2024冬アニメ 2月29日視聴分 | アニメ視聴日記

アニメ視聴日記

日々視聴しているアニメについてあれこれ

2024年冬アニメのうち、2月28日深夜に録画して2月29日に視聴した作品は以下の3タイトルでした。

 

 

外科医エリーゼ

第8話を観ました。

今回は冒頭は前回ラストの続きで、エリーゼが師匠であるグレアム教授に自分が公爵家の令嬢であることを隠して医者になろうとしていたことがバレてしまった場面から始まります。ハーヴァー公爵夫人への施術に問題が無かったことが証明されて自由の身になれることが分かってエリーゼは安堵はしますが、グレアムが深刻な顔をしているので、これまで騙していたことでグレアムを怒らせてしまったのではないかと心配になります。

その後、グレアムはエリーゼの正体については他言はせず、テレサ病院の勤務に戻れたエリーゼでしたが、グレアムが自分に敬語を使うようになったり、自分と一緒にいる時に顔をしかめたり溜息をついたりしているのを見て、やはりグレアムが怒っているのではないかと不安になり、ちゃんと事情を説明して謝ろうと思いますが、突然グレアムが休暇を申請して病院に来なくなってしまったので、避けられているのだと思いエリーゼは困惑してしまう。それで思い切ってエリーゼはグレアムの自宅に押し掛けることにしました。

グレアムの自宅に行くと乳母のヨーデルという女性が出てきて応対してくれるが、グレアムは自室に引きこもって出てこないのだという。それでヨーデルと雑談をして、エリーゼはグレアムが病院で若い医師たちに慕われているとか頼りにされているという話をしたりする。またグレアムの自宅に多くの医学書があり、どれも読み込まれていることに気付き、エリーゼはグレアムが大変な努力家だと知る。

そうしていると突然ヨーデルが苦しみだして倒れてしまい、慌ててエリーゼがグレアムを呼び、グレアムは自室から出てきてエリーゼが来ていることに驚くが、ヨーデルの状態を診て急いでテレサ病院に運び緊急手術を行う。ヨーデルは鼠径ヘルニアで脱腸を起こしており、グレアムが執刀しエリーゼが助手を務めて無事に成功してヨーデルは一命をとりとめます。そして手術の後、エリーゼが改めて身分を隠して騙していたことを謝罪すると、グレアムはどうしてエリーゼが謝るのか理解できず驚きます。実はグレアムはエリーゼに対して全く怒ってなどおらず、顔をしかめたり溜息をついていたのはエリーゼの書いたカルテや報告書の字が汚くて読みづらかったのが理由でした。また、病院を休んでいたのも研究に没頭するためでした。

そして、それについてはグレアムはエリーゼが公爵令嬢でありながら一介の研修医から医者を目指そうとしている志の高さに感化されたからだと言う。グレアムがエリーゼの正体を知った時に深刻な顔をしていたのはそういう理由だったのです。医者として天性の才能を持ちながら身分を隠して一介の研修医として最底辺の現場の医療から学ぼうとするエリーゼの高い志を見て、才能の無い努力型の凡人に過ぎない自分はもっと努力しなければいけないと思い、それでグレアムは今の立場に甘んじることなく更に研究を重ねようと思い立ったようです。

ここでグレアムは大きな誤解をしている。グレアムはアカデミーで必死で勉強し、必死で医学書を読んで実地も重ねてきた自分でも出来ないような施術を15歳の少女の身でやってのけるエリーゼのことを天性の才能を生まれつき持っていると誤解しているが、実際はそれらのエリーゼの医療技術は前世の日本人としての人生で努力の末に身に着けたものであり天性の才能などではなかった。むしろ努力の末に身に着けたものであるからこそ価値があるのだとエリーゼは思っているのだが、そうした自分の前世の話をグレアムにするわけにもいかないので、グレアムの誤解を正すことは出来ない。

それでエリーゼがグレアムがどうして医者になろうと思ったのかと質問すると、グレアムは子供の頃に疫病で家族を全員亡くしてしまい、乳母のヨーデルが自分を家族のように育ててくれたのだが、そのヨーデルが病気になって看病した時に、もう二度と家族を病気で奪われたくないと強く想い、それで医者を志して努力を重ねて医者になったのだと説明する。そして今回、グレアムはヨーデルの命を救うことが出来て、医者になった最初の志を果たすことが出来た。またヨーデルも入院したことによって泣き虫だったグレアムが若い医者たちに慕われ頼りにされている立派な人物に成長したことを知り嬉しく思うことが出来た。そして、そのように才能や境遇に恵まれない人が努力によって得る成果こそが価値があると前世の経験で知っているエリーゼはグレアムに「私は先生の努力を尊敬します」と伝え、グレアムは「ありがとう」と礼を言う。

今回はこういうお話で、非常に良かったです。この作品は本筋の話は現状そんなに盛り上がってはいませんが、今回のエピソードは単体で非常に素晴らしかった。エリーゼが単純に現代医学無双するのではなく、ちょっと遅れた文明の中で医者をしているグレアムがエリーゼに対して抱く複雑な感情が描かれ、文明や技術の発達の程度に関係なく医者の矜持が描かれる話というのは、こういうのこそが転生モノやタイムトラベルものなんかの醍醐味といえますね。

