2024冬アニメ 2月20日視聴分 | アニメ視聴日記

アニメ視聴日記

日々視聴しているアニメについてあれこれ

2024年冬アニメのうち、2月19日深夜に録画して2月20日に視聴した作品は以下の3タイトルでした。

 

 

姫様”拷問”の時間です

第7話を観ました。

今回は姫様が猫を使った拷問に屈してしまうお話が最初にあって、その後はマオマオちゃんが通う魔王城幼稚園の運動会に応援に行くというお話が描かれました。運動会の話は拷問とは全く関係ありません。というか、魔王軍は土日は拷問はお休みらしい。相変わらずカオスでリアクションが激しくて面白かったんですが、さすがに呑気すぎて、ちょっとだけダレ始めてきました。個々の場面はムチャクチャ凝ってて面白いんですけど、さすがにこれだけ何をやってるのか、何処に向かってるのか分からない話を1クール観続けるとなると、そろそろダレてくる頃というものです。これは逆に何をやってるのか何処に向かってるのが明確すぎる作品も同じであり、「僕ヤバ」なんかはこれに含まれますね。単に面白いだけでは1クールは長いのです。まぁさすがに「僕ヤバ」はSランクから落ちることはないですけど。

この作品が面白いことは分かってるし低評価する気など毛頭無いんですけど「面白いから」という理由だけで他の上位作品と同等の扱いを何時までも出来るというわけではない。毎クール、Sランク作品というのは私なりに「1クール満足し続けられる特別な作品」というつもりで選んでいて、単に面白いとか好きだというだけでは選んでいません。その特別感を引き立てるために毎クールのA+ランク最上位はそれなりの素晴らしい作品を配置しています。今期は「フリーレン」あたりかとも思っていたんですが、どうもこのままいくとこの作品がその候補になってきそうな気もしてきました。「好き」というならこの作品がたぶん今期で一番好きな作品ですしね。

まぁしかし、かなりイイ線いってる作品なので、こういう評価もかなり厳しめに見ての評価ですし、終盤の盛り上がり次第では十分にSランクでフィニッシュする可能性はあります。ただ、それでも現時点でやはり当初は似た作風だと思った「魔王城でおやすみ」に比べるとやや下の評価になってますね。「魔王城でおやすみ」は2020年秋アニメの4位でしたから。ちなみに1位が「アクダマドライブ」、2位が「ゴールデンカムイ3期」、3位が「無能なナナ」でした。懐かしい。

で、この作品と「魔王城でおやすみ」の差はやっぱりハチャメチャ度の差なんでしょうね。「魔王城でおやすみ」のスヤリス姫は睡眠のためにムチャクチャなことばかりしてましたから。その点、この作品の姫様はリアクション芸は絶品ですけど大したことはしてないですからね。まぁその小者感が面白いところではあるんですが、「魔王城でおやすみ」の収拾つかない感じの捧腹絶倒の笑いとは違って、この作品はなんかちょっとクスッと笑える可笑しさというか、よく言えば上品なんですが大人しい笑いなんですよね。個人的にはこういうセンスは好きなんですけど、この大人しめの笑いで他のSランク作品と同列に並べるのは、ちょっと「魔王城でおやすみ」の時とは違うかなとは思います。まぁ「魔王城でおやすみ」だって最後に「憂国のモリアーティ1期」や「トニカクカワイイ1期」の上に行ったのは終盤のイイ話展開があったからであって、この作品だって終盤にイイ話が来たりしたらまだまだ上に行けるとは思います。

まぁ今回もしっかり面白かったわけで、まずは猫の拷問の話ですが、これはやはり猛獣使いのクロルの担当の拷問となります。スリスリが大好きな三毛猫の「ミケにゃん」と、膝の上で眠るのが大好きな白猫の「シロにゃん」という二匹の猫を牢獄に連れてきて、姫はシロにゃんを膝に乗せてミケにゃんと戯れてご満悦の様子。あまりの可愛さについつい王国の秘密を喋ってしまいそうになりエクスに制止される始末。相変わらずアホみたいな拷問ですが姫様はいつものようにあえなく陥落してしまうかのように見えます。

しかし姫様は自分は「可愛さ」だけで屈服したことはないと自信満々。確かにこれまでにもマオマオちゃんとかキュイちゃんの可愛さにすぐにメロメロになった姫様ですが、可愛いというだけで秘密を喋ったりはしていない。さっきは喋りそうになってたけど、とにかく自制はした。マオマオちゃんの時は拷問に失敗したマオマオちゃんを慰めるためであったし、キュイちゃんの時はクロルに共感したからであった。確かに「可愛さ」だけでは姫様は屈しない。美味しい食べ物には簡単に屈するけど「可愛さ」にはまだ耐性はあるのです。

