2024冬アニメ 3月1日視聴分 | アニメ視聴日記

アニメ視聴日記

日々視聴しているアニメについてあれこれ

2024年冬アニメのうち、2月29日深夜に録画して3月1日に視聴した作品は以下の3タイトルでした。

 

 

ダンジョン飯

第9話を観ました。

今回は前回の話の続きで、ウンディーネの攻撃で負傷して魔力切れを起こしてしまったマルシルを看病していたライオス達の前に前のパーティーで仲間だった戦士ナマリが新しい雇用主のパーティーと共に通りかかります。その雇用主は古代呪術の研究をしているダンス夫婦で、ライオスはマルシルを治してほしいと頼むが報酬を要求されて、持ち合わせが無いので断られてしまう。しかしウンディーネがまだ怒っていてダンス夫婦たちも先に進むことが出来ず戻ってきて、ダンス夫婦はライオスにこのあたりの研究の護衛をしてくれれば見返りにマルシルを治してやってもいいと言う。それでライオス達は護衛を引き受けることにした。

そうしているとテンタクルスが襲ってきて先に仲間が捕まってしまい、ライオスはワザと捕まり先に捕まった仲間が持っていたボウガンを回収してナマリに投げ渡し、ナマリがボウガンでテンタクルスを仕留めた。しかしライオスはその際にテンタクルスに顔を刺されてギャグ漫画みたいな顔になってしまう。またセンシはテンタクルスに触れた手が腫れて離れなくなってしまい、テンタクルスをそのまま酢で和えて皮を剥いて食べることにした。そうしたらバナナみたいになった。それでダンス氏によってマルシルは怪我を治してもらい、以前にファリンを見捨ててパーティーを抜けたナマリに対するマルシルのわだかまりも少しは解消した。

ただウンディーネが怒ったままなので通ることが出来ず何とかしなければいけない。1週間も待てば怒りは収まるらしいがファリンを助けるためにライオス達はそんなに待っていられない。一方でダンス夫婦は一旦地上に戻るということで帰還魔法を使うという。それを聞いてライオスは魔力切れを起こしているマルシルにダンス夫婦たちと一緒に地上に戻るべきだと言い、マルシルは嫌がる。そして自分の代わりにナマリがパーティーに復帰してライオス達を助けてファリンを救ってほしいと頼むが、それはナマリとしても無理だった。

そこでマルシルはウンディーネを呑むと言い出し、センシの鍋がもともと盾でアダマントという特殊金属製でウンディーネの攻撃でも防げるというので、鍋と蓋とで挟み込んで捕えて火で焼き殺してお湯にして呑もうということになる。それでライオスとセンシとで鍋と蓋をそれぞれ持って挟み込むことになるが、ライオスでは腕力不足で失敗しそうになり、そこにナマリが割って入ってきてライオスと交代して、センシと2人でウンディーネの捕獲に成功し、そのまま力技でウンディーネを焼き殺す。

そうして出来上がったウンディーネ湯を、更に身体に吸収しやすくすると言ってセンシが野菜やテンタクルスの皮や馬の肉などを入れて煮込んでシチューにする。そして皆でシチューを食べます。そうしたらマルシルの魔力は回復して、ナマリとも仲直りして別れ、再びダンジョンを進んでいくことになったのでした。

 

 

勇気爆発バーンブレイバーン

第8話を観ました。

今回はアライドタスクフォースの艦隊が3体のデスドライヴズの襲撃を受けるという怒涛の展開となります。残るデスドライヴズが6体で残りは今回も含めて5話ですから、ここからどういう構成にしていくのかとは思っていたんですが、一気に3体のデスドライヴズを出してくるとは上手いですね。1体ずつ倒していくのでは単調ですし尺も足りなくなってくる。3体を一気に出した方が大決戦という感じになって盛り上がるし、バトルに割く尺を節約できてドラマをじっくり描ける。この後更にもう1回、3体同時バトルをやってデスドライヴズを全部出してもいいぐらいです。そもそも1対1のバトルだったら味方側はブレイバーンの活躍場面しか描けないからサブキャラの影も薄くなるので、敵は複数出した方が味方側のキャラも活かせる。

まぁデスドライヴズに関しては今回再び前回倒したはずのクピリダスも一瞬出てきたり、それが一瞬で退場したりと、そう単純に「残り6体」という状況でもないのかもしれませんけどね。そもそも誰も「残り6体」とは言ってない。確かなのは「塔が残り6本」ということだけです。デスドライヴズが倒しても復活するという仕様もあるので話がややこしいのですが、今回はその仕様が無しになったことも示唆されていて、まだまだデスドライヴズには謎が多い。ただ残り話数的に実質的に残り6体と考えて良いのではないかとは思います。

そして今回のエピソードで一気にデスドライヴズを3体登場させたことは、単なる残り話数を考えての構成の話だけじゃなくて、スミスのドラマを描くことが最重要目的であったことは間違いない。おそらく今回と次回が全エピソードの中で最重要なパートなのだろうと思います。大きな謎が解明されるのはおそらく次回なのでしょうけど、今回はその前段階として非常に重要なエピソードであったのだと思う。ただ、そういうの抜きにしても単体でもとてもアツい英雄物語のエピソードでありました。

今回冒頭はスミスが新型機に乗って敵のデスドライヴズと対峙している戦闘場面から始まります。あんまり唐突に始まるので一瞬、夢の場面ではないかと思うほどでしたが、これは後で再び同じ場面が描かれる現実の戦闘シーンであり、アライドタクスフォースの艦隊が3体のデスドライヴズの襲撃を受け、そのうちの1体である「クーヌス」という敵とスミス機が対峙している場面を前倒しで同じ場面を冒頭で見せているのです。映像的には重複なので尺の無駄ではあるのですが、あえてそれをやっている理由は、この冒頭の場面では後の同一場面には無い特別な要素がプラスされているからです。その要素を強調したいからこそ冒頭にあえて重複場面を描いている。しかもエピソードの冒頭にいきなり持ってきているわけですから、この要素が今回のエピソードで最も重要な部分だという答えを示してくれているようなものです。