 

 

魔法少女にあこがれて

第9話を観ました。

今回はマジアベーゼ達がロード団のロコムジカとルベルブルーメのペアと戦うというお話でした。アクションがメインの回でありましたが、最終的にはロコムジカの性癖に迫る話となり、結果としてベーゼ達はロコムジカ達に勝利し、どうやらロコムジカ達がベーゼ達の仲間になるようです。ただ、この作品はメインテーマは「少女たちの性癖」であり、今回はロコムジカの性癖に関する話であったといえるでしょう。一方でルベルブルーメの性癖に関しては今回はまだ曖昧にしか描写されておらず、これはおそらく次回描かれることになるのだと思われ、そういう意味で今回真にベーゼ達の仲間となったのは性癖の覚醒したロコムジカだけであり、ルベルブルーメの真の仲間入りイベントは次回なのだと思います。つまりベーゼと性癖を通して分かり合えた者がベーゼの仲間になっていくというのがこの物語の構造になっているみたいですね。レオパルトの時もネロアリスの時もそうでしたし、ベーゼとトレスマジアとの因縁の深まりも、相手の性癖を通じてのものだといえます。

一方でトレスマジアの3人はまだ特訓合宿を続けており、まず冒頭の場面ではトレスマジアの3人はエノルミータの内紛が起こっていることをヴァーツから前回の町中でのレオパルト達とロコムジカの戦いのリアルタイム映像を見せられて知らされていました。マゼンタは町に戻って戦おうと言いますが、サルファはエノルミータ同士潰し合ってくれているうちに自分たちはパワーアップに専念しようと言い、特訓を続けることになります。そうした中、アズールは滝に打たれて精神統一を図っているかと思いきや、水流に身体を打たれて気持ち良くなってしまっている始末で、むしろマゾのアズールにはキツい修行は逆に煩悩を刺激されるだけで逆効果なんじゃないかと心配になってきます。まぁしかしサルファはアズールに新たな武器を手に入れようという方針は示し、パワーアップのために頑張ろうということになります。

さて、それで今回のメインの悪の幹部同士の戦いですが、まずはロード団陣営では前回まんまとレオパルト達に逃げられてロードエノルメに全裸で鞭打たれるお仕置きされてしまったロコムジカは、まだ全く凝りていない様子です。相変わらずアイドルになるのだと言って張り切っており、今度こそエノルミータの連中をやっつけると言っている。そんなロコムジカにルベルブルーメは悪態ばかりついています。ただ、悪態をつくものの、ちゃんとロコムジカの傷の手当をしてやったり、一緒に戦いに出てやったりして、ロコムジカと仲が悪いというわけでもないようです。

一方でエノルミータ陣営の方ではうてなの怪我が治って復帰してきてキウイは大喜びで、こりすに前回人形を虐めたお詫びだと言ってロボットのプラモデルを買ってやったりしている。このプラモデルは何かの伏線になるのかもしれないですね。そしてうてなはロコムジカとの戦いに行けなかったことを謝りますが、その本心は自分も戦いに加わってロコムジカを倒したかったのにそれが出来なかったのが残念だったということみたいです。それだけ魔法少女狩りをしていたロード団の連中に対するうてなの怒りが大きいということであり、うてなも完全復活という感じです。

そこにヴェナリータが現れて、ロコムジカの気配を察知したと伝えてくるので、うてな達3人は変身してその場に向かいます。すると、そこでは広場にステージを組んでロコムジカがコンサートを開いており、ファンが集まって歓声を上げていた。ロコムジカは歓声を浴びて上機嫌で唄っていたが、レオパルトとネロアリスはロコムジカの唄でファンが集まるはずがないと不審に思うと言う。それを聞いてベーゼはそこまで言うのは酷いとか思ったりするが、ロコムジカの唄を聞いて、あまりに音痴なのでレオパルトの意見に納得する。

確かにロコムジカの唄声を聞いて観客が喜んでいるのは不自然です。ただロコムジカは本当に観客が自分の唄で喜んでくれていると思っているみたいです。前回もレオパルト達の前で自信満々でアイドルになると宣言して唄い出したりしており、どうやらロコムジカは唄の下手な自分が世界征服の後で不正な手段でアイドルとして君臨したいと考えているわけではなく、本当に自分にはアイドルの才能があると信じているみたいであり、特に歌唱力には自信を持っているみたいです。つまり自分が音痴だという自覚が無いようなのです。前回レオパルトに「唄が下手だ」と指摘された後、ショックで泣き出したりしたのも、普段は歌が下手だと自覚していないのでショックを受けたということだったのでしょう。

