2023秋アニメ 12月3日視聴分 | アニメ視聴日記

アニメ視聴日記

日々視聴しているアニメについてあれこれ

2023年秋アニメのうち、12月2日深夜に録画して12月3日に視聴した作品は以下の3タイトルでした。

なお「ひきこまり吸血姫の悶々」第9話と「豚のレバーは加熱しろ」第9話は放送延期であり来週放送となります。

 

 

SPY×FAMILY Season2

第34話を観ました。

今回は豪華客船編のクライマックスが描かれました。ヨルと殺し屋軍団との戦いも決着して、一方で船内に爆弾が仕掛けられており、その解除にロイドが奔走することになり、それぞれに対してアーニャの秘かなサポートもあり、フォージャー家の3人が大活躍で大満足の内容でした。そうして今回でヨルの任務も完了し、豪華客船編は次回まだ無人島でのバカンスが描かれて、それで終わるようですね。結局1クールの半分ほどは豪華客船編ということになりそうです。確かに豪華客船編は良かったんですけど、毎回が今回や前回のように満点の出来というわけでもなかったし、豪華客船編以外のエピソードはイマイチのものが多めであったし、やっぱり現状のこの2期のトータルの評価はどうしてもやや渋いものになりますね。ここから順位を上げるには「フリーレン」「星屑テレパス」「薬屋」「SHY」あたりのA+ランク上位陣の牙城を突き崩して行かねばならないわけで、豪華客船編の前の出遅れ分がある点を考慮するとなかなか厳しいですね。豪華客船編が終わった後の残り2話半ほどの出来が良ければまだ希望は持てるんですけどね。

今回まずはヨルが前回苦戦した居合の達人風の殺し屋と戦う場面から始まり、一方で花火大会を観終わった後のロイドは船内にいる保安局員同士の会話を読唇術で読み取って船内の爆弾が仕掛けられていることを知る。それで最悪の場合を考えて対処しようとするのだがアーニャを置いていくことが出来ないと焦る。しかしアーニャはロイドの思考を読んで、託児所で遊ぶと自ら申し出て、それでロイドは好都合だと思ってアーニャを託児所に預けて1人で爆弾への対処に動く。

アーニャの方はそうやってロイドが爆弾への対処に動きやすくしてやると同時に、そうして自分も1人になることでヨルのサポートが出来ると考えていたのであり、託児所を抜け出して船内でヨルを探します。そして殺し屋の仲間で爆弾を仕掛けて逃げようとしているヤツの思考を読んで、ヨルが船の前部の方で戦っていると知り、そっちの方に行くと通路にヨルの武器が刺さっているのを発見し、その上の甲板でヨルが戦っていると気付いたアーニャが武器を上の甲板に投げる。それは途中で落ちてヨルには届かなったが、オルカを狙う殺し屋の邪魔をする役目をたまたま果たし、その後ヨルが拾って、ヨルは殺し屋を倒して勝利した。

一方、ロイドは船員に変装して爆弾の解除をしたが、まだ他にも爆弾は多数仕掛けられていると推測し、保安局員や船員たちに探してもらい、彼らに爆弾の解除方法を教えて解除していってもらう。そして殺し屋の生き残りが時計に爆弾が仕掛けられていることに気付き、その思考を読んだアーニャが船員に不審者が時計を触っていたと伝えて、その解除にあたったロイドはもう解除が間に合わないと判断して時計を海に投げ捨てたところ、爆弾を仕掛けてから逃げようとしていた殺し屋たちを吹っ飛ばすことになりました。

そしてヨルは無事にオルカたちを逃亡させる任務を完了。オルカはヨルをハグして感謝の言葉を伝えて、手が血だらけなので汚れると言って遠慮するヨルに「その手がこの子の未来を繋いでくれたのよ」と言って我が子をヨルに抱いてもらう。そうしてオルカ達は去っていき、部長は任務完遂の褒美としてヨルに休暇を与えてロイド達と無人島でバカンスを楽しむようにと粋な計らいをしてくれます。そして次回は無人島でのフォージャー家のバカンスが描かれそうですが、正体バレの危機なんかもあるのかもしれませんね。

 

 

ティアムーン帝国物語 ~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~

第9話を観ました。

今回はミーアがギロチン回避を成し遂げた後のお話となり、これまでとちょっと趣が変わってきます。前回まではミーアがひたすらギロチンの運命を回避するために手を打つというお話であり、ある意味ではミーアにとっては想定内のストーリーだったわけですが、今回以降はミーアにとって全く想定外の展開となっていくわけです。前回までもミーアは決して的確に状況を動かせていたわけではなく周囲が勝手にミーアに都合の良い行動を取ってくれたおかげで切り抜けてくることが出来たんですけど、それでもミーアは未来日記の存在によって常に目指すべきゴールは明確な状態だったといえます。ところがギロチン回避によって未来日記が無くなってしまい、ミーアは自分に行動の指針を与えてくれる存在を失ってしまった。ここから先は全部自分で考えて決めていかなければいけないのです。

