2024春アニメ 4月27日視聴分 | アニメ視聴日記

アニメ視聴日記

日々視聴しているアニメについてあれこれ

2024年春アニメのうち、4月26日深夜に録画して4月27日に視聴した作品は以下の5タイトルでした。

 

 

アストロノオト

第4話を観ました。

今回は監視カメラに映っていた幽霊のような人影の正体を突き止めようという話になり、ミラと拓己がスープカレーで罠を張って幽霊っぽい不審者を捕えようという作戦を敢行し、犯人は入居者がいないと思われていた7号室に住んでいた上町葵という女性であったことが分かる。実は葵は極度の人見知りで、先代の大家である下高井戸に廊下から出入りせずに済むよう特別に改造した7号室に入居させてもらっていたそうです。そして下高井戸が亡くなって大家がミラに変わって自分の存在が忘れられているとは知らなかった葵は食堂に置いてあった朝食を自分用のものだと勘違いして部屋に持ち帰っていたのだが、それをミラや拓己が泥棒の仕業だと勘違いし、監視カメラで映った葵の姿が長髪のせいで幽霊に見えたのだった。

その後、ミラはショーインと一緒に下高井戸の弁護士だった人を訪ねて話を聞く。その弁護士はもともとあすなろ荘の住人だった人で、その人の話を聞いてミラ達は下高井戸がミボー人であったことを確信する。その晩、皆で葵の歓迎会をしようということになり、7号室に入れてもらえなかったので拓己の部屋で宴会することになる。ここで、拓己たちは知らないようだが、どうやら葵は拓己と旧知の仲であるようです。その拓己はミラと映画に行ったりして親密度が増しますが、ミラがショーインと一緒にラブホテルに入るのを目撃してショックを受ける。今回はここまでで次回に続きます。

 

 

変人のサラダボウル

第4話を観ました。

今回はまず惣助のもともと居た探偵事務所の後輩女子の閨春花という奴が現れて仕事を紹介してくれる。それはイジメ調査の仕事で、中学1年生の娘が学校でイジメられているのではないかという母親からの依頼でした。本人である娘の友奈に確認してみたがイジメなど無いと言う。しかしサラと三国志の話題や父親が死んだ話で意気投合して、友奈はうっかりイジメがあることを告白してしまう。実は友奈は父親の死後に母親が雇ってもらった会社の社長の娘にイジメられていた。自分がやり返したりイジメをバラしたりすれば母親に迷惑がかかるのではないかと思って友奈は我慢しており、相手はそれを良いことにイジメをしていた。それを聞いた母親は自分のことは気にしなくていいと言って友奈を叱り、惣助は合法的な手段でやり返そうと助言し、隠しカメラでイジメの証拠を映像で残して弁護士に送ってやり返した。

これで一件落着となり、その後、ハロウィンの催しにサラが仮装して参加する話があり、岐阜駅前で織田信長像の前でサラと惣助が記念写真を撮って、そこで惣助がサラの元居た世界は実は日本ではないかと指摘し、サラの元居た世界は地球のパラレルワールドでありサラの居た国は日本だったのだが、そこは信長が本能寺で死なずに天下をとって皇帝になって魔法の国を作っており、サラは信長の子孫なのだという。だからどうしたという話だが、今回はこれで終わり次回に続きます。

 

 

魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?

第4話を観ました。

今回はザガンがネフィリアに膝枕してもらったり、ネフィリアを魔術の弟子にしたりします。魔術師の悪友のバルバロスが訪問してきてネフィリアがまだ生贄にされずに生きているので驚いたりしますが、ザガンがネフィリアを弟子にして大切にしていると知ってバルバロスはザガンに人間らしい心が残っていたのかと感心する。ネフィリアもザガンが実はバルバロスを友人と思って気を許しているのだと気付く。

その後、ザガンはネフィリアに魔術を教えたり、ネフィリアに屋敷の世話をしてもらったりして穏やかな日々を過ごすが、そうして半月ほど過ぎてザガンは12人の魔王から呼び出しを受け、魔王の待つ亡き魔王マルコシアスの居城に向かう。そこでザガンは13人目の魔王となるようにと言われ、マルコシアスの持っていたネフィリアの首輪の鍵を手に入れるために魔王となることを了承する。そうして魔王となり鍵を手に入れたザガンはネフィリアの首輪を外して、魔王となった自分の険しい人生にネフィリアを巻き込まないよう、そしてネフィリアを自由にしてやるために自分の居城から追放する。そのことに気付いたネフィリアが悲しむところで今回は終わり次回に続きます。

 

 

ガールズバンドクライ

第4話を観ました。

今回はすばるがバンドを辞めるとか言い出して仁菜や桃香が右往左往するような話で、結局はスッキリした答えは出なかったように見えますが、これで実はバンドの目指すところを探すための第一歩を踏み出したというお話になっていて、今回は脚本の出来が非常に良かった。まぁここまでの3話も実際のところ脚本の出来も良かったんですけど、なんか勢いが勝ってる感じがして脚本の良さが目立っていなかった。今回は勢いが抑えめなぶん、脚本の繊細さが際立って見えました。

