2024春アニメ 5月13日視聴分 | アニメ視聴日記

アニメ視聴日記

日々視聴しているアニメについてあれこれ

2024年春アニメのうち、5月12日深夜に録画して5月13日に視聴した作品は以下の5タイトルでした。

 

 

響け!ユーフォニアム3

第6話を観ました。

今回は府大会に出場するメンバーを選ぶ部内オーディションの話でした。時期としては6月後半であり、前回のあがた祭りから1ヶ月近く経ってのことで、前回のお話と今回のお話の間に吹奏楽部では全体練習、パート練習、個人練習を重ねてきているであろうし、学校行事としては久美子たち3年生は修学旅行も済ませているようです。そうして迎えた今回の部内オーディションを終えて一気に府大会に向けて練習の密度は増していき、今回のラストシーンでは7月の府大会当日を迎えることになりました。そうした一気に部内が一致団結していく展開のはずなんですが、今回のサブタイトルは「揺らぎのディゾナンス」となっている。「ディゾナンス」とは「不協和音」という意味ですから、「揺らぎの不協和音」ということであり、どうも不穏な感じです。実際、今回はかなり不穏な感じの内容でした。

この6月の部内オーディションから7月の府大会に至る流れは、久美子1年生編ではアニメ1期で描かれ、久美子2年生編では劇場版「誓いのフィナーレ」で描かれました。そのいずれも最初は揉めますがそれがきっかけで部内がまとまり勢いがついて府大会に臨むという形になっていた。ところがこの3期で描かれている久美子3年生編においては、オーディションで揉めてからスッキリまとまらないまま府大会に臨むという形になっています。もちろんそれで府大会で敗退するという形にはならないのでしょうけど、モヤモヤしたものを持ち越したまま次の関西大会に向かっていくということになってしまいそうです。

もちろん今はまだクール折り返しであり、クール終盤には皆が1つにまとまって最後の演奏に臨んでいく姿が描かれるのだろうとは思います。だから折り返し点の今はモヤモヤしたままでもいいという考え方も出来ますが、例えばアニメ2期の時はクール折り返し点で関西大会が描かれており、この関西大会の前にも揉め事がありましたが、それが綺麗にまとまって皆が一丸となって関西大会に臨むというカタルシスがありました。あれは久美子1年生編の時のこととなりますが、それに比べると久美子3年生編が描かれるアニメ3期はモヤモヤした感じが強調されている印象です。

特に今回のエピソードを見て、正直「1年生編や2年生編は楽しかったなぁ」としみじみ思いました。ただ誤解無きように言っておきますが、それは決して3年生編がダメという話ではない。むしろ逆で、だから3年生編は1年生編や2年生編よりも面白いと私は思っています。結局のところ、1年生編や2年生編の久美子はまだ子供で、やっていることがシンプルで、だから単純に話が楽しかった。それに比べて3年生編は久美子も大人になりつつあって、1年生編や2年生編の時はシンプルに信じ切っていたものが本当に正しいのか分からなくなって迷っている。単純に楽しい話ではなくなっている。だからこそ1年生編や2年生編の楽しさが際立って懐かしく感じられたりもするんですが、同時にこの3年生編の揺らぎや不協和音が人間ドラマとして深みがあって非常に素晴らしく感じられる。この楽しくない感じが面白いのです。このモヤモヤがキャラの成長の証なのだといえます。

今回のエピソードなんかはもう何が正しいのか分からなくなり、見ていてかなり感情がグチャグチャになりました。そうして異様な緊張感の中で振り回されているうちに終わったという印象です。分かりやすいカタルシスは全く無かったですけど、素晴らしいドラマを観させてもらったと思います。

今回はまず最初は、6月後半の部内オーディションが迫る中、真由が低音パートの仲間たちにあがた祭りの時や修学旅行の時に撮った写真を見せている場面から始まります。真由の使っていたのは今時珍しいフィルムカメラですから、印画紙に焼き付けた写真を皆に見せていることになり、写真が欲しい人に対してはネガから焼き増しすることになるという面倒なことになります。他人に写真を提供するということを考えると、どう考えてもデジタルカメラの方が便利です。それなのにフィルムカメラを使っているということはよほどフィルムカメラが好きなのでしょう。実際、前回のあがた祭り前の場面でも真由はフィルムカメラが好きだと言っている。もちろん写真を撮ることも好きなのでしょう。ただフィルムカメラといっても真由の持っていたのはそんな本格的なタイプのカメラではないので、特にカメラに凝っているというわけでもない感じです。単に「フィルムカメラで写真を撮る」ということが好きみたいですね。しかし、特に凝った写真を撮るわけでもない人が使う分には絶対にデジタルカメラの方が良いのであり、フィルムカメラを選ぶ理由はよく分からない。何か特殊なこだわりがあるように思える。

ここで1つ不審な点を美玲が発見します。真由が撮った写真には1枚も真由本人が写った写真が無いのです。自撮りが出来ないタイプのフィルムカメラで真由が撮っているのだから真由が写っていないのは当然といえば当然ですが、普通は多人数で遊びに行って写真を撮る場合は他の人にもカメラを渡して自分も写ろうとするものです。つまり真由があえて他人に一度もカメラを渡して撮ってもらおうとしていなかったということであり、真由自身の意思で自分が写らないようにしていたということになる。しかし真由のカメラで撮っているのですから真由が一度も写っていないというのは奇妙です。せっかく皆で遊んでいるのに他人ばかり撮っていて楽しいものでしょうか。ここにも妙なこだわりを感じます。

