような寂しいような、複雑な想いです。

 

 

鬼滅の刃 柱稽古編

第7話を観ました。

今回も含めて柱稽古編も残り2話となりましたが、今回は40分枠、次回の最終話は60分枠での放送となりますから、まだまだたっぷり残っている印象ですね。ただ今回は通常より10分長いとは感じさせない面白さでした。内容的には悲鳴嶼の過去編、善逸の決意の話、富岡と不死川の柱稽古、そして最後に次回の柱稽古編のクライマックスに繋がる導入が描かれました。なかなか盛沢山であったので、40分枠があっという間に過ぎた感があります。

富岡と不死川の柱稽古はアクションとどうでもいいギャグシーンだけだったので特に言うことはありませんが、まず善逸の決意ですが、チュン太郎が何か手紙を運んできて、それを読んだ善逸が急にシリアスモードになって「俺がやらなくちゃいけないんだ」と何やら覚悟を決めるのですが、手紙の内容が今回は明かされませんでしたので理由は謎のままです。ただ、これまでになく善逸がシリアスなので、よほどのことであるのは間違いない。

そして今回のメインは岩柱の悲鳴嶼の過去編だといえます。今回は悲鳴嶼の課した稽古をクリアした炭治郎を悲鳴嶼が認めてくれましたが、実は悲鳴嶼が認めてくれたのは刀鍛冶の里の戦いの最終局面で炭治郎が禰豆子よりも住民を選んだということでした。だが実際は炭治郎はその時自分ではどちらにするか選ぶことが出来ず、選択したのは禰豆子でした。だから自分を認めないでほしいのだと炭治郎は言いますが、それでも悲鳴嶼はそうした炭治郎の正直さが自分の思い描いていた子供のイメージを変えてくれたと感じて、やはり炭治郎のことを特別な子供だと認めてくれた。

そこで悲鳴嶼は炭治郎に自分の過去を語ります。悲鳴嶼は昔は僧侶で、寺で身寄りの無い子供を9人引き取って養っていた。そうして穏やかな日々を過ごしていたのだが、9人の子供のうちの1人が言いつけを破って夜の山に1人で出かけていき鬼に襲われてしまい、自分が助かるために悲鳴嶼と他の8人の子供を鬼に食わせる手引きをしてしまった。それで悲鳴嶼は鬼から子供たちを守ろうとしたが、子供たちは勝手な行動をとって鬼に殺されてしまい、1人だけ悲鳴嶼の言いつけに従って残った一番幼い子供を守るために悲鳴嶼は必死で戦った。それまで他人を殴ったこともなかった悲鳴嶼はその時生まれて初めて自分が強いことを知り、夜が明けるまでひたすら鬼の頭部を殴り潰し続けて、夜明けと共に鬼が消滅して悲鳴嶼はボロボロになりながらその子供を守り抜いた。だがその子供はあまりの恐怖に錯乱して「悲鳴嶼が子供たちを殺した」と事実と異なる証言をしてしまい、悲鳴嶼は投獄され処刑されることになってしまった。そこをお屋形さまに救われて鬼殺隊に入ったのだが、この事件の影響で悲鳴嶼は「子供は弱さゆえに自分のことで手一杯であり我欲が強く平気で嘘をつくのは仕方ない」と思うようになり、子供に対して疑り深くなったのだという。

それで悲鳴嶼は炭治郎と禰豆子に初めて会った時も、炭治郎がいろいろ弁明していることに対しても「子供ゆえに嘘をついているのだろう」と言って信じようとしていなかったのです。悲鳴嶼は子供は最初は調子のよいことは言っていても、いざ追い詰められると平気で前言を翻して本性を現すものだと思って信じていなかったのです。だが炭治郎がどんな状況に陥っても決して諦めず嘘をつくことなく信念を貫いている姿を見て、悲鳴嶼は炭治郎を特別な子供だと認めて、これからも手助けをしていきたいと申し出てくれた。

