2024春アニメ 5月20日視聴分 | アニメ視聴日記

アニメ視聴日記

日々視聴しているアニメについてあれこれ

2024年春アニメのうち、5月19日深夜に録画して5月20日に視聴した作品は以下の4タイトルでした。

なお「無職転生Ⅱ ~異世界行ったら本気だす~ 第2クール」の第19話は今週は特番でお休みで、来週放送となります。

 

 

響け!ユーフォニアム3

第7話を観ました。

今回はまず特筆すべきは「水着回」でした。超美麗作画でキャラデザインも抜群に可愛いこの作品、仮に話の中身がクソみたいにスカスカであったとしても「水着回」というだけで神回は確定と言っていい。それぐらいの価値はあるのだが、そんなことを力説しても仕方ないのでちゃんと内容の話にします。だが水着回であったことだけは触れておきたいと思ったので最初に触れておきました。

さて、それで今回は府大会が終わって関西大会に向けての練習が始まる場面からの開始となります。前回のエピソードが府大会で演奏するコンクールメンバーを決めるオーディションの話で、今回はそれを承けて府大会のお話かと思いきや、府大会の描写は省略されて、府大会は無事に金賞を獲って関西大会への出場権も獲得したというところから今回の話は始まる。

まぁ「ガールズバンドクライ」とか「夜のクラゲは泳げない」みたいに毎回違う楽曲を使えるわけではなく、この作品の場合は吹奏楽コンクールを描くのがメインなので、府大会でも関西大会でも全国大会でも演奏曲は常に同じなわけです。この3期は全国大会がクライマックスになるのは間違いないので、そこで必ず演奏シーンは描かれるでしょうから、その前に同じ曲の演奏シーンとなる府大会や関西大会の演奏場面を描いてしまうと重複になってしまう。だから府大会の場面がカットされたのは当然といえば当然といえます。

アニメ1期では久美子が1年生時の府大会までしか描かれなかったので当然、府大会の演奏シーンが描かれました。アニメ2期の場合は久美子が1年生時の全国大会まで描かれましたけど、そこでは金賞を獲って全国大会出場を決めた関西大会の方の演奏シーンが描かれ、銅賞に終わった全国大会の方は演奏開始までの流れが描かれただけで演奏シーンそのものはカットされました。そして久美子が2年生時の関西大会までが描かれた劇場版「誓いのフィナーレ」ではダメ金に終わった関西大会の演奏シーンが描かれました。このように同一作品において同じ曲の演奏シーンを2回描くという構成にはなっていないので、この3期でもおそらくは全国大会の演奏シーンまではコンクールの演奏シーンは無いものだと思われます。

ただ、アニメ1期ではサンライズフェスティバルの演奏シーンが描かれ、アニメ2期では駅ビルコンサートの演奏シーンが描かれましたから、厳密に言えば演奏シーンは1回だけなのではなく、別の曲を演奏出来るシチュエーションでならば他の演奏シーンもあり得る。むしろ1クールの間に演奏シーンが1回だけという可能性の方が少ないとも思います。しかしこの3期では既にサンライズフェスティバルの演奏シーンはカットしていますし、駅ビルコンサートが描かれるかどうかは分かりません。だから案外、関西大会の演奏シーンはあるのかもしれないとも思います。コンクールの演奏曲は「課題曲」と「自由曲」の2曲ありますから、関西大会では課題曲の演奏シーン、全国大会では自由曲の演奏シーンというふうに分けるか、関西大会では課題曲か自由曲の一部のみの演奏シーンを描いて、全国大会では2曲通しての演奏シーンを描くという感じもあり得るかもしれない。

まぁそのあたりは今後のストーリー展開によっても変わってくるでしょうからハッキリしたことは分かりませんが、とにかく府大会がこの3期においてバッサリとカットされたことは十分に納得できる構成だったとは思います。現在の北宇治の実力ならば府大会を突破するのは当然といえますし、そこは大した山場ではないでしょう。問題は次の関西大会です。関西は強豪が多くて、北宇治は「全国大会金賞」を目標に掲げてはいますが、久美子1年生時の関西大会は下馬評は決して高くはなくて、他の強豪校がミスをした上で奇跡的ともいえる名演奏を成し遂げた北宇治が全国大会に進んだのであり、久美子2年生時の関西大会では金賞は獲ったものの全国大会へは進めませんでした。だから今年の北宇治にとっては現実的には実は関西大会が最大の壁なのだといえます。その関西大会を突破した上で、2年前は銅賞で終わった全国大会でも今回は金賞を獲ろうというのですから、これまでの北宇治の殻を破った演奏が求められます。

今回のエピソードは8月初旬の府大会を終えて、8月28日の関西大会に向けての練習が始まったところで一旦部室や楽器室の大掃除をした上で8月18日から始まる夏合宿に備えての8月13日からの3日間のお盆休みを主に描いたエピソードとなっています。今回のサブタイトルは「なついろフェルマータ」であり「フェルマータ」は毎度のごとくこれも音楽用語であり「音符や休符を伸ばす」という意味なんですが、原義としては「動きを止める」という感じですから、まぁ「なついろフェルマータ」は「夏休み」という意味と考えればいいでしょう。

