2024冬アニメ 3月2日視聴分 | アニメ視聴日記

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日々視聴しているアニメについてあれこれ

2024年冬アニメのうち、3月1日深夜に録画して3月2日に視聴した作品は以下の2タイトルでした。

 

 

葬送のフリーレン

第25話を観ました。

今回は一級魔法使い試験編の二次試験、零落の王墓の迷宮の攻略の最終段階、最下層に行く通路の前に立ち塞がるフリーレンの複製体をどうやって倒すのかという話です。同時に、人間の本質というものを描いたエピソードであったようにも思います。そういうところがこの作品の私が好きなところです。アクションとかキャラ萌えなんかも嫌いじゃないんですけど、そういう要素ならばこの作品よりも良い作品は幾らでもありますから、別にこの作品でそれを摂取しなくてもいい。だがこの作品の描く人間の本質に関わるお話は、この作品でしか摂取できない独特の味わいがありますね。

まず複製体の居る部屋の扉の前でフリーレン達は作戦会議をします。力攻めという選択肢もアリとした上で、それでもより安全な方法は精神操作魔法で複製体の動きを一瞬止めて、そこをフリーレンが仕留めるというもの。その場合は精神操作系の魔法の得意なエーデルの参加が不可欠なので、とりあえずエーデルが来るのを待ちますが、そこにエーデルと一緒にいたドゥンストが来て、エーデルが脱落したと報せる。そして複製体には心というものが無く、心の動きを模倣しているだけだとエーデルが言っていたことも告げる。

これで精神操作系の魔法で複製体の動きを止めることは出来ないということがハッキリし、力攻めしか選択肢が無くなる。そこで「複製体は本体の心の動きを模倣している」ということを聞き、フェルンがそれならやはり自分ならフリーレンを殺せるかもしれないと言う。どういうことかというと、心の動きを模倣しているのなら本体のクセもコピーしているはずで、フェルンはフリーレンとずっと一緒に居るのでフリーレンの悪いクセを知っているのだという。それは「魔法を使う瞬間、一瞬だけ魔力探知が途切れる」というもの。

これは初心者のよくやるミスであり、普通は魔法学校でまず最初に矯正されて無くなるクセみたいです。だがフリーレンは魔法学校に通っていないのでこういう初歩的な悪いクセがそのまま残っていたのでしょう。学校というのは平均的で無難な人間を作るための機関ですから弱点の克服を重視します。しかしフリーレンが魔法を学んだのは実戦を通してですから、弱点を補って余りある長所を伸ばすことが重視されたのでしょう。技術点で満点を取るために習得すべき技術よりも、戦いに勝つために習得すべき技術の方が数は少ない。その戦いに勝つためのみに特化された実用的技術を極めることが大事なのです。そもそもフリーレンが戦ってきた相手である魔族たちは力任せや特異能力頼みに雑な戦い方をする連中ばかりだったので、そんな一瞬の隙は大して致命的な弱点にはならなかったのでしょう。

むしろ問題は、フェルンにその弱点を指摘されたフリーレン自身はその自分の弱点を自覚していたことです。自覚していて直していなかったのですから本当に魔族相手の戦闘ではそれは足枷にはなっていなかったのでしょうけど、自覚していたのならば、ここではまず自己申告すべきはずです。自分の複製体の攻略法をあれこれ議論しているわけですから、まずフリーレン自身が「自分にはこういう弱点がある」と言うべきです。だがフリーレンは言わなかった。

その理由は「恥ずかしかったから」だそうで、バカみたいな理由です。まぁ実際はそうではなくて、あくまで自分の弱点を口外したくないという用心深さだったのかもしれませんが、何にせよ、フリーレンはこれまでその弱点を誰にも言っていなかった。つまりフェルンに対しても言っていなかった。フェルンはフリーレンの弱点に自力で気付いていたのであり、しかもそのことをこれまで一度もフリーレンに対して指摘したことは無かった。つまり、フリーレンは「フェルンが自分の弱点を知っている」ということを知らなかったわけです。今初めてフェルンに弱点を知られていたことを知った。ならば、それ以前にフリーレンをコピーして作られた複製体は「フェルンがフリーレンの弱点を知っている」という記憶は持っていないということになります。それがフェルンの複製体に対するアドバンテージになるのです。