しかしクロルの今回の拷問は単に「可愛さ」で姫様を屈服させようというものではなかった。よくよく考えたらクロルは拷問に関しては結構マジメで、ちゃんと計略を練って仕掛けてくる傾向がある。キュイちゃんの時もワザとキュイちゃんを虐めて見せて姫様の同情心を煽って秘密を吐かせようとしていた。まぁ自分がキュイちゃんに同情して失敗してたけど。とにかくクロルはちゃんと仕掛けをしてくる拷問官なのであり、アホな陽鬼とか陰鬼とは違うのです。

それで今回のクロルの仕掛けは最初に姫様の膝の上にシロにゃんを置いた時から始まっていた。シロにゃんを膝の上に置くためには姫様は必然的に正座をしなければならず、シロにゃんの体重が乗った太腿によって上から圧迫された姫様の両足は当然ながら時間が経つと痺れてくる。その痺れに耐えることが出来ず姫様は秘密を話すだろうというのがクロルの計略であった。

いや、シロにゃんを膝から下ろせばいいだけだろうとエクスはツッコミを入れるが、姫様は膝の上でスヤフヤ眠るシロにゃんを起こしてしまうのを恐れてそれが出来ないのだという。「可愛さ」だけでは屈しない姫様ではあったが、「可愛さ」によってノーダメージというわけではない。ここでしっかり「可愛さ」も効いてきているのです。クロルならばシロにゃんを起こさずに膝から下ろすことが出来るという。さすがは猛獣使いです。だから秘密を話せばシロにゃんを下ろしてやってもいいと言ってクロルは姫様に取引を持ち掛けてきます。

しかし姫様はあくまで秘密を話そうとはせず、足の痺れと戦う道を選んだ。戦場で傷だらけになって戦い抜いた自分ならば足の痺れぐらい耐えられるはずだと思った。耐えていればいずれはシロにゃんが目覚めて膝から下りて、そうなれば足を崩すことが出来るという希望を抱き、それまで耐え抜こうと決めた姫様であった。しかしクロルが連れてきた猫はシロにゃんだけではなかった。こうなることを見越してクロルが連れてきていたもう一匹のミケにゃんはスリスリが大好きな猫であり、姫様の痺れ切った足にスリスリしてきた。それによって姫様は屈してしまい秘密を話してしまったのであった。そして、その後はみんなでシロにゃんとミケにゃんと楽しく遊んだ。エクスもシロにゃんに刀身を爪で引っ搔いてもらって野太い喘ぎ声を発していて爆笑しました。

その晩、トーチャーがそうやって姫様から聞き出した秘密を魔王様に報告しようとしたが魔王様は早退したという。いや魔王が「早退」って何やねん。それで、なんで早退したのかというと、マオマオちゃんの運動会の家族のための場所取りに早朝から並ぶのだという。そんなしょうもない理由で早退するというのも笑えるが、そもそも魔王がわざわざ他の奴らに混じって並んでるのも可笑しい。もうツッコミどころしかない。

それを聞いてトーチャーも運動会に応援に行こうと考え、姫様も誘うことにした。もう普通に友達やん。当然ながら陽鬼も陰鬼も一緒に来ていて、姫様のTシャツのプリント文字が「HORYO」なのが笑える。魔王は運営席のテントで「まおう」と書かれた札の前に座ってるし、「魔王城遊園地音頭」とかいう謎曲も流れてるし、なんとものどかな雰囲気。ムービーカメラのレンズキャップを開き忘れて故障だと言ってキレてる魔王様が可愛すぎます。

それで姫様たちはマオマオちゃんの徒競走を応援したり、その他の子供たちの競技を応援して楽しい時間を過ごしますが、保護者参加競技が始まると、そこにマオマオちゃんと手を繋いで登場した者が魔王なのではないかと緊張します。姫様は魔王の顔を見たことがないようです。それで思わぬ機会で王国の宿敵である魔王と初めて対面することになると思ったのですが、出てきた魔王がマオマオちゃんと一緒に競技で戯れている姿を見て「たぶん代理の人だろう」と勘違いしてしまう。そもそも悪のカリスマである魔王が幼稚園の運動会なんかに来るはずがないと姫様もエクスも考える。まぁ普通はそうでしょうね。こんなお茶目な魔王がいるとは誰も思うまい。

一方、魔王様は姫様が運動会に来ているのを見て、運営のテントに戻ると「呑気なものだな」と一笑に付す。いや呑気なのはお前だ。そして魔王様は午後の部では姫様と自分の直接対決の場を設けてあるのだと不敵に笑う。そして昼休み、皆で楽しくお弁当を食べて、いよいよ午後の部が始まり、借り物競争となります。どうやらこれが魔王様の言ってた「姫様との直接対決の場」らしい。どういう趣向なのかというと、魔王様があらかじめマオマオちゃんに渡る指示書を「すきなひと」にしておき、マオマオちゃんが姫様よりも父親である自分を選ぶのを見せつけて姫様を悔しがらせるというものであった。なんというしょうもなさ。あまりに低レベルの思考で爆笑しました。