ただ、それならば正当な手段でアイドルを目指せば良さそうなものですが、ロードエノルメの世界征服を手伝ってアイドルとして君臨しようという邪道な手段を選ぼうとしているのはちょっと不自然です。それはおそらく。ロコムジカが「自分にはアイドルの才能があるのに世間がそれを受け入れてくれない」と不満を持っていて、だから世界征服という強行手段に出ようとしているということなのでしょう。世間がロコムジカの才能を受け入れないのは、ロコムジカの唄が下手だからなのですが、そこがロコムジカは分かっていないので、世間がただ単に自分を理解できない間違った連中ばかりだと逆恨みしているのでしょう。それでこうしてコンサートでファン達が自分に歓声を送ってくれるのを見て「やっぱり私の唄は本物なんだわ」「私にはアイドルの才能があるのよ」と満足している。

前回レオパルトに言われたことをそれなりに気にしていたということなのでしょうけど、そんなふうに気になってしまうというのは、これまでにも周囲の反応を見て「私の唄は下手なのかな」「私にはアイドルの才能は無いのかな」と不安に思う気持ちは無いこともなかったのだと思います。ただ、前回レオパルトも言っていましたが、ロコムジカの唄は「絶妙に弄りにくい下手さ」であって、どうもハッキリと「下手だ」と言いづらいレベルなので、あまりハッキリとロコムジカに「唄が下手だ」と指摘する人もいなかったようで、そのあたりロコムジカもハッキリと自分の唄が下手だと認識出来ておらず、漠然と不安を抱えながらも楽観的にやってきたようです。レオパルトみたいにズケズケ何でも言う相手の方が珍しいのであり、大抵の人はトラブルを恐れて曖昧に言葉を濁してきたのでロコムジカが自分の音痴を分からない状態が続いてきていたのでしょう。

ただ、そうなるとどうも不自然なのはルベルブルーメです。彼女はいつでもロコムジカをボロカスに貶しており、レオパルト以上に毒舌で酷薄な印象です。そんなルベルブルーメはどうしてロコムジカにその最大の欠点である「音痴」を指摘して貶していないのでしょう。ロコムジカを言葉で攻撃したいなら真っ先に挙げるべき材料のはずなのに、何故かルベルブルーメはロコムジカが音痴であることを指摘しようとしていない。そしてロコムジカがアイドルになりたいとか無謀なことを言っていることもバカにして否定しようとはしていない。ルベルブルーメはただ単にロコムジカがバカだとかマヌケだとか子供レベルの悪態をついているだけであり、それに脊髄反射してキレているロコムジカも子供っぽいのですが、とにかくルベルブルーメは単にロコムジカと口喧嘩をしたいだけみたいです。いつも悪態をついて喧嘩の発端を作るのはルベルブルーメの方であり、ロコムジカの方から喧嘩を売ることはあまり無い。つまりルベルブルーメがロコムジカと口喧嘩をするために悪態をついているだけであり、ルベルブルーメはロコムジカを本気で否定したり拒絶しようとしているわけではない。それどころかロコムジカの「アイドルになりたい」という無謀な夢を守ってやりたいとさえ思っているようです。

このコンサートだって、どう考えても観客たちの反応は不自然であり何者かに操られているように見える。だがロコムジカは本気で観客の反応を喜んでいるのだから、これはロコムジカの仕業ではない。だとするとその場に一緒に居るルベルブルーメの仕業としか考えられない。つまりルベルブルーメはロコムジカがアイドルとして自信を持てるように仕向けようと画策までしてくれているのです。ただ、それがどういう意図によるものなのかは今回はそこまで描かれなかったのでハッキリとは分からなかった。ルベルブルーメが常にロコムジカに口喧嘩を仕掛けている理由も含めて、そのあたりのルベルブルーメの謎の解明は次回に持ち越しになります。

とにかくレオパルトが爆弾で攻撃してルベルブルーメの何らかの術の発動が邪魔されたせいなのか、観客たちは「身体が動くようになった」とか言って逃げていきましたので、ルベルブルーメが観客たちを操っていたのは間違いない。その様子を見てベーゼもルベルブルーメの能力や意図について何となく察したようですが、ロコムジカの方はコンサートをぶち壊しにされたことでベーゼ達3人に対して怒り心頭で音波を飛ばして攻撃してきます。もともとはこのコンサートはベーゼ達を誘き出すために目立つことをやろうということでやっていたみたいなんですが、そういう当初の目的を忘れてコンサートを楽しんでいたロコムジカはカンカンに怒っているわけです。

まぁどっちにしてもお互い戦いを望んでいたわけですから問題ないわけで、激戦の開始となります。そうしてロコムジカの音波攻撃を避けながら移動していたベーゼですが突然に身体が動かなくなり音波攻撃をマトモに喰らってしまう。だがレオパルトがルベルブルーメを攻撃するとベーゼの身体は動くようになり、それでベーゼはルベルブルーメの能力はやはり「身体の自由を奪う能力」だと理解する。更に戦いの中で、ルベルブルーメの能力は影を使う能力だと判明する。影を縛って相手の動きを封じたり、影から影に移動したりする能力みたいです。だが、それが判明した時にはベーゼとレオパルトはルベルブルーメの能力によって動きを封じられてしまい、そこにロコムジカの音波攻撃を喰らってしまう。