その要素というのはスミスのモノローグであり、仲間たちがクーヌスによって撃破されていく絶望的状況の中、スミスが「子供の頃からヒーローに憧れていた」とモノローグで言う。このヒーローというのは単なる英雄という意味ではなく、特撮モノの変身ヒーローみたいなものを指します。スミスは自室にその類のポスターを貼っていたりプラモデルを飾っていたり、そういうヒーロー作品のDVDを保有していてルルに見せている様子がこれまでにも頻繁に描写されていて、その言動からも「子供向けの変身ヒーローのファンである」というのは明らかでした。十分に想像はついていたことですが、やはり子供の頃からずっとそういう変身ヒーローのファンだったようです。

そして、スミスのこうしたモノローグは第1話の冒頭でも、第1話の最後にブレイバーンが出現した時にも流されている。それはつまり「スミスが変身ヒーローに憧れている」という設定が、今回のエピソードにおいてだけでなく、この作品全体において非常に重要な要素であるということを表している。その第1話の際にはスミスは冒頭では「子供の頃から変身ヒーローになりたかった」と言い、「それでもそんなものはコミックや映画の中にしかいないと自分に言い聞かせてきた」と言い「それでも俺はヒーローになりたかったんだ」と言う。そして、それは戦闘機乗りや戦車乗りではないと言っており、その後は第1話の大部分において二足歩行型戦闘ロボであるTSのパイロットとしての彼の姿が描かれたので、てっきり「TSパイロット」こそがスミスの目指していた「ヒーロー」なのではないかと思えた。つまり、子供の頃は変身ヒーローに憧れていたが、現実にはそんなものは存在しないと分かって、代わりにスミスはTSパイロットという形で自分なりのヒーローを目指したのだと思えた。

だが第1話でデスドライヴズの侵略が始まりスミス達が劣勢に陥る中、突然ブレイバーンが出現してデスドライヴズの小型兵器群や塔を粉砕し、それを見たスミスは冒頭と同じモノローグを語り、それに続けて「それはTSパイロットでもない」と言い、自分の本当に目指していたヒーロー像はTSパイロットではなかったのだと言う。そして、それは何かというと、スミスはブレイバーンを見て「正真正銘の勇者、俺は彼のようになりたかったんだ」と言った。それはつまり、スミスがやっぱり子供の頃の夢をずっと持ち続けていたのだということを示しており、また、ブレイバーンを「ロボット」というよりは「変身ヒーロー」に近いものとして認識していることも窺える。まぁあれだけ喋ってれば、ロボットというよりはウルトラマン的な巨大変身ヒーローの方にイメージは確かに近い。いやウルトラマンはあんなに喋らんから、変身ヒーローが巨大化した姿というイメージでしょうね。

ただ、そんなモノローグは喋ったものの、別にその後のスミスは本当にブレイバーンみたいな勇者ロボになろうと修行を始めたりしたわけではなく、引き続きTSパイロットという職務に励んでデスドライヴズとの戦いに貢献しようとし続けた。一瞬イサミに換わってブレイバーンに乗ろうとしたこともあったがブレイバーンに「生理的に無理」と手酷く断られてしまい、ルルと出会ってルルの世話係を押し付けられるという想定外の展開もあったが、基本的にはずっとTSパイロットとして戦い続けてきた。TSパイロットはスミスの目指していた「ヒーロー」ではないはずなんですが、やはりスミスは「変身ヒーローなんてものはコミックや映画の中にしか存在しないのだ」と自分に言い聞かせて、あくまで現実的に生きようとしていたのです。いや、ブレイバーンが現実に現れたのだから、厳密に言えば「コミックや映画の中にしか存在しない」とは言い切れない状況ではあるんですけど、それでもスミスはそれは自分には無縁な話だと言い聞かせていたのだと思います。そうして、あくまで1人のTSパイロットとして「正真正銘の勇者」であるブレイバーンやイサミの戦いをサポートするのが自分の役目なのだと考えていた。

しかし、そのスミスが今回、クーヌスという強大な敵と対峙して絶望的な状況の中、第1話と同じ「子供の頃、変身ヒーローに憧れていた」というモノローグを口にする。それはスミスの心の中に確かにずっと存在していた憧れではあった。だが「そんなものはコミックや映画の中にしか居ないと、ずっと自分に言い聞かせてきた」とこの場面でも彼が言うように、それは自分には無理なのだと言い聞かせて封印してきた夢でもある。

これは同じセリフではあっても、第1話時点と第8話時点では意味合いが違う。第1話時点ではスミスはブレイバーンという存在を知らなかった状態でこのセリフを言っている。だから「単に非現実的な夢なんだ」と言い聞かせていただけだった。だがこの第8話時点ではスミスはブレイバーンを知り、共に戦ってきた。それでも「自分は正真正銘の勇者にはなれないんだ」と言い聞かせてきた。そういう意味合いのセリフということになる。単に「ありえない話」なのではなく、「自分には無理だ」という話です。だから意味合いはだいぶ違う。ブレイバーンに出会う前のスミスは単に「子供の頃の非現実的な夢を叶える代わりにTSパイロットになった青年」であったが、ブレイバーンに出会ったことによってスミスは「子供の頃の夢が非現実的なものではないと知りながら、自分には同じようなことをするのは無理だと卑下しがちな青年」になってしまった。