つまり転生後というアドバンテージを失ってしまい、転生前のギロチン処刑された前の時間軸の「失敗したミーア」と同じ条件に立たされてしまったということになります。前の時間軸ではミーアが17歳の時に革命が起きていますから、現時点からまだ5年間も革命勃発まで猶予があります。ここから先のミーアが未来日記という指針を失って愚行を繰り返して、第1話の転生後から第8話までかけて積み上げた改革の成果を台無しにして再び革命の原因を作ってしまうには十分すぎる歳月といえます。そして、おそらくこうして一旦ギロチンが回避されてしまった以上、もし5年後にやはり革命が起きる運命になったとしても、もう未来のミーアはそれを未来日記という形で現在のミーアには教えてくれないでしょう。だから現実的に考えると、むしろこの未来日記を失った後の5年間の方が大事なのであり、ここからミーアがしっかりしなければいけない。前の時間軸のミーアのまま、思慮の浅いままであってはいけないのです。

そして、もちろん現在のミーアはそのように良い方向に成長しているはずです。何故なら前の時間軸で革命勃発後の苦難の日々を過ごし、投獄されて処刑されるまでの3年間の幽閉生活でも後悔と反省、そして大切な人への感謝の気持ちを学び、転生後の運命を変えるための必死の努力と、その結果生まれた新たな人間関係がミーアを成長させているのは間違いないからです。また、ミーアの周囲の人々も前の時間軸の時とは違って、そんなミーアと接して様々なことを学んで成長しているはずです。この第9話以降のお話は、そうしたミーアとその友人たちの成長の真価を描くお話となるのでしょう。

そして、それこそがこの物語の真の主題なのだと思います。第1話からずっと描かれてきたのは「ギロチン回避」という「マイナスをゼロに戻す物語」であるかのように見えて、実はそれによって「新たなプラス」を生み出していく物語でした。ミーアや周囲の友人たちは単に「革命が勃発しない未来」を手に入れただけではなく、もっと素晴らしい未来を手にするために必要な多くのものを得ていたはずなのです。ここから先、第9話から後のお話は、それが何なのかが問われる展開となっていくのでしょう。それゆえ、この先はこの作品の主題がストレートに描かれる部分なのだと思われます。そうした中で今回に関してはそこに至るまでの溜め回のようなものだったと思います。この作品はこれまで毎回キメの場面があって、溜め回というのは珍しいのですけど、それでも今回もしっかりミーア劇場は展開されており、しっかり楽しかったです。

まず冒頭は長期休暇が終わってセントノエル学園に戻ってきたミーアの清々しい様子から始まります。前回のラストで未来日記が消えて、どうやらギロチンの運命が回避されたようだと悟ったミーアはこれで安心して暮らしていけると思い意気揚々でした。もともと前の時間軸ではセントノエル学園には忌々しい思い出しか無く、今回の時間軸ではこの学園には将来の革命時に国外逃亡するためのコネ作りのためだけに入学したようなものであった。だが革命が起きずギロチン処刑も無いと決まったということは、これまでにやってきたことが功を奏したということであり、セントノエル学園での人脈作りも正解だったということになる。ならば、あとは今までの人間関係を円満に維持するだけで良い。もう新たにアクセクと人脈作りに励む必要も無くなったと思うだけでミーアは肩の荷が下りたように感じられた。それに、これまでの努力の結果なのか、前の時間軸の時よりは遥かに学園内でのミーアの居心地も良くなっていた。だからミーアは前の時間軸も含めて、初めてと言っていいくらい楽しい気持ちでセントノエル学園に戻ってきたのでした。

そうして読み友のクロエと談笑していたところに、今回の時間軸ではなんと友達になることが出来た生徒会長のラフィーナが声をかけてきてクロエも一緒にお茶をしようと誘ってくれたのでミーアは快諾します。だが、そのお茶会の席でちょっとミーアは動揺することになった。ミーアが自国のセイレントの森に新たに作るプリンセスタウンに学校を新設するという話を早くもラフィーナが聞きつけて話題にしてきたからだった。

前回ミーアは、前の時間軸でセントノエル学園に留学した後に天才農学者としての才能を開花させて聖ヴェールガ公国の研究機関で新種の小麦を開発して姉のティオーナを助けて革命軍の勝利に貢献したセロ・ルドルフォンの存在を思い出し、セロもろとも将来彼が開発する新種の小麦を横取りするためにわざわざ新設のプリンセスタウンに学校を作ることを決めて、ルドルフォン伯爵を丸め込んでセロを入学させるように手配していました。その際に「セントノエル学園みたいな学校を我が国にも作りたい」などと大きな口を叩いていたので、ラフィーナが気を悪くしているのではないかと怖くなったのでした。

もともとセロはラフィーナの国である聖ヴェールガ公国で研究するはずだった学者なのであり、違う時間軸とはいえ、未来知識を使ってそれを横取りしたことにミーアは多少の罪悪感は覚えていました。その上に「セントノエル学園みたいな学校を作りたい」などと生意気なことを言いながら、その実態は庶民や少数民族の子弟を寄せ集めた地味なものでした。それについてはルドルフォン伯やセロ本人はむしろ喜んでくれているので結果オーライだったのですが、貴族や王族の子弟を集めたエリート養成機関としてのセントノエル学園に誇りを持っているラフィーナにとっては庶民を集めた学校の話でセントノエルを引き合いに出されて気分を悪くしたのではないかとミーアは危惧していた。