その後は善逸の決意の場面や、富岡と不死川の柱稽古の場面を経て、次いで鳴女の分身のような眼を不死川が発見して、産屋敷邸に鬼のスパイが侵入したことに不死川が気付く場面が描かれ、最後に鬼舞辻無惨が産屋敷邸に単身やってくるという場面で終わり、次回の最終話に続きます。次回はかなり盛り上がることが期待できます。楽しみに待ちましょう。そして、当然ながら「柱稽古編」の続編である「無限城編」も作られるでしょうから、その告知が次回の最後であるのかどうかも注目です。

 

 

転生貴族、鑑定スキルで成り上がる

最終話、第12話を観ました。

今回で最終話となりましたが、第2期が2024年秋クールに放送することが最後に発表されました。つまり分割2クール作品だったわけです。どう見ても中途半端なところで終わるのでどうするんだろうかと思っていたんですが、2期があるのなら問題なしです。面白い作品ですし、当然観ます。これでまた更に秋クールが楽しみになります。

今回の内容はやはり予想通りに中途半端なところで終わるものでしたが、2期への導入としては上出来です。まずミレーユを追い出すかどうかを決める模擬戦では、ミレーユがアルスを担いで逃げ回り、アルスを討てば模擬戦勝利なのでリーツが兵力の多くを率いて追いかけて、ミレーユがあらかじめ仕掛けていた罠でリーツ達を翻弄しながら逃げるのですが、リーツは罠を突破していき、兵士たちもそれに続くのでアルスはヒヤヒヤものです。

しかし、そうしてミレーユが実質1人でリーツ達を引き付けている間にミレーユ側の新兵たちはロセル率いる別動隊を狙い、兵力差で危機に陥ったロセルはシャーロットに連れられて逃走することになり、途中からロセルは1人で逃げることとなり、リーツから逃げ回っているように見せかけていたミレーユは実は最初からロセル狙いであり、タッチの差でミレーユがロセルを討つ方が早く、模擬戦はミレーユ側の勝利に終わる。

こうしてミレーユはローベント家に残ることとなり、リーツ達もミレーユのことを認めるようになり、自分たちの至らなかったところにも気づく。だが、ミレーユは今まで兵士たちの訓練をせずにサボってばかりいた理由は、そもそもリーツの訓練内容が的確で自分の出る幕が無かったからであり、兵士たちも十分に強兵なのであんまり教えることが無かったからだと言う。リーツの能力についても驚異的だと言い、シャーロットはそもそも本気で戦っていなかったし、ロセルも用兵が的確で、実はミレーユはもっと楽勝のつもりだったがロセルとリーツのせいでかなりギリギリまで追い込まれていたのだという。

そしてミレーユはこんな凄い家臣たちや兵士たちを有しているアルスが一番凄いと評して、一体何を目指しているのかと問いかける。それに対してアルスが「今は子供たちが笑って暮らせる領地を目指しています」と答えると、ミレーユはそれなら皇帝を目指すべきだと言い、君ならなれると太鼓判を押す。アルスは思いもよらないミレーユの言葉に驚きますが、次第に心動かされて、戦の無い世界を作るために皇帝を目指したいと思うようになる。そんな自分の想いを打ち明けるとリーツは自分がそのアルスの道を支えると言ってくれます。そうして最後はクランから招集がかかりアルスが家臣たちを率いて軍議に参加するため旅立つところで今回の最終話は終わり、秋クールの第2期に物語は続きます。2期では遂にミーシアン州の覇権を賭けた大決戦が描かれるのでしょう。楽しみですね。

 

 

無職転生Ⅱ ~異世界行ったら本気だす~ 第2クール

第23話を観ました。

今回も含めて残り2話となり、次回は最終話となりますが、最終話といっても2期の最終話ということであり、当然ながら3期も作られます。「無職転生」の場合はこのアニメ制作をしている制作会社のスタジオバインドが、そもそも「無職転生を最後までアニメ化すること」を目的に設立された会社ですから、物語の完結までアニメ化されることは最初から約束されているのです。まぁよほど人気が無くなれば話は別なんでしょうけど、相変わらず人気は高いままですから間違いなく3期は制作されるでしょう。それもそんなに期間を空けることもなく制作されるはずです。まぁ長期的な展望で完結まで描く方針みたいなので、そんなにすぐに3期が来るというわけでもないでしょうけど。1期の終了から2期の開始までは1年半の期間が開きましたから、おそらく3期の開始は2026年初頭ぐらいでしょうね。