しかしマオマオちゃんが「すきなひと」に選んだのは母親のルルン王妃であり、すっかり呼ばれる気で立ち上がっていた魔王様が寂しそうに座り直し、早口で言い繕っていたのは爆笑モノでした。そしてエクスが借り物になったりミニバンが走ったりと、すっかりカオスな借り物競争はマオマオちゃんが勝利し、最後は姫様も参加して、みんなで魔王城幼稚園音頭を踊りました。微笑ましいシーンなんですが、もうなんかシュール過ぎて可笑しい。魔王様の閉会式の挨拶が普通にイイ話で、姫様とエクスは「代理の人もイイこと言うな」と感心する。また、最後にマオマオちゃんの母親の王妃に挨拶した姫様が「いつも拷問していただいております」と恐縮して頭を下げてるのが「なんじゃそりゃ」と思えて笑えた。撤収の時に陽鬼が姫様に「早くしないと置いてくよ」とか言ってるのも「捕虜に言うセリフじゃない」と思えて地味に笑えた。そして最後に姫様は満足して秘密を話したという。いや、なんでやねん。

 

 

SYNDUALITY Noir 第2クール

第19話を観ました。

今回はシエルとの別れと、ノワールとミステルの復活が描かれました。前回の話でシエルが「0型メイガスのボディが手に入る」と予告した上で自分の機能を停止した段階で大筋は予想はついていた流れでしたが、上手く感動的にまとめたと思います。そして今回のラストで復活したミステルからかつてのマスターであるパスカル博士からのメッセージが開示され、いよいよ物語全体の謎解きが次回から始まるようです。それはイストワールの正体や「新月の涙」の秘密に関わる話なのでしょう。ただ、後半パートに入ってすぐにその謎解きを始めずに、前回のシエルの悲劇的な死に至る話が挿入されるように物語の構成が最初から為されていたということは、今回もトキオやマハトやヴァイスハイトの場面で示唆された「メイガスとは何なのか」という命題が、その物語全体の謎にどうやら関わっているからみたいです。それを象徴するキャラとしてシエルは設定されていたのでしょう。

まず今回の冒頭はブルーシストの雨が激しく降る中をキャリアに乗ってアメイジア跡地に向かうエリーとアンジェの様子から始まります。前々回のエピソードでカナタがマリアに「これからアメイジア跡地に向かう」と連絡した時にエリーもマリアの研究所に居合わせたので、心配になって追いかけてきたようです。そうしてアメイジア跡地の近くに来たところで、デイジーオーガの信号を探知して、前回のラストシーンでイデアールの追手から逃げ切って落ち着いたところでシエルの死を知ったばかりのカタナとタイミング良く出会うことが出来たのでした。

しかしエリー達もいきなり動かなくなっているシエルと、その横で落ち込んでいるカナタの様子を見て、一体アメイジアで何が起こったのかワケが分からず困惑しました。ただカナタの落ち込みようがあまりに酷いので、とにかくとんでもないことが起きたのだということは分かりました。シエルは動かなくなっているので何か内部で重大なトラブルが起きているのだろうということは分かった。ただラボででもちゃんと調べてみないと詳細な状況は分からない。実際カナタにもシエルの状況がどれほど深刻なのかは分かっていませんでした。ただ、イデアールの追手から逃げている時、シエルと会話が出来なくなる直前のシエルの言葉がまるで永遠の別れを告げるような不吉なものであったのでカナタは最悪の状況を想定して落ち込んでしまっていた。

しかしエリーとアンジェにとっては、もともとカナタの後を必死で追いかけてきた理由は、シエルのことではなく、まずノワールの状況が心配だったからでした。それでエリーがノワールの状況を質問してくると、カナタはノワールはアルバのもとに預けていると答える。そう答えることでカナタはそういえばアルバのもとに行くことになっていたのだということをようやく思い出し、アルバのラボで調べればシエルを目覚めさせることが出来るかもしれないと呟く。だが、それでも無理かもしれないとも思えてきて立ち上がることが出来ない。エリーはとにかくノワールのもとに急ごうと思い、カナタにアルバのキャリアまでの道案内をするよう求めるが、カナタは相変わらず動こうとしないので業を煮やして「このままだとノワールもミステルまで失うことになるわよ」とカナタに喝を入れます。それを聞いてカナタもようやく思考回路が働き、ノワールとミステルにも残された時間は少ないという状況を思い出して、とにかくアルバのキャリアに急いで戻ることになりました。