それでミーアはお茶会の席でラフィーナがプリンセスタウンの新設校の話題を出して、厳しい視線をミーアに向けながら「民衆にも門戸を開くとは思い切ったことをしましたね」と言ったので、やはりラフィーナが気分を害しているのだろうと思い、このままではせっかく築いたセントノエルでの人間関係が崩壊して再びギロチン復活なんていうことになりかねないと焦り、頭の整理がつかないまま「別に驚くほどのことではないのではないでしょうか?才能は家柄とは関係ありませんし」と適当なことをしとろもどろに口にして、とにかく話を早く終わらせようとした。するとラフィーナが手にしていたカップを勢いよく皿の上に置いて大きな音を立てたので、ミーアはマズいことを言ってしまったと思ってビビる。だがラフィーナはミーアの言葉に大いに納得した様子で「まさしくその通りですね!さすがミーア様、私の自慢のお友達だわ」と笑顔で応える。

よくよく考えれば、そもそもラフィーナがミーアとお友達になりたいなどと言い出したのは例のティオーナ監禁事件の後始末を巡ってのミーアの裁量に感服(勘違い)したからでした。あの時、ラフィーナは大貴族の子弟の学園内での横暴を問題視しており、もともと家柄を鼻にかけて身分の低い者を見下す風潮を改善して学園を身分差別の無いものへと改革したいと思っていた。しかし、それでもさすがに民衆にまで門戸を開くことには躊躇していたのだが、それをミーアが自分の新設する学校で大胆にやってのけたことに驚いていた。それで一体どういうビジョンを持っているのだろうかと思って質問してみたところ、あくまでミーアが「才能の発掘」を重視していることを知り、家柄の差にこだわってトラブルを恐れて一歩を踏み出せていなかった自分との根本的な違いにラフィーナは感銘を受けたのでした。

ただ、ラフィーナはミーアが「セントノエル学園みたいな学校を作りたい」と言っていたという噂を聞いて、勝手に「ティアムーン帝国や他の王国の大貴族の子弟の通う学校を作ろうとしている」と思い込んでおり、そこに民衆の子弟も迎え入れようとしているのだと勘違いしていた。だが実際はミーアの作る学校はほとんど民衆や少数民族の子弟が通い、そこにセロのような地方貴族の子弟も少し通うというようなものだった。だからラフィーナが想像するようなセントノエル学園の発展形のようなものとは違うんですが、そこは安定のミーア病患者特有の症状で、勝手にミーアの都合の良いように勘違いしてくれたのでした。そしてミーアはワケが分からないながらも、やはりギロチンの運命も回避された自分は全てが順調なのだと喜びます。

ところがそこにアンヌが慌てた様子で駆け込んできて「革命が起こりました!」と報告してきたのでミーアは驚愕する。これまでの努力が実って革命は回避されたはず。それなのにどうして革命が起こったのか?しかも前の時間軸よりも5年も早く起きるなんて信じられない。このままでは今すぐギロチン処刑なのかと思いミーアは愕然として言葉を失う。だがアンヌは革命が起きたのはティアムーン帝国ではないのだと意外なことを言う。革命が起きたのはレムノ王国だと言うのです。

レムノ王国とはアベル王子の国です。そういえば長期休暇が終わってセントノエル学園に戻ってきてからまだミーアはアベル王子の顔は見ていなかった。更によくよく考えれば、長期休暇中も最初はシャンプー(馬用)を贈ってくれたりしていたアベル王子も途中からミーアに手紙を贈ってくれなくなっていた。大して気にしていなかったミーアであったが、長期休暇でレムノ王国に里帰りしていたアベル王子が革命騒ぎに巻き込まれて手紙を出すことも出来なくなっていたのかもしれないとも今となっては思えた。しかし突然レムノ王国で革命が起きるなど信じられないとミーアが思っていると、そこにシオン王子がキースウッドとティオーナを伴ってやってきた。やはりレムノ王国の革命の話をミーアに報せに来たようです。

それでシオン王子の話を聞くと、レムノ王国で革命が起こったのは事実であるようです。ただ厳密にはまだ革命の段階までには至っていない。民衆が革命を訴えて蜂起した段階だそうです。ミーアは何せ「革命」は前の時間軸での経験者ですから詳しい。この段階ではまだ一揆や暴動のようなものであり、まだ「革命」とはいえない。「革命」とは王権の打倒に繋がるような動きが起こってからのことを言うのであり、統治体制が崩壊するような動きが起きてからです。つまり統治階級である貴族勢力の内乱が起こった段階からが「革命」といえる。

前の時間軸でのティアムーン帝国の革命の際も、最初は飢饉や疫病で苦しんだ民衆の蜂起から始まり、その民衆たちの革命の必要性を訴える声に応えてルドルフォン家が帝国に反旗を翻して民衆の革命軍に合流し、それに呼応する地方貴族が相次ぎ、中央の大貴族でもそれに追随する者が現れて「革命」となり、最終的にサンクランド王国の軍事介入によって王権は打倒されて革命は成功した。そうした経緯を知っているミーアは、だから今の段階ではレムノ王国では「革命」にまでは至っていないと理解した。だがキースウッドがレムノ王国に放っているサンクランドの諜報機関の報告として言うには、レムノ王国では民衆の蜂起に加えて内乱の兆しもあるという。そして諜報機関は「民衆を弾圧から守るためにサンクランド王国の軍事介入が必要である」と本国に要請してきているのだという。これでは前の時間軸でのティアムーン帝国と全く同じ経過を辿ってしまいそうだと思い、ミーアはかなり不安になる。