夏休みはほとんど練習で潰れる吹奏楽部の部員たちにとっては毎年本当の意味で夏休みといえるのはこのお盆休みの3日間だけであり、この貴重なオフの期間を使って久美子が葉月と大学の説明会イベントに行ったり、実家に帰省してきた姉と再会したり、皆とプールに遊びに行く様子が今回は描かれました。そうなると一見すると久美子のプライベートな側面が主に描かれたエピソードのように見えます。実際、久美子は進路のことを悩んだり、真由との関係に悩んだりしている場面が多く、吹奏楽コンクールのことはこのお盆休み期間は忘れているかのようにも見える。

しかし、私は今回のエピソードは案外と難関の関西大会に向けて北宇治高校吹奏楽部の演奏の問題点について考える取っ掛かりとなるエピソードだったように思えてくる。それは今回、真由の口から唐突に「リズと青い鳥」の話が出てきたからです。それは真由が自分の人間性について語る場面だったのですが、真由という人間を描くこと自体もこの3期においては非常に重要な要素ではあるのでしょうけど、しかしそこにわざわざ「リズと青い鳥」を絡める必要は普通は無い。それをあえて絡めて描いているということは、これは単に真由という人間を語る上で「リズと青い鳥」を使っているというわけではないでしょう。

いや、そもそもく黒江真由というキャラをこの3期で唐突に登場させてメインキャラとして描く必要性がどうも謎なのです。そこには何か大きな意味があるはずであり、おそらく北宇治が全国大会で金賞を獲るために必要な何かを気づかせるヒントとなるキャラなのでしょう。ここまで見た感じでは真由個人に北宇治吹奏楽部を急激に発展させる指導力や実力があるというわけでもないようですから、真由という存在を通じて久美子たちが何かに気付くという役割のキャラなのでしょう。別にこの物語が真由というキャラを救済することが目的のものではないと思うので、真由をどうするかというのは大して重要ではなくて、真由という存在を通して久美子たちが何に気付くかが大事なのでしょう。そして、その過程で自然に真由も救済されていくのだと思います。

その真由の口から「リズと青い鳥」の話が唐突に出てきたのですから、そこには深い意味があるのかと思えてくる。いや、話は逆なのであり、唐突に真由の口から「リズと青い鳥」の話が出てきたからこそ、真由というキャラが北宇治の演奏の進化のために何らかのヒントを得るために登場させられたキャラなのではないかと思えたのです。それぐらい「リズと青い鳥」というのはこの作品にとって重要ワードといえます。

「リズと青い鳥」というのはこの「響け!ユーフォニアム」シリーズの劇場版の1作品のタイトルですが、同時にその映画の中で演奏されている楽曲のタイトルでもあります。また、劇中設定でその楽曲の元となった同じ名前の童話が存在するとされています。このように「リズと青い鳥」という言葉には三重の意味が含まれている。また、この映画における楽曲としての「リズと青い鳥」は北宇治高校吹奏楽部の久美子が2年生時のコンクール自由曲であり、もともとこの映画「リズと青い鳥」と同じ原作小説の内容を2つに分けて同じ時系列を別視点で描いた別映画が「誓いのフィナーレ」なのであり、「誓いのフィナーレ」において描かれた吹奏楽コンクール関西大会で自由曲として演奏されたのが、この楽曲としての「リズと青い鳥」なのです。言い換えれば、久美子が2年生の時の関西大会で敗退した時の曲がこの「リズと青い鳥」なのです。

つまり、去年の「リズと青い鳥」の演奏を超えなければ今年の関西大会は突破出来ないということです。ならば去年の「リズと青い鳥」の演奏は失敗だったのかというと、そんなことはなくて「最高の演奏が出来た」と当時の部長の優子が言い切っているように素晴らしい演奏だったと思う。まぁ私は絶対音感を持っているわけでもないので演奏自体の良し悪しはよくは分からないのだが、「誓いのフィナーレ」の物語の流れ的には関西大会の敗退は意外に感じられたので、敗退を予感させるような良くない要素は描かれていなかったとは思う。ならば同じ時系列が別視点で描かれた映画「リズと青い鳥」の方で何か不穏な要素が描かれていたかというと、少なくとも演奏に関しては本番シーンは無かったが練習シーンで部員たちが感動して泣くぐらいの良い演奏に仕上がっていたし、敗退を予感させるような何か人間関係の不穏な要素なども最終的には全て解決した状態で終わり、物語終了後の関西大会に臨めていたはずです。

しかし、それでも現実に去年の関西大会では「リズと青い鳥」で敗退しているわけですから、関西大会を突破するためには去年の北宇治の「リズと青い鳥」には何かが足りなかったのでしょう。それは映画「リズと青い鳥」の物語の中で描かれているのであり、劇中設定としては現在3年生となった久美子たちから見て1年前の出来事の中にそのヒントが隠されているということになる。自分自身を「何かが足りない」と評する黒江真由というキャラの口から「リズと青い鳥」の話が出ることによって、久美子がその足りない部分に気付いていく流れになるのではないかと思えてくるのです。

そういう感じで今回のエピソードを冒頭から見ていくと、まず8月初旬の府大会が終わって、北宇治は関西大会出場を決め、8月第2週からは関西大会に向けての滝先生のスパルタ指導がますます加速していく。しかも今年は関西大会前にも全国大会前にもオーディションをやってコンクールメンバーを選び直すので、全員がそのスパルタ指導をずっと受けることになる。オーディションでまだコンクールメンバーに選ばれる可能性があること自体は部員全員のモチベーション維持のために有意義なのだが、サンライズフェスティバル前の麗奈の厳しい指導に1年生が音を上げてしまった時みたいに、スパルタ指導によってモチベーションが低下するというリスクもある。滝先生の厳しさは麗奈の厳しさの比ではないし、今年は全部員がその厳しさにずっと晒されるのだから、部長の久美子が部員のモチベーション維持のためにケアしなければいけない対象は過去最大に膨れ上がってしまっている。滝先生が「オーディション回数を増やすと幹部の皆さんも負担が増えますよ」と言っていたのはこういう意味だったのですね。そういうわけで滝先生の指導が厳しくなればなるほど部長の久美子の負担も増えて大変となります。

