2023冬アニメ 2月2日視聴分 | アニメ視聴日記

アニメ視聴日記

日々視聴しているアニメについてあれこれ

2023年冬アニメのうち、2月1日深夜に録画して2月2日に視聴した作品は以下の5タイトルでした。

 

 

もういっぽん!

第4話を観ました。

今回はインターハイ予選の1回戦と2回戦の途中までが描かれました。いや、めっちゃ感動しましたね。なんかこの作品、毎回感動してしまうんですけど、ちょっと感動のバーゲンセールすぎませんかね。柔道の試合してるだけなのに、ずいぶん簡単に感動させてくれますね。こんなペースで感動回を繰り返されたらとんでもないことになってしまいそうです。今回なんて試合の途中で終わってるから神回は次回なんでしょうけど、その前にほぼ神回同然の内容なんだから困ってしまう。他の作品はずいぶん手の込んだことやって感動させてるのに、この作品は柔道の試合してるだけで感動させてくるんだからコスパが良すぎてズルい。やっぱりキャラが良いんですよね。全然ビジュアルは可愛くないのにキャラが本当に愛せる。キャラが良いというより、キャラの積み重ねたものを愛せる。どうしてこんなポッと出のキャラ達の過去にこんなに思い入れを持つことが出来るのか謎なんですが、おそらく私たち自身の過去と重なるものがあるからなんでしょうね。そのシンクロ率がこの作品の場合、極めて高い。だから観ていて泣けてくるんでしょうね。別に柔道やってたとかやってないとか関係なく、他人に迷惑かけてしまったり、他人を傷つけてしまったりして、それでも他人が優しくしてくれたりして、どうしていいか分からなかったことなんて誰にでもあって、そんな誰にでもあるような失敗をずっと挽回しようとして一生懸命な子達が描かれてる作品なんですよね。だから感動するのでしょう。

まず1回戦の青葉西の試合前に、未知たちは勝ったら次の対戦相手になる霞ヶ丘の試合を観ます。霞ヶ丘はエースの天音が入った去年から急速に強くなった高校らしく、夏目先生の言うには「大黒柱が育てば周辺戦力も伸びる」のだそうです。天音も中学時代は永遠に負けたためとはいえレギュラーも取れなかった選手だったわけで、それが今年はインターハイ個人戦でも全国を狙える選手になっているとのことで、中学時代よりだいぶ強くなっているようです。そうしたエースの天音の成長に刺激を受けて他のメンバーも強くなり、今年の霞ヶ丘はかなり強いみたいです。

そして霞ヶ丘が3人とも一本勝ちで2回戦に進出し、続いて青葉西の1回戦が始まります。ところがここで試合前に先鋒の早苗が自分でも戸惑うぐらいに緊張してしまう。今まで経験が無いほどの緊張っぷりに早苗本人はワケが分からずパニックになるが、ここで未知が緊張をほぐしてくれます。未知は早苗がどうしてこんなに緊張しているのか正確に言い当てる。それは早苗がこの試合、自分は絶対に勝たなければいけないと強烈にプレッシャーを感じているからでした。勝ちたいという想いは誰でも当然あるものですが、早苗の場合は「勝たなければいけない」という想いが強すぎる。特にこの試合はそれが強すぎた。

どうして早苗が「勝たなければいけない」と強く思うのかというと、それは中学時代のクセです。中学時代は柔道部員が2人だけの期間が長かったので早苗と未知の2人で団体戦に出場することが多く、そうなると先鋒が早苗で大将が未知で、中堅がいないので中堅戦は自動的に不戦敗になりますから、もし先鋒の早苗が負けたらそこで自動的に2敗となり、大将の未知が勝とうが負けようが関係なく団体戦の試合としては負け確定となり、未知は試合を始める前に敗退が決まった状態で敗戦処理の消化試合をすることになる。これは第1話で描かれた河北中学との試合でも同じでした。

だから未知の試合が普通の試合になるか敗戦処理になるかは早苗の勝敗次第というわけで、早苗は自分が敗けることによって未知が敗戦処理のつまらない試合をする羽目になることに責任を感じていました。つまり早苗の頭の中では「自分が敗けると未知がつまらない試合をすることになる」という等式が出来上がっており、だから「未知のためにも勝たなければいけない」という想いが強い。そして高校に入って未知は柔道を辞めると言っていたのに、早苗が「もう一度やろう」と誘って未知は再び柔道をすることになった。だからこそ、今度こそ未知に気持ちよく柔道をしてもらいたいという想いが早苗にはひときわ強い。それが未知を再び柔道に誘った自分の責任だと思い、この高校柔道での最初の試合は絶対に自分は負けられないと思い、それで早苗は今までで最大のプレッシャーを自分にかけてしまっているのです。

未知は中学時代に早苗が先鋒戦で負けるたびに自分に申し訳なさそうにしていたのを見ていたので、早苗が「未知のために自分が勝たなければ」という想いにいつも縛られていることは知っていました。だから今回の高校最初の試合ではどうせ「私が未知を誘ったんだから絶対にこの試合は自分は負けられない」とでも思っているんだろうということはすぐに分かり、もっと気楽にいってもいいんだと早苗に諭します。