しかし、このシオンとキースウッドの話はサンクランド王国の機密情報のはずです。それをどうしてシオンがこんな場で喋っているのかというと、シオンの言うには「この報せを受けてミーア姫にも知らせた方が良いと思った」とのことです。そこにはミーアがアベルのことを心配しているだろうという気遣いもあったのでしょうけど、別にこの情報にはアベルの安否について何も安心出来る要素は無いので、シオンの目的はそれではないと思われる。おそらく純粋にミーアの意見を聞きたいと思ったのでしょう。キースウッドの言うには「我々も内乱の兆しがあるという情報しかない」とのことで、シオンもキースウッドも情報不足でどうも状況がよく分からないで迷いがあるようです。

諜報機関は「内乱の兆しがあるから軍事介入すべき」と本国政府に言ってきているが、それはシオンの直属の部下が直接シオンに言ってきているわけではない。サンクランド王国にも色々な勢力があり、諜報機関の人間にも色々な考え方の者がいる。「他国への軍事介入」などという重大な決定を下すためにはこれだけの情報では躊躇があるのです。いや、本国ではもっと詳しい情報を得て軍事介入の決定をしようとしているのかもしれない。シオンは王位継承者ではあるが所詮はまだ子供扱いで、そうした重大な決定の蚊帳の外に置かれているのです。そうした動きを横目で見ながらシオンは「このままでいいのか」と迷っていたようで、それで「ティアムーン帝国の叡智」であるミーア姫に相談して意見を聞きたいと思ってやってきたようです。

そうしてミーアやラフィーナ、クロエも居る場でキースウッドが自分たちが把握している情報を明かします。それによるとレムノ王国の内乱が本当に起きようとしているのかどうかは不明ではあるが、もともとレムノ王国が政情不安を抱えているのは間違いない事実だとのことです。レムノ王国は軍事国家なのでもともと軍事費を捻出するために民衆に重税を課していたのですが、最近になって国王が更に税を引き上げようとしたために民衆が不満を訴えていて、宰相が国王に異を唱えて国王と民衆の間を取り持とうとしていたのだそうです。それはキースウッドも把握はしていた。ただ宰相は賢明で温和な人物であり、あくまで国王と民衆の調停をしていただけなので、だからいきなり内乱というのはどうも違和感があり、何か想定外なことがレムノ王国で起こったのではないかと思われたが、それがどうもよく分からないのです。

しかし、そうしたキースウッドの話を聞きながら、ミーアの頭の中は全く別の思考に支配されていた。それは「せっかく自国の革命の心配が無くなって全て丸く収まったはずなのに、どうしてこんなことになっているのか?」です。何故なら、そもそもミーアの知る前の時間軸ではレムノ王国でこの時期に革命や民衆の武装蜂起など起こっていなかったからです。確かにミーアの行動によって歴史は改変されてティアムーン帝国では革命は起きなくなった。だからその歴史改変の影響でレムノ王国の歴史に改変が生じたという考え方は成り立つが、しかしミーアがやったことによる影響でこの時点でレムノ王国で革命が起きるというのはあまりにも不自然です。ミーアのやったことは直接的にはレムノ王国には全く関係ないことばかりですし、仮に影響が生じるとしても何年も経ってからのはずだからです。

しかもなんでよりによってアベル王子の居るレムノ王国で革命が起きるのだろうかと口惜しく思うミーアでしたが、それで自分がいつの間にかアベル王子に特別な思い入れを持ってしまっていることを改めて意識した。そして、そんな自分を可笑しく思った。もともと自分がアベル王子に近づいたのは革命が起きた時に援軍を出してもらうためでした。学校で親しくしていたのも、手紙の遣り取りをしていたのも全てはそのためだったはずです。しかしティアムーン帝国では革命はもう起きないので援軍の必要など無いし、アベル王子がレムノ王国の革命で失脚するのであれば援軍を出してくれることもなくなる。ならばもう自分にとってはアベル王子は不必要ということになる。逆にレムノ王国の革命に首を突っ込んだりすれば、せっかくティアムーン帝国での革命で死ぬ運命を回避出来たというのに、今度はレムノ王国の革命に巻き込まれてギロチンなんて可能性もある。ここは「危うきには近づかないのが賢明」といえる。

そんな言葉を頭の中で繰り返しながら、ミーアの口は自然と「アベル王子」と呟いてしまう。そんなミーアの顔を後ろから覗き込んだアンヌは「ミーア様、行きたいんですか?」と問いかけてくる。それを聞いてミーアは不審に思って「はい?」と首を傾げる。自分は「関わらない方が賢明」と考えていたはずなのに、どうしてアンヌがそれと真逆のことを言うのだろうかと思っていると、アンヌは「だってミーア様、泣きそうな顔をしてます」と言う。

そう言われてミーアは初めて自分が泣きそうになっていることに気付き、そう自覚したことによって涙が止まらなくなり溢れだしてくるので、思わず顔を背けて「そんなこと」と言って、そんな自分の感情を押さえ込もうとする。これまで必死になってギロチンの運命を回避しようとしてきて、やっとその願いが叶ったばかりなのです。今余計なことをしたら、これまでの努力を無にすることになる。それはダメだと思い、これまでの努力の日々を必死に頭の中で思い出そうとする。しかし同時にアベル王子と過ごした楽しい日々も思い出されてしまう。それでミーアは自分は前の時間軸から転生してきた後、決してギロチン回避のためだけに生きてきたわけではないことに気付く。それよりも大切なことは確かにあったのだと考える。それでミーアは涙を拭って、意を決して立ち上がり「アベル王子のところに私は行きたい!」と言い切り、皆に向かって「どうか協力をお願い出来ないでしょうか?」と懇願する。