部員のモチベーションに大いに関係のある2回目のオーディション、つまり8月28日の関西大会の出場メンバーを決めるオーディションは夏合宿初日の8月18日に実施し、結果は翌19日に発表されます。久美子はそのことを部員全員の前で発表して、とにかく関西大会に向けて皆で頑張ろうと言い、ひとまず部長らしいことをしたと満足しますが、廊下で真由の姿を見て、府大会の前に真由につい冷たい対応をしてしまったことがずっと気になっていたのを思い出して声をかけようとしますが、他の部員に質問があると呼び止められてしまい、結局真由とは喋れませんでした。

低音パートの練習教室では皆が集まってワイワイやっていて、前回オーディションで不合格となって落ち込んでいたさつきもすっかり元気になって1年生の指導をしていて一安心です。そこに久美子もやってきますが、真由の姿が無いことに気付いて、真由はどうしたのかと奏に聞くと、1人で練習すると言って個人練習用の場所に行ったようです。どうもやはり府大会前の一件以来、真由が皆と距離を置いているように感じられて、久美子は自分のせいなのだろうかとちょっと悩む。

そんなこんなで色々と気苦労が絶えない久美子にとっては間近に迫ったお盆休みはようやく一時でも気の休まる時間であり、そこまで何とか乗り切ろうと猛暑の中頑張って、下校時にはかなり疲れてグダっていたところ、麗奈がお盆休みの予定を聞いてくるので休むことしか考えていなかった久美子が生返事していると麗奈が急にイライラしてキレてくるので、久美子はその理不尽さに閉口してしまう。よくよく聞いてみると、麗奈はお盆休みになると久美子に会える時間が減るので寂しいようで、一緒にプールにでも行きたいのだという。

まぁ毎年お盆休みはプールに行っているのだが、今年は音大受験なんかもあって麗奈も忙しくてプールどころではないのだろうと久美子も思っていたのだが、麗奈はあくまで今年も久美子とプールには行きたいみたいです。お揃いの水着も買っているらしい。視聴者的にもその麗奈のこだわりは嬉しい。更にそれを聞いて久美子が真由も誘って仲直りの機会にしようと思い付き、真由を誘いやすいように他の皆もたくさん誘うことになり、これで北宇治吹奏楽部の美少女軍団の水着回の実現の運びとなり、麗奈には感謝の言葉しかありません。

ただ、プールに行く日程を決めるにあたって、奏と梨々花の2人が13日は大学説明会のイベントに行くのでNGだと言う。2年生なのにそんなものに行くのかと驚く久美子だったが、奏はそんなのは普通だといつもながらナチュラルに煽ってきます。それで結局、久美子も葉月と一緒についていくことにして、久美子のお盆休みの予定は13日に大学説明会に行き、14日に皆でプールに行くということになり、家でのんびりするのは15日の1日だけということになりました。

そうしてお盆休み前日の12日の放課後はお盆休み前恒例の吹奏楽部の大掃除となり、久美子たち低音パート一同が楽器室の大掃除をしていると、そこに前部長の優子と前副部長の夏紀が差し入れを持って遊びに来る。相変わらずの「なかよし川」であったが、夏紀がユーフォニアムを見て懐かしがっているのを見て、奏は何だか拗ねた様子となる。大学に進学した夏紀がもうユーフォニアムを吹いていないのだと思うと何だか寂しいのでしょう。

夏紀は高校から吹奏楽を始めたクチだが、子供の頃から楽器をやっている子でも大学に進学した後も楽器を続ける者はそこで一気に減る。やはり音大に進学するか否かで、そこをきっかけに音楽から離れる者が多いようです。それだけ大学生の年齢以上の音楽家のレベルが高いということであり、高校レベルとそれ以上のレベルの差は大きいということでしょう。だから「音楽は高校部活まで」と考える子は多い。つまり、多くの者にとって高校最後のコンクールは人生最後のチャンスなのであり、高校3年間の部活はかけがえのない時間なのだといえる。

優子にとっても夏紀にとっても1年前の夏の終わりの関西大会は人生最後の機会だった。いや、人生最後のチャンスは秋の全国大会であるはずだった。しかし夏の関西大会で終わってしまうという残念な結果となった。そして今年もまた夏の終わりに関西大会が巡ってきて後輩たちがそれに挑むということでこうして激励に来てくれたのです。自分たちが行けなかった全国大会に後輩の久美子たちが進んでくれることを期待しての激励でした。

だから、ここで優子と夏紀が激励に来るというのはタイミング的に全く自然といえる。お盆休みで予定も上手く合ったのでしょう。そしてやってきてみたら大掃除のタイミングだったという話です。ただ、今回のエピソードでは後で優子たちと同学年の、顎関節症で途中リタイアしたカベちゃん先輩と縁の深かった2年生の小日向夢が登場してカベちゃん先輩の話をしたりする場面もあり、1年前の残念な結果を想起させる場面がやや目立つ。そしてプールの場面では真由の口から去年の関西大会で敗退した際の自由曲である「リズと青い鳥」の話が出る。そう考えると、やはり今回のエピソードの裏テーマは関西大会を前にして「いかにして去年を超えるのか」というものであるように思えてくる。