何よりエピソードの方向性が良い。バシッと綺麗な形で結論を出さずに魅せることで、形式的なものよりも大事な本質があることを浮き彫りにしているのは、先日の「響け!ユーフォニアム3」の3話にも通じるものがある。こういう一見すると中途半端な話で序盤の1話を消費して重要なことを描いてくる作品はむしろ終盤の爆発力を予感させて1クール単位で見ると強みを感じる。毎話しっかり充実していることも大事だが、単に毎話レベルが高いエピソードを作ること、それを繋げてレベルの高い1クールの作品を作ることだけでなく、その中で巧みに緩急と流れを作ることが出来るのが超一流なのだろうと思う。そういう流れを作る上で今回のエピソードは重要な布石だったように思います。前クールは設定が破格的に面白いキワ物の作品が多かったんですが今期は上位は正統派の作品が多くて脚本勝負になってきそうなんですが、その中でもこの作品は十分に今期のエースといえる作品だと思えました。

今回は仁菜と桃香とすばるの3人がバンドをやる意味についてリアルに描かれた話だったといえます。そもそもバンドをやろうと言い出したのは桃香ですが、桃香は元いたバンドから抜けて1人で活動した後音楽を諦めて田舎に帰ろうとしていた人間です。それが仁菜に出会って再び音楽をやろうと考え直して、仁菜に「バンドをやるべきだ」と誘い、すばるにも声をかけたのだが、仁菜とすばるは別に才能に溢れた人材というわけではなく素人に近い。だから桃香は別にメジャーを志向しているわけではなく、かといって趣味で音楽をやろうとしているスタンスでもない。一旦辞めようと決めていた音楽を再び始めたのだから心に期すものはあるはずなのです。そして、そのためには仁菜やすばると一緒が良いと考えたようです。

ここまでの桃香の言動を見た印象では、彼女は別にメジャーになろうとか売れたいとか成功したいという考えは無く、ただ真摯に音楽に、ロックに向き合いたいと思っているように見える。極論を言えば、別にこの3人のバンドを盛り上げていこうとか守っていこうという意識すら希薄に見える。桃香は自分がロックに向き合うために必要だから仁菜やすばるを求めているだけであり、彼女らを守ろうとはしていない。ただ年長者であるし自分が声をかけたからという義理と、生来の世話焼きの性分で2人を気にかけている程度でしょう。桃香は社会的な成功よりも内面的な充実を求めている人間であり、仁菜やすばるのことも自分と同じタイプだと思うから自分のバンドに巻き込んでいるのでしょう。

そういう意味では桃香は「響け!ユーフォニアム3」の3話で描かれた黄前久美子とは対極にあるキャラに見える。久美子は吹奏楽部から誰も脱落者を出さないために精一杯の努力をしようとしていたが、桃香は今回バンドを辞めようとするすばるを積極的に引き留めようとはしなかったし、前々回でも仁菜にバンド入りを拒否されるとすぐに諦めたし、前回も仁菜にバンドを辞めるよう促したりしている。ただ、それらはバンドや音楽が仁菜やすばるにとって魅力的であれば勝手に戻ってくるという考え方に基づく行動であり、本気で辞めさせようとしていたわけではない。

おそらく久美子は「吹奏楽部を守ること」が「皆が吹奏楽に真摯に取り組むこと」に繋がるという思考なのであり、逆に桃香は「皆が音楽に真摯に取り組むこと」が「バンドを守ること」に繋がるという思考なのであり、思考の順序が違うのでしょう。そういう意味でこの「ガールズバンドクライ」の人間関係は割とドライで尖ったものになりがちです。ただ久美子と桃香に共通しているのは、彼女らがそれらを目に見える形での成功や勝利などよりも重視しているという点です。特に桃香はそれが際立って見える。それは久美子は責任ある立場であり、桃香は久美子ほど責任を負う立場ではないという差によるものでしょうけど、そのぶんやはりこの「ガールズバンドクライ」の方がそういう意味でのメッセージ性は若干強く見えます。そして、そのメッセージのアツさがこの作品の一見するとドライに見える部分を十分に補って魅力あふれる物語を作り上げている。

とかく最近はそれとは対極に「勝たなければ意味が無い」「勝った奴が正しい」という感じのメッセージの作品が目立つ。小難しい説教なんか聞きたくない中高生はそういうものの方が分かりやすくて心地良いのでしょう。なろう系とかジャンプ系の作品なんてそんなのばっかりです。そういう作品自体が必ずしも全部嫌いというわけではないですが、そんな作品ばかりに慣れすぎると物語の趣旨を読み解く力が失われていってしまい、正統派の物語が廃れていきそうで心配です。だから私はやっぱりこういう「響け!ユーフォニアム」や「ガールズバンドクライ」のような物語の方をどうしても高く評価したくなる。

そういうわけで今回の話ですが、まず冒頭は仁菜たち3人が楽器店に来ている場面から始まります。ここで仁菜はご機嫌でギターを物色したりしている。仁菜は楽器は全く弾けないのでギターも弾けないのですが、桃香みたいにギターを弾きながら歌ったりしてみたいようです。桃香は初心者の仁菜がギターを弾いても歌が疎かになるだけだから止めたほうがいいと忠告しますが、仁菜はあまり聞く耳を持っていない様子で、これは前回ラストで描かれた仁菜にとっての初ライブで思いっきり唄ったのが仁菜にとってとても気持ち良かったからでした。