そんなスミスがクーヌスという強大な敵と対峙した絶望的状況の中、「それでも俺はヒーローになりたかった」と言う。これも第1話の時に言ったのと同じセリフではある。だが、これも第1話の時とは意味合いが全く違う。第1話ラストのスミスのモノローグはブレイバーンに会った直後であり、まだスミスは自分もブレイバーン、あるいはブレイバーンに搭乗したイサミのように「正真正銘の勇者」になれるんじゃないかという希望を抱いて「それでも俺はヒーローになりたかった」と言っている。しかし、この第8話時点では既にスミスはそれは自分には無理だと思っている。自分はあくまで脇役、サポート役だと思っている。その上で「それでも俺はヒーローになりたかった」と言っているのです。それはつまり、スミスがブレイバーンやイサミとはまた別の方法で「正真正銘の勇者」になる道を見出したということを意味している。今回はそうしたスミスが見出した勇者の在り方が描かれる話であり、同じセリフが第1話でも描かれているということは、そのスミスの見出した勇者の在り方こそが、この「勇気爆発バーンブレイバーン」という作品のメインテーマであるということを示している。そういうことがこの冒頭の場面では示唆されているのです。

そういう冒頭の場面から時は少し戻って本編が始まる。前回のエピソードで日本を奪還したアライドタクスフォースは、日本にある基地を拠点にして次の作戦を開始します。それは、おそらくデスドライヴズの別の塔が存在すると目されるヨーロッパを目指して進軍するというものでした。艦隊はマラッカ海峡を抜けて喜望峰を回って大西洋を北上して西ヨーロッパに到達するという大航海を敢行し、横田を拠点とした空軍は空中給油を繰り返して艦隊に合流する。まぁヨーロッパの状況も全く分からないままそ進軍なのでかなり無謀な作戦なのですが、こういう無謀な作戦を敢行しなければ地球を奪還するのは無理な状況だとも言える。だからやるしかない。そして航海を開始前の艦隊の集結する軍港ではブレイバーンとその直掩部隊も準備万端でした。

ブレイバーンを支援する新設の直掩TS小隊の指揮官である小隊長に任命されたのはスミスであり、スミスは自分の裁量で直掩小隊の隊員たちを選抜した。そのメンバーはヒビキやヒロ、アキラ、シェリーなどお馴染みの戦友たちであり、気軽に冗談を言い合ったりして良いムードです。そんな小隊の名前としてスミスは「ブレイバーンの騎士」という意味で「ブレイブ・ナイツ」と命名して「クールだろ?」と笑うが、ヒビキには「恥っず!」とダメ出しされてしまう。まぁそれでもブレイブナイツの面々は隊長のスミスを筆頭に、皆がブレイバーンとイサミの助けになろうと燃えていました。

そのスミスの新しいTS機体ですが、前回のラストで初めて登場したのですが、ずいぶん画期的な複座の機体であると説明されていました。そのあたり整理しておきたいと思います。従来のTS機体というのは搭乗者は1人なんですが、これまで第1話以降の随所で描写されてきたように搭乗者は戦闘のための操作に専念する形になっていて、索敵や管制などは上空の管制機に搭乗したそれぞれの機体の管制官が行い、管制官が搭乗者に無線で指示を送って、それを基に搭乗者は戦場で的確な行動を選択するというシステムになっているようです。例えばTS機に乗っていた頃のイサミにはホノカが専任の管制官として付いていましたし、旧スミス機にもカレンという管制官が付いていました。外部モニターを使って目視で戦場の状況を確認しながら戦うことももちろん出来るのですが、やはりそれだと戦場の状況を総合的に把握するのは難しく、搭乗者の手間が増えて戦闘のパフォーマンスも低下します。だから普通は管制機に乗った管制官が搭乗者のパートナーとして管制を行ってくれるという形が従来型であったといえます。

ところがこのスミスの複座、つまり2人乗りの新機体では、前部座席に乗るメインパイロットはこれまでのTSパイロットと同じで戦闘用の操作に専念するのですが、後部座席に搭乗するコーパイロットは従来の管制官の役割を果たして索敵や管制を行い、それによって管制機の支援無しでTS機単独でのフル運用を可能としたシステムといえます。

これは要するに管制機の支援を受けられない状況を想定した機体といえます。制空権の無い戦場でTSを運用することを想定するならば当然出てくる発想です。ただTSの性能が非常に多岐にわたる上に想定される戦場も多様で広範であり、そのような機体を開発するのが困難であったので、まずは単座のTSを管制機で支援するシステムが実用化され、まだTS自体が軍で導入されたばかりで本格的な実戦も行われていない状況で、従来の単座システムで不都合も生じていないため、複座システムの研究はまだ一部の物好きだけのものだったようです。

ただ、そこに今回のデスドライヴズの侵略が起きて、実際に制空権の無い東京での威力偵察時のスミス機などは管制機の支援無しでの戦闘を余儀なくされた。そこで奪還した日本の基地で、日米両軍が合同で開発していた複座のTS機体の試作機が1体あったので、それをとりあえず直掩小隊の新隊長に決まったスミスの機体として使用してみることにしたようです。

ただ、やはりどうもまだ試作機なので変な仕様になっていて、後部座席に乗るコーパイロットは常人離れした感覚の持ち主のみを適性者とするという厄介な代物で、どういうわけかルルがその適性者であったようですが、ルルにTSの操作など出来るとも思えず、そもそも軍人でもないルルにそんな危険なことをさせるわけにもいかない。かといって今のような世界中が大変な状況でアライドタスクフォースもギリギリの状況で自転車操業をやっている時に別の適性者などすぐに見つけることも出来ず、仕方がないのでスミスも従来の単座機と同じように管制機の支援を受ける形で運用しようと考えていました。

ところがルルがどうしても後部座席に乗ってスミスと一緒に出撃したいと言って引き下がらないのでスミスも困ってしまい、ルルとゴチャゴチャ揉めていたところ、軍港の格納庫にイサミが訪ねてくる。このところブレイブナイツの結成やら何やらで忙しくしていたスミスがイサミと会うのはちょっと久しぶりで、東京戦後に一緒にスペルビアに話をしに行った時以来だった。あの時はスペルビア達デスドライヴズの言っている「ルル」が人間のような生命体であり、その生命エネルギーを使って、つまり人間を殺してデスドライヴズがエネルギー源としていたことを知って衝撃を受けた。