そして翌日からお盆休みに入り、13日は久美子と葉月は大学説明会のイベントに参加した。いつもの北宇治カルテットの4人のうち、麗奈は音大一筋であり、緑輝も志望校が決まっているらしいので、進路がまだ決まっていない久美子と葉月が2人で来ることになったのでした。そうして久美子と葉月は一旦別れて各自の気になったブースを回ろうということになり、久美子は様々な大学のブースを回った後、葉月と待ち合わせて合流してお茶を飲むことにした。

そうして合流した時点で2人は疲れ果てていた。身体も疲れたが、自分の意識の低さを痛感させられて精神的ダメージがかなり深刻でした。だが、そんな疲労の色を滲ませながら、葉月は短大に進学して保育士の資格を取ると決意したと言う。久美子はそんな話は初耳だったのでビックリするが、葉月も保育士になろうと思い始めたのは最近なのだと言う。前日の久美子が絞られた二者面談の際に葉月は担任の松本先生に「面倒見が良くて子供好きだからいいんじゃないか」と保育士を勧められて、葉月もちょっとやってみてもいいと思ったのだそうだ。そういう状態で今回の大学説明会で周囲の意識の高さに触発されて葉月は一気に決意が固まったようです。

しかし、そんな葉月の言葉を聞いても、久美子は「どうしてそんなに簡単に決められるのだろう」と驚くばかりだった。そして、自分はそんなに簡単には決められないと思ったが、そんなふうに思う自分の方がおかしいのかもしれないとも思う。高校3年生ぐらいで一生の仕事が見つかるはずがないということは松本先生にも言われたし、梓もそれを見つけるためにとりあえず音大に行くのだと言っていた。姉の麻美子もなんとなく大学に進学してから辞めて美容師を目指したりした。そっちの方が普通なのだろうと思う。それでも何故か「なんとなく」で自分の進路を決めようという気にはどうしてもなれない。

そして翌日は皆でプールに行き、久美子と麗奈はまず下級生たちを泳ぎに行かせてやってプールサイドの木陰で荷物番をしてやることにした。するとその場に残ったのは他にはつばめと真由だけであり、つばめと麗奈が売店に買い出しに行ったので久美子は真由と2人きりになった。それで久美子は真由と仲直りするチャンスだと思って真由の隣に座る。だが話題が見つからず少し沈黙の時間が続いてしまい、久美子が焦って「暑いね」なんて下らないことを言うと、真由はにこやかに応じてくれてそこから会話はスムーズとなる。

しかし、真由は他人を褒めるのは上手なのだが、自分が褒められると妙にはぐらかすような感じになり、どうも会話がギクシャクしてしまう。久美子は下級生たちもみんな真由のことが好きだと言って真由を喜ばせようとするのだが、真由は自分は皆が喜ぶと思っていることをやっているから好かれているだけなのだと言う。確かに真由は何を言ってもにこやかに応じてくれるが、それは本心から嬉しくて笑っているのではなく、相手を喜ばせるために笑っているのだというのです。確かにいつも真由はにこやかで親切で、今回もプールに誘ったら嬉しそうにして応じてくれたが、それもそう対応したら久美子が喜ぶと思ったからそうしたということになる。本心では真由はプールには来たくなかったのかもしれない。現に今も1人になるとそんなに楽しそうには見えない。そう考えると、真由が自分に話しかけてくるのも、そうしたら自分が部長として喜ぶと思ってのことなのであって、本当は自分と話などしたくないのかもしれないとも久美子には思えた。あるいはオーディションで全力で吹いたのだって、自分が全力で吹いてほしいと望んだからそれに従えば自分が喜ぶと思ったから全力で吹いてくれただけなのかもしれないとも思えた。真由はとにかく相手が喜ぶことだけやって、相手が嫌がることをやらない。だからいつもにこやかなのであり、オーディションも辞退しようとした。真由としたら、そうした方が皆が喜ぶと思ったから辞退しようとしたのだ。ところが辞退しようとしたら久美子が反対したので、それで今度は久美子を喜ばせるために態度を180度変えて全力で吹いたのだ。

真由の行動は全てが相手を喜ばせるために偽りの顔なのであり、真由の本心は別のところにある。そのことに気付いた久美子は真由の本心を知らねばいけないと思った。自分たちが意図しないまま真由に本心とは違う行動をとらせてしまっていて、そのことで真由が苦しんでいるかもしれないと思ったからです。だが真由は別に自分の本心を隠しているのではないのだという。どうやら真由自身が自分の本心が分からないようなのです。真由の言うには、普通の人より「自分」というものが無いのだという。「好きとか嫌いとかあんまり無くて、大抵のことはどっちでもいい」という真由の言葉を聞いて、久美子は真由が常に他人に合わせて流されていても平気な理由が分かった。自分の意思というものが特に無くて、常に「どっちでもいい」と思っているから、とりあえず目の前の相手の喜ぶことだけやっていれば無難だと考えることが出来るのだ。好き嫌いがある人はなかなかそうはいかないのだが、真由の場合はそれが出来てしまう。