仁菜はこれまで熊本で人目を気にして本当の気持ちを言うことも出来ず鬱屈した日々を送っていた。それは川崎に出てきてからも変わっていなかった。でも初ライブで観客の前で自分が思っていることを思い切り叫んで、人生で初めて力の限り自分を出すことが出来て、初めて心の底からの笑顔になれた。その気持ち良さは前回も桃香やすばるにも予告されていたものであったが、実際にその気持ち良さを体感したことで仁菜はすっかりその虜になっていた。そして、自分にそれを予告した桃香もすばるも同じようにライブを気持ちよく感じたはずであり、自分は桃香とすばるという一緒に心の底からの笑顔になれる仲間を得たのだと仁菜は思って高揚した気分になっていた。

だが、配信用の音源作りのためにスタジオで練習を開始すると、桃香は至って冷静に作業に取り組んでおり、初ライブの高揚感を引きずっていた仁菜は自分と意識のズレを感じた。そうしていると、桃香が見ていたスマホの画面がたまたま目に入った時、桃香が「ダイヤモンドダスト」の記事を検索していたことに気付いて、仁菜は桃香がダイヤモンドダストを意識しているのではないかと思った。つまり桃香が袂を分かつた元仲間のダイヤモンドダストをライバル視してこの3人のバンドで勝ちたいと思っているのではないかと想像したのです。

しかし、そのことをすばると2人になった時に言ってみたところ、メジャーデビューして売れているダイヤモンドダストに勝とうと思っているのならそもそも自分達みたいな素人同然の2人を誘うわけがないと言って笑われてしまった。初ライブの高揚感でダイヤモンドダストにだって勝てるんじゃないかと浮かれていた仁菜は冷や水を浴びせられたようで少し嫌な気分になり、すばるとも温度差を感じてしまった。

しかし、ライバルとして意識しているのではないとするなら、一体どうして桃香はダイヤモンドダストの記事の検索なんかしていたのだろうかと考えた仁菜は、もしかしたら桃香はダイヤモンドダストに未練があって戻りたいと思っているのではないかと思ってしまいモヤモヤしてきた。なんだか初ライブで浮かれていたのは自分だけであって、桃香もすばるもそんなに高揚していなかったのかもしれないと思って仁菜が嫌な気分になっていたところ、スマホに届いたメッセージを見て何やら慌てたすばるが作業の途中なのに急に帰ってしまい、その後もメッセージを送っても返信も無く、その日の夜遅くになっても既読さえつかなかった。

それで桃香は男と会っているのだろうと言う。こんな夜遅くまでスマホを見ることも出来ないということは、単にデートをしているという感じではなく、例えば裸になって男と一緒にベッドで寝ているようなそういう関係だと言っているようなものです。仁菜は自分と同い年のすばるが男とそんな爛れた行為をしているとは信じられないが、桃香はガールズバンドをやってる女子はバンドマンに狙われやすいからそんなのはザラだと言う。

ただ、すばるを勧誘した時点では男がいるような印象は無かったので、きっと一旦別れた男とヨリが戻ったのだろうと桃香はワケ知り顔で言う。それを聞いて仁菜は桃香がダイヤモンドダストに戻りたがっているのかもしれないという疑惑を思い出し、桃香にダイヤモンドダストとヨリを戻したいと思っていないのかと質問します。桃香はダイヤモンドダストの名前を聞くと不機嫌になり、今のダイヤモンドダストのことはどうも思っていないと答える。その言葉に仁菜が突っかかって、どうも思っていないならどうして辞めたのかと質問する。それに対して桃香は「その話はしたくない」と言って答えを拒否する。

実際、桃香は仁菜が疑うようにダイヤモンドダストに戻りたいなどとは思っていないでしょう。自分から辞めて田舎に帰ろうとしていたぐらいですし、もしかしたら戻りたくても戻れない事情がある可能性もありますが、それならばわざわざ仁菜やすばるを誘う必要も無いはずです。だからおそらく桃香はダイヤモンドダストに戻りたいとは思っていない。しかし「どうも思っていない」というわけでもないのも事実でしょう。どうも思っていないのなら仁菜の質問に対してこんなに不機嫌になることはないし、仁菜の質問に答えて昔の話をするのを拒んだりもしないはずです。それにティッシュ配りのバイト中にダイヤモンドダストの看板を見つめていたり、記事の検索をしていたのも、ダイヤモンドダストに対して何か思うところがあるからなのでしょう。

それぐらいのことは仁菜にも分かるので、仁菜はしつこく「どんなバンドだったのか教えてください」と食い下がる。それで桃香も根負けして、溜息をつくと自分の部屋から額縁に入れたダイヤモンドダストの結成当時の写真を持ってきて仁菜に向けて放り投げて渡す。その写真には高校生の頃の桃香とダイヤモンドダストの他のメンバーが一緒に笑顔で写っていた。そして桃香は仁菜にダイヤモンドダストの昔の話をした。

出会ったのは旭川の高校の軽音楽部で、全員才能があって全員気が合った。やりたい音楽の方向性も一緒で、それで「これはプロになる運命だ」と皆が思った。そうして1年生の時の学園祭でライブが大成功して、こうなったらプロになるしかないと思って全員高校を中退して上京してインディーズで活動を始めた。自分達に才能があると気付いてしまった田舎の女子高生たちは高校卒業まで田舎でくすぶっているなんて耐えられなかったのでしょう。そうして実際にインディーズでも成功してメジャーデビュー直前までこぎつけた。だが、そこで桃香は脱退し、残りのメンバーはメジャーデビューして売れっ子になった。