これを聞いて一同はあまりに意外なミーアの懇願に一瞬唖然とするが、ミーアとアベルの仲を考えればそれも止むを得ないことと思えた。シオンとキースウッドはミーアの意見を伺いたくてこの話をしたのだが、それはあまりにミーアに酷な話だったと反省し、こうしてミーアにお願いされてしまった以上、こんな話に巻き込んでしまった責任として、ミーアがレムノ王国に行く算段について真剣に検討するしかないと考えた。ただ現実的にはそれは簡単なことではないように思えた。公式訪問など出来る状況でないのは明白であり、秘密裏に動くことになる。また、こんな私的な用件で軍隊を動かすことも出来ない。そんなことをすればレムノの民衆と衝突してしまう可能性もある。するとクロエがフォークロード商会のキャラバン隊がレムノ王国に行く予定があるので、そこに商人のフリをして紛れ込むというアイディアを提案して、それが採用となる。その方法ならば怪しまれずに国境を超えられるし、商人のフリをしていれば民衆から敵意を向けられることもないからです。

だが、ここで「それなら俺も行こう」とシオンが言い出したのでキースウッドは驚いて「立場を考えてください」と止めようとします。いくら商人のフリをして行くといってもどういう状況になっているか分からない危険地帯に行くことには違いない。大国の王子がそんな気軽に行って良い場所ではないのです。しかしシオンは「立場を考えればこそだ」と言い返し「大国の姫君が学友の身を案じて危険地帯に赴かんとしているんだぞ!」とキースウッドを一喝する。大国の王子が行くべきでない危険地帯に、それでも大国の姫が学友のために危険を顧みずに行こうとしているのだ。その姫の学友である自分が大国の王子だからという理由でそれを見過ごして良い道理はない。むしろ大国の王子としての立場が無いではないか。大国の姫が行くというのなら、同行してその護衛に当たるのが大国の王子の立場というものだとシオンは主張している。

ただ、シオンの考えはそれだけではない。「立場を考えればこそだ」という言葉には別の意味も含まれているのを理解したからこそキースウッドもシオンの命令に従い同行する道を選んだのです。シオンはミーアがレムノ王国にこんな状況で行きたいと言い出したことによって自分もそうすべきだということに気付かされたのです。シオンはレムノ王国の実際の状況がどうなっているのか分からないまま本国の決定の蚊帳の外に置かれて、サンクランド王国の民衆を苦しめるかもしれない戦争に突き進もうとしている状況に対して何も出来ない自分の無力さを痛感し、所詮は自分には何も出来ないのだと諦めかけていた。だが、ミーアの勇気ある決断を見て、現地に行って自分の目で状況を見極めることが王位継承者という立場の自分は今この状況で本当にやるべきことだったのだと気付いたのです。それでシオンはミーアの護衛という名目でレムノ王国に自ら赴くことを決断し、その意思を理解してキースウッドもシオンとミーアの護衛のために同行することにした。そしてティオーナもミーアの護衛のために同行すると言い、4人でレムノ王国へ行くことになった。

当然アンヌもミーアに同行するつもりでいたのだが、さすがに危険すぎると思ってミーアはアンヌは連れて行けないと言い渡す。シオンとキースウッドとティオーナは剣の腕は立つがミーアは戦う力は全く無い。ただミーアは馬術クラブに入っていたので馬には乗れたのでイザという時は馬で4人で逃げることは出来る。しかしアンヌは馬に乗れないのでアンヌだけは逃げられない。そうなるとアンヌを置いていけないということで全員が逃げ遅れる可能性がある。だから馬に乗れるメンバーだけで行くのが安全策となるので、今回はどうしてもアンヌは連れて行くことは出来ない。

それで一緒に連れて行かないと言われてアンヌは落胆するが、ミーアは「私は必ず戻ってきます」と言い、アンヌに「貴方は残って自分の仕事をしっかりすること、いいですわね?」と言い聞かせて立ち去っていきます。残されたアンヌは自分が馬の乗れないばかりにミーアの足手まといとなってしまったことが情けなくて落ち込みます。だが、そんなアンヌに向かってその場に居合わせていたラフィーナは、かつてミーアが風呂場で初めて会った時に平民であるアンヌを自分の腹心だと言って紹介してきた時の話をして、ミーアにとってアンヌは特別な腹心なのだと伝える。そのアンヌをあえて旅に同行させず「自分の仕事をするように」とミーアが言ったことの意味をしっかり考えるようラフィーナは諭す。つまり、ミーアの真意はアンヌには此処に残ってアンヌにしか出来ないことをやってほしいということなのだとラフィーナは指摘する。それを聞いてアンヌは何かにハッと気づいて急いで部屋を出ていくのでした。