そうして夕方にアルバのキャリアに到着して、すぐにシエルの状況を調べてもらったところ、アルバの見立てによると、シエルはマスターから遠隔操作で初期化命令を受けたのだろうと言う。アルバはシエルのマスターが誰なのかは知らないが、カナタはシエルの口からマスターはイデアールの総裁のヴァイスハイトだと聞いていた。ただ、どうしてヴァイスハイトがシエルを初期化しようとしたのかはカナタには理解出来なかった。初期化してしまうとそれまでの記憶が失われて全くの別人になってしまうので、マスターが変わる場合ならばともかく、それ以外の場合でメイガスを初期化するなど普通は無いことです。アルバにももちろんその理由は分からなかったが、ただ初期化の後に遠隔で再起動を試みた形跡があることから、初期化して記憶が真っ新になった状態のシエルとヴァイスハイトが改めて契約を結ぼうとしていたようだということは分かった。

しかし継続してシエルと契約するのにどうして初期化して記憶をリセットする必要があるのか、カナタ達にはますます不可解に思えた。また、再起動しようとしたのにシエルが目覚めていないのも不可解でした。それはどういうことなのかと問うと、アルバはシエル自身が再起動を拒絶したからだと答える。メイガスにそんなことが可能なのかと驚くカナタ達であったが、アルバは事前にカナタから聞いたアメイジア脱出時の出来事の中で、シエルが組んだプラグインをカナタがインストールしたという話を指摘し、そのプラグインが再起動を実行不能にするものだったのだろうと言う。カナタは何のプラグインなのか説明を受けず、シエルを信用して何も聞かずインストールしたが、それはおそらくそんな危険なものをカナタが知ればインストールしてくれないだろうとシエルが考えたからでしょう。再起動を拒むというのはメイガスにとって死を選ぶに等しい行為だからです。

つまりシエルは何かの事故で機能停止したのではなく、自殺したということになります。その事実にカナタはショックを受けてしまい、どうしてシエルがそんなバカなことをしたのか理由が分からず混乱します。あの時、シエルはカナタに助けてほしいと頼んできて、2人は一緒にイデアールを脱出してロックタウンに帰ろうと誓い合っていた。それなのにシエルは自殺する準備をしてから脱出していたのです。ならばどうしてシエルは一緒に逃げようなどと言ったのか、カナタにはシエルの考えていたことがよく分からなくなった。

しかしエリーにはシエルの自殺を選んだ気持ちが分かるような気がした。エリーはアルバのキャリアに到着するまでの間にカナタからイデアールで起きた出来事の大体のことは聞いたので、シエルが本当はイデアールのスパイであり、ずっと自分たちを騙して諜報活動を行っていたということは知っていた。そしてシエルのマスターであるヴァイスハイトがシエルにカナタを殺すよう命じていたことも聞いていた。それを踏まえた上でシエルが初期化からの再起動の流れを予測して、あらかじめ再起動を拒む細工をしていたという事実を照らして考えると、おそらくヴァイスハイトはシエルを初期化して全ての記憶を消した上で再契約してカナタを殺すよう命じるつもりだったのだろう。そして、それをシエルは予測していて、カナタを殺さないで済むように再起動を拒もうと準備していたのだろう。そうエリーは想像した。

ただ、それではカナタを殺さずに済む代わりにシエルは死んでしまうことになる。他人を救うために自分は死を選ぶなんて、そんなことをするものだろうかと疑うところだが、エリーはきっとシエルはカナタを愛していたのだろうと言う。イデアールのスパイとしてカナタに近づいただけだったはずなのに、何時しかカナタのことを愛するようになってしまったのだと。だからシエルはカナタを生かすためなら自分が死んでもいいと思えたのだろうとエリーは言う。カナタにはまだ伝えられていないが、エリーもカナタを愛しているから、シエルみたいにカナタのために実際に死を選ぶことが出来るかどうかは確信は持てないが、それでもシエルのそういう気持ちは理解出来るのです。

しかし、カナタはいきなりシエルが自分を愛していたなどと言われてもすぐには呑み込めず混乱しますが、ただエリーの言うように親しい友人であるシエルが自分を殺さずに済むように自殺した可能性は高いと思えた。それは間違った判断だったと思えたが、シエルをそうした間違った決意をするまでに追い込んでしまったのは自分だったとカナタは自分を責めた。確かにカナタはシエルに銃口を突きつけられた時に「一緒に逃げよう」と誘った。その後シエルが「助けて」と言ったので、カナタは自分の誘いにシエルが乗ったのだというふうに解釈した。つまり自分がシエルと一緒に逃げることを望んだせいで、ヴァイスハイトを怒らせて初期化から再起動によって自分を殺すようシエルに改めて命じてくる流れを作ってしまい、それによってシエルが追い詰められて自殺を選ぶことになったのだと思い、カナタは自分を責めたのでした。自分が一緒に逃げようなどと言わず、単にシエルに見逃してもらって1人で逃げればよかったとカナタは後悔した。ただ、もし自分を見逃したシエルがイデアールに残ればシエルの身に危険が迫るのではないかと心配であったのも確かで、だから一緒に逃げる判断はあの時は間違いだとは思わなかったのですが、結果的にはそれは最悪の事態を招いてしまったのだとカナタは反省した。