一体そこで何かあったのかはまだ不明です。第1話で桃香が仁菜に「ダイヤモンドダストは辞めたこと」「曲の権利も譲ってやったこと」は説明したが、そこに至った経緯は明かしていない。それはおそらく桃香にとっては言いたくないことであり、思い出したくもないことなのでしょう。仁菜に昔の話をするようにと言われて嫌がったのも、それを思い出したくないからなのでしょう。田舎から出てきた仲良しガールズバンドがメジャーデビューをするにあたって何かの決断を迫られて、そこで仲間内で何か決定的な亀裂が生じたのではないかとは想像できますが、それが何であったのかは分からない。

仁菜にもそれはもちろん分からない。ただ仁菜はもう桃香がダイヤモンドダストに戻りたいと思っているのではないかという疑いは抱いていなかった。それは桃香の昔話の中身に納得したからというわけではなく、桃香から渡された額縁の中の桃香の笑顔を見たからでした。その笑顔はとても屈託の無い心の底から楽しそうな笑顔で、仁菜にはその桃香の笑顔が今の自分の笑顔と同じだと思えた。初めて音楽で自分を力の限り出すことが出来た心の底からの喜びに満ちた笑顔であった。これが桃香が初めて音楽の楽しさを知った時なのだと仁菜は思い、その写真を額縁に入れて自分の部屋に飾っているということは、それは桃香の大切な想い出なのだろうと思えた。だが今の桃香はそんな笑顔を見せたことは一度も無いとも仁菜は思った。つまり今の桃香はその頃とは全く違う人間になってしまっているのであり、今の桃香にとってダイヤモンドダストは完全に過去の想い出になってしまっているのだろうと仁菜は納得出来たのです。

それで仁菜は額縁を見つめて「桃香さん、こんな顔で笑うんですね」と笑って言う。それを聞いた桃香はハッとします。それはつまり、今の自分が仁菜たちの前で昔みたいな笑顔になれていないということを意味していたからです。自分は高校の時にバンド

を始めた時のような新鮮な喜びをいつの間にか忘れてしまっていたのだと気付いた桃香は、自分がダイヤモンドダストに戻りたいなどと思っていないはずなのに看板を見つめたり記事を検索するというような無意味な行動をとってしまっていた理由がようやく腑に落ちた。自分は確かにダイヤモンドダストに戻りたいとは思っていない。だが、それは「今のダイヤモンドダスト」であって、自分は本当は「昔のダイヤモンドダスト」の頃に戻りたいと無意識に思ってしまっていたのだと桃香は気付いた。

もちろん戻れるはずがない。そんなことは桃香は分かっている。問題はそうやって戻れるはずもない昔に心を奪われて自分が現在において昔のようにちゃんと笑えていないことの方だった。一方で先日の初ライブの後で仁菜が昔の自分みたいな心の底からの笑顔をよく見せるようになったことには桃香は気付いていたので、桃香はどうして仁菜がこんなふうに昔の話で突っかかってきたのか理由が分かったような気がした。桃香自身は無自覚であったが、いつの間にか仁菜の喜びのテンションに自分がついていけなくなっていたのだ。それで仁菜を寂しがらせてしまい不安にさせてしまったのだろうと気付き、桃香は反省しました。

ただ、反省したところで実際に昔のように心の底から楽しくなれるかというと、それは今の自分には難しいのだろうとも思えた。大人になってしまったし、色々なことがありすぎた。高校の時と同じことをしていても、もう高校の頃のような笑顔にはなれないように思えた。何か新しいことが無ければあの頃のような笑顔は取り戻せないように思う。いや、高校の頃から何も変わらないままだったからこそ、いつしか自分は笑顔を忘れてしまい、それでダイヤモンドダストをダメにしてしまったのではないかとも思えた。それならば、自分が変わらなければ今回のバンドも結局同じようにダメになってしまうのではないかとも桃香には思えてきたのでした。

しかし翌朝になって緊急事態が起きてしまう。仁菜がすばるのスマホに送っていたメッセージへの返信が深夜に来ていて、そこですばるが「バンドやめます」と伝えてきていたのを朝に起床して仁菜が発見して、慌てて桃香に連絡して、仁菜がすばるに事情を聞くためにすばるの通うアクターズスクールに行こうと言い出すので、桃香もついて行くことになったのです。

仁菜にしてみれば、せっかく自分が生まれて初めて本当に笑顔になれる場所が出来たと思っていたのに、すばるが辞めてしまったらその場所であるバンドが無くなってしまうという危機感を覚えて、何とかしてすばるを引き留めなければいけないと必死でした。辞めるなんて言ってるぐらいだからスマホで説得しようとしても埒が明かないだろうし、すばるの自宅も知らないし、そうなるとアクターズスクールに押しかけて直談判するしかないと仁菜は考えたのでした。