何故なら、今は1年前とは違って2人ではなく3人いるからです。もし早苗が先鋒戦で負けても、中学時代と違ってその場で敗退は決まらない。中堅の永遠が勝てば1勝1敗、もし永遠が引き分けても1分け1敗で、永遠が負けない限りは大将の未知の試合の時点でまだ団体戦の勝敗は決まっておらず、未知は真剣勝負を楽しめるのです。だから早苗は中学時代みたいに「自分が絶対に勝たなければいけない」なんて気負う必要は無いのです。

そして、それは早苗のお陰なんだと未知は言う。永遠が柔道部を再開しようとしていて、でも未知が誘いを断った時に、早苗がもう一度やろうと未知を誘ってくれたからこそ3人揃って柔道部は再開し、こうして3人で団体戦に臨むことが出来ている。未知も真剣勝負を楽しめる可能性が高くなっている。それは早苗が誘ってくれたおかげなのであり、中学時代は不戦敗確定だった中堅戦がエースの永遠によって勝ちの可能性が高いものになっている。つまり早苗の勝敗に関係なく未知が真剣勝負を楽しめる可能性が高くなっている。この貴重な中堅戦の1勝分は、早苗が稼いだ大金星なのです。だから、既に大金星を挙げている早苗はここで自分の試合でプレッシャーを感じる必要など無い。気楽にやればいいのです。むしろ、わざと負けて1勝1敗で自分に回して見せ場を作ってほしいなどと未知は冗談まで言って来て、そして夏目先生も早苗の肩を掴んで、永遠の方を見て「大黒柱を得て強くなってるのは霞ヶ丘だけじゃない」と言い、早苗だって青葉西で3人で練習する日々の中で確実に強くなっているのだと励ましてくれる。おかげで早苗はリラックスすることが出来ました。

そうして1回戦の先鋒戦、早苗の試合が始まります。早苗は相手と一進一退の攻防を繰り広げ、終了間際に相手に投げ技で技ありを取られてしまうが、その直後に寝技に持ちこみ上四方固めで逆転の一本勝ちをします。「3人いるのだから1勝1敗でいい」などと言って未知がリラックスさせてくれたおかげで早苗は「勝たなければいけない」というプレッシャーからは解放されましたが、でも3人いるからこそ、3人とも勝って3人で心から目いっぱい喜び合いたいのだと思い、そのために「勝たなければいけない」ではなく、前向きに「勝ちたい」という強い気持ちで身体が機敏に動き勝利することが出来たのでした。そして、それはまさに夏目先生の言うように早苗が青葉西で強くなっている証明でもありました。

これで青葉西はまず1勝を得て、更に中堅の永遠が相手を瞬殺の一本勝ちで下して2勝目を挙げて、これで青葉西の2回戦進出が確定し、大将戦の未知は結局ポイント無しで引き分けに終わりましたが、新生青葉西柔道部は見事に公式戦初勝利を挙げました。そして未知と早苗と永遠は一緒に笑顔ではしゃぐのですが、その様子を観客席から霞ヶ丘の天音がじっと真顔で観ていました。特に永遠の弾けるような笑顔が天音には気になるようで、対する天音がずっと笑顔が無く真顔のままなのが対照的で印象的です。

そのまま今度は控室での霞ヶ丘の3人のメンバーの昼食シーンとなりますが、3年生の白石は後輩の天音が入学してきてから一緒に練習するようになって自分も強くなれたと言って天音に感謝の言葉を伝えます。夏目先生が言っていた通り、やはり柔道に真摯に取り組む天音が加わったことによって霞ヶ丘の柔道部にも良い刺激になったようです。この大会を最後に引退するという白石は、最後だからということで天音に感謝を伝えたかったようです。だが天音は困惑したように「私は自分が強くなりたかっただけです」と言い、さっき撮った試合中の永遠の画像をスマホで見つめながら困った顔をします。

天音としては、自分は白石に感謝されるような人間ではないと言いたいところなのでしょう。天音はただ自分が強くなりたくて柔道に打ち込んでいただけであり、それが周囲に良い影響を与えたと言われても、自分で意識してやったことではない。自分はただ自分が強くなりたかっただけであり、そしてスマホで永遠の画像を見ていることから、永遠に勝つためだけに強くなりたかったのだということが分かる。そこまで天音が永遠に勝つことにこだわるのは、やはり前回描かれた中学の時の部内の試合での雪辱を果たしたいからなのであろうかとここでは思われる。

ここで青葉西の3人も外の芝生で昼食を摂っており、永遠も次に天音と試合することを想い、中学時代の因縁に想いを馳せる。部内のレギュラー決定戦で永遠が天音に勝った後に笑ったことについて、天音が「あの顔、忘れないから」と永遠に怒りの言葉を浴びせたことを永遠は思い出す。一方で未知の方は自分が永遠や天音みたいな豪快な一本勝ちを決めたら喜びを爆発させてしまうだろうと言い、よく永遠や天音は喜ぶのを我慢出来るものだと感心します。柔道では勝った後にガッツポーズをとったりすることは良くないとされて注意されますが、笑顔で喜ぶぐらいは別に問題は無い。まぁ武道の嗜みとして笑顔を戒める人も割といますけど、確かに永遠も天音も勝ってもその場で笑顔にはなりません。

特に天音の場合は普段から笑っている顔は見たことがないと、ここで場面は再び霞ヶ丘の昼食の場面に変わり、霞ヶ丘の白石と妹尾も言い、天音が目標を達成して笑うところを見たいと言います。どうも天音は「目標達成したら笑う」と言っており、普段から笑うことを自ら禁じているようなのです。その目標が何なのかは謎であり、白石も妹尾も知らないみたいですが、とにかく2人は天音が目標を達成して笑う顔を見たいようです。目標を達成するまでは笑うこともしないということは一種の願掛けのようなものであり、それだけその目標達成に賭ける想いが強いのだろうと普通は思います。そして、とにかく柔道にストイックな天音ですから、その目標とは柔道で全国大会に行くとか、そういうことであろうと白石も妹尾も思っている。