イサミはルルの顔を見てそのことを思い出したようであった。スミスもそれを察して気遣うが、イサミはあくまで「ルル」は自分たちのような地球人とは似てはいるが別物なのであり、デスドライヴズの星では自分たちがガソリンを扱うのと同じようにあくまでエネルギー源として認識されていたのだろうと考えると、そんなにショックというわけではないと言う。

むしろイサミが気遣っていたのはスペルビアのことだった。あの後、スペルビアはルルが喋ったり自分の意思で動いているのを見てショックを受けていた様子だった。スペルビアから見れば、これまで物言わぬ燃料のようなものだと思って雑に扱っていたルルが自分たちと変わりない生物のように思えて、これまで自分がやってきたことが間違ったことであったように思えてしまったのだろう。スペルビアは確かに敵であったが、もしガソリンが意思を持って喋ったり笑ったりしているのを見れば自分だって人生観が変わるぐらいショックを受けるだろうとイサミにも理解は出来た。

あれ以来、スペルビアはアライドタスクフォース艦隊の集結する軍港の近くの山に籠って座禅を組んでいるようだが、イサミはそんなスペルビアが山に籠る前に自分とブレイバーンのことを羨ましそうに言っていたのが心に残っていた。スペルビアは自分が利用していた「ルル」には魂は無かったが、イサミには魂があり、それがイサミを乗せて戦っていたブレイバーンに自分が勝てなかった理由だったのだろうと言っていた。それを受けてブレイバーンは「熱い魂を持った者を乗せて戦うのは良いものだぞ」とか言っていたが、イサミはそれを聞いて、自分とブレイバーンの間でそんなに言うほど「熱い魂の共鳴」のようなものがあるのだろうかと疑問に思っていた。

そもそもイサミはブレイバーンのことを相変わらずよく知らない。まるで旧知の仲みたいに親し気に接してくるが、イサミは過去にブレイバーンと会ったことなど無いし、いつの間にか無理矢理に一緒に戦わされているようなものだ。とにかく地球を取り戻して仲間や人々を守るために仕方なくブレイバーンに乗って戦っているのであり、最初は嫌々であったが、一緒に戦う以上は出来るだけ協力関係でやっていこうとは今では思っている。それでも時々ブレイバーンの意味不明な言動にイラついて怒鳴ったりしてしまうぐらいだから、自分とブレイバーンの相性が良いとは到底思えない。ブレイバーンは「熱い魂の絆で結ばれている」とか1人で盛り上がっているが、イサミにはとてもそうは思えなかった。

普段はそんなことは大して気にしていなかった。ただブレイバーンに乗って勝てればそれでいいと思っていた。ただスペルビアのことやルルのことを考えると、自分とブレイバーンの関係をあまり疎かに考えるのは何だか間違った行動のように思えてきて、イサミはそのことがずっと心に引っかかっていた。自分のブレイバーンへの接し方は果たして今のままで良いのだろうかと迷いが生じて、そのことを誰かに相談したいと思い、それならば周囲で一番ブレイバーンと気が合っているように見えるスミスに相談してみようと思い、久しぶりにスミスに会いに格納庫に来たのでした。

それでイサミはスペルビアとルルの話をした後、「俺とブレイバーンはどうなんだろうな?」とスミスに水を向ける。するとスミスが「イサミとブレイバーンはお互いに信頼し合ってるじゃないか」とブレイバーンみたいなことを言うのでイサミは困惑して「お前の方が気が合うんじゃないのか?」と言う。実際こんなことを言う感性とかも共通しているし、ピントのズレた言動やちょっとオタクっぽい性格なども、スミスとブレイバーンの方がよほど自分とブレイバーンよりも気が合うようにイサミには思えた。だがスミスは苦笑して「俺はダメさ」と言い「生理的に無理らしいからな」と続ける。それを聞いて思わずイサミも笑い出してしまう。スペルビアと戦う前、自分がブレイバーンに乗りたくないと駄々をこねていた時にスミスが代わりにブレイバーンに乗ると志願した際にブレイバーンが「生理的に無理なんだ」と言って拒否した時のスミスの呆気にとられた残念そうな顔を思い出して可笑しくなってしまったのです。

ただ、同時にこれはちょっと不思議にも思えます。あの後、ブレイバーンは普通にスミスと親しく接している。つまりスミスを嫌っているわけではないのだ。それなのに「生理的に無理」とはずいぶん失礼なことを言うものです。嫌いではないけど「生理的に無理」というのはどういう状況なのでしょうか。まぁ「コクピットに載せる」というのがブレイバーンにとってどういう感覚なのかは人間の感覚では推し測り難いけれども、ブレイバーンが時々他人の迷惑かえりみずにポエムみたいなので言っている内容から推測すると、性的な快楽に近いものみたいです。つまり性行為に近い。となると、スミスとの性行為が「生理的に無理」ということになる。かといってスミスが嫌いというわけではなく、むしろイサミの次ぐらいに親しい。「親しいけど生理的にセックスは無理」という関係というと、親子兄弟などがまず思い浮かびます。あまりに突拍子も無い話なので実際のところはどうなのかよく分かりませんが、ブレイバーンとスミスの関係もちょっと謎めいていますね。

それはともかくとして、イサミとスミスの会話に戻りますが、スミスはイサミとの会話の流れでブレイバーンに乗りたいと言って断られた時の自分の気持ちを思い出して、イサミに「俺はずっとヒーローに憧れてた」「お前とブレイバーンみたいなヒーローになりたかったんだ」と言う。そして「どんな困難な状況になろうともイサミとブレイバーンなら大丈夫だ」と続けるが、スミスが本当に言いたかったことは自分がどんな困難な状況でもブレイバーンと共に戦うヒーローになりたかったのだということだった。だが、もうそんなことは諦めたのだから言っても仕方ないことだと思い、イサミとブレイバーンこそがどんな困難な状況でも勝利する正真正銘の英雄なのだと言い直した。