だが桃香の方は仁菜が1人で行ったら面倒なトラブルを起こしそうなので仕方なくついて来たが、あんまり乗り気ではなかった。桃香も仁菜もすっかりすばるが辞める理由は男性関係だと思い込んでおり、桃香の経験上、いや実は経験はあんまり無いので他人から聞いた話なのだが、男と無理に別れさせようとすれば逆に意固地になって男にズブズブ嵌ってしまうパターンの方が多いらしいので変にすばるを刺激したくはなかった。ただ、だからといってこのまますばるを辞めさせてしまって良いのかというと、それは確かに良くはないのだが、すばるが音楽に真摯に取り組んだ上でこのバンドに魅力を感じているのならいずれは戻ってくるはずだというのが桃香の基本的な姿勢です。そして同時に、桃香は昨晩の仁菜との遣り取りでちょっと自信喪失気味であり、昔みたいに笑えなくなった自分が果たして仁菜やすばるを引き留める資格があるほど釣り合いのとれる相手なのだろうかと少し懐疑的になってしまっているという側面もある。

そうして2人がアクターズスクールの建物内に入ると、そこにすばるがやって来るが、すばるが普段とはキャラが違っていてずいぶんとお嬢様風にキャラを作っているので、一度そういうのを見ていた仁菜は平気でしたが桃香は戸惑う。ただ仁菜も戸惑ったのは、すばるが今回はずいぶん年配の和服を着た女性と一緒に歩いてきたことで、すばるはその女性に「おばあ様」と言っていて、どうやら先日すばるから説明を受けた祖母の大女優の人らしいということに仁菜は気付いた。一方ですばるから家族の話を何も聞いていなかった桃香はそれが誰なのか分からなかった。

すばるの方はバンド活動を秘密にしている祖母と一緒にいるところにいきなりバンド仲間の仁菜と桃香が現れたので慌てて2人を物陰に連れていき揉め始めるが、そこに祖母が来て誰なのかと質問してくるので、すばるは咄嗟に役者仲間だと言って誤魔化す。だが、どう見ても役者っぽくは見えない2人組を見て祖母は疑った様子であったが、表向きは納得した体で3人を連れて喫茶室に行き、お茶を飲みながら歓談して役者の心得の話をしたりします。

そうして面と向かって座っていると、さすがに桃香も相手がテレビでも見たことがある大女優の安和天童だということに気付き、すばると姓が同じであることで本当にすばるが安和天童の孫だということに納得した。それで祖母がトイレに行った間にすばるに確認すると、確かにすばるは安和天童の孫娘であり、昨日急に上京して来て会いたいと言われたので慌てて帰って会い、その後ずっと相手しているのだと説明する。

つまり男に呼び出されて帰ったというのは勘違いだったのだと桃香も仁菜も理解したが、桃香はすばるが芸能人一家の人間だとは聞いていなかったと文句を言う。それに対してすばるは芸能人一家ではないと言う。祖母が女優であるというだけで、両親は普通の仕事をしているのだという。それに自分は役者になる気も無いのだとも説明する。バンドをやるなんて言っても邪魔されるだけだからバンド活動を秘密にしているだけであって、そのまま役者になる気は無く、自分はあくまでバンドをやりたいのだとすばるは仁菜と桃香に強調する。

だが、それならどうして「バンドやめます」なんてメッセージを送ってきたのかと仁菜は問い質す。押しかけてきたのが迷惑みたいな扱いをされてしまっているが、そもそもすばるが変なメッセージを送ってきたからこんなことになっているのだ。そう詰め寄られると、すばるも返答に窮してしまう。確かにバンドを辞める気が無いのならそんなメッセージを送るのは道理に合わない。それについてはすばるも自分の失態を認めざるを得ない。問題はどうしてそんな失態を犯してしまったのかだが、それについてはすばるは何だかよく分からない言い訳に終始する。要するによほど気が動転して自分でも理解出来ないような行動をとってしまったようです。すばるの様子を見ていると、よほど祖母が苦手みたいで、祖母と話をしているうちに「もう役者になるしかない」「バンドはもう続けられなくなる」と絶望的な気持ちになってしまい、その勢いでヤケクソで「バンドやめます」と仁菜にメッセージを送信してしまったっぽい。

すばるの話を聞いていると、まるで祖母とはマトモな会話が成立しないので説得は不可能みたいな印象を受けるが、しかし実際に会ってみた安和天童は確かに芸事には厳しそうな人ではあったが、基本的には優しくて穏やかで物分かりの良さそうな人に見えた。普段は飄々としているすばるがどうしてあの穏やかそうな祖母の前でだけそんなに萎縮してしまうのか、どうも桃香にはよく分からなかった。

そこに祖母が戻ってきて、すばるの役者としての成長を見たいから今からアクターズスクールに戻って即興劇をやるようにと言い、桃香と仁菜に即興劇の相手をするようにと言う。そもそも即興劇を見ただけで役者としての力量が分かるような人が、見るからに役者の基本も身についていない2人組を役者だと見なして即興劇をさせようとしていることが不自然であり、どうも祖母は桃香と仁菜をすばるに絡ませて何か確かめようとしているようにも見える。