そこでまた口喧嘩を始めるロコムジカとルベルブルーメを見て、ベーゼは2人が実は能力の相性も良くて連携が取れており、実は仲が良いのだと感じる。そしてそこに勝機を見出して作戦を立てます。そうしてベーゼ達は立ち上がり戦いを再開し、ロコムジカの音波攻撃を鞭で生み出した樹の魔物で防ぎつつ、背後に回って攻撃してきたルベルブルーメを罠に嵌めてレオパルトとネロアリスの合体技の閃光弾攻撃を喰らわせる。すると閃光弾の放った光によって影が消えてしまい攻撃手段を失い、更に光によって一瞬視界を奪われたルベルブルーメはネロアリスのドールハウスに囚われてしまい、そのドールハウスをベーゼの樹の魔物の蔓が覆って窓を塞いで、ドールハウスの中は暗黒となる。暗黒になって光が差さない状態では影も生まれないので、ルベルブルーメはドールハウスから脱出することが出来なくなってしまった。そして、そのドールハウスを踏みつけて、ベーゼはロコムジカに向かって「ドールハウスごとルベルブルーメを踏みつぶされたくなければ攻撃を止めなさい」と脅す。

これは仲が悪いように見えるロコムジカとルベルブルーメが実際は仲良しであるということを見破ったベーゼの作戦であり、この読みは見事に当たってロコムジカは攻撃出来なくなってしまう。するとベーゼは更にロコムジカに服を脱いで裸になるよう要求する。ロコムジカは真っ赤になって恥じらい嫌がりますが、ルベルブルーメを踏みつぶすと脅されると仕方なくベーゼの言いなりになり服を抜き出し全裸になります。すると、更にベーゼは全裸のまま唄を歌うようにと命令する。

このベーゼのロコムジカに対する全裸になれだの唄を歌えだのという仕打ちは、単にサディストの血が騒いでの羞恥プレイなのですが、「こんな恥ずかしい格好で唄えるわけがない」と嫌がるロコムジカに対して、ベーゼは「いかなる状況でも唄を届けるのがアイドルの覚悟なのでは?」と屁理屈を言ってイジメる。どこの世界に全裸で唄うアイドルがいるものか。だからこんなのはムチャクチャな屁理屈でしかない。ただ確かにベーゼは屁理屈を言っているだけなのだが、「いかなる状況でも唄を届けるのがアイドル」というアイドルの定義は確かに一理ある。そして、それはロコムジカのアイドルとしての覚悟の無さに確かに突き刺さる理屈ではあった。

更にベーゼは「それとも偽物の観客の前でしか歌えませんか?」と更に言葉で嬲る。それを聞いて驚くロコムジカが観客が操られていたことを知らなかったのだと察したベーゼは更に面白がって、さっきの観客はルベルブルーメによって操られていただけだと教えて、これまでもずっと同じようなことをルベルブルーメはやってきたのだろうとも告げる。それでロコムジカはショックを受けてしまい、それならばこれまで自分の唄にファンが送ってくれた歓声は全てウソだったのだと気付き、やはり自分の唄は下手だったのだと気付く。

それでロコムジカは激怒モードに入る。これは前回レオパルトに「唄が下手」と指摘された後にロコムジカが発動した最強モードと同じ状態なのだが、ただ今回はルベルブルーメを人質にされているので相手を攻撃することが出来ず、結局はロコムジカはこの最強モードのまま全裸で唄わされることになってしまう。ただ、この最強モードというのは、実はその本質は「怒り」ではなく「羞恥心」なのです。レオパルトに「唄が下手」と指摘された時も、ロコムジカは自分でも認めたくなかった自分の恥部である「音痴」がバレてしまった羞恥心でパニックに陥って怒り心頭に達してしまったのです。それと同じで今回も「自分が本当は唄が下手だった」という事実に直面してロコムジカは死ぬほど恥ずかしくなってしまい、それで怒り心頭に達したのです。

そしてこれが最重要なのですが、そうして羞恥心で怒り心頭に達した時、前回の戦いではロコムジカは最大の攻撃力を発揮した。つまりロコムジカの能力は羞恥心によって最大値に達するのです。言い換えればロコムジカの能力の源泉は「羞恥心」だったということになる。そして前回はその最強モードで敵を攻撃したので最大の攻撃力を発揮したが、今回は敵に対する攻撃ではなく、その最強モード、能力が最大値に達した状態で歌を唄うことになった。しかもロコムジカは「自分の唄は下手だ」と認めてしまっているので、下手な歌を披露することがとても恥ずかしくて、前回のように自信満々で唄うことが出来ず、恥ずかしさでいっぱいになってしまい、更に羞恥心は限界突破する。そして更に全裸なのです。どこの世界に全裸で歌を唄うアイドルがいるものか。前代未聞の恥ずかしいアイドルショーです。そうしてロコムジカの羞恥心は更に限界突破して絶頂に達し、それに伴って彼女の能力も限界突破します。そしてロコムジカの能力は「声」となって発現する能力ですから能力の覚醒はそのまま歌声に反映されるのであり、なんとロコムジカは音痴を克服して上手に歌えたのでした。そしてロコムジカはこれまで味わったこともない快楽を感じる。ロコムジカは羞恥プレイに覚醒したのです。