そんなスミスの気持ちは知らず、イサミはスミスがますますブレイバーンみたいなことを言うなと思い「何だかあいつみたいなことを言うな」と指摘する。イサミにはむしろスミスの方がブレイバーンみたいなヒーロー的な性格のように思えて、さすがにヒーロー願望の強い男だと思えた。しかしスミスは「そうか?」と笑顔で振り返り「俺はブレイブナイツの皆と一緒に全力でヒーローをサポートするよ」と明るく言う。スミスはもう自分がヒーローになることは諦めて、今は正真正銘のヒーローであるイサミとブレイバーンをサポートするのが自分の役目なのだと心に決めている。

だがイサミは「俺はヒーローなんかじゃ」と言って下を向く。イサミ自身は自分がヒーローにはほど遠い性格だと分かっている。だからブレイバーンとも波長が合わない。そんな自分が、いかにもヒーロー的な性格のスミスから「ヒーロー」だなんて面と向かって言われるとどうも居心地が悪い。自分なんかよりも本当はスミスのような人間こそが人々から「ヒーロー」として称えられるべきだと思えた。自分はたまたまブレイバーンに乗っているだけの男であり、ヒーローなんかじゃないとイサミは思った。

だが下を向いているイサミにスミスは顔を近づけると「イサミ!俺と一緒に世界を救おう!」と言って笑いかける。その真っすぐすぎるスミスの顔を見て、イサミはまさにスミスこそがヒーローだと思えた。そして、そんなヒーローに「一緒に世界を救おう」なんて言われたら、こんな自分でも何だかヒーローになってもいいんじゃないかと思えてきた。それで少し笑顔になってから顔を上げたイサミはスミスに向かって拳を突き出し、しかめっ面で無言で拳を合わせるようスミスに促し、スミスも笑ってそれに応えて、2人は拳を合わせて共に世界を救おうと誓い合う。

そうしているうちにアライドタスクフォースの艦隊の出航の時がやってきますが、その時、突然の敵襲を受けることになる。といっても艦隊の誰もがそれをすぐに敵襲だと明確に認識することは出来なかった。何せ艦隊、いや空軍も含めて、遠征開始直前のアライドタスクフォースの全部隊の通信が不可能になり、しかも周囲が濃い霧に包まれて周囲の状況が全く分からなくなってしまったからです。ただこの異常事態が自然現象とも思えず、デスドライヴズによる攻撃と警戒するのが当たり前であり、総員が警戒態勢に入り出撃準備に取り掛かった。

そんな中、ブレイバーンだけは事態を理解出来ているようで、格納庫に居たイサミのもとに急行してくる。ただ「ついにこの時が来たかー!」とか叫んで飛んできたので、ブレイバーンはこの事態を把握しているだけではなく、この事態を予測していたかのように見える。いや、もっと厳密に言えば、この事態が起きることをあらかじめ知っていて、それを恐れていたか、あるいは待ちわびていたようにすら見える。このあたりは何とも奇妙です。

ただ緊急事態ですから、イサミもスミスもそうしたブレイバーンの発言の違和感には気付かず、そのままイサミはブレイバーンに乗って出撃することになる。イサミもブレイバーンが慌てて飛んできたということはデスドライヴズの攻撃なのだろうということはだいたい察している。そしてスミスもイサミとブレイバーンを送り出しつつ自分も発進準備に取り掛かろうとする。だが、そんなスミスに向かってブレイバーンが急に呼びかけて「君は1人でも多くの仲間を救うんだ」と指示する。出撃前の忙しい時にずいぶん当たり前の指示であったので、スミスはちょっと戸惑いつつ「ああ、もちろんだ」と返事するが、ブレイバーンは更に「どんなことがあろうとも君の思うままに前へ進め」「たとえ暗闇の中でも勇気があれば必ず君の進む道に光が差す」と付け足す。何だか抽象的で、わざわざこんな時に言うべき言葉でもないような気もするが、ブレイバーンはこんな調子でよく分からないタイミングでよく分からないことを言うキャラなので、スミスも「とにかく迷わず前に進め」というぐらいの意味なのだろうと思い「うん」と頷く。そしてブレイバーンは「また会おう、スミス」と言い残して発進していった。

しかし、いくらブレイバーンでも出撃前にわざわざイサミではなくスミスにこんな言葉をかけるというのは不自然であり、言葉の内容的にもどうにも不吉なものを感じます。これからスミスにとんでもなく困難な事態が生じるということをあらかじめ知っておるかのような物言いで、その前に「ついにこの時が来たかー!」とか言ってるところを見ても、どうもこの戦いでスミスに何かが起きることをブレイバーンがあらかじめ知っているように思えてしまう。ただスミスに「また会おう」と言っていることからも、その結果スミスが居なくなってしまいとは想定していないようには思えて少し安堵します。まぁ単に厳しい戦いになることを予想してそんな言葉を残しただけなのかもしれず、スミスやその他の皆もそう解釈しました。

そうしてスミスも新機体に乗り込んで出撃して、小隊と合流してブレイバーンの後を追おうとしますが、機体に乗り込むと既にルルが後部座席に乗り込んでいた。スミスは慌ててルルに降りるよう言うが、整備班のミユがルルと一緒に出撃することを推奨してくる。謎の霧によって通信が途絶した状況では管制機の支援を受けることは出来ず、更に霧のせいで目視での戦闘も困難な状況であり、こんな場合にはコーパイロットであるルルのサポートは必須だとミユは言う。ミユはこうした事態を見越してルルが搭乗出来るようにあらかじめ整備していたのです。これにはスミスも根負けして、ルルを連れて出撃することを決断し、ルルは大喜びでスミスと共に出撃していった。