それを聞いて天音も、次の試合で永遠に勝ち、青葉西に勝ち、そうして勝ち進んでいきインターハイの全国大会に進み、それでファミレスで祝勝会をして、この前未知に横取りされた妹尾のパフェも注文し直そうと言う。それは、今はまだ目標達成してないから笑顔は見せられないけど、全国大会出場という目標を達成したらその時には祝勝会で笑顔を見せると約束しているように見える。いや実際その時に天音は白石と妹尾のためにとびきりの笑顔を見せるつもりなのでしょう。さっき白石に感謝された時の申し訳なさそうな困った様子や、妹尾に丁寧に寝技対策を伝授したりしている様子を見る限り、天音も「自分が強くなりたかっただけ」などと言いながら、本当は仲間のことを大切に思っているのだと思われます。

ただ、それでもどうしても素直な想いを出せないのは、やはり永遠に勝つために自分が強くなりたいという想いがあまりに強くて、仲間のことは二の次であるのも事実なのであり、だから白石に真っすぐ感謝を向けられたり、妹尾に真っすぐ敬意を向けられると、どうしても申し訳なさが先立ってしまうからでしょう。ここまで見てくると、どうやら天音の目標というのは、白石や妹尾が想像するような「全国大会出場」ではなくて「永遠に勝つこと」であることが分かってくる。永遠に勝って青葉西にも勝って、その延長線上に全国大会出場や祝勝会があるわけで、実は永遠に勝った時点で天音は笑顔を解禁できるのです。だから当然祝勝会でも笑うことは出来る。そして「永遠に勝つまで笑顔を封印する」という理由は、おそらく永遠との中学時代のレギュラー決定戦の敗戦時に永遠の笑顔を見たことと何か関係があるのだろうということは想像できますが、ここではまだその意味がよくは分かりません。

そうして午後になり青葉西と霞ヶ丘の2回戦が始まり、先鋒戦は霞ヶ丘の先鋒の妹尾が速攻で機先を制して早苗の寝技を封じて一気に技あり2つを決めて1勝を挙げ、続いて中堅戦で永遠と天音の勝負が始まる。ここで永遠の中学時代の回想シーンが挿入されます。中学2年で河北中学に転校してきた永遠が何か部活に入らなければいけないという校則なので部活を見て回るが引っ込み思案で気弱な性格なのでなかなか決められずにいたところ、放課後遅くまで1人で打ち込み稽古をする柔道部の天音の真剣な姿に惹かれて、天音に柔道部に勧誘される。「自分は臆病者なので」と辞退する永遠に天音はだったらなおさら柔道部に入った方がいいと言って柔道着を着せて「これを着ると勇気が出るから」と言ってくれた。この言葉が、それまで気が弱くて何も出来なかった永遠に初めてそんな自分でも勇気を持てると思わせてくれた。だから永遠は柔道部に入り、そしてこの天音が言ってくれた言葉をずっと忘れることなく大事に想っていた。だから永遠は未知たちにも柔道着を着て「これを着ると私は勇気が出るんです」と言ったのです。あれは永遠の自分で考えたセリフじゃなくて、天音から教えられたセリフだったんですね。つまり天音は永遠にとっては柔道を教えてくれただけじゃなくて、勇気を教えてくれた人であり、生き方を教えてくれた恩人だったのです。

そうして現在の試合会場に場面は戻り、永遠と天音の試合が始まり、激しい組手争い、技の掛け合い、気迫のぶつかり合いが描写される。天音が永遠に雪辱を果たしてどうしても勝ちたいという想いは分かるとして、永遠の方も中学時代の恩人である天音に対してかなりの気迫で立ち向かっており、技はもちろん、気力でも決して負けていない。ただ、ここまでの様々な回想シーンを見る限り、永遠の方が天音に対してここまで激しい気迫で立ち向かう理由はイマイチ不明といえます。

ここで天音の一瞬の隙を突いて、永遠が一本背負いを仕掛けようとする。だがその瞬間、永遠が同じく一本背負いで勝った例の部内レギュラー決定戦の時の記憶が永遠の頭の中によぎる。それは、その試合の後、永遠の試合後の笑顔を見た天音が他の部員に「永遠に見下された」と悔しがって言っていたという話を聞いた時の記憶でした。永遠は天音を見下したつもりなど無かった。ずっと尊敬する先輩として慕って仲良くしてもらってきた天音を見下すなんてことがあるはずがない。だから永遠は天音にそんなふうに思われてしまったことがショックだった。その時の記憶が甦り、永遠の動きが一瞬止まり、天音の返し技で逆に永遠は技ありを取られてしまう。