それは、ある意味では特技ともいえる。そうやって他人と常に上手く合わせて生きることが出来ることは誇ってもいいことのはずです。だが真由はそんな自分を何故か卑下している。常に自分は他人に嫌われていると思い込んでおり、自分に向けた他人の好意は、まるで自分の見せかけの善意に騙されているだけに過ぎないというような卑屈な見方をする。ただ、久美子は実はそうした真由の自身を卑下した見方に共感できてしまった。何故なら、久美子もまた真由みたいな人間を嫌いだったからです。

これは正確には真由を嫌いという意味ではない。真由みたいな「自分というものがなくて、なんとなく周囲に流されて生きているだけの人間」が嫌いなのです。どうして嫌いなのかというと、それは久美子自身の中学生の頃と同じだったからです。中学生の時の久美子はそんなヤツで、中学最後の吹奏楽コンクールで麗奈が悔しがって泣いている姿を見て、そんな自分が間違っていると気付かされて、そうして北宇治の吹奏楽部に入って、「なんとなく生きている」自分から脱却することが出来たのです。だから今の久美子は中学生の頃の自分みたいな「なんとなく流されて生きている人間」が嫌いです。

だが、久美子が変わることが出来たのは北宇治の吹奏楽部に入ったからなのであり、高校最後のコンクールが近づいてきて、久美子は北宇治の吹奏楽部を卒業してしまうと自分は元の中学生の頃の自分に戻ってしまうんじゃないかと不安になっている。だから「なんとなく流されて生きている自分」というのは久美子にとって過去の自分であると同時に未来の不安そのものでもあるのです。だから久美子は自分の進路を「なんとなく」決めることを極度に恐れている。そんなことをしたらきっと自分は元のどうしようもない「なんとなく流されて生きる自分」に戻ってしまうにちがいないと思って不安になってしまうのです。そして、黒江真由という中学生の頃の自分を彷彿とさせる人物は、久美子にとっては未来の不安を掻き立てる人物でもあるのです。だから久美子は真由になんとなく苦手意識を持ってしまい、ついつい真由を避けてしまうのです。

そうした自分と真由の関係性について腑に落ちた久美子に向かって、真由が意外な話題を振ってくる。真由は北宇治が去年の吹奏楽コンクールの自由曲で「リズと青い鳥」を演奏したという話題を出して、その上で「私はリズは欲張りだと思ってしまう」と言う。どうしてなのかというと、一緒に過ごしていた動物はたくさんいるのにリズが青い鳥だけに固執したことに共感できないからなのだと真由は言う。

去年の北宇治の自由曲「リズと青い鳥」には元となった同名の童話があり、そのお話は孤独な少女リズが青い鳥と共に暮らすようになり互いに愛し合うのだが最後はリズが青い鳥が自由に飛ぶのが幸せだと気付き、自分から青い鳥を解き放ち別れを告げるというものでした。だが真由はそもそもリズが青い鳥に固執した意味が分からないのだというのです。ただ、真由は同時に、自分のそんな感じ方は「普通」ではないのだろうとも言う。普通の人は自分みたいな人間とは違って好き嫌いがあるから特定の相手に固執するのだ。だからリズが青い鳥に固執したことにも共感できるのだろうと真由は言う。

ここでは真由はそれぐらい自分は変わった人間なのだということを言いたいわけだが、久美子はそれが「普通じゃない」というのは極端な考え方ではないかと反論する。実はそれはその通りで、真由はひたすら自分のように「自分というものを失い、なんとなく流されて生きている人間」が普通じゃないと決めつけているが、案外世の中はそんな人間の方が普通なのかもしれない。久美子だって中学生の時はそんな人間だったし、将来の自分もそんな風になるんじゃないかと危惧している、それぐらい世の中はそんな人間であふれている。

だから真由がそんな人間を「普通じゃない」と卑下するのは、単にそんな人間を嫌いだからなのです。自分自身も含めてそんな人間を嫌悪する感性が真由にあるので、真由はそんな「好きなものに固執しない人間」を嫌悪している。そして、それは自分だけじゃないはずだと言わんばかりに、真由は久美子に向かって「そういうのが全くない人のことを本気で好きになることは絶対ない」と言って、久美子の目を見つめる。つまり「好きなものに固執しない人間」を自分が嫌っているのと同じように久美子もまた嫌いなのだろうと問いかけているのです。そして、それはまさに大当たりで、久美子は真由も昔の自分も将来そうなるかもしれない自分も含めて、そういう人間のことが嫌いでした。そしてまた、それは真由や久美子だけではない。音楽に関わる一定の感性を持った人間はそういう「好きなものに固執しない人間」をあまり好まないものなのだ。

だから1年前の関西大会で北宇治の「リズと青い鳥」の最高の演奏では全国大会に行けなかったのです。この「リズと青い鳥」という楽曲に北宇治吹奏楽部がどう取り組んだかについては映画「リズと青い鳥」に詳細に描かれている。この映画は楽曲「リズと青い鳥」のメイン奏者となるオーボエ担当の鎧塚みぞれとフルート担当の傘木希美の2人の物語であり、高校3年生である2人の進路問題も絡めながら、互いに惹かれ合いながらもその惹かれるポイントのすれ違う2人の曲の解釈の食い違いが解消されていき、最後は互いに依存し合う関係を解消して2人が成長していき演奏も完成されていくという、非常に美しい物語でした。この映画について語りだすとキリが無いというぐらいの名作なのですが、ここでは詳細部分は関係ないので触れません。ただ間違いなく名作ではあるのですが、私はこの映画が好きか嫌いかで言うと、別にそんなに好きではありません。あまりにも結末が寂しいと思えたからです。人生における成長というのはこういうものなのでしょうけど、あまりに切なくて高揚するものがなかった。それは結局、これが別れの物語だからです。