それで美玲のツッコミで皆が不思議がると、真由は「撮るのは好きだけど撮られるのは好きじゃないから」と理由を言いますが、どうもこれは本心ではなさそうです。シンプルに変な言い訳ですし、ここで真由が自分の髪を触っているのも気になる。第1話で真由が登場して以降、真由が自分の髪を触っている場面は2回あり、1つは沙里たちが部活を休んで久美子が心配した際に「辞めたい子は辞めればいい」的な発言を真由がして、その発言が過激だと奏にツッコまれた際に取り繕った時であり、もう1つは全体ミーティングで久美子に真由もオーデイションを受けるべきと言われてその場だけ納得した時です。この2回とも真由は本心を隠して取り繕おうとしている。だから、ここで髪を触りながら「撮られるのが嫌い」と言っているのはたぶん本心では言っていない。おそらく、ずっと北宇治にいた皆の中に自分も混ざることに抵抗があるのでしょう。

ただ、真由自身が皆と仲良くしたくないと思っているわけではない。何故なら、真由はむしろ積極的に皆と仲良くしようとしているし、そういう言動をしている時の真由は自分の髪を触ったりしていないからです。皆と仲良くしたいというのは間違いなく真由の本心なのであり、どちらかというと真由は皆が新参者の自分を疎外しているのではないかと不安を持っていて、遠慮しているのでしょう。思い出の写真の中に自分のような部外者が入っていて、写真を見て誰かに「なんでこの子が入ってるの?」なんて思われるのが怖いのでしょう。それで気が付けば他人の写真ばかり撮って終わってしまうのでしょう。ただ、見た感じでは皆とかなり上手くやっているように見える真由がどうしてそんな疎外感を被害妄想的に持っているのかは謎です。

とりあえず真由に関しては謎が残ったまま、あがた祭りと修学旅行が終わって府大会まで1ヶ月となり、その前に府大会に出るメンバーを選ぶ部員全員参加のオーディションがあるという状況で、それに向けて練習に励む北宇治の吹奏楽部の部員たちの様子が描写されます。ただ低音パートの今年の1年生たちは全員が初心者であり、本人たちもオーディションといっても自分たちがメンバーに選ばれるとは思えない様子です。彼女らにとってはオーディションよりもまず基礎を学ぶことの方が大事であり、基礎を色々教えてくれる上級生に対しては、オーディションで競い合うライバルという意識は無く、ただ尊敬と憧れの対象として見ているみたいです。

それに比べると去年の1年生であった今年の低音パートの2年生たちはもともと経験者が多く、初心者はさつきだけでした。さつきも1年前に新入部員で入ってきた頃は低音パートで1人だけ基礎が全く出来ておらず、今の1年生たちと同じように苦労していました。いや、同じ初心者が他に居ない状況でしたので今年の1年生たちよりも辛い気持ちだったかもしれません。そんなさつきも今では先輩として1年生たちに基礎を教えることが出来るようになっています。まだコンクールメンバーに選ばれたことはないですし、教えられるのも基礎だけなのですが、今年こそはコンクールメンバーに選ばれようと燃えています。そこまで上達したのはさつきの1年間の地道な努力の成果です。そして、1年前の自分と同じ苦労をしている1年生たちの気持ちが誰よりも分かるさつきは同じチューバ担当の1年生のすずめ達に親切丁寧に教えていて、すずめ達からも信頼され慕われています。

一方、同じ2年生でもユーフォニアム担当の奏はもともと経験者として去年入部してきて1年生時にもコンクールメンバーにも選ばれました。今年も当然コンクールメンバーに入るつもりですが、同じユーフォニアム担当には部長の久美子という上級者が居て、更に今年になって3年の転校生として真由という上級者も入ってきて、奏としてもウカウカしていられない。それで焦って練習中に細かいところでミスをしてしまった奏に久美子がミスを指摘して教えてくれたところ、奏がちょっとふざけて「敵に塩を送るとは流石ですね」と茶化したところ、真由が「敵?」と反応してきて、奏はオーディションで競い合う以上はバチバチやりあう敵なのだと強調します。

すると、それを聞いて真由が表情を曇らせて、やはり自分はオーディションを辞退した方がいいのではないかとまた言い出す。自分が選ばれて他の誰かが外されたら申し訳ないという真由の言葉を聞いて、奏はちょっとイラッとする。何度も同じことを言う真由のしつこさもウンザリだったが、外されるのは自分だと言われているようで腹が立ったのです。それで奏が真由に突っかかり、真由は自分が何を言っても奏に反発されてしまうと思ったのか、久美子に助けを求めるような視線を送る。自分が個人的に何を言ったところで奏は反発するだけだろうけど、久美子が部長として何か言ってくれれば奏も納得させることは出来るのではないかとでも言いたげな真由の様子でした。それはつまり、真由は久美子なら部長として自分の意見に理解を示してくれるはずだと期待しているということを意味していた。

真由の言いたいことは要するに「部内の和を重視すべき」ということであり、部長の久美子ならそれは理解してくれるはずだと真由は期待している。そもそも沙里たちの練習ボイコットの一件の時は、真由が「辞めたい子は辞めればいい」と言ったのに対して久美子は反対して脱落者を出さないように行動した。そんな久美子ならばまず部内の和を重視してくれるはずだと真由は思ったのです。

しかし久美子から見れば、真由のオーディション辞退というのはいくら何でも極論すぎて受け入れられるものではなかった。オーディションで実力主義でコンクールメンバーを選ぶというのは滝先生が顧問に就任して以来の北宇治の伝統であり、久美子は1年生の時からその方針の中でやってきた。真由の意見はそれを否定するものであり、それは久美子としては受け入れられない。確かに同じ部員同士で軽々しく「敵」などという表現をした奏にも感心しなかったが、だからといって真由がオーディションを辞退することを許容することは出来ない。