つまりロコムジカの性癖は「羞恥心によって快感を覚える」というものであり、その性癖がロコムジカの能力の源泉になっていたのです。確かに今回もベーゼに服を脱がされた時も、前回ロードエノルメに服を脱がされた時も、ロコムジカはやたらと恥ずかしがっていたが、別に公衆の面前というわけでもないのでもう少し堂々と脱いでもよさそうなものです。あそこまで過剰に恥ずかしがるということは、羞恥心に対して過剰に敏感な体質だったのだといえる。つまり言い換えれば羞恥心によって陶酔してしまうぐらい羞恥心に弱い体質ゆえに恥をかくことを警戒する傾向があったのでしょう。そんな彼女の過剰な「羞恥心によって快感を覚える性癖」こそが彼女の力の源泉であったのです。

だがロコムジカはこれまでずっと自分の羞恥心と向き合うことから逃げていたので本当の性癖に目覚めておらず、その能力も十分に発揮出来ていなかった。それが今回ベーゼの追い込みにとって覚醒させられ、ロコムジカは能力を覚醒させて音痴を克服出来たのです。そして同時にアイドルとしての正しい考え方も学ぶことが出来た。世の中のアイドルも今の自分みたいに自分の羞恥心と向き合いながら歌っているから、聴く人の心に響く唄を届けることが出来ているのだということをロコムジカは初めて実感出来たのです。

さすがに全裸で唄うことは無いとしても、自分の歌唱力に自信が無かったり、ダンスに自信が無かったり、色んな不安や恥ずかしさを抱えながら、それでもファンのために精一杯に自分じゃない誰かを演じて背伸びして頑張っている、それがアイドルなのです。これまでのロコムジカみたいに自信満々に自分の全てを曝け出して相手に押し付けるようなのは本当のアイドルではない。本当のアイドルは本当の自分なんて恥ずかしくて曝け出せないものなのです。それでも恥ずかしさと戦ってステージに立ってファンの望むものを謙虚に提供しようと必死に頑張る姿にこそ見る人は心動かされるのです。それはアイドルのステージを見に来る人達もまた同じように自分に自信が無くて恥ずかしくて、それでも頑張ろうと思っている人間たちだからなのです。そのことをロコムジカは気付くことが出来て、これでようやく自分は本当にアイドルを目指すことが出来ると思えた。

そうしてロコムジカの全裸歌唱ショーを見て、レオパルトもネロアリスも前回とは全く違って上手なロコムジカの歌声に拍手喝采を送り、ベーゼも感動して、ロコムジカもルベルブルーメも一本取られたと負けを認めて一件落着となります。そして負けたということでロコムジカは阿古屋真珠という正体を明かし、ルベルブルーメも姉母ネモという正体を明かす。どうせロード団に帰ってもロードエノルメにお仕置きされるだけだからもう2人ともロード団には帰らないと言う。ロコムジカはこれからはしっかり自分の羞恥心と向き合って真っ当にアイドルを目指す覚悟が出来たし、音痴も克服した。だからもうロードエノルメの世界征服に付き合う必要も無いのです。更にロコムジカがベーゼの仲間になるとか言い出して一同が驚いたところで今回は終わり次回に続きます。次回はおそらくルベルブルーメの話になるのだと思われますが、最後に特訓合宿で温泉に入って乳繰り合っていたトレスマジア達も次回はいよいよ特訓の成果を見出すのか注目ではあります。

 

 

戦国妖狐 世直し姉弟編

第8話を観ました。

今回は前回の灼岩の死という衝撃の展開を承けての開始となりますが、大岩長老の話によると灼岩は死んではいないそうです。霊力を使い果たして岩の形態になって休眠状態になっているらしい。ただ目覚めるのは百年後かもしれず千年後かもしれず、あるいはこのまま大地と同化するかもしれないという状況だそうで、真介や迅火のような人間から見れば生きている間には二度と人間の姿の灼岩には会えないわけですから実質的には死んだのと同じです。

灼岩が命懸けで守ろうとした妊婦のおこうさんと、産まれた双子の芍薬と火岩は元気になったら故郷に帰ってもらうことになり、たまと迅火と真介は岩の闇の里から旅立つことにしました。行く先は里の大岩長老から教えてもらった場所であり、そこに行くとたま達の助けになってくれるという。そうして旅を再開したところ、真介はずっと魔剣の荒吹とブツブツ会話をしている。どうやら火岩に助言されたのに従って荒吹を使えるようになるためにまずは荒吹と会話しようとしているようです。最初は「荒吹が言葉を喋るとしたら」という設定での会話から始まったのですが、真介の言うには、いつの間にか本当に荒吹の声が聴こえるようになったのだそうです。

そういう設定で会話ごっこをしているうちに真介が本当に荒吹からの声が聴こえていると思い込むようになっただけなのかもしれない。たまや迅火もそう思っていたのだが、もしかしたら本当に荒吹の声が聴こえているのかもしれない。子供の頃から実は真介には霊力があり、峠道の武士の幽霊から剣を教わったというのですから、荒吹の声が聴こえるようになったとしても不思議ではありません。ただたまや迅火はそんな真介の過去の話は知らないので、真介は霊力の無い普通の人間であり、荒吹の声が聴こえているなど錯覚なのだろうと思っている。