そして、それはみぞれと希美と北宇治吹奏楽部の演奏した楽曲「リズと青い鳥」の元となった童話「リズと青い鳥」も同様であり、結論としては、リズは青い鳥と別れてしまうのです。つまり、真由はこの物語は「好きなものに固執する物語」だと言ったが、実際はこの物語は「好きなものに固執しないことを成長だと見なして肯定する物語」なのです。それはもちろん映画「リズと青い鳥」の物語の中で互いに対する固執を解消することを成長と見なして演奏を完成させたみぞれと希美にしても同じことであり、去年の北宇治の「リズと青い鳥」の演奏は「好きなものに固執しないことを肯定する」というのがテーマだったといえる。そして、それは真由の言うように、一定の感性を持った人間は「本気で好きになることはない」ものだった。だから演奏自体は完璧なものだったが、全国大会には届かなかった。

そう考えると、みぞれと希美の成長物語としては確かに美して完璧なものではあったが、コンクールで全国大会金賞を目指すという意味においては、去年の北宇治の「リズと青い鳥」の解釈は、果たしてそれで正解だったのか疑問が残る。もっと別の解釈があっても良かったんじゃないかとも思えてくる。あるいは「リズと青い鳥」という選曲自体が本当にベストだったのだろうかという疑念も沸いてくる。そのあたり、案外と滝先生が一番深く悔いて悩んだのではないかと思う。だから今年の自由曲は久美子たち幹部3人に決めさせたのではないだろうか。

そうなってくると、今年の北宇治が全国大会で金賞を獲るため、また去年「リズと青い鳥」では越えられなかった関西大会の壁を越えるためには「好きなものに固執すること」ということがテーマになるのかもしれない。それはもちろん真由も含めてでなければいけない。いや真由だけでなく全員がそういう意識を共有しなければいけない。だが特に真由が問題であることは明白なので、久美子は真由にも固執する「好き」や「嫌い」が無いわけでもないだろうと考える。例えば「写真が好き」「写真に写ることが嫌い」などです。そのあたりを考えて久美子は真由の好きな写真の話をしたり、あえて真由の嫌がるように一緒に写真に写るようにしたりするが、真由はあまり変わることなく、部活が16日に再開して2回目のオーディションも目前に迫っても、相変わらず久美子を喜ばせるためにオーディションを本気で受けることしか考えていない様子です。そうして2回目のオーディションが迫ってくるところで今回は終わり次回に続きます。

 

 

鬼滅の刃 柱稽古編

第2話を観ました。

今回は冒頭は前回でも描かれた、珠世のもとにお館様の鎹烏がやってきて無惨を倒すために手を組もうと誘いをかける場面であり、それを承けて珠世は鬼殺隊本部に赴くことを決意します。なお、ここで断片的に描かれた珠世の回想シーンの中で、珠世が過去にあの始まりの剣士と会っていたことも分かりました。

そしてOP後の本編では、病気で動けなくなってしまったお館様から富岡と話してほしいと頼まれた炭治郎が富岡の家に行きますが、富岡はどうも怒っている様子だったので何を怒っているのかと尋ねると、炭治郎が水の呼吸を極めることなく水柱にならなかったことを富岡は怒っていた。水柱なら富岡がいるじゃないかと炭治郎は不思議に思いますが、富岡は「俺は水柱じゃない」と謎めいたことを言って、それ以上は何も言わず炭治郎は追い返される。

しかし、その後も炭治郎がしつこく絡んでくるので富岡は閉口して、全て話せば炭治郎のストーカー行為も終わるのではないかと思って過去の出来事を打ち明けます。それによると、富岡は実質的には最終選別に受かっていないのだという。だから自分は本来は鬼殺隊の隊士になる資格は無く、当然ながら柱になる資格も無いのだという。

実は1期の序盤で炭治郎が最終選別を受ける前の修業期間に鱗滝の与えた課題に立ち向かっていた炭治郎の前に現れた幽霊剣士の錆兎は富岡と一緒に鱗滝のもとで修業していた同期の仲間であり、2人は一緒に最終選別を受けたのだという。そこで富岡はすぐに鬼に傷を負わされて戦闘不能となり殺されかけていたところを錆兎に救われ、その後、最終選別場にいた鬼は手鬼以外は全て錆兎が倒して、最後に手鬼に襲われていた仲間を救うため手鬼に立ち向かった錆兎は手鬼に殺されたが、結局他の者はそのおかげで7日間生き延びることが出来て、死んだ錆兎以外は全員が合格したのだという。そうやって富岡は隊士になれたのだが、富岡自身は親友の錆兎こそが隊士に相応しいのであって自分には隊士の資格は無いのだという想いをずっと抱くことになってしまったようです。

もちろん隊士になった後で富岡が死に物狂いで努力して実力をつけたからこそ現在は水柱にまで昇りつめたのですが、それでも富岡は「錆兎ならばもっと凄い柱になったんじゃないか」と思ってしまい、「錆兎ではなく自分が死ぬべきだった」と思ってしまう。特にこれからいよいよ戦いが最終局面に入っていき、柱には「痣の発現」という重大な試練が待っている。富岡は「きっと自分には痣は出ない」「錆兎なら痣が出ただろう」と思ってしまう。錆兎ならば無惨を倒せただろうと思ってしまうと、それは「自分では無惨を倒せない」「皆の役に立てない」「そんな自分は柱失格だ」という想いに繋がってしまう。それで富岡は他の柱たちに「俺はお前らとは違う」と言っていたのであり、不死川は富岡が自分たちを見下していると誤解して腹を立てていたが、実際は真逆であり富岡は自分を卑下していたのです。