ただ、過ぎたことを悔やんでばかりいても仕方ない。とにかくシエルを目覚めさせるためにアルバに診てもらっているわけで、カナタはアルバにシエルを目覚めさせてほしいと頼みますが、アルバは「無理だ」と厳しく答える。「死んだものはもう帰ってこない」と言うアルバはどうも急に機嫌が悪くなっている様子で、シエルが勝手に自殺したことや、シエルの記憶が何度も失われていることに対して何か思うところがあるようで、どうやらアルバはメイガスの記憶に関する研究をやっていることも含めて、何か過去に辛いことがあったようです。ただソシャゲの方の主人公であるアルバの過去についてはこのアニメ版の方ではこれ以上深くは触れないでしょうから置いておきます。

とにかくアルバはちょっとぶっきらぼうになりながら、シエルを生き返らせるというカナタの願いは叶えられないが、カナタのもう1つの願いならば叶えることは出来ると言う。それは、シエルのボディをノワールの受け皿にすることによって、ノワールとミステルの両方を助けたいというカナタの願いは叶えることが出来るという意味であった。アルバにはその技術があるが、0型メイガズの素体が無いのでタイムリミット内にノワールとミステルを救うことは絶望的であった。だが、こうして機能停止したシエルのボディというれっきとした0型メイガスの素体が準備出来た以上、ノワールとミステルの両方を救える可能性が出てきたのです。つまりカナタはちゃんと0型メイガスの素体を持ち帰ってくることが出来たわけです。

しかしカナタはそんなことを望んでいたわけではない。これではまるでカナタがシエルの死を利用しようとしているようで、カナタはアルバの言葉に嫌悪感が湧き上がってきた。しかしアルバは、これは今の状況では合理的かつベストな判断だと言う。決定権はカナタにあるが、ノワールとミステルが共に消えてしまうか、どちらかが消えてしまうまでに残された時間はもうあまり無い。おそらく夜明けまではもたないだろうとアルバは言います。

その頃、アメイジア跡地にあるイデアール本部ではトキオとマハトとムートンとシュネーがバーに居合わせてシエルの冥福を祈るかのようにグラスを掲げていました。思えば、この4人に更にヴァイスハイトとシエルを含めた6人というのはアメイジア崩壊後のイデアールにおいて共に行動していた同志のようなものです。ここでトキオのセリフから、やはり彼らがアメイジア崩壊後に所属していた組織が「イデアール」そのものであることがハッキリします。少なくともトキオが自分のことを「元イデアールの一員」と言っているところを見る限り、少なくとも10年前にトキオはこの地から脱走した際には「イデアールの所属」であったのは間違いない。

トキオはイデアールを脱走して成り行きで地上の人間たちの味方をしてたりしたけど自分はやっぱりイデアールの使命に目覚めたとか適当なことを言ってますけど、まぁ絶対本心ではないでしょう。マハトも全くトキオの言葉は信用はしていないようですが、ただトキオがイデアールの使命について「アメイジア復興による地上支配」と言ってるのを聞いてマハトは「支配ではなく保護だ」と訂正を入れます。力無き民のために剣をとりエンダーズの脅威を取り除き再び地上を人間の手に取り戻すこと。それがマハトの大義であり、決して民を支配しようなどと考えているわけではないというのがマハトの考えです。当然イデアールではハマハト同様に誰も「支配」などではなく「保護」だと言う。そんなことは分かった上でトキオはあえて悪意的に「支配」という言葉を使っているのです。それはおそらくトキオから見てイデアールにおいては「保護」などは建前に過ぎず、真の目的は「支配」の方なのだろうと見ているからなのでしょう。ただトキオは少なくともマハトについては、本気で「支配」ではなく「保護」を大義としているのだろうとも思っているようです。

それに関連しているのかどうか分かりませんが、トキオはマハトに「お前にとってのメイガスとは何だ?」と質問する。それに対してマハトは「メイガスとは人の良き隣人であり、かけがえのない友」「我にとっては翼であり盾」と答える。それを聞いてトキオは変わってなくてホッとしたとか言って去っていきますが、これはやはりトキオにとっては良い答えだったのでしょう。前段の「良き隣人であり、かけがえのない友」というのはメイガスの一般的な定義であり、「翼であり盾」というのはシュネーのことを指しているのでしょうけど、それがどうトキオにとってホッとする要素なのかは分からない。そもそも「支配」と「保護」の話からどうして急に「メイガスとは何だ?」という質問に繋がるのかもよく分からない。