それで真介が荒吹と何をブツブツ会話しているのかというと、真介は荒吹を使わせろと言っているのだが、荒吹が真介のような弱い人間に使われるのは嫌だと言って拒否しているらしい。それだけならありがちな話なんですが、真介の言うには、荒吹は「血を吸いたい」と言っており「それには真介の腕では足りない」と言っており、それに対して真介は「断怪衆の血を吸わせてやるから俺に使われろ」と説得しているのだそうです。ずいぶん物騒な会話であり、これが真介の妄想の産物であれ、実際の会話であれ、どちらにしても真介が断怪衆への恨みでだいぶ心が荒んでいるのは間違いないとたまは想った。

その理由はもちろん灼岩が断怪衆の四獣将の1人である烈深によって殺されたからです。同様に灼岩をむざむざ殺されてしまったことで迅火もあれから塞ぎこみがちであり、たまは迅火のことも真介のことも心配していた。ただ迅火はもともと絶望を多く味わってきているので、それによって心が壊れたりすることはないだろうと思えた。しかし真介はこれほどの絶望を経験したことは無いだろうから、このまま怒りに呑まれてしまうのではないかとたまは心配した。実際、人相はめっきり悪くなってしまっており、荒吹と物騒な会話をするようになったのはその兆候なのではないかと不安に思えてきた。

そのようにして3人が旅を続けて、ある村に立ち寄ったところ、その村を守護しているという「かごもり」という名の闇がやって来て、3人を野盗か何かかと疑って名前や目的を質してくる。それで怪しい者ではないと説明して納得はしてもらうが、かごもりは真介から陰の気を感じると言って嫌い、村から川を挟んだ空き小屋に泊まるよう指示する。

そうして3人で小屋に居ると、小屋の外で村人の姉弟が誰もいないと思って会話をしていて、姉が4年に1人のかごもりへの生贄に選ばれたという話をしている。かごもりは村を守護する見返りに4年に1人の生贄を食用に要求しているようです。それでその姉弟の姉がその生贄に選ばれたわけですが、弟は姉が死ぬことを嫌がっており、姉は村を野盗や戦火から守るためには仕方ないことなのだと言って弟を説得しようとしているのだが、弟が納得せず泣いて駆け去ってしまうと、1人残された姉は本当は自分だって死にたくないと言って泣きます。

その姉弟の会話を小屋の中で黙って聞いていた真介は、かごもりを斬りに行くと言う。だが、たまはかごもりは村を守っているのだから斬るべきではないと言う。かごもりに村を守ってもらうことは村の人間たちが決めたことであり、部外者である自分たちが手出しすべきことではない。それに「4年に1人の犠牲」というのは闇に村を守ってもらうための犠牲としては妥当な線であり、かごもりは特別に悪辣なことをしているわけではないのだ。それを聞いて真介は激昂して、たまに「お前も闇だ」と暴言を吐き、たまが幻術を使って引き留めようとするのを振り切って小屋を出ていってしまう。たまは真介に幻術を破られたことに驚くが、もはや真介を引き留めることは諦めて、ただ真介が怒りに呑まれてしまうことを心配する。そのようになった者の末路は、いずれにせよ非業の死であるからです。それでたまは真介に「死ぬなよ」「お前まで居なくなるのは嫌だ」と言って見送る。真介はたまも灼岩の死を受け止めて苦しんでいるのだと知り、たまに暴言を吐いたことを謝り別れた。

それでも真介はかごもりの居場所に行くまでの途中で次第に怒りに呑まれていった。断怪衆にせよ闇にせよ、弱者を守るためという名目で弱き者をいたぶる強者は全て悪であり、そんな悪に対する怒りに身を任せていると、恐怖も迷いも消えていき、どんな相手でも容赦なく斬れる覚悟が湧いてくる。その高揚感に浸った真介は、今の自分に使われれば思いっきり血を吸うことが出来ると言って荒吹に自分に大人しく使われるよう説得するが、荒吹は「くだらぬ勘違いだ」と真介を相手にしない。

そうして、かごもりの居場所に行って真介はかごもりに出て来て勝負するよう呼びかけますが、姿を現したかごもりは背後から烈深によって刺されて倒れる。どうやら烈深は前回の岩の闇の里での戦いの後、道錬と別行動をとって独断でたま一行の行方を追い討伐しようとしていたようで、それでこの村にやって来て、村の守護者であるかごもりと戦いになり、烈深がかごもりを倒してしまったみたいです。