そうした富岡の気持ちは炭治郎にはよく理解できます。炭治郎も無限列車での戦いで自分を守って死んだ炎柱の煉獄のことがずっと心に傷として残っており、煉獄さんではなく自分が死ぬべきだったんではないかという想いを抱えて戦っているからです。しかし、それでも炭治郎が前を向いて戦い続けることが出来ているのは「煉獄さんに託されたものを繋いでいかなければいけない」という想いがあるからです。それで炭治郎は富岡に「錆兎から託されたものを繋いでいかないんですか?」と尋ねる。

その言葉を聞いて富岡は修業期間中に錆兎に殴られた時のことを思い出した。実は富岡は姉を鬼に殺されており、姉は祝言を挙げる直前だったのだが、鬼に襲われた富岡を守って死んだのだという。それで富岡は姉の仇を討つために鱗滝のもとで鬼殺隊の修業を受けたのだが、ずっと「自分が姉の代わりに死ねばよかった」と悔やんでいた。それを錆兎に言った際に、錆兎は「二度とそんなことを言うな」と富岡を殴ったのだ。

その時、錆兎は「姉が命を懸けて繋いでくれた命を、託された未来を、お前も繋ぐんだ」と富岡を叱った。それで富岡は修業を頑張ることが出来て最終選別に臨んだのだった。しかし最終選別で錆兎が自分を守って死んだことがあまりにも辛くて、錆兎のことを思い出すだけで死にたくなってしまい力が出なくなるから、錆兎のことは極力考えないようにして一心不乱に剣に打ち込んできた。そのために富岡は錆兎とのそうした思い出もいつしか忘れていたのでした。それが炭治郎の言葉によって思い出されて、富岡はいつの間にか自分が錆兎の託した想いを裏切ってしまっていたことに気付いた。そうして富岡は錆兎が自分に託してくれたものを未来に繋ぐために自分は戦わねばならないのだと自分の使命に目覚めて、立ち直って柱稽古にも行くことを決意する。

その後、富岡がショックを受けてしまったと誤解した炭治郎が何故かざるそば早食い競争を提案して富岡もそれに付き合う流れは爆笑モノでしたけど、今回はこのように素晴らしい内容でしたが、その後、今回は最後には蟲柱の胡蝶しのぶが弟子のカナヲに死んだ姉の元花柱を殺した鬼の正体と、その鬼の倒し方についての話をしようとする場面が描かれて終わり、次回はしのぶの過去のお話になりそうですね。これもまた楽しみです。

 

 

転生貴族、鑑定スキルで成り上がる

第7話を観ました。

今回は第1話の冒頭の場面に繋がるエピソードでした。第1話の冒頭の場面は父レイヴンが死んでアルスがローベント家を継承する場面でしたが、第1話ではその後、アルスの幼少期に戻って物語が始まり、今回アルスが12歳となって父レイヴンが病死して、第1話冒頭の場面に繋がったのでした。ここまでのエピソードの集大成のような感動的なエピソードでありました。

まず前回アルスが戦場に行くのを父レイヴンに制止されて留守番することになり、ローベント軍を率いて戦場に出たレイヴンは半年間の戦いを奮戦して侵略軍を撃退して、アルスが12歳になったころに城に戻ってきましたが、もともと重病だったのを無理したため、戦いが終わった直後から寝込んでしまい、意識不明状態での凱旋となってしまった。

ところがリーツ達を出迎えたアルスはボロボロになっていて、意識不明のレイヴンに会おうとせず訓練に戻ると言って去っていく。どうやら留守番をしていた半年の間、相当激しい訓練をしていた模様です。そこに突然アルスの許嫁のリシアが訪問してきて、アルスの様子が心配だという。半年前からアルスの送ってくる手紙の文面から心ここにあらずという様子であったのでずっと気になっていたのだという。それでリーツは半年前の出陣の日に処刑を見せられて動揺したアルスが父から留守番を命じられて、おそらく不甲斐なさと罪悪感に苛まれているのであろうと伝える。

それでリシアは許嫁でありながらアルスが苦しんでいる時に何も出来ていなかった自分を情けなく思い、アルスを慰めようとしてアルスが訓練している倉庫に行くが、父のように皆を守る力を求めて必死に訓練に打ち込むアルスの姿を見て、今は声をかけるべきではないと思い扉を閉じる。そうしているとレイヴンの意識が戻ったとの報せが来て、リーツ達はアルスに知らせようとしますが、レイヴンはまずリーツとシャーロットとロセルの3人と話がしたいのだという。

レイヴンは3人と会うと自分は間もなく死ぬと言い、3人にローベント家に来てくれたことへの感謝を伝え、最初は期待していなかった3人を今では誇っていると言ってくれる。そして、自分がアルスを戦場に連れていって鍛えてやることがもう出来ないことを悔いて、3人にアルスを守ってほしいと涙ながらに頼むのでした。それは領主としてではなく1人の父親としての頼みなのだとレイヴンは言う。領民に慕われていて他人の才を見出す力もある自慢の息子なのだから、どうか守ってほしいのだとレイヴンは3人に頭を下げます。