ここで永遠の道着の乱れを直すための休憩が入り、永遠の表情が固いことに気付いて未知と早苗は永遠に声をかける。「いつもの永遠ちゃんでいこう」「青葉西の永遠ちゃんで」と。それは、河北中学からわざわざ未知と早苗の楽しむ柔道を一緒にやろうとして青葉西にやってきた永遠の、楽しむ柔道で戦おうという意味だった。永遠が中学の先輩の天音と何か因縁があることは未知たちにも分かっていたが、過去にとらわれて固い表情で縮こまるのではなく、いつもみたいに笑顔で伸び伸びした気持ちで柔道をしようという励ましでもありました。永遠はこの励ましを受けて固さが抜けて身体がよく動くようになり感謝はしたが、それでもあえて笑顔は見せなかった。笑顔は普段から試合中は見せない永遠ではあったが、特にこの天音との試合だけは絶対に笑顔を見せるわけにはいかないという想いが永遠にはあった。そして、過去の因縁を忘れるわけにもいかない事情があった。

一方で天音の方にも休憩中に妹尾はしきりに声援を送るが、白石は天音の表情がただならぬものであるのを感じ取り、この試合が天音にとって特別な意味があるのだと気付き、妹尾の声援を制止して、天音にこの試合に集中させることにした。天音もそうした気遣いに感謝し、霞ヶ丘の仲間の有難さを実感しつつも、それでも天音もまた永遠同様に、この試合だけは過去の因縁を最優先させねばいけないという想いを強くする。

そうして試合が再開し、再び激しい組手争いを繰り広げつつ、永遠と天音の2人の本心がここで遂に明かされる。永遠はずっと天音に謝りたかった。それは、天音から中学最後のレギュラーの機会を奪って試合に出ながら惨敗してしまった自分の不甲斐無さを謝りたいという気持ちでした。永遠から見ればレギュラーに相応しい強さを持っていたのは天音の方であり、自分はたまたま勝っただけだった。そんな弱い自分が試合に出るよりも強い天音が出るべきだったのに、弱い自分が出たために天音の中学最後の大会が台無しになってしまった。だから謝りたいとずっと思っていたが、弱い自分に見下されていると誤解している天音はきっと怒って謝罪を受け入れてくれないだろう。だから天音にちゃんと勝てるぐらい強くなってから、昔みたいに仲良く一緒に遊びに行ったりパフェを食べていた時みたいに笑顔で会って謝ろう。そう思って永遠は必死で柔道が強くなるよう練習に励んできた。それまでは試合の時に笑うことは禁止にもしてきた。また弱いのに相手を見下していると誤解されるのが怖かったからですし、天音にまたそんなふうに思われることも避けたかったからです。

ただ、それでも柔道の強豪校に行かずに、あえて青葉西に進学したのは、やはり永遠の心の奥底には、そんなストイックな柔道よりも天音と一緒に笑顔で過ごしていた頃のような柔道を望む気持ちが強かったからでした。その天音に教わった楽しい柔道を未知と早苗に見出した永遠は2人を追って青葉西に来た。だから青葉西に入ってからは永遠も笑顔で柔道をするようにはなっていたが、それでも試合中は笑顔になることはなかった。ましてや、遂に天音に挑むというこの試合、天音に勝って過去の自分の不甲斐無さを謝るまでは決して笑顔など見せるわけにいかないのです。

一方、天音の方も永遠にずっと謝りたいと思っていた。それは、自分がレギュラー決定戦で永遠に負けた悔しさから、つい永遠の試合後の笑顔を「自分を見下していた」と悪口を言いふらしてしまい、それを耳にした永遠が気に病んで調子を崩したせいで大会で惨敗してしまったことを知っているからでした。自分の敗北も受け入れられない自分の情なさのせいで可愛い後輩の永遠を追い詰めてしまった。そのことを天音は謝りたかったが、永遠が自分に勝ってしまったことを気に病んでいることを知っていた天音は、自分が弱いまま謝っても永遠はますます引け目を感じてしまうだけだろうと思い、永遠に勝てるぐらい自分が強くなった上で、昔みたいに笑って謝ろうと決めたのでした。そして、自分の言いふらした悪口のせいで永遠の笑顔を封印してしまった以上、自分も笑顔になる資格は無いと思い、いつか永遠に勝って笑顔で謝れるその日まで、天音は自分の笑顔も封印することにしたのでした。だから「永遠に勝って笑顔で謝る」「そして霞ヶ丘の仲間の前で笑顔を解禁する」というのが天音の達成すべき目標なのであり、この試合がまさにその正念場といえる。だから天音も必死なのである。そうして激しい攻防の末、遂に試合は残り10秒となったところで次回に続きます。さて次回は神回必至でしょうね。

 

 

トモちゃんは女の子!

第5話を観ました。

今回はまず最初は、トモとみすずがキャロルの家に遊びに行く話。とにかくキャロルとその母親がボケまくりで、それに対するみすずの冷たいツッコミが面白過ぎました。キャロルの言動も意味不明でトモも相変わらず男子っぽくてバカですし、みすずの塩対応と毒舌も冴えていて、かなり笑えた。ちょっと悪い子ぶってみて逆にキャロルの母親に気に入られてしまうみすずが敗北感を感じているのも可愛らしかったです。あとキャロルがオセロ強すぎで笑った。

続いて中間テストの話で、みすずの家でトモとキャロルが一緒にテスト勉強することになる。みすずはなんと学年1位の成績らしいのだが、トモが子供の頃に物を壊し過ぎてみすずの家に出禁だったのは笑えた。みすずの母親も登場して、トモの母親と幼馴染だそうだが、トモに母親のようになってはいけないとか失礼なことを言う。やはりみすずの親だけあって性格が似ている。当然キャロルのことは苦手らしい。