そういうわけで、次回の最終話は節目のエピソードにはなるでしょうけど、内容的には3期へと繋がっていく締め方となるでしょう。だから今回の最終話前のエピソードもそんなにクライマックス感があるわけではない。前回のパウロ死亡という衝撃的な展開を承けてのお話となります。ただ「パウロの死」や「ゼニスの再起不能」という悲劇が今回のエピソードではあまり悲劇として機能はしていない。それは今回登場したキャラの中でパウロとゼニスの唯一の肉親であるルーデウスが実はあんまりパウロとゼニスの悲劇を悲しんでいないからです。その悲しみのピークはおそらく次回の最終話で描かれる。何故なら、ノルンとアイシャというパウロの娘2人がパウロの死を知ることになるからです。またノルンの場合はゼニスの実の娘でもあります。

パウロとゼニスの家族という意味では今回の登場キャラの中ではリーリャも含まれる。おそらく今回登場した人物の中で最もパウロとゼニスを襲った悲劇を悲しんでいるのはリーリャでしょう。実の息子であるルーデウスではなくリーリャの方がおそらく純粋にパウロとゼニスのために悲しんでいる。但し、じゃあルーデウスが気楽な立場なのかというと、それは全くの真逆なのであって、悲しむことすら出来ないところにルーデウスの真の悲劇があります。そして、リーリャの悲劇は誰もが理解してくれるけど、ルーデウスの悲劇は誰も理解してくれない。あまりにも孤独なのです。それが転生者の孤独といえるでしょう。その転生者ゆえの悲劇からどうルーデウスが立ち直り始めていったのかが今回描かれたのだと思います。

今回の冒頭の場面では、前回のパウロの死を承けてのルーデウスの苦悩が描かれる。ルーデウスは転生者であり、30歳ぐらいで死んだ前世の記憶を引き継いで生まれているので、精神年齢的に自分よりも年下のパウロやゼニスを親とは思えなかった。ルーデウスにとっての両親というのは前世の両親のままでした。ただ前世のルーデウスがそんな立派な息子であったかというと全然そんなことは無くて、無職引きこもりだった彼は前世の両親に対して息子として最期までマトモに向き合おうとしていなかった。そして、転生した後の今回の人生では、今度こそちゃんと生き直そうと決意して、快活な孝行息子を演じてきた。

でも内心ではルーデウスはパウロとゼニスのことを親だと認めておらず、親としてルーデウスに向き合おうとするパウロとゼニスに対して、息子として真にマトモに向き合ってきたのかというと、それは全く違うといえるでしょう。ルーデウスは単に世間が「あれは立派な孝行息子だ」と評価してくれるように演じていたに過ぎない。もちろん彼に何らかの下心があったりパウロ達に対する悪意があったわけではない。ルーデウスはもともと前世から親子の絆というものを知らずに生きて死んで転生してきたから、そもそも親子関係というものがよく分かっておらず、そうして世間体の良い息子であることが親子関係をマトモにやっていくことだと純粋に思い込んでいただけだったのです。

そうしてルーデウスは「自分は前世とは違って親子関係をちゃんとやっている」と自負していた。だが今回パウロが死んでしまい、ゼニスが再起不能になってしまったことに対して、他の皆のように純粋に悲しくならない。むしろパウロに関しては苛立ちすら感じてしまう。パウロが自分を庇って死んで、その出来事をノルンとアイシャに報告しなければならないことに絶望してしまうのだ。どうしてパウロのことを親だとも思っていないような自分なんかを庇ってパウロが死んで、そのことを心から悲しむことの出来ない自分が、そのことを心から悲しむノルンとアイシャにそのことを報告しなければならない羽目になったのか。ノルンとアイシャは自分にも同じ悲しみを分かち合うよう求めるだろうけど、自分は内心ではその要求に応えることは出来ず、表向きだけ彼女らと同じぐらい悲しんでいるように演じなければならないだろう。そして、そうして嘘をつき続けている自分の本性は妹たちに見破られて軽蔑の眼差しを向けられることになるだろう。それもこれも全部、パウロが自分みたいな「偽物の息子」を庇って死んだりしたせいなのだとルーデウスは苛立った。