ただ、これは完全にラフィーナとアンヌの勘違いであり、ミーアは単にアンヌに留守番をしているようにという意味で「自分の仕事をしっかりすること」と言っただけであり、ミーアがラフィーナに初対面時にアンヌを「腹心」だと紹介したのも、単に前の時間軸で苦手な存在だったラフィーナが怖かったので仲間がいることをアピールするために過ぎなかった。だが、その勘違いの結果、アンヌが何か思いついてミーアも想定外の何らかの行動をしようとしているようですが、それが何なのかは現時点では謎です。次回以降にそれが何なのか明らかになり、何か物語の大きな転換点になるのかもしれません。

そうして学園からそのままクロエの手配でフォークロード商会のキャラバン隊に乗り込んでレムノ王国に向かうことになりましたが、道中あまり元気の無い様子のミーアを見てティオーナやキースウッドはアベルのことが心配で塞ぎこんでいるのだろうと心配したりするが、実際はミーアは馬車酔いで元気が無かった。そうしているとレムノ王国に入る国境の手前でいきなり盗賊の一団の襲撃を受けてしまう。ただ、この全員が同じ覆面の盗賊たちはどうも奇妙で、かなりの手練れのようで素人の盗賊集団には見えず、規律正しい軍隊のような動きをした。それに商品を狙う素振りは見せずにシオンやミーアを狙うような動きをした。

そうしてシオン達はミーアを守りながら戦い、予想外に強い相手に追い詰められそうになったが、馬車が揺れてミーアが外に放り出されてしまい、慌てて手を掴もうとしたシオンも一緒に落ちてしまい、そのまま道の脇を流れる大きな川の流れに押し流されてしまった。残されたキースウッドやティオーナがどうなったかは描写されず、盗賊たちがどうなったかも分からない。ただ盗賊たちもさすがに川に落ちたミーアやシオンを追ってはこなかった。

その後、ミーアはシオンに救助されてその川の下流の岸辺で意識を取り戻したが、意識が朦朧としていて、てっきり溺れて人工呼吸されてファーストキスをシオンに奪われるのだと思う。そしてファーストキスはアベルに捧げようと思っていたのでそれは困ると思いつつも好奇心の方が勝って人工呼吸を待ち構えるのだが、シオンはミーアを横を向かせて喉に手を突っ込んで水を吐かせようとする。実際はミーアは溺れて意識朦朧になっていたわけではなく馬車酔いで意識朦朧としていたので、シオンが喉に手を突っ込んでくれたお陰でゲロを吐きまくって楽になり、ついでにファーストキスも守られました。

どうやら川を流された結果、国境を超えてレムノ王国には入れたみたいだが、王都よりだいぶ離れた辺境であるようだった。それでひとまず岸辺で火を起こして濡れた服を乾かすことにした。食べるものはミーアが野草や木の実に詳しかったので調達できた。実はミーアは前の時間軸で革命軍に追われて野宿した際に森の中で食べるものを調達出来ずにひもじい想いをした苦い経験から、転生後は大陸の何処に逃げてもサバイバル出来るように野草や木の実について勉強しまくっていたのです。

そうしてひとまず落ち着いたところで、ミーアはせっかくこうしてシオンと2人っきりになったので、この際だと思ってずっと気になっていたことを質問した。それは「もしアベル王子が民衆の弾圧に加担していたらどうなさるおつもりかしら?」という質問でした。シオンは「ずいぶん唐突だな」と少し驚くが、ミーアにとってはこれは決して唐突な思い付きではない。3年以上ずっとシオンに対して抱いていた疑問なのです。前の時間軸でミーアは「民衆を弾圧した」と糾弾されてシオン達に逮捕されて3年間投獄され、その挙句に首を刎ねられて処刑された。ミーア自身は確かに自分に失政があったことは認めるが、民衆を弾圧までした覚えは無かった。だがシオンに「弾圧した」と思われていたことは事実です。シオンがやたら正義感の強い男であったことはミーアも前の時間軸でも知っていたから、きっとシオンはその話を信じて、それで自分を悪と思って断罪したのだろうと思っていた。シオンがそういう人間、つまり「己の信じる正義の実現のためなら元学友であっても平気で断罪する人間」であるということを痛いほど知っているミーアだからこそ、今回のレムノ王国の一件でどうにも不安が拭えないのです。

シオン達の話によるとサンクランド王国の諜報機関はレムノ王国の内乱によって民衆が弾圧される危険があるので、それを阻止するためにサンクランドが軍事介入すべきだと言っているらしい。それを聞いてミーアは前の時間軸のティアムーン帝国の時と全く同じパターンだと思った。だとすると、もしサンクランド王国が軍事介入した場合、シオンは前の時間軸で自分を「民衆を弾圧した」という罪状で断罪したのと同じように、今回も「民衆を弾圧した」という罪状でアベル王子を断罪するかもしれない。それをミーアは心配している。

それでミーアはシオンに「ご学友だったとしても悪に手を染めた相手だとしたら断罪しますの?」と問いかける。それに対してシオンは「アベル王子が民衆に剣を振ったとしたら俺は彼に剣を向けなければならない」と答え、ミーアの非難するような視線を避けるように顔を背けて「だが、それは仕方ないことではないか」とこぼして「俺にはどうすることも出来ない」と呟く。サンクランド王国は民衆を大切にする国家であり、その正義の実現を国是としている。他国で民衆が虐げられていると聞いて、他国だからといって無視することは出来ない。そういう国なのだ。そして自分はそういう国の王位継承者なのであり、たとえ相手が親友だと認めたアベル王子であったとしても、民衆の敵だと見なされてしまえば自分は彼を敵と見なすことしか出来ない。自分はそういう運命のもとに生まれてしまったのだとシオンは思った。ミーア姫がアベル王子を大事に想う気持ちは理解できるが、自分に救いを求められても、それは筋違いだとシオンは思った。