ただ「複製体がバレていないと思っているフリーレンの弱点を知った」という意味でのアドバンテージならばフェルンに限らず、この場でフェルンの話を聞いた全員が持っているはずです。しかし他の者ではそのアドバンテージを活かせない。それだけフリーレンの複製体が強くて、そんな一瞬程度の隙を突いて勝利することなど無理だからです。それが可能なのがフェルンだけであるという意味で、フェルンは「私ならフリーレン様を殺せるかもしれない」と言っている。

どうしてフェルンだけが可能なのかというと、話は単純で、フェルンが一番速い攻撃をすることが出来るからです。厳密に言えばフリーレン本人ならば複製体と同等の速度の攻撃を放つことは出来る。だから上手くやれば隙を突いて複製体を倒せるかもしれないが、複製体もフリーレン本人が自分の弱点を知っていることを知っていますから当然警戒してくる。だがフェルンが自分の弱点を知っているということを複製体は知らないから油断する。しかもフェルンはゾルトラークを速射することに関してはフリーレンよりも速い。つまり複製体よりも速いのです。とにかくこの勝負はシンプルで「複製体の一瞬の隙を突いて攻撃する」ということに尽きる。だから一番速いフェルンが最適任だということになります。

ただ、それでもフリーレンの強さはフェルンが一番よく知っています。速さでは自分が勝っているかもしれないが、実戦で勝つということに関しては自分はまだまだフリーレンには及ばないということは分かっている。だから「殺せるかもしれない」なのです。勝てる確信は無い。だから当然、作戦を立てることになります。もう1つ懸念点もあり、後から合流したラヴィーネとカンネからもたらされた情報によると、他の複製体もいずれこの場に集まってくるという。その対処も考えなければいけない。そこで、フリーレンとフェルン以外の者は後からやってくる他の複製体を迎え撃つために待機として、フリーレンとフェルンの2人だけが複製体の待つ部屋に入り戦うという作戦となった。その方が犠牲者も出ないという判断です。

それだけフリーレンの複製体が強いということだが、フリーレン本人はそれと同等の強さを持っている。だから当然、複製体はフリーレン本人に最大の警戒を向けて、どうしてもフェルンに対する警戒は疎かになる。もちろん複製体は「フェルンが誰よりも速く撃ってくる」ということは知っているが、自分の一瞬の隙という弱点をフェルンに知られていることは気付いていないので、どうしてもフリーレン本体との戦いと同時進行していく中でフェルンに対して警戒は甘くなる。更にフェルンにはフリーレン以上の魔力隠蔽能力がある。フリーレン本体との激しい戦いの中で、複製体はいつしかフェルンの気配を見失い、更に隙を見せやすくなる。そこを狙ってフェルンが攻撃すれば倒せる可能性は高くなる。

だが、それでもフェルンはフリーレンの複製体ならば自分の放つゾルトラークに対応するのではないかと心配する。何せフェルンにゾルトラークを教えたのはフリーレンなのです。しかし、あくまでフリーレンはフェルンにゾルトラークを使うように指示する。確かにフリーレンは戦闘の際は攻撃魔法はゾルトラークしか使わないようにと厳命しているが、それはあくまで魔族や他の者との戦いの話なのであり、フリーレンの複製体と戦う今回ばかりはゾルトラーク以外の魔法を使った方がむしろ複製体の意表を突くことになるのではないかとフェルンは考えます。

しかしフリーレンはあくまでゾルトラークが良いと言う。まずやはりゾルトラークが最も速射性に優れた攻撃魔法であるというのが理由だが、フェルンのゾルトラークはフリーレンには通用するのだというのも理由です。何故ならフリーレンはゾルトラークには不慣れだからだという。フリーレンからゾルトラークを教わったフェルンにはフリーレンが何を言っているのか分からなかったが、フリーレンは自分たちエルフはゾルトラークに慣れていないのだと言う。