しかし、それはパウロはルーデウスのことを本当に息子だと思っていたからなのです。本当の息子を守るためならばパウロという父親は平気で自分の命を捨てるのです。それを阻止できなかったのは、ルーデウスがそのことを理解出来ていなかったからです。つまりルーデウスはパウロの父親としての想いというものを全く理解出来ていなかった。それが理解出来ていれば、もっとルーデウスは慎重な立ち回りも出来て、パウロも死なずに済んだかもしれない。だから、ルーデウスのパウロへの無理解が今回の悲劇を招いたのであり、落ち度はルーデウスにある。そのことに気付いて、ルーデウスは自分がパウロとゼニスの親としての自分に対する気持ちに今まで全く向き合えていなかったのだと痛感した。そして自分が前世から全く変わっていなかったのだと愕然とした。ちゃんと生き直してきたつもりだったのに、本当は自分は何も変わっておらず、前世の両親が死ぬまで彼らに向き合おうとしなかったのと同じように、今回の人生でもパウロとゼニスに最期まで向き合うことが出来なかったのだと思い、パウロとゼニスに対して猛烈に申し訳ないと思った。そして、生まれたから今までの自分の生き直した人生は全く無駄だったと思えた。

そのような彼にしか分からない絶望感に自室に1人こもってルーデウスが沈んでいるところにロキシーがやって来る。エリナリーゼやギース達はルーデウスが単に両親を失った悲しみに暮れていると考えており、ルーデウスぐらい立派な冒険者ならば時間が経てばきっと自力で立ち直るから少し放っておこうと言っていた。だがロキシーはルーデウスの成長した姿よりも子供の頃の臆病だった姿をよく知っているので、本当に放っておいて大丈夫なのだろうかと心配になった。

それで部屋にやって来たのですが、ロキシーもまた、あくまでルーデウスが両親を失った悲しみに暮れているだけだと思っているので「自分にとってもパウロ達は親のようなものだからルーデウスと悲しみを分かち合いたい」と言って、ルーデウスの悲しみに寄り添おうとしてくる。しかしルーデウスはパウロ達を親と思えないから悩んでいるのであって、とことんルーデウスとロキシーの想いはすれ違い、ルーデウスは「生き直せたと思っていたのに何も変わっていなかった」とロキシーには意味の分からない泣き言を言って立ち去ろうとする。

ところがその立ち去ろうとするルーデウスの手を慌てて掴んだロキシーはルーデウスをベッドに押し倒して跨ってきてキスをする。そうしてルーデウスはロキシーにリードされてセックスに及んでしまった。実はロキシーは迷宮でルーデウスに救われた時からルーデウスに一目ぼれしていて、その後も恋心は募っていたのだが、パウロの死後になってエリナリーゼ達からルーデウスが既に結婚していることを聞いてショックを受けていた。だが、それでも落ち込むルーデウスを慰めることが出来るのは今この場には自分しか居ないのだと思い、そういう口実で、もう結ばれることはなくなったルーデウスと一晩だけの想い出を作ろうという下心もあったのです。

そうして2人はセックスしてしまったんですが、普通は絶望に沈んでいる時に誘惑してきた女の誘いに乗って妻のある身で不貞を働いてしまったとなれば、ますます自己嫌悪に陥るところですが、ルーデウスは妙にスッキリした気持ちになった。それは、おそらくルーデウスが「今回の人生はちゃんと生き直そう」と誓いを立てた初心に戻ることが出来たからなのでしょう。おそらく今のルーデウスを救うことが出来たのはロキシーだけだった。シルフィやノルンやアイシャでは無理だったでしょう。それは、彼女らはルーデウスが人生を生き直した後で出会った人たちだったからです。いや厳密に言えば「自分は人生を生き直すことが出来ている」という自己欺瞞の中で築き上げた人間関係の相手だからです。シルフィ達にいくら慰められてもルーデウスはどうしても欺瞞に満ちた自分と向き合い苦しむことになったでしょう。しかしロキシーはルーデウスにとってそうした欺瞞に満ちた人生を始める前の時間を共に過ごした相手でした。その時にルーデウスの傍にいたのはパウロとゼニスとリーリャとロキシーだけでした。そのうちパウロとゼニスはもう居らず、残るはリーリャとロキシーだけでした。その中でも特にロキシーはルーデウスが「今回の人生はちゃんと生きよう」と決意するきっかけを与えてくれた人物でした。