だがミーアはシオンの「仕方ない」という言葉を聞いて腹が立った。今までミーアはてっきりシオンが自分をどうしようもない悪だと信じ込んで殺さねばならないという強い決意でギロチンにかけたのだと思っていた。そうでなければあまり仲は良くなかったとはいえ元学友をギロチンにかけるなんて酷いことが出来るはずがないと思っていた。だが、どうやらシオンは自分がそこまで悪ではないと分かっていながら「仕方ない」と思って処刑したようだと分かって、ミーアはそれはあまりに薄情だろうと思って腹が立ったのです。確かに自分も誤解されやすい言動は多かったとは思う。だが、それならば元学友として悪いところを指摘してくれていれば自分も改めたかもしれない。そうすれば「民衆を弾圧した」なんて誤解されることもなかったかもしれない。それなのにシオンはそんな努力は一切せずに、全てが手遅れになった後で介入してきて「民衆を弾圧した」という罪状で自分を断罪した。その時にシオンが「本当はただのバカな子なんだけど、まぁ仕方ないな」とでも思っていたとしたら、あまりにも酷いではないかとミーアは腹が立ったのです。

それでミーアはシオンに対して怒気を含んだ声で「仕方がないというのは、最後まで必死に努力した者のみが言える言葉ではなくって?」と問いかける。シオンはてっきりミーアがアベル王子のことを心配して問いかけてきているものだと思っていたのですが、いきなり自分の考え方そのものが非難されてちょっと面食らう。そして、ミーアが言おうとしていることは自分の予想していたものとは違うのではないかと思った。それでまたシオンはミーアの言葉を深読みし始めて「必死に努力した者」という言葉に何か意味があるのだと考える。そしてシオンは自分がもともとレムノ王国の政情不安について把握していながら、それについて特に何も手を打ってこなかったことに気付いた。つまり自分はこの件において「必死に努力した者」ではないのだ。

サンクランド王国では民衆を守ることこそ正義だと唱えられて、その正義の実現のために悪を断罪するのは当然だと見なされる。そして正義の実現のためにはそうした犠牲はやむをえないとも見なされる。しかし悪を断罪するための戦いにおいても民衆は犠牲になる。それもまた正義の実現のための必要な犠牲だと、仕方ないのだと言う者もサンクランドには多い。しかし果たしてそうなのだろうかとシオンは疑問に思う。ミーアの「最後まで必死に努力した者だけが仕方ないと言える」という言葉を聞いた今では、それは違うんじゃないかと思えてくる。真の正義の実現というのは「正義の名のもとに戦い悪を断罪すること」ではなく「悪事や暴力を未然に防ぐために必死に努力をし続けること」なのではないだろうか。それこそが無用な民衆の犠牲を最小限にする道なのであり、それこそが真の意味でサンクランド王国の「民衆を守ることこそ正義」という国是に適うのではないだろうか。そうした必死の努力が結局は上手くいかず戦いに至る場合は仕方ないだろうけど、ただ傍観しておいて後になって正義の名のもとに介入して犠牲者を増やしておいて、挙句に敗者だけを悪だと決めつけて断罪して「そうした犠牲も仕方なかった」なんて言うサンクランド王国の在り方はおかしいのではないだろうか。

そのようにミーアの真意を誤解したシオンは、レムノ王国の政情不安を知っていながら傍観していただけの自分やサンクランド王国にアベル王子やレムノ王国を断罪する資格は無いと非難しているのだろうかと考えた。しかし、どうしてミーアがアベル王子に会いに行きたいと言うので護衛している自分が別にアベル王子を斬るとか言ったわけもないのに、突然にこんな質問をされた挙句に非難されなければならないのだろうかと疑問に想い、もしかしてミーアがレムノ王国に行きたいと言いだしたのは自分にこういうことを言いたかったからなのではないかと思えてきた。しかし、こんなことでただ非難をしたいだけならばわざわざこんな危険地帯に来る必要は無い。そう考えるとシオンは、もしかしたらミーアは「革命が起きる前に未然に防ぐことこそが真の正義」と自分に諭した上で、そのためにこの地で何か一緒に「必死に努力」しようと言いたいのかもしれないと思った。

もちろん全てシオンの妄想であり、ミーアはただアベルに会いたくて来ただけであり、シオンに対しては個人的理由で腹を立てただけです。ただサンクランド王国の「正義の名のもとに他国に軍事介入して悪を断罪する」という姿勢に問題があることは真理です。前の時間軸でのティアムーン帝国の革命も、そして今回のレムノ王国の革命騒ぎも、同じやり方なのですが、つまり同じ人間が筋書きを描いている可能性がある。私たち視聴者目線ではティアムーン帝国で革命を画策していて前回のラストでそれが上手くいかないから「標的を変えよう」と言っていた謎のマント集団が黒幕だということは分かっている。おそらく彼らの新たな標的がレムノ王国なのでしょう。何故なら、おそらく彼らが前の時間軸ではティアムーン帝国の革命を成功させたのであり、その際にサンクランド王国の介入によって最終的に革命を成功させており、今回の時間軸では同じ方法でレムノ王国の革命を成功させようとしているからです。つまり「サンクランド王国の諜報機関」が怪しい。