真介は思わぬところで灼岩の仇である烈深と再会し、激昂して烈深に斬りかかろうとして荒吹を抜こうとする。だが荒吹はまだ真介を拒んでいるので、今抜いても吹っ飛ばされるだけだと思い真介は普通の剣の方を抜いて烈深に斬りかかるが全く相手にならずに負けてしまう。それで気を失ってしまい倒れた真介は烈深によってトドメを刺されそうになる。そうした中、気を失っている真介の意識は荒吹の精神の世界に漂っていて、荒吹から「貴様の身体を我に渡せ」と迫られる。つまり自分に操られれば魔剣の力を持つ最強の剣士にしてやると荒吹は言うのです。荒吹は真介の強さを全く信用しておらず、魔剣である自分を使いこなせる主人とは全く認めていない。そんな真介がどうしても魔剣の力を使って強くなりたいのであれば、荒吹が真介の身体を乗っ取って動かすしかないということを荒吹は言いたいわけです。そうすれば真介は魔剣の力を持つ最強の剣士になることが出来るのだと言って、荒吹は真介に早く身体を渡すよう迫る。

しかし真介はそれを拒絶する。あくまで剣士である自分が剣を使うのだと言い、石に付けて肥溜めに沈めると言って荒吹を脅迫して、遂に目覚めると同時に強引に荒吹を抜くと烈深の腕を斬る。だが烈深は腕を再生させて、機械改造人間の正体を現して反撃してくる。そうして再び真介は劣勢となります。真介は荒吹を使えるようにはなったが、荒吹は相変わらず真介のことを認めてはいない。「怒りは刃を強くはしない」「駄々っ子の剣など虫にも届かぬ」と言って真介をバカにします。ただ、それでも以前のように真介を吹っ飛ばすことなく真介に使われてやっているのは、肥溜めに沈めると脅されたのもあるが、何か真介に感じるところはあったのであろうとは思われる。その上でやはりまだ真介を未熟だと指摘しているのです。それはやはり「怒りに呑まれているところ」が未熟なのでしょう。

その荒吹の指摘のとおり、真介の今の状態では魔剣を使っても烈深には勝てず、荒吹を弾き飛ばされて無手になってしまう。だが真介は怒りに任せてそのまま素手で烈深に殴りかかり、不意をつかれた烈深は真介にムチャクチャに殴られてフラフラになってしまう。それでも更に烈深は反撃してきて、再び2人は対峙します。ここで真介はもはや荒吹を使うことには拘っておらず、自分の力で烈深を倒そうとしている。

真介があれだけしつこく荒吹に話しかけて、荒吹を使って強くなることに拘ってきたのは、荒吹を使えば強くなれるという想いもあったが、それだけではない。そもそも真介はもともとは荒吹など関係なく強くなろうと努力してきた。荒吹などはもともとは斬蔵からたまたま渡されただけのものであり、真介はもともとは荒吹を使うことに特に強い拘りは無かった。前回も岩の里での稽古の場面でも荒吹は脇に置いて普通の剣で稽古していた。だから真介が荒吹を使うことに拘っていた真の理由は、荒吹を使えるようになることで「芍薬に相応しい男になれる」と火岩に言われたからであった。亡き灼岩に恥じない男になりたくて真介は荒吹を使えるようになることに拘っていたのです。

だから真介は荒吹から「身体を渡せば最強の剣士にしてやる」と言われた時にそれを拒否したのです。ただ単に灼岩を殺された復讐を果たしたいだけであったり、単に悪を斬るためだけであれば、身体を渡してでも最強の剣士となることに抵抗は無かったはずです。しかし真介の真の望みは「灼岩に恥じない男となること」であったので、そのためには自分が自分の力で強くならなければ意味が無いと思ったのです。だから荒吹の誘いを拒絶し、無手となっても素手で戦えるのです。おそらく荒吹は真介のそういう部分を認めたので、ひとまず真介に使われてやっているようです。だが、それでもやはり荒吹は真介が怒りに呑まれている限りはダメだとも言います。

ところが、ここで意外な展開となります。烈深の背後からいきなりかごもりが襲ってきて、烈深は頭から地面に叩きつけられて動けなくなってしまう。かごもりは烈深の剣で身体を貫かれていましたが、まだ息があったようで、最期の力を振り絞って烈深に一撃を喰らわせると、そのまま倒れて今度こそ本当に死にました。生贄を要求して村を守っていたかごもりでありましたが、村が約束を守って生贄を差し出してくる以上は村を守るという使命感は本物であったようで、最期の最期まで村への侵入者である烈深と戦って死ぬ道を選んだのです。

殺そうとしていた相手であるかごもりに結果的には助けられた形となった真介は、何とも居心地の悪い形となってしまいました。だが、これで真介は灼岩の仇である烈深を難なく殺せる機会を得ることが出来た。真介はとにかく烈深を殺して灼岩の無念を晴らしたいという想いで荒吹を拾うと烈新に振り下ろそうとします。だが、そこに真介の心の中に芍薬の「いいんスか、それで?」という声が問いかけてくる。続いて火岩の「それが芍薬に相応しい男か?」という問いかけも聞こえてくる。そして芍薬が「真介様には似合わないッスよ」と言ってくる。そして芍薬と火岩は一緒に「真介は誰よりも怖がりで誰よりも優しい人、だから真介は強い」と真介に語り掛ける。