キャロルがなんか頭がすごく良くて、天才的な謎理論で問題を解いてしまい、バカなトモが何故かそれに波長が合ってしまい、秀才タイプのみすずがイライラする流れはテスト勉強コントとしてなかなか秀逸で良かったと思う。謎理論で解けてしまっても高校のテストではあんまり意味は無いんですよね。でも結局はキャロルが1位でみすずは2位に落ちてしまって愕然とするんですけど。ただ、このコーナーのトピックは、トモがみすずと一緒の大学に行きたくて勉強頑張ろうとしてるのを聞いて、みすずがちょっとデレるところでしょう。みすずが可愛すぎました。

そして最後は、トモがゲームをやるために淳一郎の家にお泊りするという話で、完全に男友達のノリでそんな約束をしてしまうが、好きな男の家に泊まるということの重大性に気付き愕然とするトモ。中止しようとするがみすずとキャロルに許されない。キャロルがその気も無いのに一緒に泊まるとか言ってみすずにツッコまれるのが面白かった。やっぱりみすずとキャロルの遣り取りがかなり面白いが、トモが絡むと余計に面白いんですよね。

トモが淳一郎の家に泊まると聞いて孫の名前を考える母親とか、まるでトモを女子扱いせず全く心配しない父親とか、対照的で笑えた。淳一郎の両親は留守で家には2人きりだとか、普通なら意識しまくるシチュエーションなんだが全く気にしてない淳一郎と、意識しまくって怒鳴り散らすトモとか、トモの料理は「たまに喰いたい」と何気に酷いことをい言う淳一郎とか、細かい笑いどころも多い。ゲームの前に先に入浴するんですが、普通のラブコメならムードが高まるシーンなんですが、淳一郎の入った湯船に入ることに照れてシャワーだけにすると頑なに主張しつつ湯船にちょっと入ろうとしたりするトモにかなり笑えた。なんか行動が男子っぽくて、妙に観てて萎えるところが面白い。

ただ結局は淳一郎の方もトモの入浴中に意識し始めてしまい、なんとか平静を保ってゲームを楽しもうとする。それで男友達のノリでゲームを楽しむのだが、そのノリでベッドでじゃれ合ったりしてるとドキドキするシチュエーションになってしまったり、2人のなんともいえない間抜けっぷりが笑えるんですよね。そして深夜までゲーム大会とか言ってた割に夜更かしが出来ない健康優良児の2人は同じ部屋で寝ることになり、トモがベッドで寝て淳一郎は床に布団を敷いて寝る。

それで淳一郎が「こんなふうにずっと一緒に」とか寝る前に言ったりするのでトモが告白しようとするけど淳一郎は寝てしまって、それでトモが淳一郎の寝顔にイタズラしてると寝ぼけた淳一郎が抱きついてきてそのままトモも寝てしまって、朝になって一緒の布団にトモが寝てるので淳一郎がビックリしてひっくり返ったり、後でトモが自分が布団の方で寝ていたことに気付いたり、だいぶ面白いことになりました。

 

 

転生王女と天才令嬢の魔法革命

第5話を観ました。

今回は前回のラストからの流れを受けて、アニスとユフィリアがドラゴンを討伐するお話でした。おおまかに言えばまさにそれだけのお話で、もうちょっと詳しく言えば、ドラゴンの魔石を手に入れて自分の身体に取り込んで魔法使いになりたいアニスが魔薬という怪しげな薬で自らを強化してまでドラゴン退治をしようとするのをユフィリアが色々と心配するんですが、単騎でドラゴンに挑んで死にかけたアニスをユフィリアはアニスの魔学からヒントを得た新魔法で救いだす。そして、それでも自分の目指す魔法使いの在り方を貫くため人々を守るために戦おうとするアニスの姿を見て、ユフィリアはどうしてアニスがそこまで魔法使いにこだわるのか理解は出来ないが、それでも自分の居場所を作ってくれたアニスを死なせたくないという想いで覚悟を決めて、アニスと共に戦うと宣言する。そんなユフィリアの申し出に心を動かされたアニスはユフィリアに一緒に戦ってほしいと頼み、ユフィリアの作戦に従って戦い、ユフィリアの魔法の力を借りてドラゴンの翼を斬り落として勝利する。だが地上に落ちたドラゴンの反撃で大ピンチに陥るが、アニスはマナブレードのリミッターを解除した斬撃でドラゴンを両断してトドメを刺す。そうしてドラゴンの死体に近づいたアニスはドラゴンと最期の対話をした後、呪いを受けてしまう。最後は祝勝会を抜け出したアニスとユフィリアが星空の下でダンスを踊りながら互いが互いを必要としているという想いを確かめ合う。

まぁだいたいこういう感じで、ストーリーとしては少年漫画のようにシンプルで、そんな大したものではありませんでした。ドラゴンとの戦いの場面はかなり気合の入った戦闘作画ではありましたが、そんな超絶神作画とかいうほどでもない。まぁ、そこらの異世界系アニメの中ではかなり頑張ってた方だと思います。十分に合格点以上の迫力はあって、惹き込まれました。魔薬をキメてパーサーカー状態になったアニスのイカレた顔も良かったし、千本木さんの演技も素晴らしかったですね。アクションそのものの動きや演出よりも、表情の作画や声の演技などに惹きつけられた感じでしょうか。演技も良かったですけど、その演技が乗っかるアニスのキャラ描写も良かったです。まるで少年漫画の主人公のような明快さが良い。今回の話って大筋ではそこらのなろう異世界モノにゴロゴロ転がってるようなプロットなんですけど、主人公のアニスのキャラがそういう凡百の異世界なろう主人公のスカしたキャラと全然違っていて激アツだったので、全く違うタイプのお話になっていて良かったんです。結局アニスが魔法使いになりたい理由は不明のままなんですが、そこらへんの脳筋な感じが「海賊王に俺はなる」って感じの明快さで、それに合わせた演技もあって、アニスというキャラをとても明快なものにしていて気持ち良かった。また、第1話でちょっと描かれただけのアニスの戦闘スタイルが初めて明確に描かれたのも良かったですね。