そうして3人は祖母の前で即興劇をやらされる羽目になります。即興劇の設定は、仁菜が演じる男性に桃香が演じる女性が愛の告白をしているところにすばるが演じる元恋人の女性がやってきて仁菜演じる男性とヨリを戻そうとするというもの。こういう設定でたどたどしく演じていた仁菜であったが、すばるが「もう自分の心に嘘をつけない」「貴方が好き」とか言ってきたのに対して腹が立ってきて、「どうして簡単に別れるなんて言ったの?」と、バンドをやめるなんて気軽にメッセージを送ってきたことについて本気で詰りだす。意外な展開に返答に窮してしまうすばるに対して、更に仁菜は「あの時、私に本気だって言ったのは嘘だったの?」と更に詰め寄る。仁菜は祖母が怖いぐらいでバンドを辞めるなんてヤケクソで言ってしまうようなすばるが本気でバンドをやりたいと思っていないのではないかと思ってしまい、初ライブで本気で楽しかったのは自分だけだったのかと思うと悲しくなってきてしまったのでした。

この仁菜の剣幕に対して言葉を返すことが出来なかったすばるであったが、帰りの電車の中で改めて仁菜に「バンドを辞める気は無い」と伝える。それに自分はアクターズスクールでは「安和天童の孫」としか思われていなくて、別に実力は認められていないので役者としてやっていけないはずであり、いずれ祖母も諦めるはずだと言って仁菜を安心させようとします。ところがすばるのスマホに所属事務所からメッセージが入って、祖母の主演ドラマに端役で出演が決まったということを告げられてしまう。完全に祖母のコネを使ってのゴリ押しの出演だが、どうやら祖母が急に上京してきた理由は、そうしてセッティングしたすばるとの共演の場面の撮影のためだったようです。

すばるには全く寝耳に水の話であったが、祖母が決めたことに逆らうことは出来ず撮影に行くことを決める。そのために1週間ほどバンドの練習には参加できないと言う。しかし仁菜は納得できない。役者になる気が無くてバンドを続けるのが本気だと言うのなら、どうしてすばるがちゃんと祖母に断らないのか納得できない。本当はすばるはバンドを辞めてもいいと思っているのか、それとも結局は祖母に逆らうことは出来ずにズルズルと役者にされてしまってもいいと思っているのではないかと仁菜は疑い、撮影に行くことは絶対に反対だと言い張る。

しかし桃香はすばるが撮影に行くことを許可する。別にスケジュール的に問題があるわけではないし、自分にはすばるを無理に引き留める権限も資格も無いと思えた。すばるがバンドをやることで高校時代の自分のように笑顔になれるというのならバンドを辞めることはないであろうし、役者をやることで笑顔になれるのならば、それを邪魔することも出来ない。全てすばるが自分で決めればいいのだと思えた。それで、「すばるちゃんがいなくなるかもしれない」と抗議する仁菜にも桃香は「バンドじゃよくあることだ」と諭す。それを聞いて仁菜は桃香のことを「思いやりが無い」と非難し、すばるは「バンドを辞めない」という自分の言葉を信じてくれない仁菜の方が思いやりが無いと非難する。

更に桃香も仁菜に対して「人には触れられたくない部分があるんだ」と説教する。桃香にとって触れられたくない部分であるダイヤモンドダストの過去にズカズカ踏み込んできた仁菜が、また今度はすばるの触れられたく部分に踏み込もうとしているように思えて桃香は心配したのですが、それは言い換えれば桃香もすばるにとって祖母との関係が何か他人には言いにくいものなのだろうということが何となく察しがついているということであった。だから桃香はもしかしたらこのまますばるが祖母との関係に絡めとられて戻ってこられなくなるかもしれないと危惧もしていた。ただ、それが自分にとってのダイヤモンドダストと同じようにすばるにとって他人に触れてほしくない部分なのであれば、それは自分にはどうすることも出来ないと桃香は思っていた。

しかし、そうした桃香の言葉を聞いて、すばるは自分が触れられたくないと思って隠している想いのために仁菜や桃香を心配させてしまっていることに気付き、やはり特に心配している仁菜には自分の本当の気持ちを理解しておいてもらおうと思い直し、翌日1人暮らしの自宅に仁菜を招いて、ある古い映画を見せる。その映画はすばるの祖母の安和天童の若い頃の出世作で「すばる」というタイトルの映画でした。天童さんの若い頃の映画ですから、すばるはおろかすばるの両親も知らない映画ですが、孫娘のすばるが産まれた時に天童さんがこの名前が良いと言って名付けたのだそうです。「役者になるには縁起の良い名前だから」というのがその理由で、つまりすばるは祖母から産まれた時から役者になることを強く期待されていたことになる。その想いそのものが名前の由来になっているわけですから、「すばる」という名前で呼ばれるたびにその想いはまるで呪いのようにすばるに圧し掛かってくるわけです。

それでも、すばるは役者になりたくないのだと言う。いや、そもそもそんな重圧を産まれた時からかけ続けられてきたら、好きなものでも嫌いになるでしょう。それに祖母の七光りで実力に見合わない特別扱いをされたり、そもそも芝居があまり好きでもないというのもあって、すばるは役者になる気は全く無い。ただ、それでもすばるは決して自分の口から「役者になりたくない」と祖母に伝えようとはしない。そういう自分の気持ちを祖母に知られないように、今回みたいな露骨なゴリ押し出演も文句を言わず引き受ける。ただひたすら祖母が諦めてくれるのを待っている。それは仁菜から見れば焦れったいであろうけど、すばるはそういうスタンスを変える気は無い。