それで久美子は真由にどうしてそんなに「申し訳ない」などという言い方をするのかと尋ねた。すると真由は北宇治でずっと吹いてきた人を押しのけて自分が吹くのは申し訳ないという意味だと従来の主張を繰り返す。それに対して久美子はオーディションで実力のある人を選ぶのが北宇治の方針だと繰り返し、それに反対なのかと真由に尋ねる。すると真由は反対ではないと言う。ただ自分が選ばれて心から喜ぶ人がいるのだろうかとこぼす。別に真由は北宇治の実力主義そのものに反対しているわけではなく、ただ自分が部内で嫌われることが不安みたいです。

それに気付いて、久美子は真っ先に1年生の時の麗奈と香織先輩のことを思い出した。あの時も3年の香織先輩を押しのけてトランペットのソロに選ばれた麗奈は部内で嫌われた。でも、そこで麗奈が実力で香織先輩に勝るからソロを吹くべきだということを皆が認めたことから現在の北宇治の実力主義の伝統は始まった。自分たちはその延長線上に立っている。そしてあの時、自分は真っ先に麗奈が選ばれたことを喜び麗奈の味方になった。だから今回も真由をそんなことで不安にさせてはいけないと思い「喜んでくれる人はいるよ」と言葉をかける。

だが真由に真顔で「誰?」と問い返されると、久美子は言葉に詰まった。具体的に名前が浮かんではこなかった。1年生の時に自分が麗奈の味方をしたのは中学が同じで親友だったからだった。だが真由が例えば自分を押しのけて選ばれたとして、他の部員たちがそれを心から喜ぶかというと、あまりそういう想像が出来なかった。もちろん押しのけられた久美子自身が喜ぶわけもなく、仮に喜んだりしたらウソっぽく見えるだろう。それは奏が押しのけられた場合でも同じで、久美子だって奏が外れて真由が選ばれて心から喜べるかというと自信は無かった。

それでも1年の時の麗奈が最終的に皆を納得させることが出来たのは、麗奈が喜んでくれる人が少ない状況でも折れなかったからだ。再オーディションで潔く引き下がった香織先輩だって当初は心から麗奈のソロを喜んでいたわけではなく、優子先輩を筆頭に面白くないと思っていた部員の方が多かったはずだ。でも麗奈が折れずに自分を貫いて努力を重ねて実績を残していったからこそ、最終的には部員全員が麗奈が吹くことを心から喜んでくれるようになった。そうして北宇治はその年、初めて全国大会にまで進出した。だから、あの方法が正しいのだと久美子は信じてきた。

だが、それは麗奈が特別に強い人間だったからだった。麗奈が嫌われることを恐れずに自分を貫き通せる人間だったから可能だったのです。しかし、実際は真由のように嫌われることが怖い人間の方が普通なのです。そう考えると、久美子は今の北宇治の方針はもしかして麗奈のような特別な人間の存在を前提とした特殊なものであり一般的ではないのかもしれないと自信が無くなってくる。そうした不安を振り払うように、久美子は真由の「誰?」という質問に「部員全員だよ」と言い返し、北宇治は全国で金賞を目指すために実力主義でやっていこうと皆で決めたのだから、実力のある人が吹くことを全員が喜ぶのは当然だと力説する。そうして力説しつつも久美子自身が何となくその言葉に空虚さを感じていた。

その久美子の心中の苦しさを察したのか、真由が「ごめんね、久美子ちゃん部長だもんね」と苦笑して気遣ってくれるが、久美子はまるで自分が部長として建前論を言っているかのように思われているようで心外で「部長とか関係ない!」と反駁する。真由は実際に久美子が部長として建前論を言っているのだと思ったのでしょうけど、久美子は別に部長としてそういうことを言っているつもりはなかった。1年生の時から心から正しいと信じてきた北宇治の方針をただ擁護したかったのです。それは自分の北宇治における高校3年間の全てと言ってもいい。それを最近外からやってきた真由に否定されたくなかった。

すると、そこで奏が口を挟んできて久美子を擁護しようとして、久美子が部長ではない時から実力主義にこだわっていて、オーディションで手を抜くとすごく怒っていたという話をする。これは実は怒られていたのは奏本人であり、1年前の久美子が2年生時の部内オーディションで当時1年生だった奏が3年生の夏紀先輩を押しのけて選ばれて部内で嫌われることを恐れてワザと下手に吹いて夏紀先輩と久美子に咎められた事件のことです。

あの時は夏紀先輩が奏がちゃんと吹かなければ自分が辞退すると言って奏を脅したうえで、久美子が奏を必ず守ると約束して奏を納得させたことで奏は考えを改めて真面目にオーディションに臨んだのだが、結果的に3人とも選ばれたから上手くいったのであり、もし仮に副部長の夏紀先輩が外されていたらやはり部内で何らかの問題は生じて奏は苦しんでいたと思う。何故なら奏は麗奈ほど強い人間ではなかったからです。だから久美子としてはあの一件を持ち出されてもやはり自分の心に生じた揺らぎは収まるわけではなかった。だが真由の方は久美子が過去にも実力主義を貫いて、オーディションで実力を発揮したことで部内で嫌われた者も擁護してくれたのだと知って、ちょっと安心したような表情になる。