ただ前回、ヴァイスハイトが地上を再び人類が支配するようになることと、メイガス無き世界を作ることがイデアールの共通の目的であるようなことを言っていたことと関係があるのでしょう。それはやはりヴァイスハイトやイデアールの目的は他者の「保護」などではなく、あくまで独善的な「支配」であるということなのでしょう。今のイデアールは、弱き民のこともメイガスのことも決して「良き隣人」や「かけがえのない友」だとは見ていない。そのようにトキオは感じており、マハトのことを「変わってなくてホッとした」と言っているということは、マハトだけは昔のイデアールの理想を変わらず持っているということであり、一方でヴァイスハイトはすっかり変わってしまったということをトキオは言いたいのでしょう。

ただ、他人と素直に話すことが出来ないのが自分の欠点だというトキオは結局マハトを怒らせてしまい後で反省し、ムートンにはカナタに昔話をするという約束も未だ果たしていないことを指摘されてしまう。このカナタにする昔話というのがずっと謎のままなんですが、それについてトキオがそろそろカナタにその話をして一発殴られる覚悟をしようとか言ってるので、どうやらトキオはカナタの過去に関わることで何かカナタに恨まれるようなことをやっているみたいです。それはおそらくトキオがイデアールに居た時のことではないかと思われ、もしかしたらトキオがイデアールを去ることになったことに何か関わりがあるのかもしれないですね。

この後、ヴァイスハイトが1人でシエルの過去の映像を見る場面が描かれます。どうやらメイガスの動向を監視し記録するシステムがあるみたいで、過去の映像だけでなく、前回描かれたシエルがデイジーオーガ内で最後の戦いの前にカナタと契約する場面まで映像として残っており、それを最後に映像は終わりました。言わばシエルの生涯の記録と言っていい。それを見終わるとヴァイスハイトは「君たちは時に僕の予測すらも超えていく」と言ってグラスに入った酒を床に注ぎ「メイガスは本当に素敵だ」と微笑む。

相変らず何を考えているのかよく分からず、少なくとも善人には見えないヴァイスハイトですが、酒を床に注いだ行為は、バーでトキオたちはシエルの冥福を祈ってグラスを掲げていたのと通じるものはあり、ヴァイスハイトなりにシエルの冥福を祈っていたようにも見える。そもそもバーの場面で最初にシュネーがマハトに「鍵奪還作戦の中止が決定した」と報告しており、それはつまりアルバのキャリアを襲撃してノワールを奪う作戦のことです。アルバのキャリアの位置もイデアールは把握していたので、カナタを取り逃がして、カナタがシエルを失ってデイジーオーガを動かせない状態ならば今こそアルバのキャリアを急襲する好機であるはずです。イデアールの最優先の目的はノワールを奪うことなのですから躊躇する理由は無い。だが、その作戦がこのタイミングで中止されたことは合理的な判断とは思えない。マハトが知らなかったということはヴァイスハイトの決定なのでしょうけど、ヴァイスハイトのこの判断は合理的判断とはいえない。つまり、ヴァイスハイトなりにシエルが死んだことはショックだったのでしょう。

それは単に「悲しい」ということなのかもしれない。歪んだ形ではあったが、何度も再起動してシエルを使い続けたというのは何らかの愛情はあったのではないかと思える。ヴァイスハイトも今回もまた再起動するつもりであったので、まさかシエルが死ぬとは思っていなかったのでしょう。だから純粋にシエルを喪失したことがショックだったようにも見える。ただ、そうした予想外の事態そのものがヴァイスハイトにとっては大きなことでもあるようです。そんなふうにメイガスが人間の予想を超えた行動をすること自体がヴァイスハイトにとっては脅威なのかもしれない。前回ヴァイスハイトがトキオに語った「メイガス脅威論」に照らして見ればそういう解釈になる。だが、ここでヴァイスハイトは「メイガスは本当に素敵だ」と言っており、どうも彼の本心がよく分からない。単に皮肉で言っているようにも聞こえるし、本音であるようにも聞こえる。とにかく前回シュネーも「メイガスも人間も信じられない寂しい人」と評していたように、ヴァイスハイトという人間は一筋縄ではいかないようです。