それはどうしてなのかというと、すばるは「私が役者を目指してるって言うと笑うんだよね」と言う。そして「その時だけ、作った笑顔じゃなくて本当に笑うんだよね」とも言う。つまり、祖母はすばるが「役者を目指してる」と嘘を言えば笑ってくれる。それは「本当の笑顔」なのであり、すばるは祖母のその「本当の笑顔」をどうしても守りたいので、「役者になりたいくない」と伝えて祖母の「本当の笑顔」を消すようなことは出来ないのです。

しかし、もともとはそうした祖母のあまりに強い想いがすばるを苦しめているのであり、すばるがそうした迷惑な祖母の願いを自分を苦しめ続けてまで守ってあげる義理は無いはずです。それでもすばるがあくまで祖母の笑顔を守りたいというのは、すばるがよほど優しいからなのか、それともそこに更に何か事情があるからなのか、それはここでのすばるの話だけでは分からない。それはおそらく桃香が「触れられたくない」と言った部分なのでしょう。それについてすばるもここでは全部を仁菜に言ったわけではない。ただすばるは自分はとにかく祖母の「本当の笑顔」を守るために自分の気持ちを偽っているだけであり、バンドを続けたいという想いが揺らいでいるわけではないということを伝えたのです。

そして、その上ですばるは仁菜に「どう思う?仁菜ならどうする?」と問いかける。すばるも迷ってはいるのです。単に「役者をやりたくない」と思っているだけの頃は「祖母の本当の笑顔を守るために役者を目指しているフリをすればいい」と簡単に割り切ることは出来た。でもこうしてバンド活動を始めて、初ライブで仁菜が「本当の笑顔」になったのを見てしまったことによって、すばるは祖母の「本当の笑顔」と、仁菜の「本当の笑顔」のどっちを守るべきか葛藤するようになってしまった。だから仁菜にどうしたらいいか判断を委ねようと思ったのです。

一方で仁菜の方はすばるから祖母の天童さんの「本当の笑顔」の話を聞いて、それが初ライブの時に感じた自分の気持ちや、額縁の写真で見た高校時代の桃香の笑顔と同じような「人生で初めて知ったかけがえのない喜び」なのであろうと理解した。それはとても大事なものであり、傷つけてはいけないものだと思った。でも、そのために自分の「本当の笑顔」の源であるバンド活動が邪魔されるのは嫌だと思った。そんなのはワガママだとは仁菜も自分で分かっている。でも天童さんの想いだってワガママではないかとも思えた。だから別に自分のワガママを通してもいいのだと思い、仁菜は「今のままは良くない」「女優になる気が無いなら早く言った方がいい」と答える。それを聞いてすばるは同意して、撮影の時に祖母に自分の気持ちを伝えると約束してくれた。そして別れ際にはすばるは「自分もライブの時にドラムが楽しいと思った」「だからバンドは辞めない」とも伝えてくれたが、仁菜はその後もどうもモヤモヤしてしまう。

そしてそのドラマ撮影の当日となり、仁菜と桃香も「すばるの役者友達」という名目で撮影の見学に行きます。すばると主役を演じる祖母との共演シーンは、すばるが端役なので順調に撮り終わり、その後すぐ新幹線に乗って祖母は東京を発つという。そうして撮影後に休憩している祖母は仁菜と桃香に「すばると同じ作品に出るのがずっと夢だった」と言う。更にすばるの名前の由来が自分の出世作のタイトルだとかいう話も聞いて、仁菜は胸がチクリと痛みます。

そして、更に仁菜と桃香は祖母の口から意外な事実を知らされる。祖母はすばるの母親である自分の娘には嫌われているのだと告白したのです。女優をやっているために家に全然おらず、家事も何も出来ないので、娘にはダメな母親として軽蔑されて嫌われていたようで、女優であることもずっと否定されてきたようで、当然娘は女優になろうとはせず普通の人生を歩み、母親である自分のことを褒めてくれるようなことはなかったという。実の娘にそんなふうに思われ続けた人生はさぞ辛かったことでしょう。これがつまり桃香が言っていた「触れられたくない部分」であり、すばるが全部は言わなかった安和家の暗部だったのでしょう。

しかし、孫娘のすばるだけは女優という仕事をしている自分を好きだと認めてくれて自分も女優になりたいと言ってくれた。それが心の底から嬉しかったのだと祖母は言う。そうした話を聞いて、仁菜は子供の頃のすばるが自分の母親に憎まれている祖母のことを可哀想に思ってそういうことを言ったのだろうと思った。そして、そのすばるの言葉が祖母にとって人生で最高の幸せとなり「本当の笑顔」をもたらしたのだ。おそらく祖母にとって、そのことが女優として生きていくモチベーションになったのでしょう。いつか女優になったすばると共演することだけを心の支えに女優業を続けて娘に軽蔑され続けることにも耐えることが出来たのでしょう。すばるは女優になる気は無かったが、そうした祖母の心の支えを折るようなことはしてはいけないと思い、祖母の前ではずっと「女優になりたい」と言い続けるしかなく、そうした呪縛のせいで祖母のことを鬱陶しく思ったりもしたが、それでもやっぱり祖母の「本当の笑顔」を消すことは出来ないと思い続けた。その結果こうしてアクターズスクールに入れられてバンド活動との板挟みで進退窮まってしまったのだ。