そしてスミスはまず小隊の連中と合流しようとして霧の立ち込める市街地を急いだが、いきなり行く手を塞がれてしまう。目の前にデスドライヴズと思しき個体が1体現れたのです。同時に上空の管制機は雲の上に突き出す3本の塔を発見する。どうやらこの軍港の近くにデスドライヴズの3本の塔が集まってきているようなのです。つまりデスドライヴズが3体この地に集まっているということになる。スミスの前に現れたのはそのうちの1体ということになります。

しかし一体どうしてこうなったのでしょうか。地球に落下したデスドライヴズの8本の塔は世界各地に突き刺さったはず。そのうち1本が東京近郊に突き刺さっていて、それは前回ブレイバーンが破壊した。それ以外に日本には塔は無かったはずです。つまり世界の他の場所に突き刺さっていた3本の塔がわざわざ日本に移動してきたということになります。その理由は何なのかというと、おそらく前回東京でブレイバーンに敗れて消滅したクピリダスが消える間際に「真の望みをかなえたいならブレイバーンのもとに」とか呼びかけたからなのでしょう。あれを聞いた世界の他の場所の塔のデスドライヴズがブレイバーンに「真の望み」を叶えてもらうためにこの地にやって来たのでしょう。彼らの「真の望み」とは何なのかというと、前回のクピリダスの言動を見る限りでは「素晴らしい爆死」ということになりそうです。つまりブレイバーンと華々しく戦って敗れて爆死することによって復活することのない素晴らしく満足できる死を望んでいるみたいです。

ただ、この「塔が3本出現した」という事態をアライドタスクフォースの司令部や各部隊はまだ知らない。管制機から他の部隊に通信が出来ない状態だからです。ただブレイバーンだけは事態を把握することが出来ていて、イサミのにそのことを伝え、これから3体のデスドライヴズと戦わねばならないことを告げる。そうしてブレイバーンは敵のデスドライヴズと対峙する。そのデスドライヴズの名前は「ヴァニタス」と「ペシミズム」という。なんか言動がおかしい奇妙な連中ですが、ブレイバーンは「ああ見えて非常に手強い」と言う。

だがイサミは相手が2体しかいないと気付くと、もう1体のデスドライヴズは何処に行ったのかと思って焦る。デスドライヴズはブレイバーンと戦って「真の望み」である爆死をすることが目的のはず。だからてっきり目の前に3体のデスドライヴズが現れると思って身構えていたのです。ところが1体足りないというのは想定外でした。ブレイバーンでなければ彼らの望む「素晴らしい爆死」は出来ないはずなのに、どうして1体ここに居ないのだとイサミは焦ります。要するに自分とブレイバーンとで3体とも倒してしまえば戦いは終わると思っていたのに、もし此処に居ない残り1体が他の部隊を襲ったりすれば大惨事になってしまう。それはイサミにとって計算外でした。

それと同じことは、もう1体のデスドライヴズである「クーヌス」と遭遇したスミスも感じており、どうしてこの敵はブレイバーンの居ない場所に現れたのだろうかと不思議に思った。それで「ブレイバーンは此処にいない」と教えると、クーヌスは「私と交わるがいい」とワケの分からないことを言ってくる。スミスはてっきりクーヌスはブレイバーンと自分を間違えているのだと思ったが、どうやらクーヌスはスミスこそが自分の望みを叶えてくれる相手だと認識しているらしい。クピリダスの呼びかけに応じてヴァニタスとペシミズムはブレイバーンと戦おうとしているわけだが、クーヌスだけはクピリダスの判断を信用していないようです。クーヌスは自分の望みを真に叶えてくれるのはブレイバーンではなくスミスだと思っている。

そもそもクーヌスの望みというのが何なのかが問題です。クピリダスみたいに真っ二つに斬られて大爆発したいのであれば、スミスにはそんな芸当は出来ない。「スミスと交わる」というのがクーヌスの要求ですから、クーヌスだけは他のデスドライヴズとは違って性的な快楽が「望み」なのかもしれないが、ヴァニタスとペシミズムの判断ミスをクーヌスがバカにしているところを見ると、そもそもデスドライヴズの「真の望み」とは単純に大爆死することではなくて、何かによってもたらされる何らかの快楽が「真の望み」なのかもしれない。その「何か」のうちの1つに「素晴らしい爆発」があるのかもしれないが、本質を突き詰めると何か別のものなのかもしれないですね。

そのあたりヒントになりそうなのは、クーヌスがスミスに「内に秘めた誰にも言えぬ想い、それに私はゾクゾクしていた」「だからそなたを選んだ」「そなたなら熱いパトスを感じさせてくれると」と言っていることです。その「想い」とはおそらくスミスが「正真正銘の英雄になりたかった」と思っていたということです。そういう想いを秘めたいたスミスだからこそクーヌスは自分の望みを叶えてくれると思ったみたいです。だからおそらくデスドライヴズの「真の望み」は単に素晴らしい爆発や素晴らしい死なのではなく、そうした行為を通して「正真正銘の英雄」の「パトス」つまり精神を感じることなのではないかと思う。それに接することが出来るのであれば、それは「戦って負ける」という行為である必要は無いのかもしれない。それがつまり「交わる」という行為なのでしょうけど、それはおそらく人間が考えるセックスのような行為ではなく、おそらく魂と魂が触れ合うような行為なのでしょう。

そうしてクーヌスはスミスに自分と交わるよう要求し、スミスは自分はブレイバーンのサポートに行かねばならないと言って拒否するが、クーヌスはブレイブナイツの隊員たちのTS機体を突然スミスの前に転送させてきて弄び始める。どうやらクーヌスは空間と時間を自在に操る能力も持っているようで、ブレイブナイツはクーヌスの前に為す術もなく翻弄されてしまい撃破されていく。一方、ヴァニタスとペシミズムと対峙するブレイバーンは苦戦を強いられており、イサミは早くもう一体のデスドライヴズを倒さなければいけないと焦るが、敵が2体ではブレイバーンもなかなかすぐに倒すわけにもいかないようです。