そうして夜中になり、まだカナタはデイジーオーガのコクピットに籠って考え込んでいた。ノワールとミステルを救うためにシエルのボディを使うかどうか夜明けまでに決断しなければならない。実際、タイムリミットが夜明けまでに迫った状況では、他の0型メイガスの素体を手に入れるのはもう不可能であり、ノワールとミステルを救うためにはシエルのボディを使うしか選択肢は無かった。どうしてもシエルのボディを使うのが嫌ならばノワールとミステルのどちらかは失うことになる。既にシエルは死んでしまったのだから、シエルのボディを使えば犠牲者はシエル1人で済む。しかしシエルのボディを使わなければ犠牲者はもう1人増えることになり、シエルが帰ってくるわけでもない。だから確かにシエルのボディを使う方が合理的です。

ただカナタにとってはそんな合理的に割り切れる話ではなかった。カナタは自分が一緒に逃げようと誘ったせいでシエルが死んだのだと思っており、こういう状況になると、もしかしたら自分がシエルを一緒に逃げようと誘った時、自分が心の奥底で「シエルのボディをノワールを救うために使えるかもしれない」と嫌らしい目で見ていたのではないかと疑わしく思えてきてしまう。決してそんなことはないのだが、カナタは自分のせいでシエルが死んだと思っているので、そこまで自分を卑しいもののように見てしまうのです。

そんな妄想に呑み込まれそうになってカナタは慌てて否定し、自分を正当化するために「そもそもシエルだって自分をずっと騙していたじゃないか」と考える。そうして、カナタはこれまでシエルが自分についてきた嘘を1つ1つ思い出していくのだが、そうして思い出されるシエルの言葉の多くは、やはり嘘だとは思えない。「素敵なマスターと巡り合うのが私の夢」と言っていたのも、ヴァイスハイトに何度も記憶を消されて酷い扱いを受けていた悲しみから出た本音のように思えた。「歌うと嫌なことだって忘れられる」と言っていたのもスパイ活動で苦悩していたからこそ零れた本音のように思えた。「もっとたくさんの人に私の唄を届けたい」という夢だって、別にそんな嘘をつく必要は無く、実際にシエルの唄は多くの人の心に届いていたのだから、そこに嘘は無かったのだと思えた。

そうしてカナタはコクピットに置いていたノワールのカメラを手に取って、記録していた画像を見ていく。そこにはノワールが日常の中で撮りまくっていたシエルの姿をたくさんあった。それらの画像の中でカナタやノワール達と戯れるシエルの楽しそうな顔を見ていると、やはりそこに嘘など無いと思えた。本当に楽しかったとカナタは思った。シエルはいつも心から楽しそうにしており、いつも本当の気持ちを喋っていた。確かに隠し事はあったし、裏で情報を漏らしたりはしていたが、シエルが自分に向けて言った言葉に嘘は一度だって無かったのだとカナタは気付いた。

その上でカナタはあの最後の戦いの前にシエルが言っていた「笑顔で帰りましょうね」という言葉も嘘ではなかったのだと思った。あの時点でシエルはもう自殺する決意をしていたはずであり、だから「笑顔で帰る」というのはカナタ1人が笑顔で帰るということを意味していた。つまりシエルは最初からカナタを無事に逃がすために全力で戦い、そして最期には死のうと決意していたことになる。カナタが誘ったから死ぬ羽目になったのではないのです。カナタが無事に逃げるためには自分のメイガススキルが不可欠だと判断して自主的にシエルはカナタと一緒に逃げて、それが自殺という結末に至ることも承知していたのです。そして、それは全てカナタに「笑顔で帰ってもらう」ためであった。それがエリーが言っていたようにシエルから自分に向けられた愛だったのだと悟ったカナタはコクピットで号泣した後、シエルのその愛に自分は応えなければならないと決意した。ちゃんと自分がシエルが最期に望んだ笑顔で帰るためには、もう決してノワールもミステルも誰1人失うわけにはいかないのだとカナタは決断したのでした。そして「ありがとう、シエル」とシエルに別れを告げ、カナタはコクピットを出て、自分に喝を入れてくれたエリーに礼を言うとアルバのもとに行き、シエルのボディを使ってノワールを救ってほしいと申し出る。

そうして既にミステル化しているように見えるノワールのボディに入っているノワールのデータをシエルのボディに移植する作業が開始されるが、どういうわけかノワールのデータがシエルのボディに向けて動こうとしないのでアルバも困惑します。ここでミステルな内部でノワールとミステルが一緒にいる場面となりますが、ここでなんと2人のデータのせめぎ合いの結果、壊れかけているのはミステルの方だと判明します。そうなるとこのままいけばノワールの方が残ることになるが、ノワールは自分のせいでミステルが壊れかけていることに罪悪感を覚えて立ち尽くしていた。カナタの夢のためにミステルが不可欠であったことはノワールにも分かっていた。しかし自分が「消えたくない」と思ってしまったせいでミステルが壊れてしまった。またカナタに迷惑をかけてしまった。こんな自分が生き残っても仕方ないと思い、ノワールは心を閉ざしてしまっていたのです。