その決意に至る前の自分というものをもうルーデウスは忘れていた。あの瞬間にルーデウスの今回の人生は始まったのであり、それ以降はルーデウスにとってロキシーは神聖不可侵な人生の師匠となった。だが今回、ロキシーを1人の女性として抱いて、ルーデウスは自分がその決意以前の幼少期はロキシーを性の対象として見ていたことを思い出して、転生後どう生きていいのか分からず試行錯誤していた時期の記憶が鮮明に甦った。そして求めてやまなかったロキシーの身体を貪ってスッキリして朝を迎えて、ロキシーを傍に感じて、ルーデウスはもう一度あの決意の時の気持ちに戻って「今度こそちゃんと人生を生き直したい」と思えるようになったのです。一旦初心以前の気持ちに戻って、そこで導き手としてのロキシーと一体になったことで、あの決意の時の気持ちに戻ることが出来たといえるでしょう。

そして、そうしたルーデウスの決意を最終的に後押ししてくれたのは、その人生の原点の時期を共に過ごしたもう1人の相手であるリーリャでした。リーリャはルーデウスの誕生時からずっと彼を見ており、観察眼の鋭い彼女は、ルーデウスの違和感に最初から何となく気付いていた。ルーデウスがパウロやゼニスのことを親だと思っていないことも何となく察していて「悪魔憑き」なのではないかと怪しんでいた。別人が中に入っているという意味ではその観察はあながち間違ってはいない。

その後、ロキシーが去った後で急にルーデウスが孝行息子みたいになったことに困惑しつつもリーリャはルーデウスを信頼するようにはなったが、それでも一抹の違和感はルーデウスに対して抱き続けていたのでしょう。それが今回のパウロ死亡事件で何らかの確信に変わったのだと思われる。あくまでゼニスの世話をすると言うルーデウスに対して、リーリャはそれは自分の役目だと言ってキッパリ拒絶して「ルーデウス様は自分のするべきことをしてください」と言ってくれた。普通は息子が母親の世話をすると言ってくるのをこんなふうに拒絶はしないものですが、リーリャはルーデウスが無理をしてゼニスの世話をしようとしていることが分かっていたのでしょう。だから、ルーデウスをその枷から解放して、ルーデウスがこれから歩む「新しく生き直す人生」に向かうよう背を押してくれたのだと思われます。それはルーデウスにとっては冷たい言葉ではありましたが、同時に慈愛を感じる言葉でもありました。

その後、ルーデウス達は帰路につき、砂漠を突っ切って転移魔法陣の遺跡に行き、そこで転移魔法陣を使って中央大陸のラノア近くの森に戻った。そして森の中で野営している時、ルーデウスはロキシーに自分が既に結婚していることを告げますが、ロキシーは既にそれを知っていることを打ち明けて、それでもルーデウスを好きになってしまったので、ルーデウスが落ち込んでいるのを救えるのは自分しかいないと思い、その実は下心で一時だけ想いを遂げようとして行為に及んだのだという気持ちを伝えて、この旅が終われば自分は身を引くと言います。

しかし、ルーデウスはロキシーだけが幼少時の臆病だった頃の自分を覚えてくれていて、その自分に寄り添ってくれたのだと知り、やはりロキシーと一緒にこれからの人生を生き直したいと思った。しかしシルフィのことを愛しているのも紛れもない事実であり、ルーデウスはロキシーへの思いは断ち切るべきだと考える。だがロキシーの想いを察したエリナリーゼはロキシーの幸せを願ってルーデウスにロキシーと結婚するよう求める。この世界ではルーデウスの家の信仰ならば重婚はタブーではないのです。だからシルフィとロキシーと同時に結婚することは出来る。