そうした心の中の声を聴き、真介は混乱する。どうして灼岩がそんなことを言うのか。自分は灼岩のために烈深を殺そうとしているのにと。自分がこんなに怒っているのは灼岩のためだというのにと。だが真介はそうではないと気付く。自分が烈深を殺そうとしているのは灼岩のためにやろうとしているのではなく、自分のためだったのだと気付く。結局強くなれず灼岩を死なせてしまった自分の罪滅ぼしのために自分で決めて自分でやろうとしているだけであり、灼岩のためなんていうのは言い訳に過ぎなかったのだ。自分がこんなに怒っているのも灼岩のためなどではなく、烈深や断怪衆に怒っているのではなく、弱い自分に怒っていたのだ。自分が強くなるためにこんなに怒っていたのだ。

ならばどうすべきかと真介は自問自答する。自分のために自分で決めて自分でやることであるならば、それは純粋に自分だけの問題だ。だから本当に自分のためにすべきことをするべきだ。そして自分がやるべきことは「自分が強くなること」であり、灼岩は「怖がりで優しいから真介は強い」と思ってくれていた。「芍薬に相応しい男」になるということは、そうした灼岩の想いに応えることではないだろうか。そう考えると、怒りに突き動かされるのは「芍薬に相応しい男」のあるべき姿とは思えなかった。烈深の力でかごもりを倒し、そのかごもりの力で烈深を倒すというのが「自分が強くなること」に繋がるとも思えない。「怖がりで優しいからこそ強い」という本来の自分のまま荒吹を使いこなせるよう努めるのが正しい。そう真介は思った。

そうしていると烈深の服の中から野禅の式神が出てきて烈深に帰還を命じ、真介と烈深は互いに本名を名乗りいすれ決着をつけると言い合い別れた。烈深はバリー・ザルモアという外国人であり、真介は「武吉」という農民としての本名を名乗り、兵頭真介は仮の名前だと告げる。兵頭真介は武吉が「虐げられずに強く生きたい」と思い、強そうな武士の名前を名乗ったものであり、それが今の自分には居心地の悪いものに真介には思えてきたのです。

そうして真介が村に戻ると、村人がかごもりを殺したのが真介だと思って真介を非難してくる。これまでかごもりに村を守ってきてもらったのにどうしたらいいのかと途方に暮れている村人を見て真介は苛立ち、他人の手を汚させるのではなく自分で戦うべきだろうと言うが、村人はそれは無理だと言う。それで真介は更に苛立ってきて、最初はかごもりに腹を立てていたが、自分が本当に腹を立てていた相手は「弱さゆえに自分で戦おうとせず他人を戦わせようとする者」だったのだと気付く。それで真介は村人に「弱い奴は生きる資格は無い」と言い、戦う気が無いなら死ねばいいと言い放つが、自分自身が結局はかごもりも烈深も自分の力では倒すことが出来なかった「弱い奴」のままだと思うと、更に苛立ってくる。

ただ、それでも真介は「自分の力で戦い、自分の力で勝とう」とした。そして怒りに呑まれることも回避できた。そして、そんなふうにして真介が無事に帰ってくることを待っていてくれる仲間もいる。たまと迅火は村がかごもりの死で不穏な空気になっているのを見て橋のたもとで旅支度で真介を待ち構えていて、これから出発しようと言ってくれる。そうして旅立つ真介であったが、その姿を例の生贄になるはずだった姉とその弟が見送りおじぎをしてくれる。それを遠目に見て、真介はこんな自分でも救えた弱者が少しでも居たのだと、少し救われた気持ちになった。

そうして3人は旅を再開するが、たまは真介に旅を止めるつもりはないかと訊ねる。もともと真介がこの旅に同行する理由など無い。ただ漠然と強くなりたいからといって同行してきたが、その結果、怒りに呑まれそうになった真介を見てたまは心配になったのだ。だが真介は「虐げられず生きるために強くなりたい」と、以前と同じ言葉を言って旅を継続する。ただ、言葉は同じだが以前とは真介の内面は変化し成長しているとはいえる。それでもまだまだ荒吹も使いこなせていないし、真介自身強くなれてもいない。所詮は今の荒吹の力は真介にとってはまだ「借り物の力」に過ぎない。そのことを迅火は揶揄するが、真介もまた迅火が闇の味方と言いながら闇を斬り、人が嫌いだと言って人を助けるという矛盾を指摘する。それでも真介も迅火も断怪衆を倒して霊力改造人間の計画を潰すという想いは一致し、たまも含めた3人はその計画の犠牲となった灼岩に想いを馳せる。

その後は次回に続く話が描かれる。3人が旅を続けると大天狗を伴って山の神が現れて3人を歓迎する。大岩長老が言っていた協力者というのはこの山の神のことらしい。山の神も断怪衆と戦っているようです。そして山の神はこの地に神雲が迫ってきていると言う。それで神雲が入ってこれない場所にとりあえず3人を連れていくと言って山の中の洞窟の奥にある不思議な空間に連れていく。また山の神は迅火の目のことを「妖精眼」と言っており、今はそれは封印されているとか、迅火について迅火自身が知らないことも詳しく知っているようです。しかし神雲も千夜を連れて追いかけてきており、大天狗は千夜によって倒されます。そういうところで今回は終わり次回に続きます。