私がこの作品に対して前回から抱いていた危惧は、このまま普通の異世界なろう作品みたいになっていくのではないかという点でした。また、そうした中で序盤から丁寧に描かれていた百合恋愛的な要素が噛み合うのだろうかという点でした。そうした危惧に対して、まずアニスの少年漫画ヒーローのような明快なキャラを前面に押し出すことで異世界なろう作品との差別化を図り、更にあえて大雑把に描かれたアニスと対照的にユフィリアの心情を緻密に描いて戦闘の中に上手く組み込むことで、この作品特有の百合恋愛要素が見事にドラゴンとの戦闘と融合して、激しい動きの中でもこの作品の独自性は保たれることを示してくれました。それが可能になったのは、序盤4話を通して執拗なほどにユフィリアの心情を緻密に描いてきたという下地があったからです。

第1話のラストでアニスに救われたものの心に虚無を抱えてしまったユフィリアの状況が2話から3話にかけて明確になってきて、4話においてそんなユフィリアが自由に生きられる居場所をアニスが作ろうとしていることが判明し、それでもすぐに自由には生きられないユフィリアだが、今回のドラゴンとの戦いの中でアニスの危機に直面し、自分に自由を与えてくれようとするアニスを守りたいという自由意志を始めて明確に表明するという話の流れでした。1話から4話まで非常に緻密にユフィリアの心情を描いていたのでこのドラマは明白であり、明白すぎるから普通に描いてもつまらないのであり、ドラゴンとの戦いの中で描く必要があったのであり、明白ゆえにドラゴンとの戦いの中で描いても十分に伝わったといえる。

つまり、ドラゴンとの戦いそのものは今後の展開に繋がっていく伏線でもあるんでしょうけど、それが序盤のアニスとユフィリアの心情のすれ違いが解消して2人の心が1つになるドラマのクライマックスとして上手く機能していたといえます。そういう話の組み立て方自体はまぁありきたりで王道といえますが、それが1話から5話を使ってここまで緻密に鮮やかに描かれたのは素晴らしいことだと思います。アクションそのものはそれ単体で勝負出来るほどのハイレベルではなかったが、そうした人間ドラマの添え物としてならば十分すぎるほどのレベルのものであったし、高評価せざるを得ないエピソードでありました。また、今回こうして上手くまとめられた以上は、3話や4話のやや緩慢な展開も今回に繋がる意味のあったものであると再評価するしかなく、この作品全体の評価もやはりSランクに返り咲くものになったといえます。

ただまぁ、全ての要素が綺麗にまとまっている構成力を評価しての高評価であって、各要素の中には個人的にはあまり高評価出来ないものもあり、そういう些細な差がSランク内では順位の差となって現れるものですから、そういう点では今回もベタベタな百合描写とか、アニスのあまりにも少年漫画的な描写とか、そういうのは決して私の好みとする要素ではありませんので、多少はマイナス要素になってはいます。

 

 

痛いのは嫌なので防御力に極振りしないと思います。2

第4話を観ました。

今回はメイプル達がイベントをクリアするために頑張る話でした。相変わらず楽しそうにゲームするメイプル達を観るだけで、これといってコメントすることはありません。ストレスがゼロの作品なんですけど刺激も無い。とにかく眠くなります。1期はこういうストレスフリーなところが新鮮だったんですけど、さすがに慣れてしまったので新鮮味も無いんですよね。当時は「ゲーム世界に入る」というシチュエーションの作品は殺伐としたものが多かったので、この作品みたいにひたすら遊ぶというのは新鮮だったので、それだけで1クール観ることが出来た。中身は特に面白いとは思わなかったんですけど、設定の面白さだけで1クール耐えられたんですよね。でも2期で2クール目となるとやはりさすがにキツかった。

この作品がもっと下位のつまらない作品と比べて優れている点は、とにかくキャラの魅力を一切損なっていないということなんですよね。キャラはみんな可愛いし魅力的。例えば「スパイ教室」とかは、せっかくキャラが可愛いのに話がつまらないせいでキャラの魅力が損なわれてる。でも、この作品は話の内容が無くて、ただ純粋にキャラを観るだけなので、キャラの魅力が全く損なわれていない。そういう意味では話がつまらない作品よりはマシなんですが、話が面白い作品には当然劣るわけで、まぁとにかく今後面白くんるとは到底思えないので今回で視聴は切らせていただきます。ただ、話がつまらない作品よりはマシなので現状のBランク上位のままでの視聴打ち切りとなります。

 

 

ツルネ ーつながりの一射ー

第5話を観ました。

今回は海斗と七緒の関係性が主に描かれたエピソードでした。地方大会の時に風舞は辻峰に負けてしまいましたが、敗因は湊の射形の乱れに海斗が影響されて、それによって全体に悪影響が出てしまったからでした。前回はそのことに湊が気付くというお話だったのですが、その中で海斗と七緒の衝突が描かれていました。それは、海斗が敗戦の責任が湊にあると指摘することを避けようとしているのを七緒が咎めたことが原因でした。私はてっきり湊だけでなく海斗にも責任があるという話なのかと思っていたんですが、今回を観てどうやらそういうことではなかったということが分かりました。