久美子の方は真由とのやり取りで調子が狂ってしまい、改めて1年生の時の麗奈と香織先輩の一件のことを思い返して、結果的にあれで正しかったのだと思い、全国で金賞を目指すために北宇治はあの方針で行くのが正しいのだと自分に言い聞かせる。ただ、それを真由やその他多くの普通の感性の新入部員たちにどう納得させるかはかなり難しい問題だと思った。そうした迷いの中で別教室でトランペット組を指導している麗奈の姿を見て、麗奈はブレないから指導も堂々としていて羨ましいと思い、自分も見習わねばいけないと久美子は思います。

そして部活が終わり帰宅することになり帰り路の途中で久美子は立華高校の吹奏楽部の部長の佐々木梓と久しぶりにバッタリ会う。中学時代の親友である梓と久美子は途中の公園で寄り道して進路の話をしたりする。そこで久美子は梓が音大を目指しているがプロ奏者になりたいと思っているわけではないと聞いて、ちょっと驚く。音大を目指す人はみんな麗奈みたいにプロ奏者になろうと考えているものだとばかり思っていたのです。しかし梓に言わせれば麗奈のようなケースの方がレアなのだという。梓は音楽に関わる仕事に就きたいから音大を目指すのだという。むしろ今音楽をやめて普通の大学に行ってしまったら音楽と縁が切れてしまうかもしれない。それが怖いからとりあえず音大に行って、将来何らかの形で音楽に関わって生きていく余地を残しておきたいのだ。そんな動機で音大を目指してもいいのだろうかと久美子は思うが、梓は音楽を続けていけば何かやりたいことが見つかると思っているのだという。そう言われると、久美子は今やりたいことが見つからないからといって音楽を辞めてしまうのは間違っているような気がしてきた。少なくとも麗奈のようにプロ奏者を目指すだけが音大進学の理由ではないのだということは分かった。そして梓の言葉を聞いて、子供の頃から音楽に関わってきた自分にとって音楽を縁を切ることはそう簡単な決断ではないということも分かった。

そうして遂にオーディションの日がやってきて、久美子は真由のことが心配だった。あんなふうに部内で嫌われることを恐れていた真由が去年の奏のようにワザと下手に吹いて自分が外されるように仕向けるのではないかと不安だったのです。もしそんなことになれば自分は去年の夏紀先輩みたいにオーディションの部屋に乱入して中止させるべきなのだろうかとも考えたりしていた久美子だったが、そうした心配は杞憂に終わった。真由はいつも通り上手に吹いたのです。

それで久美子は安堵したが、先だって揉めた時はあまり納得した様子でなかった真由が考えを改めたとは思えず、どういうことなのだろうかと困惑もした。だが、よくよく考えると真由は最初から何も変わっていなかったのではないかと思えてきた。そもそも最初から手を抜くつもりだったなら去年の奏みたいにオーディションの時に急に手を抜けばいいのであり、前もってやる気の無さそうな素振りなど見せたら逆効果です。だから真由は最初から手を抜くつもりなどは無かったのです。つまり自分が手を抜かずオーディションで高く評価されることは分かった上で、その後で部内で嫌われることを本気で心配していたのです。

「真由が本心を偽るときは髪を触る」という癖があるとすると、つまりこれまで真由の言っていたことはほぼ全て本心だったということになる。沙里の一件の時に口にした実力主義や結果主義的な考え方も本心であり、同時に皆と仲良くしたいというのも本心だったのです。また、真由のその「皆と仲良くしたい」という心理の背景には「自分が皆に疎外されるだろう」という被害妄想的感情があるということも考え合わせると、真由は「自分は手を抜かず実力主義を押し通すゆえに皆に嫌われやすい」「だから皆と仲良くしておいて嫌われないようにしておきたい」という心理を抱いているように思える。

これは何だか矛盾した心理のように思えるが、実際に矛盾しているのでしょう。真由は小心者で皆と仲良くしていないと不安な人間なのでしょうけど、同時に音楽に関しては全く妥協が出来ない人間なのでしょう。真由は吹奏楽部に入った時に「合奏が好き」と言いながら、北宇治を選んだ理由は「このあたりで一番吹奏楽のレベルが高かったから」とも言っていた。それでいてコンクールメンバーになることは望んでいなかったのだから、単純に合奏がしたくて吹奏楽部に入ったのでしょう。そして合奏をするならレベルの高い部活が良いと言っている。コンクールは関係なく合奏を楽しむだけならば自分のレベルを落として楽しむことだって出来るはずなのに、レベルの高い合奏をあくまで望むということは、真由はおそらく周りに合わせて自分のレベルを落とすということが出来ないのです。それで自分だけ上手で浮いてしまうことを恐れて出来るだけレベルの高いメンバーで合奏することを望んでしまうのでしょう。つまり音楽に関しては妥協したくても妥協が出来ない非常に不器用な性分なのでしょう。

これは真由本人も持て余している性分なのだと思います。ここで真由がフィルムカメラを好んでいる理由について考えてみると、特に凝った写真を撮るわけでもなのにフィルムカメラを好む理由はおそらく「一発勝負が好きだから」なのでしょう。フィルムカメラはデジタルカメラと違ってどういう写真が撮れるかは現像するまで分からないし、下手したら撮れていないかもしれない。撮り直しも出来ない。だから一発勝負なのです。つまり真由はイチかバチかの勝負が好きな勝負師なのであり、それは写真を撮る時とユーフォニアムの演奏をする時だけの傾向なのでしょう。普段の真由は温厚で心優しくて気が小さくて皆と仲良くしていないと不安な人間なのだが、いざ音楽となると妥協が出来なくなり、いつでも全力で一発勝負に出る。それゆえに嫌われてしまうこともあって真由はそんな自分の性分を嫌っているのだが、それでもその性分を変えることは出来ない。もともと居た聖良女子では周囲はみんな真由の実力も努力も認めていたし慣れてくれてもいたので大丈夫だったが、北宇治に転校してきて真由は自分がこの性格のせいで皆に嫌われてしまうのではないかと本気で心配して、それで出来ればオーディションを辞退したいとまで言っていたでしょう。オーディションを受けたら自分が絶対に妥協しないことは真由自身が分かっていたからです。