それに対して、ロセルは自分に自信を持たせてくれたアルスの力になりたいと言い、シャーロットは自分の人生に意味を持たせてくれたのはアルスだとして、アルスの目指す未来を自分も望んでいると言う。そしてリーツは命に代えてアルスを守ることを誓うが、レイヴンはそれは許さないと応え、生きてアルスを守るようにと命じる。そうして3人ともアルスを守ると誓った上で、レイヴンに対して自分たちを受け入れてくれたことへの感謝の言葉を伝えて深々と首を垂れて、別れの挨拶とした。

そして3人はリシアに会ってやってほしいとレイヴンに頼み、3人と入れ違いにリシアが1人でレイヴンの寝室に入り、初めての挨拶を述べることとなった。しかし実はリシアは覚えていなかったがレイヴンとリシアは初対面ではなく、リシアの実家のパーティーに招かれた際に一度レイヴンは幼少時のリシアを見ており、一見するとませた子供のように見えたリシアが深い心優しさをもっていることに気付いたレイヴンが是非アルスの傍にいて欲しいと思いリシアの父に頼み込んで許嫁にしてもらったのだという。そしてリシアは今のアルスは頼りないと思っているかもしれないが、それでもアルスを支えてやってほしいとレイヴンは言おうとしたのだが、リシアはレイヴンを乗り越えようと必死で努力しているアルスを頼りないなどと思っていないと言い返す。それでレイヴンはリシアがアルスを愛してくれているのだと気付き、リシアが「心から愛しています」と言ってくれたので、自分のワガママでリシアを小さな領主の未熟な息子の許嫁として遺して死んでしまうことへの罪悪感から解放され、「ありがとう」と感謝の言葉を述べ、リシアにアルスを呼んでほしいと頼む。

そしてアルスが1人でやってくるとレイヴンは自分の人生を振り返って語り始める。若い頃、悪徳領主に耐えかねて故郷の村を逃げ出して街で見かけた総督の姿に憧れて武将を目指して、武勲を挙げて取り立てられて小領主にまでなった。そうして今のランベルク領の人々を命をかけて守ることが自分の生き甲斐になった。だからこうして自分が戦場に出て命を削って死んでいくのはアルスの責任などではなく、これが自分の生きざまなのだとレイヴンは言い、アルスに「後は頼む」と言って手を握って頭を下げ、その生きざまを継いでほしいのだと伝える。それに対してアルスは涙をグッと呑みこみ、凛々しい顔で「はい!」と応え、レイヴンはアルスの面構えが良くなったと思い安堵する。そして「私の息子であったばかりに苦労をかけることになった」と詫びるのだが、アルスは「いいえ、貴方の息子で幸せでした」と笑って応える。

その後は2人は普通の父親と息子として語り合い、母や弟や妹たちも交えて家族団欒のひと時を過ごして、一晩中語り合った後、翌朝になってレイヴンは息を引き取った。そうしてその日の夕刻、城の前でレイヴンの火葬が行われ、家臣や領民たちがレイヴンを見送る中、アルスも父に別れを告げ、領民たちに向かって父に託されたランベルクを守ると誓い、領民たちに力を貸してほしいと頭を下げる。それを聞いて領民たちもアルスのために力を尽くすと応えてくれる。それを承けて、アルスは今日から自分がローベント家の当主となることを雄々しく宣言したのでした。

 

 

死神坊ちゃんと黒メイド(第3期)

第31話を観ました。

今回は過去に戻ってシャーデーに会いに行くまでの準備期間のお話でした。まずニコ達がカフとザインにも1週間後の決行の話を伝えて、ニコはザインが時間を操る能力を持っていてこの計画の要なのでシャーデーに狙われることになるだろうと言い、ザインが一番危険だから過去に戻った後は待機でもいいと言う。しかしザインは友達である坊ちゃんが困っているのだから協力したいと言います。

その後、決行までの1週間を皆で大切に過ごそうという趣旨で坊ちゃんの屋敷に皆が集まり、坊ちゃんはザインとウォルターにシャーデーが他人の心を読める能力を持っていて心が歪んでしまったということを伝える。また女子たちは恋バナ大会になり、アリスが坊ちゃんを想っていることをヴィオラが知らなかったことも判明しますが、それはやはりアリスが身分違いの恋をヴィオラに教えることを遠慮していたからでしょう。

その後、坊ちゃんが枕投げ大会をしたいと言うので屋敷中の枕を集めると山積み状態になり、坊ちゃんとアリスは枕の山の中で遊びます。ロブはそんな2人の姿を見ながら、アリスがこの屋敷で坊ちゃんと再会した時からいずれ身を引かねばならないと覚悟しながら坊ちゃんに恋をしていたのだと思いを馳せ、アリスをこの屋敷に連れてきたのが正しかったのかと自問自答します。しかしその後に坊ちゃんが呪いが解けたらアリスに告白して、どうしようもない自分を支えてくれたアリスを一生かけて幸せにしたいという意思を伝えると、ロブは嬉しく思います。

そして決行前日、アリスはヴィオラに自分の想い人は坊ちゃんであると伝える。迷惑なのは分かっていたがそれでもヴィオラには伝えておきたかったというアリスの言葉を聞いてヴィオラは嬉しく思いアリスを抱きしめ感謝の言葉を伝える。そしてアリスは坊ちゃんに呪いが解けたら最初に坊ちゃんに抱きしめてほしいと言い、坊ちゃんはそうすると約束します。そして翌日、全員集合して計画を決行しようというところで今回は終わり次回からいよいよ過去に戻ってシャーデーと対峙することになります。