だが、仁菜は祖母の話を聞いて、そうしたすばるの気持ちが理解出来たような気がした。何故なら、仁菜もこの祖母の「本当の笑顔」は守らないといけないと思えたからです。それは言い換えれば、仁菜自身の「本当の笑顔」は祖母の「本当の笑顔」に比べれば重要ではないと思えたということになる。仁菜は初ライブで感じた喜びで有頂天になっていたが、そんなものはこの祖父の話に比べればまだまだ全然大したものではないと気付いたのです。それはおそらく「ライブでドラムが楽しかった」と言っているすばるも同様であり、そんな自分やすばる程度の人間が自分のワガママのためにこの祖母の「本当の笑顔」を損なって良いはずがないと仁菜は思った。

それで仁菜は撮影後に自分の気持ちを祖母に打ち明けようとしているすばるを邪魔して強引に連れ帰ってしまい、結局すばるが自分の気持ちを祖母に伝えるのを阻止してしまった。すばるは言動不一致だと仁菜を非難しますが、仁菜は「いつかは言わなくちゃいけないけど、それはやりたいことがちゃんと見つかったら」と言う。確かに祖母の「本当の笑顔」を守るためにすばるが嘘をつき続けるのは間違っており、いつかは本当の気持ちは伝えなければいけない。でも、今の段階で祖母の「本当の笑顔」を損なってまでして実現する自分たちの「本当の笑顔」があの初ライブの後の満足感程度では釣り合いが取れない。祖母の「本当の笑顔」を代償にして実現する価値のある、もっと凄い「本当の笑顔」を自分達が手にしてから初めて祖母に本当の気持ちを打ち明けて、自分達が祖母以上に幸せになったことを見せてあげて安心させてあげるのが正しい道だと仁菜は考えたのでした。

また桃香も、すばるの祖母の話を聞いて、すばるが祖母の抱く夢を否定することが出来ずに自分を追い詰めて苦しんでいたのだということに気付き、すばるが自分たちのバンド以外に夢を見つけられたらそれでいいと考えていた自分が間違っていたと悟った。すばるに必要だったのは外の世界での夢ではなく、このバンドで祖母の夢を超えるだけの夢を見つけることだったのだ。それなのに自分はすばる同様に過去の夢に囚われ、自分はもう夢を見る資格が無いなどと決めつけてしまい、すばるに夢を見させてやることを怠っていた。それは間違っていたのだと思った桃香は仁菜の言うようにこのバンドで「やりたいこと」をちゃんと見つけて、自分もダイヤモンドダストの頃を超えた「本当の笑顔」を見つけようと心に誓った。

そして、すばるも仁菜の言うように「やりたいことをちゃんと見つけること」から自分がずっと逃げ続けてきたことに気付いた。それが最終的に祖母を悲しませてしまうことが分かっていて、それが怖くて逃げていたのです。だからずっと自分に嘘をついてアクターズスクールに通ったりバンドのことを隠したりしているだけで、そこから一歩も前に進もうとしていなかったのだ。そうしていよいよ追い詰められても判断を仁菜や桃香に委ねたりして自分が責任を負うことから逃げようとした。その結果がこうしたグダグダであるのは当然だった。自分のことは自分で決めなければいけないのだ。そう決意したすばるは、これから当面は自分のっ気持ちは祖母には告げないままバンドを本気で頑張って、自分が「本当の笑顔」になれるような「ちゃんとやりたいこと」を見つけることが出来たら堂々と祖母に自分の本当の気持ちを打ち明けて安心させてあげようと思った。その日までは心にモヤモヤを抱えながらそれをドラムに叩きつけてやればいいのです。

ただ、すばるの祖母は案外とすばるの本当の気持ちは既に分かっているのではないかとも思える。すばるが撮影場所で自分の気持ちを打ち明けようとしていた時も、何度も躊躇するすばるをじっと見守って話を聞いてくれようとしていたり、仁菜に連れられてすばるが去っていった後も何かを察しているような表情で微笑んでいたし、もともとすばるが本心では役者をやりたがっていないことはとっくに気付いていたのではないかとは思える。だから最後に自分の昔からの夢であるすばるとの共演だけは実現させてからすばるを解放してやろうと考えていたのではないかと思える。それでもすばるの将来を心配する気持ちもあったであろうし、自分の夢を押し付けたせいですばるの人生がおかしくなってしまったのではないかという心配はあったでしょうけど、そこで仁菜や桃香と出会い、彼女らと関わったことですばるがどうやら何か自分の道をちゃんと歩みだそうとしているようだと思って安心したのではないでしょうか。

 

 

HIGHSPEED Etoile

第4話を観ました。

今回はレセプションパーティーみたいなのに招待券を無くして入れなかった凛が、怪獣のソフビを探して道に迷っていたキングと遭遇して、相手がキングだとは気付かず共に行動することになるという話。なんかクイーンでも似たような話をやっていたような気がするんだが、今回はキングと一緒に玩具屋に行ったり、また凛の実家でもんじゃを食べたりぜんざいを食べたりします。まぁ全く面白くないということもないんですが、こんな調子で最終話まで見る気も起きず、基本的にレースシーンもつまらないし、今回で視聴は切らせていただきます。