だが、真由は久美子が実力主義を建前だけではなく心の底から信じているのだと聞いて、少なくとも久美子だけは最後まで自分の味方をしてくれるのだろうと安心することは出来たようです。それで爽やかな気持ちでオーディションに臨み、いつも通りの見事な演奏を披露した。そして、その演奏を聞いて、だいたい真由という人間を理解できた久美子は、真由が全力で勝負するに足るライバルだと知り、恐ろしさを感じながら、同時にとても気合が入った。

そうしてオーディションの結果、ユーフォニアムのメンバーは久美子と真由と奏の3人が選ばれ、ソロは久美子が吹くことになった。この結果に真由も安堵したようであったが、それは皆と仲良くしたい小心者の方の真由の話であり、音楽に妥協しない勝負師の方の真由の見方はまた少し違っていたことでしょう。真由は久美子の言っていた「北宇治は実力主義」という話を信じたのだが、その信頼は少し裏切られたように感じたかもしれない。

まずチューバのパートでは葉月が3年目にして初めてコンクールメンバーに選ばれたのは葉月本人の努力の賜物であったと見ていいですが、さつきが落ちて1年生のすずめが選ばれたのは意外な結果でした。これに関しては発表時は低音パートの全員が驚きの反応を示し、すずめ本人も全く予想外であったようです。そして、さつきは可哀想なほど落ち込んでいたが葉月に今年はこれが最後のチャンスじゃないと励まされて元気を取り戻した。だが、去年の関西大会での敗退後に葉月とさつきと3人で来年はコンクールメンバーになろうと誓いあっていた美玲はこの結果に納得がいかず久美子に抗議してきた。

実力は明らかにすずめよりもさつきの方が上でした。そしてそれは積み重ねてきた努力の量の差でもある。久美子が実力主義が皆に受け入れてもらえると思っている根拠は「実力を評価することは努力を評価することと同義」と考えるからです。努力が正当に評価されている限り、文句を言う者は出ないはずだと久美子は思っていた。真由の件は「北宇治で重ねてきた努力」ではないから見えにくいというだけのことであり、真由はしっかり努力はしてきているのだからその実力は正当に評価されるべきだと思えた。だが、さつきとすずめの件は別だった。さつきの積んできた努力の量はすずめの遥か上であり、これですずめの演奏がさつきよりも遥かに上手かったのならともかく、オーディションの演奏自体がさつきの方が上手かった。だから、それですずめが選ばれてさつきが落ちるというのは、さつきのこれまでの努力の否定であり、美玲が不満を言うのも仕方ない。久美子自身も不満を感じていました。これではさつきが吹奏楽を嫌いになってしまうかもしれないとも思えて、1人も脱落者を出したくない久美子にとっては大問題でした。

久美子は美玲に対して「滝先生は常に全体を見て、どうしたら良い演奏になるか考えてると思う」と言って美玲を宥めようとしたが、美玲は久美子の判断を信じると言ってくれて意外にあっさり引き下がった。美玲も府大会の前に揉め事を起こしたくはないのだという。但し、美玲は「ずっと指導を受けてきた今の3年生と違って、1、2年生は滝先生をそこまで神格化していません」と言い残した。それを聞いて、久美子は自分たちの学年だけが特殊なのかもしれないと思った。

よくよく考えれば、滝先生が赴任してきてから3年間ずっと指導を受けているのは久美子の学年だけだった。あすか先輩たちの学年は半年ほど指導を受けただけだったし、優子先輩たちの学年も1年半ほど指導を受けただけだ。そして奏や美玲たちの学年はまだ1年ちょっとしか指導を受けておらず、新1年生たちはまだ滝先生とは出会ったばかりのようなものです。「滝先生を信じてついていけば間違いない」なんて言っているのは自分たちの学年だけかもしれないと久美子は思った。そう考えてみれば、あすか先輩たちや優子先輩たちからそんなセリフはあまり聞いたことがないように思えた。そんなセリフを吐いていたのはよくよく考えたら麗奈だけであり、いつしか久美子も麗奈の影響を受けてそんなふうに考えるようになっていただけかもしれない。

実際、久美子は今回の滝先生の決定を不可解だと思っている。久美子でさえそうなのだから、美玲やさつきが不可解だと思うのも無理はない。そして滝先生を神格化するほど長く指導を受けていないという意味では真由も同様であり、真由の目から見れば、今回のオーディション結果は久美子が言っていた「北宇治は実力主義」という言葉とはズレがあるように見えたかもしれない。また、真由は今回の曲ならばユーフォニアムは2人編成だと思っていたが結果は奏も含めての3人体制となった。それは真由には何らかの配慮が働いたように見えたかもしれない。また、ユーフォニアムのソロは久美子になったが、それはあくまで麗奈のトランペットとの相性を考えての結果かもしれない。久美子の言うような完全実力主義で選んだならば真由がソロだったかもしれない。こうした結果は真由に「久美子に裏切られた」と不安に思われても仕方ないものだったかもしれない。しかも、そうしたモヤモヤした不信感は実は久美子自身も感じていたものでした。