ゾルトラークという魔法が使われるようになったのはここ80年ほどのことであり、1000年以上生きるフリーレンにとってはゾルトラークを使った期間は長い生涯のほんの一部でしかなく、生涯の大部分はゾルトラークを使っていない。一方でフェルンは子供の頃からずっと人生の大部分をゾルトラークを使って過ごしてきた。年寄りがスマホを使うのと、子供がスマホを使うのであれば子供の方がキー操作が速いのと同じようなもので、フリーレンのゾルトラークに関する反応速度は、フェルンがゾルトラークを使う場合の反応速度よりも遅くなるのです。だから速さ勝負ならば絶対にフェルンに分があるのだとフリーレンは言う。

これで作戦は決定し、フリーレンとフェルンは作戦の通りに複製体に立ち向かうことになる。それにしても、長命のエルフゆえにゾルトラークに不慣れになり、短命の人間ゆえにゾルトラークに熟練するという理屈は面白い。だがフリーレンは更に、どうして長命種のエルフである自分(の複製体)の魔法に対して短命種の人間であるフェルンの魔法の方が勝るのか、その根本的な理由について、1000年前の想い出と共に想いを馳せるのでした。

それは今から1000年前、フリーレンが師匠のフランメが亡くなった後、フランメから師であるゼーリエへ宛てた遺言書をゼーリエに届けに行った時のことです。その遺言書には「帝国で魔法の研究の認可が下りて宮廷魔法使いを育成してきたのだが、それを自分の死後に引き継いでほしい」というお願いが書かれてあった。人間の国ではずっと魔法は魔族が使うものであり禁忌とされてきたが、フランメの働きかけで人間も魔法の研究をするようになったのです。これでいずれは人間の誰もが魔法を使えるようになり、人間は魔王軍に抗う力を手に入れるようになるだろうとゼーリエが言うのを聞いて、フリーレンはそれは良いことだと言います。しかしゼーリエは「不愉快だ」と遺言書を破ってしまい「魔法は特別なものであるべきだ」と言う。そして「フランメとは生涯分かり合うことが無かった」「所詮は気まぐれで育てた弟子だ」と寂しそうに言う。

だがフランメが「ゼーリエはきっと怒って遺言書を破り捨てるだろう」と死の前に言っていたこと、それでもフランメは「夢が叶った」ということをゼーリエに伝えたくて遺言書を見せたかったのだということをフリーレンから聞いて、ゼーリエはフランメのことを何時しか誤解するようになっていたのは自分の方だったのだと理解した。

フランメは自分が人間が魔法を使えるようにしたことでゼーリエを怒らせてしまうことは分かっていた。それはゼーリエが「魔法は特別なものであるべきだ」という持論の持ち主だからだ。それはつまり、ゼーリエが魔法の危険性を承知していたからだ。魔法を使う資格の無い者が魔法を使えば事故や犯罪や戦争など、様々な災いが起きる。だから魔法は特別な資質を持つ者だけに限定すべきなのだというのがゼーリエの考え方だった。そしてフランメは自分がそんな師匠の考え方に逆らって人間の欲望に奉仕してしまった不肖の弟子だと呆れられてしまっていることも自覚していた。

だがフランメの本心は、魔法を使って戦争したり人間の文明を過度に発展させようなどという大それたものではなかった。フランメはただ単に自分が好きだった「花畑を出す魔法」みたいな楽しい魔法を多くの人が使えるようになったら素敵だと思って、それで人間が魔法を研究出来るように帝国に働きかけたのだ。そのフランメの夢は子供の頃にゼーリエに弟子にしてもらいゼーリエの魔法を見た時に素敵だと思って胸に抱いた夢だった。その夢を遂に叶えたということを師匠に報告したかったことがまず第一、そして、自分が叶えた夢が自分の死後に悪しき人達によって悪用されないよう、魔法がずっと人間の世界でも素敵なものであるようにと指導してきた自分の役目を自分の死後に引き継いで貰えるのは、自分のその夢を抱かせてくれた師匠のゼーリエしかいないと思ったのが第二、その2つの理由でフランメはゼーリエに遺言書を届けたのです。