海斗が湊を責めなかったのは、海斗にも敗戦の責任があるということなのかと思っていました。いや実際、湊にペースを狂わされた海斗が調子を崩した結果、他の3人も調子を崩したのですから、他の3人の不調に関しては海斗に全く責任が無いということはない。だから海斗は本気で自分にも責任があると考えていたのでしょうし、だから湊を責めようとしなかったのでしょう。そして、湊の問題は湊が自分で気付くのが最も望ましいのだから、結果的に湊を責めなかった海斗の判断は間違ってはいなかったと思います。だが七緒はそういう海斗の態度を見て、それは海斗の悪いところだと指摘した。それは海斗が何でも1人で責任を感じて抱え込もうとする悪いクセだと、七緒は言っていました。

結局のところ辻峰戦の敗因は技術的な問題ではありませんでした。そもそも湊たちはまだ自分の射形というものが確立していない段階であり、技術的な問題を論じられるような段階ではない。射形も固まっていない段階で余計なことを考えて心を乱したのが湊の失敗だったのであり、その湊のペースに引きずられて海斗がペースを乱したのも、海斗の技術面の問題ではなく、精神の未熟さの問題でした。だから、辻峰戦で湊だけではなく海斗にどういう失敗があったのかを追求するというエピソードには意味は無く、そういうものが描かれるのではないかと考えたのは私の間違いだったといえます。

むしろ描かれるべきだったのは、海斗のもっと根本的な人間性の未熟さについてのエピソードだったのであり、七緒と海斗の諍いの描写は、そのための伏線であったのでした。また、それは海斗の未熟さだけでなく、七緒の未熟さを描くための伏線でもあったのです。そして、その伏線を承けて海斗と七緒の未熟さと、そこからの成長が描かれたのが今回のエピソードでありました。

つまり、辻峰戦の敗戦の原因に関しては前回の湊の問題解決を描くことで一応の決着はもうついているのであり、今回はその湊の問題解決のドラマの中で二次的に発生した海斗と七緒の諍いが解決したという、一見すると「ついでの話」のようなものが描かれているように見えるのですが、今回描かれた海斗と七緒のそれぞれの未熟さや雑念のようなものがこれまでの2人の射の不安定の原因であったということは視聴者には想像できるようになっており、今回のエピソードを通じて2人が成長し、それによって2人の射も改善されるであろうことも想像することは出来る。トミー先生が辻峰戦の後で言っていたように、湊だけでなく「全員に問題がある」というのはそういうことなのだろうと思われる。おそらく遼平の姉絡みの問題も次回あたりに描かれるのであろうし、静弥にも何かの問題はあるのであろう。

それで今回描かれた海斗と七緒の問題であるが、2人は実は従弟同士で子供の頃からよく一緒にいて、ただの幼馴染とは違い親戚同士だと大人になってもずっと付き合いは続くのであり、だから2人は将来もずっと一緒にいるということを前提に自分達の関係というものを子供の頃から考えていたようです。海斗は弱い七緒をずっと自分が守ってやらないといけないと思い、七緒は不器用で誤解されやすい海斗をずっと自分が支えてやらないといけないと思っていた。互いが相手を守りたいと思う2人ですから、争い合うようなことはせず仲良くやっていた。

ただ、相手を守るためには相手よりも弱くてはいけないという想いがあり、それゆえに小学校の時に海斗が弓道をやり始めると、七緒も海斗とは中学は別になったが、そこで弓道を始めた。七緒は自分が守ろうと思っている海斗よりも弓道が上手くならなければいけないと思ったからです。海斗の方も自分が守ろうと思っている七緒に負けるわけにもいかないと思い、2人は仲良くしつつも弓道の腕では張り合っていたようです。だが弓道の優劣をつけることはあくまで2人には二の次であり、海斗は七緒のことを心配し、七緒は海斗のことを心配していた。

特に七緒は海斗が同じ中学の弓道部員と喧嘩して疎遠になっていたことを心配していた。弓道に一途すぎるために海斗は他の部員たちと温度差があり、よく揉めていたようです。そういう不器用に1人で責任を背負いこんで抱え込みその挙句に頭に血が昇って失敗するのが海斗の悪いクセだと思って七緒は心配していた。この海斗の中学時代の弓道部の揉めていた部員たちというのは地方大会の会場で海斗が出会って気まずそうにしていた2人組であり、2人は未だに弓道を続けているようであるが、海斗は昔のことがあるので気まずそうにしてロクに会話もせず、七緒はその様子を見て心配そうにしていました。

そして地方大会で風舞は辻峰に負けてしまい、その敗因の主なところは湊にあることが分かっていながら海斗は自分にも責任があると思い湊にそのことを言わずに自分の心にその問題を抱え込んだ。しかし、そうやって不満を貯め込んで最終的に爆発して喧嘩してしまうのが海斗の悪いクセだと七緒は思っているので、今回もそうなるのではないかと心配して海斗に苦言を呈した。いつものように海斗は反発して、いつもは何だかんだナアナアで終わるはずなのだが、七緒は妙にイラついてしまい、そんな七緒に対して海斗も腹が立ってしまい、ちょっと諍いになってしまう。そして、お互いを大切に思いながらこんな喧嘩をしてはいけないと思い、2人は気まずくなり、顔を合わしづらくなってしまう。顔を合わすと喧嘩になってしまいそうで、一生の付き合いでお互いを大事にしなければいけない自分達は喧嘩などしてはいけないのだと思うと、顔を合わすこと自体を避けたくなってしまう。