そうしたモヤモヤ、3年間信じてきたものが揺らぐ気持ちを落ち着けようとして久美子がいつもの1人練習の校舎裏であすか先輩から貰った楽譜を開いて「響け!ユーフォニアム」を吹いていると、そこに真由がやってきて何の曲なのかと聞いてくる。真由としてはオーディション結果に何かと思うところはありつつも、それでも久美子は自分の味方になってくれると信じて距離を詰めようとしてきているのだが、久美子の方は「響け!ユーフォニアム」について詮索されることは自分の3年間を詮索されるような気がして、そこが揺らいでいる今、真由にそこをかき回されるのは勘弁してほしいと思ってしまい、つい真由に冷たい態度をとってしまい、真由はちょっと傷ついた様子で去っていきました。

その後、久美子は部活終わりに鍵を返しに行った際に滝先生にさつきとすずめの件について質問した。すると滝先生はさつきの方が上手いことは認めつつ、すずめの音量が全体の完成度を高めるために必要なのですずめの方を選んだのだと説明したが、それを聞いて久美子はモヤッとしてしまった。それはつまり結果を出すためにさつきの努力を否定したということになる。しかもすずめは高度な技術が必要な高音域は吹かない方がいいとも滝先生は言うが、何だか勝つためにすずめを駒のように使うだけですずめを演奏者としてちゃんと見ていないように思えて不快だった。

それでも久美子は滝先生を信じたいと思った。滝先生を信じてついていけば全国に行けるのだと思いたかった。実際、滝先生は勝つために一生懸命なだけでそこには善意しか無い。滝先生の戦略通りにやれば勝てるだろう。久美子たちにとって最後の年なのです。絶対に勝たなければいけない。そのためには滝先生を信じるしかないと久美子は思った。それで久美子は滝先生に「先生は私たちを全国に連れていってくれるんですよね?」と問いかける。久美子は滝先生に「そうです。私を信じていれば大丈夫です」と言ってほしかった。だが、滝先生はそれは違うと言う。「皆さんの力で行くんです」と言われて久美子はハッとして「すみません」と謝り、滝先生はニッコリ笑ってユーフォのソロを楽しみにしていると言って久美子を送り出してくれた。

滝先生は確かにある意味では間違った判断をしている。確かに勝つためには必要なことなのかもしれないが、そのために生徒たちに犠牲を強いている。それは間違っている。でも、それは滝先生だって分かっているのです。以前に滝先生は自分のやっていることが「子供の延長線上」と言っていたが、こういうのがまさしく子供の延長線上なのです。結果を出すために人を犠牲にしてしまう傾向が滝先生にはある。だが滝先生は自分にそういう悪い傾向があることを自覚した上で、「俺を信じてついてくればいいんだ」なんて傲慢な態度ではない。特にずっと指導してきた久美子たちに対してはかなり自主性を重視しており、滝先生を神格化して頼り切りになるのではなく自分たちの力で全国に行くという意識を持たせようとしてくれていた。滝先生の足りないところは久美子たちが補えばいいのです。それを滝先生は受け入れてくれる。

そういう意識を勝手に無くしていたのは久美子たちの方だったのであり、特にそれを主導してきたのは麗奈だった。そんな麗奈と一緒に下校しながら、自分と久美子のソロと滝先生がいればきっと全国に行けると無邪気に笑う麗奈を見ながら久美子は複雑な心境になる。久美子も1年生の時や2年生の時はそういう真っすぐな気持ちでただひたすら勝つことが全てだと思うことが出来た。しかし部長になってから、勝つことだけが全てではないと思うようになって迷いが生じてきた。府大会を目前に控えて、むしろ久美子はそんな麗奈の真っすぐさが羨ましくも思えた。だが、その麗奈の方も、何やら進学コースの担任と進路について何か話をしていたようで、それについて何故か言葉を濁す。麗奈の音大一本かと思われていた進路にも何か変化があるのかもしれません。それでもとにかく久美子は最後の年にどうしても全国に行かなければいけないのだから前を向いて吹き続けるしかないとの思いで練習に励み、遂に府大会当日を迎えたところで今回は終わり次回に続きます。

 

 

鬼滅の刃 柱稽古編

第1話を観ました。

今回は柱稽古の開始のお話。最初はアニオリで風柱の不死川と蛇柱の伊黒の鬼狩りの話。廃城に集まった鬼たちを討伐していったところ無限城を垣間見るというもの。この戦闘シーン自体は特に面白くもなかったが最後に無限城を見せるというアニオリは良かったと思う。その後は刀鍛冶の里編の後の療養中の炭治郎の様子を描き、そこでの会話劇で刀鍛冶の里編の後日談などを語っていく。柱会議では痣の問題が議論され、柱稽古をすることが決定され、柱稽古が始まる。柱たちは痣の発現が急務となりますが、皆が前向きになる中、どういうわけか水柱の富岡の様子がおかしい。というか、いつも通りだが、1人だけ打ち解けようとせず非協力的です。一方、刀鍛冶の里編のラストで太陽の光を克服した禰豆子を無惨が狙ってくるだろうと予想され、禰豆子について研究している珠緒のもとに病気で動けなくなったお館様からの使いが来て、手を組もうと持ち掛けます。

今回は大体そういう内容で、実質的には話は大して進んでいません。まぁ今回はほんの導入であって次回以降に期待ですね。といっても柱稽古編はそんなに盛り上がるわけでもないので過度に期待はしていませんけど、まぁ普通には見れると思ってます。過去編なんかで盛り上がればもうちょっと評価も上がっていくでしょう。ただおそらく7~8話で終わるでしょうから話数補正で順位は半ランク分下げますので実質の面白さよりは地味な順位にはなると思います。