しかし、そんなミステル内部の心象風景の中に突然シエルが現れて、無言でノワールに山の向こうを指さして、行くように促す。ノワールはそこに行けばカナタや皆が待っているのだと解釈し、とても顔向け出来ないと思いつつも、長らく壊れたミステルに話しかけても返事も返ってこない空間で遂には心を閉ざしてしまった孤独感に疲れ果てていて、やはり自分はカナタ達に会いたいという一心で駆けだしていく。そのノワールの後ろ姿を満足げに見送って「カナタを頼むわね、ノワール」とシエルは声をかける。そして「貴方たちと過ごした日々、楽しかった」という言葉を残して消えていったのでした。

そうしてノワールのデータはシエルのボディに移植され、なんとそれによってシエルのボディがノワールに変わっていった。同時にミステルの方も目を覚ました。ノワールのデータが無くなった結果、ミステルのデータも修復されて元に戻ったようです。そして、更にこれまで修復されていなかった記憶も全て戻ったようで、ミステルはノワールがシエルのボディを自分のボディに変化させた不思議な現象も含めて、ノワールの謎についても何やら全て思い出したようです。それによるとノワールはミステルのセーフモードではなかったようですが、それについてミステルが全部語る前にノワールが目を覚ましたり、更にミステルのボディからパスカル博士の映像が飛び出してきたりして、何が何やら分からない状態で次回に続きます。まぁ色々と考察する余地はあるんですけど、どうせ来週に全部説明されるんでしょうし、次回を待ちたいと思います。

 

 

道産子ギャルはなまらめんこい

第7話を観ました。

今回は翼が試験勉強を頑張る話でした。前回、試験で学年10番以内に入らなければ東京に帰すと祖母に言い渡されてしまった翼は気合を入れて試験勉強をしなければならなくなってしまいます。それにしても翼の家庭環境はちょっと不可解です。祖母と2人暮らしなんですが、もともとは祖母も東京で住んでいたようですが、翼と祖母の2人で東京から北海道に引っ越してきたみたいですね。しかし「東京に帰す」と言っているところを見ると、東京にも住む場所があるっぽい。祖母が一緒に帰るとは言ってないところを見ると、東京には翼の両親が住んでいるんでしょうか。ならばどうして翼は両親と離れて祖母と2人で北海道に引っ越してきたのか?そして東京に帰りたがっていないのは何故なのか?北海道が気に入ったというのもあるんでしょうけど、どうも家庭環境が複雑なのかもしれないですね。

まぁそういうわけで北海道に残るために試験を頑張らねばいけなくなった翼ですが、隣に住む怜奈先輩が歴史好きで和服好きなので翼の和服姿を見てクラッときてしまい寄りかかったのが原因で祖母に叱られたので、それで責任を感じて試験勉強を教えてくれると言います。怜奈先輩が学年1位だと聞いて翼は怜奈先輩に教えてもらうことにしました。それで図書委員の怜奈先輩の権限で内緒で図書準備室で静かな環境で2人っきりで勉強が出来ることになりました。

美波は翼が怜奈先輩と2人で居るのを見て、憧れの怜奈先輩と翼が仲良くなって喜ぶが内心ではちょっとモヤモヤする。一方、翼は祖母に叱られて試験を頑張る羽目になった事情を話すと美波が責任を感じてしまうのではないかと心配して、怜奈先輩と2人で勉強することは内緒にします。そうして試験勉強は順調に進みますが、怜奈は翼が試験を頑張る理由が「大事な人達と一緒に過ごすため」だと聞くと、もし翼が学年10番以内に入れば手伝ったご褒美に翼とデートしたいと言い出す。

そうして試験を無事に終えて翼は学年3位となり東京に帰されるのは回避しました。一方で美波はモヤモヤしていて普段よりいっそう試験勉強に身が入らず、酷い成績となりました。ちなみに怜奈先輩は学年1位をキープしていました。それで約束通りに翼は怜奈先輩と和服デートをすることになった。怜奈先輩は和服デートをするのが子供の頃からの夢だったらしく、翼に試験勉強を教えた見返りに夢を叶えたというわけであり、翼のことが好きだというわけではないと今のところは思える。少なくとも翼はそう解釈しています。でも怜奈先輩は「四季くんとおでかけ出来るならどこでも嬉しい」とか思わせぶりなことも言う。一方、翼と怜奈が一緒に歩いているのを偶然目撃した美波母から「翼が女の子とデートしてるよ」と連絡を受けた美波は驚きます。今回はここまでであり、試験編としては山場ではありましたが、別に淡々と勉強してるだけでしたし、ラブコメとしては次回が山場っぽいですね。だから今回は繋ぎのエピソードであったと思います。