そして今回、ミーア達の乗っていたキャラバン隊は盗賊に襲われたが、あの盗賊はプロの戦闘集団だった。そして、キャラバン隊のルートはサンクランド王国の諜報機関に作成させたのだという。襲撃者たちはそのルートを知っていたわけですから諜報機関と繋がりがあるはずです。もしサンクランドの諜報機関があの謎のマント集団と繋がりがあるのなら、前回あの集団のリーダー格の男がミーアがシオン王子と親しいということを忌々しそうに言っていたのだが、あれはシオン王子を厄介な存在だと見なしているということを意味するのかもしれない。だとすると今回の刺客たちの目的は、シオン王子とミーア姫が一緒にレムノ王国に向かうという情報を得て、いっそ2人まとめて始末しようという計画であったのかもしれませんね。

とりあえずそのあたりは今回はまだ謎が多く、ミーアとシオンは近隣の村に商人の子供だと正体を偽って一旦身を寄せることになり、更に王都を目指すということになって今回は終わり次回に続きます。これで残りは3話ですから、このレムノ王国の革命騒ぎで今期は完結ということになりそうですね。次回はアベル王子の出番もあるのでしょうか?ミーアとアベルの再会も期待したいところです。

 

 

薬屋のひとりごと

第9話を観ました。

今回は2つの事件が起こって、猫猫がそれらについて壬氏に意見を求められるというお話で、事件そのものはそんなに大したものではないのですが、猫猫の人となりや、壬氏との関わりがクローズアップされるようなエピソードであったと思います。今後の伏線となるような描写が多めだと思われ、今回で何かオチがつくというような感じの話ではない印象ですね。ただ、最後に例の園遊会事件に関わりがあると思われる容疑者として帝の4人の妃のうちの1人である阿多妃の侍女が浮上してきて、次回以降はちょっと大きな展開になっていくかもしれませんね。前半クールのクライマックスイベントというところでしょうか。今回はその導入も兼ねた箸休め回のようなものだったと思います。

まず1つ目の事件は、ある年配の武官が宴席で酒の飲みすぎで死んだという事件。だがその武官に恩義があったという壬氏は毒殺の疑いは無いかと猫猫に問い合わせてくる。武官が死んだ時に宴席で呑んでいた酒そのものは瓶が割れて無くなってしまったが、その武官が宴席で呑んでいた他の瓶の酒を呑んだ猫猫は奇妙な味であると感じる。だが壬氏は甘口の酒だと言うので猫猫は塩が混入されていたのを疑う。割れた瓶の破片を調べるとやはり塩が付着しており、大量の塩による中毒死と推測できた。実はその武官は味覚障害で辛い味が分からなくなっており、同僚が真面目な武官に対する嫌がらせで酒に混入させた塩に気付くことなく大量に呑んだ結果の中毒死であったのではないかと思われた。

ここでも猫猫は嫌がらせの犯人の特定はしていない。殺意があったわけではないが悪意はあったわけで、壬氏は恩義のあった人に嫌がらせをした挙句に死に至らしめた犯人を特定して厳罰を与えるだろう。しかし猫猫はそうした権力による弱き立場にある者への過酷な刑罰には加担はしたくないのでしょう。たとえ相手が悪人であったとしても。

次の事件は後宮を囲む城壁の外の堀に下女の水死体が浮いていた事件。投身自殺だと当局は判断したが壬氏は検死に立ち会った猫猫にどう思うかと諮問する。下女の死体の手は赤く腫れあがっていて、堀から這い上がろうともがいた痕と思われる。だから生きたまま堀に落ちたのは間違いない。ただ後宮の城壁に登るための梯子などが残されていなかったので、投身自殺だとするなら下女は道具を使わずに城壁に登ったことになる。しかし城壁は突起などを足場にして登れないことはないが下女は纏足であったのでそれは無理のように思われた。そうなると何者かが下女を生きたまま城壁の上に運んで突き落とした他殺という可能性も出てくるが、単に自殺の手助けをしただけなのかもしれない。真相は結局よく分からなかった。

ただいずれにしても下女の命は儚いものだと感じた猫猫は壬氏に自分が処刑される時は毒殺にしてほしいと、ふと思いついて頼む。どうしてそういう話になるのかと血相を変える壬氏に対して猫猫は「私が平民で、少しでも粗相をすれば吹けば飛ぶ命だからです」と答える。権力者である壬氏と平民である猫猫、その身分の違いを超えて愛情を抱いていた壬氏は冷や水を浴びせられたような気持ちになり、そのまま2人は別れました。

その後、死んだ下女は自殺ということで事件は処理されたが、その下女は例の園遊会の毒殺騒ぎの時にその場に居たのだそうだ。そして今回の最後に、2ヶ月前に壬氏が高順に探し出すよう命じていた「腕に傷を負った者」がようやく判明した。それが阿多妃の侍女頭であったということを知り、壬氏が深刻な表情を浮かべるところで今回は終わり次回に続きます。つまり、どうやら阿多妃が里樹妃の毒殺未遂に関与しているかもしれないということです。次回から盛り上がってきそうですね。