それで七緒も海斗も、どうも2人の関係がおかしくなってきているように感じて困惑し、七緒は海斗に会いたくなくて部活の練習をサボってしまい、街をブラつく。そうしていると例の地方大会の会場で出会った海斗の中学時代の部活仲間の2人組と出会う。それで向こうも七緒のことを知っていたようで話しかけてきて、海斗の話になります。てっきり悪口なのかと思ったら意外にも2人は海斗の横柄な物言いなどには不満を言いつつも、何だかんだ海斗のおかげで今でも自分達は弓道を続けているのだと言い、海斗に感謝していると言う。

それを聞いて、七緒は海斗の想いはちゃんと部活の仲間にも届いていたのだと知り、海斗は決していつまでも子供の頃のような自分に守ってもらわなければいけないような不器用で弱い人間ではなく、成長しているのだと気付く。だから「自分が海斗を守らなければならない」なんていう自分の役割はもはや不要なのであり、だから最近、自分と海斗がギクシャクしているのだと七緒は思った。また、海斗を守るために海斗よりも上手にならなければいけないという動機で始めた弓道ももはやそんな役割から解放された自分には不要なものとなっているのであり、本気で弓道をやっている海斗との間で話が合わなくなっているのも当然なのだとも七緒は思った。

そうして街を歩いていると七緒は湊に偶然出会い、七緒と海斗の諍いを気にしていた湊は自分の辻峰戦での失態が原因なのだと言って七緒に謝る。それに対して七緒は確かに湊の件で海斗と揉めたことは認めつつ、自分と海斗の関係について話し、自分が海斗を守らなければいけないと思い込んで、別に好きでもない弓道をやっていたのが悪いのだと言う。しかし湊はそれを聞いて唖然として、七緒は弓道が大好きだと、自分はオチで皆の射を見ているからそれはハッキリ分かると言う。

その湊の確信に満ちた言葉を聞き、七緒は自分がいつの間にか弓道が大好きになっていたことに気付く。そして、最近妙に海斗とギクシャクしていたのは、特に深い意味があったわけではなく、単純に海斗に弓道で負けたくないという対抗意識ゆえであったことにも気付いた。「海斗を守るために海斗より弓道が上手でなければいけない」というようなややこしい話ではなく、単純に同じ弓引きとして海斗に勝ちたいと思い、対抗心の高まりによって海斗のちょっとした言動にイラついていただけだったのです。それなら素直に対抗心をぶつけ合えばいいのですが、七緒は「自分達は一生仲良くしなければいけない」「自分は海斗を守らなければいけない」という思い込みがあるせいで、素直な対抗心を無意識に抑え込んでしまい、目を背けて見ないようにしていたのです。そのことに七緒が気付くことが出来たのは、直接的には湊の言葉がきっかけでしたが、その前に海斗の成長を認めることで「海斗を守らなければいけない」という自分の思い込みが間違いだと気付くことが出来ていたからでした。

同様に、海斗の方も静弥に諭されて自分の過ちに気付くことが出来ました。静弥は海斗と七緒が喧嘩している件について海斗に話をして、海斗は仲直りするようにと言われるのかと思ったら、静弥はとことんぶつかり合うことを勧める。静弥も湊が弓道に戻ってくるために弓道を続けており、湊がいてこそ自分の弓道があるという状態であったが、湊に自分の気持ちをぶつけて湊とある種の決別をすることで自分の弓道というものを見つけた。そのことを静弥は「あの時、僕の少年時代が終わった」と表現する。そして、同じように海斗と七緒も少年時代に決別すべきだと言う。

海斗も少年時代に「自分が七緒を守らなければいけない」と思い込み、その想いを今でも引きずっているから、七緒と真正面からぶつかり合うことが出来ない。弓引きとして意見の相違があってぶつかり合っているのに、互いに遠慮し合っているせいで話が核心に至ることなく、表面的な感情のもつれみたいな話で終わってしまい、延々と嫌味を言い合うだけになってしまう。だから衝突を恐れず、弓引き同士、己の意地をかけて勝負すべきなのです。それがお互いの真の成長を促す。

そうして海斗は七緒を弓道場に呼びだして弓道の勝負を挑み、七緒もそれを受ける。そして、お互いがお互いに勝ちたいのだと正直に言い合い、延々と勝負をして、最後は七緒の弓の弦が切れてしまい勝負はつかず、これから一生かけて続く勝負で決着をつけようと話がついて決着は持ち越しとなります。こうして海斗と七緒は少年時代を乗り越えて互いに競い合い切磋琢磨し合う大人の関係となり、弓引きとして一歩成長し、より真摯に弓道に向き合うようになり、風舞高校弓道部も少しまた強くなったというお話でした。まぁ海斗と七緒のキャラ掘り下げ話はいずれやらねばいけないものであり、非常に良い話であったとも思います。ただまぁあくまで本筋そのものではなくキャラ掘り下げ回ですから、これで一気にSランクとかいう話ではなかったですね。しかし出来の良いエピソードだったので、着実に順位は上げていってるという印象です。