ただ、ちょっとこのあたり怪しいようにも思う。イサミを乗せたブレイバーンはハワイではスペルビアを圧倒したし、東京ではクピリダスに圧勝したはずです。こんなに苦戦することはなかった。ヴァニタスもペシミズムもハワイでのスペルビアや東京でのクピリダスと同じように「ルル」を摂取した状態であり強さは同じ程度のはずです。それならたとえ2体居たとしてもイサミの乗ったブレイバーンがここまで苦戦するのは不自然にも思える。戦う前にやたらとブレイバーンがヴァニタス達のことを「強敵」と強調していたのも気になる。もしかしたらブレイバーンはワザと苦戦してクーヌスとスミスの遣り取りの邪魔をしないようにしているのではないかとも思えてくる。ブレイバーンがこの戦いでスミスに起きることをもしあらかじめ知っていて、それがブレイバーンにとって「ついにこの時が来た」と言うべきことなのだとしたら、そういう可能性もあるのではないかと思えてくる。

まぁそれは考えすぎなのかもしれないが、とにかくスミスはこれ以上仲間たちに手を出さないようにと言い、クーヌスと交わることを了承する。だがもちろん素直に交わる気も無いし、そもそも交わる方法もよく分からない。さっきまではスミスはとにかく早くブレイバーンんもとに支援に向かうためにクーヌスから逃れようとしていた。だが、仲間たちを弄ぶクーヌスに対して怒りが限界を超えて、もうブレイバーンの支援という本来の自分の役目などどうでもよくなり、とにかく自分の手でクーヌスを倒したいと考えを変えたのです。それでクーヌスに求められて名を名乗ると、スミスはクーヌスに対して全弾攻撃を敢行する。

それに対してクーヌスは「そうだ!これでこそだ!」と大喜びで「そなたの熱いパトスで私の奥も更に熱く」とか、なんかちょっとエロいことを言いますが、これはそういう意味じゃなくて、もっと精神的な話なのでしょう。つまりスミスがクーヌスを本気で倒そうとして向かってきたことがクーヌスにとっては嬉しいことなのであり、それがクーヌスの求める「交わる」ということみたいです。

ただ、このスミスの全弾攻撃はクーヌスが空間の穴で受け止めてしまい、それはブレイブナイツの仲間たちに向かって発射されてしまう。しかしクーヌスはこれでスミスが自分の望む「死」を与えてくれるという手応えは感じたようです。やはりスミスのヒーロー魂で「死」を与えられるのがクーヌスの本当の「望み」みたいです。性交が目的というわけでもなく快楽が目的というわけでもなく「快楽の末の死」、あるいは「死という快楽」なのかもしれない。ただ、どうやって死ぬのかは分からない。直接的な攻撃を喰らって死にたいのならば全弾を受ければ良かったのであり、この後、例の「ルル」を入れるカプセルを出したりもしているので、スミスをそこに入れて摂取することで中毒死するとか、そういう可能性もある。そのあたり詳細は不明です。

ただ、その「死」の前にクーヌスは「それにはあれが邪魔であるな」と言って、地球の外の宇宙空間に浮かぶデスドライヴズの母船に向けてビームを発射して破壊します。ここで復活していたクピリダスが瞬殺されてしまったのはちょっと笑えたが、どうやら母船が無くなるとデスドライヴズは復活することが出来なくなる模様です。それにしてもクピリダスは前回あんな満足そうに死んだのにまた復活してきていたのは意外でした。そのあたりデスドライヴズの死の定義がよく分からない。ヴァニタスなんかは母船が無くなったことで死の快楽を何度も体験出来なくなることを嫌がっており、どうやらクピリダスも同じ性癖であったようで、彼らは「完全な死」の快楽を何度も何度も味わうために復活してくるみたいです。一方でクーヌスは「完全な死」はたった一度だけだからこそ完全なのだという思想であるようです。だから母船を破壊して自分の死の価値を上げたようです。但しクーヌスの場合は時間を操作出来るのでその快楽を時間を巻き戻して何度も何度も堪能することが出来るのかもしれません。

とにかく母船を破壊して準備完了したクーヌスはスミスに自分と交わるよう要求する。それを承けて、スミスはルルに「重要な任務」を頼む。それをルルが喜んで「やる」と応えると、スミスは「みんなをよろしく頼む」と言うと後部座席の強制脱出ボタンを押してルルを脱出させる。そしてスミスは鼻歌を口ずさみながらクーヌスに突撃し、密着した状態で装甲を外して奥の手の大型ミサイルを至近距離で発射してクーヌスと共に爆発して散った。そして交戦中のイサミにはスミスの「イサミ、勇気だ」「勇気爆発だ」という声が届く。

ここで今回は終わりであるが、冒頭のシーンのモノローグと合わせて考えると、スミスはあくまで最期はブレイバーンやイサミのような「正真正銘のヒーロー」のサポート役ではなく、自分が「正真正銘のヒーロー」となって完全体のデスドライヴズを倒す道を選んだということなのでしょう。ただ、それは子供の頃に夢見て憧れていたような無敵のスーパーヒーローなどではなく、あくまで弱い人間のヒーローであった。そんな弱い人間が「正真正銘のヒーロー」になるためには自分の命を捨てて敵を倒すという「勇気」が必要だった。だが、そういう「勇気」こそが彼が子供の頃から憧れていた「正真正銘の英雄」の本質だったのです。「正真正銘の英雄」の本質は「強さ」ではなく「勇気」なのだということをスミスは最期にイサミに伝えたのでした。