しかしルーデウスはそんなことをしたらまるで自分が散々軽蔑していたパウロの行為と同じだと思い困惑する。そしてシルフィにもロキシーにも嫌われたらどうしようと迷うのだが、エリナリーゼはならばこの場でまずロキシーの気持ちを聞こうと言ってロキシーを呼んできてルーデウスと2人で話をさせる。それでルーデウスはさんざん迷った挙句、それでもどうしても2人とも幸せにしたいと思ってロキシーに求婚し、ロキシーは驚き喜びますが、シルフィの許可を取ってからもう一度求婚してほしいと応えてその場は一旦話は終わる。それで安堵したルーデウスであったが、よくよく考えたら自分は最低だなと思い、こんな最低なことをしていながら嬉しい気持ちになっていることに気付く。そして、パウロがリーリャと浮気して2番目の妻に迎えた後も決してグレイラット家は不幸にはならなかったことを懐かしく思い出し、やはり自分はパウロの息子なのだと初めて本心から実感することが出来たのでした。こうして今回の話は終わり、次回は2期の最終話ですが、パウロの死を2人の妹に伝えねばならない辛いエピソードになりそうですが、ロキシーとの重婚問題も決着をつけねばならず、更にこれからルーデウスが何を目指すべきなのかも見えてくるエピソードになると嬉しく思います。

 

 

死神坊ちゃんと黒メイド(第3期)

最終話、第36話を観ました。

今回で3期にわたって展開された物語も遂に完結しました。まさに大団円という内容でありました。今回まず坊ちゃんの名前が「ビクター」だと最終話にして初めて判明しました。そして坊ちゃんは本邸に行って母親のガーベラに「アリスと結婚して、家督は継がない」と伝える。坊ちゃんは勘当されると覚悟していたのですが意外にもガーベラはそれを認めてくれて坊ちゃんは縁を切られませんでした。子供の幸せが自分の幸せだというガーベラは「長男が家督を継ぐべき」という貴族の仕来りは変えていくと言い、家督は次男のウォルターに継がせることにした。ウォルターも坊ちゃんが呪いが解けてアリスと結婚することを祝福してくれました。そして坊ちゃんは屋敷も出ることになり実家の援助も無くなるので、音楽で生計を立てていくことにして、ジェミニ座の団長に住む部屋を探してもらい、仕事もツテで紹介してもらえることになりました。そして坊ちゃんは呪いが解けたら団長と握手をするという約束を果たす。

一方、ウォルターは跡継ぎになるにあたってガーベラにお見合いを勧められるがダレスを好きだと言い、ダレスはウォルターとキスをして人間になり、シャーデーがガーベラを説得して、ガーベラもウォルターとダレスの結婚を認めます。そして坊ちゃんはロブにこれまでのことを感謝して、ロブには自分の意思を尊重して今後の生き方を決めてほしいと伝えます。そして坊ちゃんは病気療養中の父親にも呪いが解けて家を出ることになったことをガーベラと共に報告に行き、その帰路においてガーベラからの愛情を感じて、今まで自分が勝手にガーベラを怖がって拒絶していたのだということに気付き、呪いを言い訳にして母の気持ちを理解しようとせず、ずっと自分を待っていてくれた母親を裏切る結果となってしまったことを涙を流して詫びます。しかし、そんな優しい坊ちゃんをガーベラは抱きしめて赦してくれました。

そして屋敷を出ていく前に坊ちゃんとアリスの結婚式が屋敷で行われ、カフとザインやジェミニ座の皆やアメリア、フィリップ達もやってくる。ロブは坊ちゃんとアリスに付いていくことをヴィオラに告げ、ヴィオラは坊ちゃんの新居に遊びに行くと言います。また、シャーデーはシャロンに呪いをかけたことを謝罪し、シャロンはアリスの病気を治してくれたこと、そしてシャーデーの呪いのおかげでアリスが坊ちゃんと再会して結ばれることが出来たことをシャーデーに感謝します。そしてフィナーレは坊ちゃんとアリスの結婚式の場面が1期のOPテーマのウェディングバージョンと共に流れて物語は完結したのでした。