 

 

転生貴族、鑑定スキルで成り上がる

第6話を観ました。

今回は前回のエピソードの2年後、アルスが11歳になって父親レイヴンが病気が重くなりアルスが若くしてローベント家の跡を継ぐ可能性が高まりアルスは焦ります。そんな中、ミーシアン州の総督が暗殺されてしまい残された息子兄弟の跡目争いが本格化することになり戦争の可能性が高まる。ローベント家の治めるランベルクの属するカナレ郡の郡長のルメールは兄のクランの側につくと思われ、その場合はローベント家もそれに同調することになる。

そんな中、ルメールからカナレ郡内の領主たちに招集の呼びかけがあったがレイヴンが病気で動けないのでアルスが出向き、そこでアルスは初めてルメール郡長やその他の領主たちと顔を合わせるが、皆温かく迎えてくれた。その中にはリシアの父親のハマンドも居て、リシアがアルスと出会ってから明るくなったと言い、最近アルスが多忙でリシアへの手紙が滞りがちであったのでリシアが不機嫌になっているのはよほどアルスに惚れているからなのだろうと認めてくれて、アルスはハマンドに娘を幸せにしてほしいと頼まれる。

ルメールの話は戦争は必ず起きるので備えておいてほしいというものであり、アルスは期待に応えようと張り切ります。このあたり戦国時代の小領主の物語っぽくて面白い。それでアルスは剣術の稽古にもこれまで以上に励みます。鑑定スキルを持ってはいるもののアルス自身は特に取柄もない人間であり、先だっての模擬戦で初めて部隊の指揮をしてみた時も結果は散々であり、アルスは戦争が迫っていて父親も動けない中、自分がもっとしっかりしなければいけないと焦っていた。

アルス自身の力がまだ足りないのは子供であり経験も少ないので仕方ない面もあったが、アルスの場合は鑑定スキルのせいで戦場での敵兵士のスキルが見えてしまい、それが全て自分を上回っているのでどうしても怖くなってしまう。実際にはリーツ達が守ってくれるので自分の身に危険は及ばないであろうけど、そうやって自分が怯んでしまい堂々と出来ないままでは兵士たちの士気が上がらない。それでアルスは自信をつけるために実戦での経験が必要だと考えていた。

そうしていると、ミーシアン州の内紛に付け込んで隣のサイツ州の軍勢が攻め込んできて、ローベント家は出陣することになる。そこでアルスは自分が軍を率いることにして初陣となりますが、そこにレイヴンが割って入ってきて自分が軍を率いると言い出す。まだアルスには早いと言うレイヴンにアルスは父は病気だと反論しますが、レイヴンは家や領地の安寧のために死ぬのは本望と言い、更にアルスに「お前はまだ戦士の顔になっておらん」と言う。そして死刑囚の斬首をアルスの目の前で執行して、それを見て動じなければ今回の戦の指揮を許可すると言う。しかしアルスは死刑囚の首が飛ぶのを見て嘔吐してしまいます。

レイヴンは最初は自分もそうだったと言ってアルスを慰めつつ「この程度で動転する者に軍勢の指揮は出来ない」と、まだアルスには時期尚早であったことを告げ、軍勢はレイヴンが率いることになり、アルスは城に残されてしまう。そして取り残されたアルスは、周辺情勢の悪化や父の病気という事態は明らかであったというのに戦争に対する覚悟が足りていなかった自分がいかに未熟者であったか思い知らされて打ちのめされるのでした。

 

 

無職転生Ⅱ ~異世界行ったら本気だす~ 第2クール

第18話を観ました。

今回はまずラノア魔法大学に通いながら平穏で幸福な日々を過ごすルーデウスの様子が描かれる。妹のノルンとは和解してすっかり仲良くなり、かねてから恩人ルイジェルドのためにやろうと思っていたスペルト族の名誉回復のための著作に取り掛かったりしたり、アイシャと一緒に買い物に行ったり甘えてもらったりして嬉しく思う。ノルンは健気で不器用なのが可愛いし、アイシャはあざといのが可愛い。

ナナホシの研究の方は順調に進んでいたが、召喚実験の新たな段階に進むためにナナホシは召喚魔術を教えてくれたという人物に会いに行かねばならないのだという。この人物については未だにルーデウスは全く知らないのだが、おそらく物語の上で重要キャラなのだと思われる。とにかく現時点ではルーデウスは会う予定もないが、この人物が作ったという魔法陣をナナホシから報酬として貰うことは出来た。ザノバの人形やフィギュアの研究も順調で、クリフのエリナリーゼの呪いを解く研究も一歩ずつ進んでいる。ルーデウスはそれら友人たちの研究に協力しながら充実した日々を送っていた。

そんな中、シルフィが妊娠したことが分かり、ルーデウスは感涙する。シルフィはアリエル王女から2年間の休暇を貰い、その間はエリナリーゼがアリエルの護衛を引き受けてくれるという。ルーデウスは幸せの絶頂を感じて、父パウロや母ゼニスやリーリャ達も戻ってきてこの屋敷で暮らしてもらい、パウロ達に初孫を見せてやるという未来を夢見る。ところがその幸せの絶頂に水を差すように「ゼニス救出困難、救援求む」という手紙がギースから届く。