ただ、最期にスミスがクーヌスと共に爆発した後、スミス機もクーヌスも空間にかき消えるように消滅していったので、別の空間に移動したようにも見える。そうなると、まだスミスは死んでいないようにも思える。まぁクーヌスも死んでいないのかもしれないが、クーヌスの空間や時間を操る能力というのが何かの伏線であるのかもしれない。とにかくこれがブレイバーンがスミスに出撃前に言っていた「たとえ暗闇の中でも勇気があれば必ず君の進む道に光が差す」という言葉と関係があるのかもしれない。つまり「勇気」なのです。最期の瞬間、スミスが「正真正銘の英雄」となって掴んだ「勇気」は、単にイサミに伝えるための言葉だったのではなく、スミス自身の帰還に道を照らす光になるのかもしれませんね。そういうわけで次回が楽しみです。

 

 

メタリックルージュ

第8話を観ました。

今回はユングハルト邸に行ったジーンが地下室を発見し、そこに現れたルジュとアッシュとノイドと一緒に地下室に降りていきます。地下室の存在はジーンも知らなかったみたいです。地下室というより巨大な地下空間で、そこには膨大な本があったが、それらは本ではなくて、ジーンやルジュの父のロイ・ユングハルト博士の記憶を外部メモリーに保管したものでした。ここにはユングハルト博士の生前の記憶が全てあるというわけです。

ジーンはルジュのことを知るためにユングハルト博士の記憶を探ると言います。つまりジーンはルジュのことを実はよく知らず、調べたいと思っていたようです。ということは、移動カーニバルの人形使いが探していた「イブ」というコードのこともジーンは実は知らなかったのであり、ナオミがジーンが自分たちに隠し事をしていると不信感を抱いたのも誤解だったということになりますね。むしろジーンもルジュに自分の知らない秘密が隠されていることを知ってユングハルト邸に行けば何か手掛かりが残されているかもしれないと思ってやってきて地下室を見つけたということみたいです。そこに同じく自分のことについて知りたいと思ってアッシュとノイドと共にユングハルト邸に来たルジュと鉢合わせしたようです。

それで分かったことは、ユングハルト博士はこの屋敷でルジュを研究対象として観察していたということ。そして、どうやらルジュを作ったのはユングハルト博士ではなく、博士の助手であったエヴァ・クリステラという女性科学者であった。エヴァは博士と共にネアンを作ったとされている人物で、17年前に事故で死んだらしい。ジーンは実はエヴァの息子で、エヴァの死後にユングハルト博士の養子になったようです。そしていつの時点なのかは不明だがルジュもユングハルト博士の管理下となり、ジーンとルジュは兄妹として育ったようです。

そして、どうやらアジモフコードはエヴァが作ったようで、エヴァはアジモフコードを作ったことでネアンが人間に屈服して不幸な生き方をするようになったことを後悔していて、「コード・イブ」というアジモフコードを解除するプログラムを作ったが、ユングハルト博士はその「コード・イブ」のデータを政府に引き渡すようエヴァに求め、エヴァはそれを拒否して、それを表向きは廃棄したと見せかけて、ユングハルト博士と共に開発したプロトタイプの9体のネアンの中に「コード・イブ」のデータを隠したのだという。それがインモータルナインというわけです。

エヴァがどうして死んだのかは不明です。政府を欺いていたことを知られて殺されたのかもしれない。とにかくエヴァの死後にインモータルナインのイドに「コード・イブ」のデータが隠されていることを知ったユングハルト博士はそれを調べ始めて、それに危機感を持ったインモータルナインが博士を殺害したようです。そしてルジュのイドの中にも「コード・イブ」のデータが隠されていて、ユングハルト博士はルジュを手元に置いてそれを調べようとしていたのかもしれない。ジーンを養子にしたのもエヴァのことを調べるためだったのかもしれないが、ユングハルト博士の本心はジーンにも結局よく分からないという。

とにかくインモータルナインやアルターは「コード・イブ」を解読してネアンをアジモフコードという人間に服従する縛りから解放して自由にしようとしている。だからシルヴィアはイブを欲したのです。そうした考え方の方が正しいのではないかとルジュは考える。しかしジーンはネアンが自由になれば現在の社会の秩序が崩壊して、人間もネアンも不幸になると考え、だからインモータルナインを止めなければならないと考え、それでルジュに命じてインモータルナインのイドを回収させていたのです。また、移動カーニバルが「コード・イブ」を探していたりインモータルナインのイドを手に入れようとしていたのも、やはりネアンの介抱が目的であり、そうなるとインモータルナインと同じ目的ということになるが、移動カーニバルがインモータルナインと繋がっているのかどうかはよく分かりません。

すると突然ユングハルト邸にシアン・レッドスターが現れてルジュを襲ってくる。シアンは「ルジュを破壊し殺す者」「ルジュの妹」と名乗り、ルジュが戦う気が無いのを見ると興味を無くしたのか引き上げていき、また戦おうと言い残す。その直後、今度は真理部がアルターの急襲を受けて、シルヴィアとグラウフォンがイド保管庫に侵入して、ルジュが回収したインモータルナイン4人のイドを奪還する。そこにルジュ達が駆けつけて、シルヴィアはルジュのイドを手に入れてアジモフコードを解除してネアンを自由にする戦いを人類に対して宣戦布告し、ルジュと戦闘を開始する。

シルヴィアはルジュに自分の自由な意思で自分たちと共に戦ってほしかったと言いますが、ルジュは自分の自由な意思で世界の秩序を守ることを選んだのだと反論し、2人は激闘となります。そんな中、ノイドは人間側の警備兵に誤って撃たれてしまうが警備兵はノイドがネアンなので問題無しとして、それに怒ったアッシュは警備兵たちを射殺する。更に戦いの場にエデンが現れ、どうやら彼がインモータルナインの最後の1人だったようですが、エデンはシルヴィア達とは考え方が合わないと言ってルジュの味方をし、更にライコスも現れて戦場は混沌としてくる。そんな戦場をシアンが冷たく見下ろしているという場面で今回は終わり次回に続きます。