そうしたフランメの本当の気持ちを理解したゼーリエであったが、そもそも「花畑を出す魔法」のような実用性の無い魔法に価値を見出せないゼーリエはフランメの意思を継ぐ気にはなれなかった。それでもかつて娘のように可愛がっていた少女が語っていた夢が叶ったことを素直に嬉しく思う心はあり、フランメの本心を知ることが出来たことは良かったと思えた。しかし、それでもゼーリエはフランメの選択は間違いであったという考えは変えなかった。

いや、実際ゼーリエの考え方の方が正しいのかもしれない。ここは「魔法」を「科学」に置き換えて考えると分かりやすい。科学はそうであったように、人間が魔法を使えるようになることで多くの災厄が起こるだろう。もちろん科学がそうであったように良いことも素敵なこともたくさんあるだろうけど、長い目で「魔法とはどうあるべきか」という観点で考えれば、人間に魔法を解禁すべきではなかったのかもしれない。

ゼーリエならば熟考に熟考を重ねて、きっと最適解に辿り着くだろう。たとえ何百年かかってもです。だがフランメにはそれが出来なかった。彼女は人間であり寿命が短いから急いで結論を出さねばいけないのだ。だから最適解に辿り着けず選択を誤るのだ。だがゼーリエが最適解を求めて何百年も熟考している間に、人間たちはそうやって性急に結論を重ねていき状況をどんどん変えていく。そうなるとゼーリエが最適解に辿り着いた時にはもうそれは最適解ではなくなっている。そうやって決断の速い人間は時代を作っていき、熟考するだけのエルフは時代に取り残されていく。人間が魔法を使えるようになり魔王軍とも対抗するようになったことで、そうした時代の流れは更に加速していき「人間の時代」がやってくる。これはそれが善いとか悪いという話ではなく、そういう時代の運命なのだ。そしてエルフは人間に追い越されていくだろう。

そういうことをゼーリエはフリーレンに予言した。そして「お前を殺せる者がいるとするなら、魔王か、人間の魔法使いだ」とフリーレンに告げた。ゼーリエとしては不吉な未来としてそれを教えてやったつもりなのだが、フリーレンは「じゃあ色んな魔法や魔法使いを見ることが出来るんだね」と、そんな人間の時代を心待ちにする。そんなフリーレンを見てゼーリエはやはりフランメの弟子なのだなと呆れつつ感心しました。

そうした1000年前の出来事を思い出して、フリーレンはフェルンこそがそうした「人間の魔法使い」そのものなのだと思えた。短い人生の大部分の期間ゾルトラークばかり撃ち続けて、フリーレンが他の魔法も勉強するようにと言ってもあまり乗り気にもならない。フランメみたいなタイプの方がむしろ例外なのであって、人間はやはり寿命が短いから効率重視で無駄なことはやりたがらないのだ。だからフリーレンはフェルンが実用的な魔法以外にも興味を持つようそれとなく導いてやろうとしている。それはフランメが自分にやってくれたことでもあった。

しかし、こうしたフェルンのようなひたすら効率重視のつまらない「人間の魔法使い」こそがゼーリエの言っていたようにエルフの魔法使いである自分やその複製体を凌駕していくのだろうとフリーレンには思えた。だが、それが嫌なことだとはフリーレンは思わない。そうしたフェルンのような魔法使いもまた、フリーレンがその長すぎる生涯の中で見ていきたい「色んな魔法使い」のうちの1つだからです。そんなことを想いながら、フリーレンは作戦通りにフェルンが自分の複製体を撃破するのを見て満足そうに微笑むのでした。今回はこんな感じで終わり次回に続きます。今回はこの「葬送のフリーレン」という作品の核心を描いたエピソードであり、これは高評価しないわけにいかないでしょう。

 

 

治癒魔法の間違った使い方

第9話を観ました。

今回はローズの過去回想編の続きで、5年前の魔族との戦いの話です。前回はいきなり5年前の話になって知らないキャラばかり出て来てどうしようかと思ったんですけど、今回しっかりイイ話でまとめてくれたので良かったです。現代の魔族との決戦の前にこういうエピソードを挟んだことでこの後のラスト4話の決戦編が盛り上がりそうな気がしてきました。まぁこの過去回想2話分が活きるかどうかも結局はラスト4話の盛り上がり次第なのかもしれませんが、それでも今回は単体のエピソードとして、しっかりグッとくるものはありました。