それでルーデウスが愕然としていると、その夜にルーデウスは久々に夢の中でヒトガミに会う。以前にヒトガミに「ベガリット大陸に行くと後悔するから行かないように」と言われていたルーデウスは、母ゼニスが飛ばされたのがベガリット大陸であることから、今回の救援依頼についてどういうことなのかとヒトガミを詰問する。自分がベガリット大陸に行かずに母をこのまま助けられなかったら後悔するに決まっており、それならヒトガミの言っていたことはデタラメだったのではないかとルーデウスは怒り心頭です。

だがヒトガミはルーデウスが今ベガリット大陸に行ったら後悔するという自分の言葉は間違っていないと言う。ベガリット大陸に行くには片道1年かかる。つまり今の幸せな生活を捨てなければいけない。だから後悔することになるというのがヒトガミの理屈です。その理屈にルーデウスも納得し、一応ヒトガミが嘘を言っていないと信じることにした。しかし、私はやっぱりヒトガミは何か隠しているように思う。ルーデウスはベガリット大陸に行くことによって、現在の幸せを捨てること以外に更に重大な災難に見舞われることになるのではないか。それをヒトガミは知っていてルーデウスには隠しているように思えてならない。

まぁそれはともかく、ルーデウスはヒトガミに対する怒りを一旦収めて、夢の中に現れたヒトガミが自分に何か助言をしようとしていることは分かっているので、ひとまず今回の助言を聞いてやることにした。ところがその内容が「リニアとプルセナのどちらかと肉体関係を持て」というワケの分からないものだったのでルーデウスは困惑する。とりあえずそれは置いていおいて、ルーデウスは妊娠したばかりのシルフィのためにベガリット大陸には行かないことにした。だが、その代わりにエリナリーゼがゼニス救出に向かうと言い出しクリフとは別れると言う。ザノバには不安なら行くべきと言われる。そして、ルーデウスが行かないのならばノルンが母の救出に行くとまで言い出し、ルーデウスは遂にゼニスを救い出すためにベガリット大陸に行くことを決断する。今回はそこで終わり、次回からはいよいよ「転移迷宮編」が始まるみたいです。ただ来週は特番でお休みみたいですね。

 

 

死神坊ちゃんと黒メイド(第3期)

第30話を観ました。

今回は舞踏会のお話の続き。まずダレスが恥ずかしがっていなくなったのでウォルターが探しに行き、舞踏会場ではヴィオラがバイオリンを弾くことになったが緊張して弾くことが出来ないところを、甲冑の中に入って舞踏会場に来ていた坊ちゃんがピアノで伴奏をして助け舟を出して、兄と妹のセッションで奏でられた曲でお客様たちは踊ります。そんな坊ちゃんの姿を見て母ガーベラは坊ちゃんの頭を撫でてやりたくなるが、呪いのせいでそれは叶わない。

一方屋根の上に逃げていたダレスを見つけたウォルターはダレスに思っていることを何でも言ってほしいと言い、ダレスはキスしてほしいと頼む。あくまで人間になるための千の行程の最後の仕上げとして人間にキスしてもらわねばならないという意味で頼んだのだとダレスは言うが、ウォルターは数多い人間の中で自分をキスの相手に選んでくれたことに感謝しつつも、それは出来ないと断ります。ダレスはやはり自分ではダメなのだと絶望しますが、ウォルターは自分は貴族なので結婚相手以外とはキスをしないと決めているのだと言い、ダレスに結婚を申し込み、もし自分と結婚してくれるというのならキスをしようと言う。そして2人は屋根の上で手を取り合って踊り、更に舞踏会場に戻ってダンスをします。

そして舞踏会が終わり、そこでニコがやってきて、1週間後に過去に戻ってシャーデーに会いに行くことが決まったと坊ちゃんに伝えてくれた。そして坊ちゃんは帰り際に母ガーベラに挨拶し、1週間後に呪いを解くために過去に行くことを伝え、改めて自分のことをどう思っているのか尋ねる。ガーベラは長男として坊ちゃんに跡を継いでもらいたいと思っていること、そしてアリスとの結婚は身分違いなので認めるわけにはいかないことを伝え、坊ちゃんは更にガーベラの真意を聞こうとするがガーベラは疲れて寝てしまう。それで坊ちゃんは子供の頃にガーベラに優しくしてもらったことを今でも大事に覚えていると眠ってしまったガーベラに伝えて立ち去っていくが、ガーベラは起きていて坊ちゃんが去った後に自分も坊ちゃんを大事に思っていると本心を言う。そして本邸から馬車に乗って帰ろうとした時、旧友のフィリップと再会の約束をして和解し、ヴィオラはピアノを弾いて助けてくれたことの礼を言ってくれる。

帰りの馬車の中ではアリスが母シャロンから聞いた話をする。シャロンはシャーデーに眠りの呪いをかけられた時に、眠りにつく代わりにアリスの病気を治すという約束をしたことを思い出し、シャーデーは約束を守ってくれたのだと感謝し、だからこそシャーデーの気持ちを分かってやれなかったことを悔いているのだという。そして坊ちゃんにシャーデーを救ってやってほしいとも願っているのだという。アリスもシャーデーを救えるのは坊ちゃんしかいないと言ってくれる。しかし坊ちゃんは結果がどうなろうとも、あと1週間でアリスと共にいられる時間が終わってしまうのではないかと感じていた。呪いが解ければ跡継ぎとなりアリスとは引き離されてしまう。呪いが解けなければ家を追い出されてアリスとも一緒にいられなくなると思ったのです。それでもあと1週間を大切に過ごしながら前に進むしかないと決意する坊ちゃんでありました。そういうところで今回は終わり次回に続きます。いよいよ最後の作戦が迫ってきてようやく盛り上がってきましたね。