まず前回の続きでネロ率いる魔族の部隊が魔物狩りをしている現場に遭遇したローズの部隊は戦闘に突入して、ローズはネロと一騎打ちとなり、互角の勝負を繰り広げます。またローズの部下たちも優勢に戦いを進めます。これを見てネロはローズ隊を強敵と認めて、来るべき魔族の王の復活と魔族の復興のために絶対に潰しておかねばならない相手だと見なして本気で戦い始めます。それは部下たちに死を強いる相打ち覚悟の捨て身の戦法であり、魔族がそこまで自分を犠牲にした戦いを仕掛けてくるとは予想していなかったローズの部下たちは次々と倒れていく。

そして部下たちが倒れていくことに動揺して早く治癒魔法で治そうと焦るローズはネロに隙を見せてしまい、治癒魔法の効かない呪いの込められたの魔剣で右目を斬られてしまい視界が狭まり不利な戦いを強いられ脚も斬られて部下たちのもとに行けず部下たちは死んでいく。そしてローズ自身がネロに殺されそうになった時、副官のアウルがローズを庇って斬られてしまう。それでローズは激昂してネロを叩きのめすが、ネロもまた部下に庇われているのを見てローズは部下に死を強いたネロと魔族の覚悟を見誤って部下をむざむざ死なせてしまった自分が重なって見えてしまい混乱してネロを取り逃がしてしまう。

そしてローズは必死でアウルを治癒魔法で救命しようとするが、呪いの魔剣で斬られたためアウルの傷を治すことが出来ず、アウルは「私たちの憧れのままでいてください」とローズに言い残して絶命してしまう。その後ローズは自分には騎士を名乗る資格は無いと言って騎士を辞めて引きこもってしまう。魔剣の呪いは一時的なもので右目も治癒魔法で治すことは出来たのだが、ローズは部下たちを死なせてしまった罪を忘れないために自分への罰として右目は治さないままにした。

そうして引きこもって1ヶ月が経った後、いっそ責任を負って自死しようか、それともネロへの復讐のためだけに生きようかと自暴自棄になっていたローズは死んだ部下の両親にたまたま出会って、部下たちがいつでも前向きに生きていたことを思い出す。そしてアウルの「私たちの憧れのままでいてください」という最期の言葉を思い出し、自分は最期まで前向きに生きた部下たちの憧れた自分のままでいなければいけないのだと気付く。それならばもう後ろ向きに生きるのは止めようと決意し、最後に部下たちを悼んで思いっきり泣いて、そこからローズは再出発した。

そうしてローズが決意したのは、いずれ始まる魔族の軍との戦いに備えて、出来るだけ多くの命を死なせないための救命団を作ることでした。前向きに生きるといってもローズは部下たちの死を忘れて騎士として再出発するつもりはなく、部下たちを死なせてしまった自分がその死を無駄にせず前向きに再出発するためには「もう誰も死なせないために働く」ことだったのです。そして、そのためには単に治癒魔法を使えるだけではなく、戦場で駆け回って障害を排除し敵を倒しながら味方の命を救っていける屈強な治癒魔法師が自分以外に最低もう1人は必要だと考えた。そうしてローズが見出して鍛え上げたのがウサトだったわけだが、それは確かに「出来るだけ多くの兵達の命を救える部下」という意味合いもあったが、ローズの心の奥底ではやはり「死なない部下」というものを欲していたのでしょう。それだけローズの心には5年前に死んでいった部下たちへの想いが強く残っており、二度と同じ悲しみを味わいたくないという想いが強かったのだと思います。

今回はこういう感じのお話で、なかなか感動的でした。そうして次回はいよいよ魔族との戦いが始まると思われ、今回のラストではまた黒騎士が謎のイキリを連発していて、どうやら強敵みたいなのでウサト達とどう絡んでくるのか楽しみです。