アニメ視聴日記

アニメ視聴日記

日々視聴しているアニメについてあれこれ

2026年冬アニメのうち、3月12日深夜に録画して3月13日に視聴した作品は以下の2タイトルでした。

 

 

エリスの聖杯

第10話を観ました。

今回を含めて残り3話となりました。今回は冒頭は第1話でコンスタンスを陥れようとしてコンスタンスに憑依したスカーレットに返り討ちに遭い精神を病んで引きこもっていたパメラのもとに謎の老人が訪れてコンスタンスに復讐するよう唆す場面から始まりますが、この老人は声からすると、どうやらダェグ・ガルスの構成員であるルーファスの変装みたいです。もともとデボラの査問会にコンスタンス告発の手紙を送ったりしているところから、パメラはもうすっかりダェグ・ガルス側の都合の良い駒のように扱われているようです。

そして本編が始まると、前回のお話の続きから始まる。前回コンスタンスが手に入れた裏帳簿が証拠となってサイモン・ダルキアンは公文書偽造罪で逮捕され、妻のデボラも人身売買やジャッカルの楽園の密輸に関与していた疑いで修道院に送られたという。これでダルキアン家は力を失い、アデルバイド王国内でダルキアン家を後ろ盾としていたダェグ・ガルスには大打撃となったと思われる。なおコンスタンスに裏帳簿を渡してダェグ・ガルスの刺客たちと戦っていたキンバリー女史は怪我をしたものの無事だったようです。

これでダェグ・ガルスのアデルバイド内の勢力は減退したはずですが、まだダェグ・ガルスの手先は政府内にも多く存在しており、それに今はアデルバイドはファリスによる侵略戦争の危機の状態にあり、戦争によって現在の体制が打倒されてしまうと再びダェグ・ガルスの天下となってしまうでしょう。まずは戦争を止めねばならず、そのためにこそサイモン・ダルキアンを逮捕してファリスのユリシーズ王子の監禁場所を聞き出して王子を救出しなければならない。このままだと「ユリシーズ王子をアデルバイドに誘拐された」という口実でファリスが戦争を仕掛けてくるからです。

だがサイモンはユリシーズ王子の監禁場所を知らなかった。ならば自力でユリシーズ王子の監禁場所を突き止めるしかない。そこでスカーレットが「ダェグ・ガルスの関係者に港の持ち主はいないのか?」と質問してくる。ユリシーズ王子を誘拐した実行犯のサルバドルという男はケイトの目撃証言では褐色の肌のいかにも外国人という風体だったという。それなら街中で歩いていれば目立つので目撃証言が出てきそうなものだが、目撃証言は無い。それはつまり「基本的にはサルバドルは普通の街中ではなく外国人が多く出入りするような場所に居る」ということになる。それはつまり貿易港のような場所だ。サルバドルはユリシーズ王子を見張っていなければいけないので、そうなると王子も貿易港の付近、たとえば倉庫とか、そういう場所に監禁されているのではないか。そうした監禁場所として使える倉庫を貿易港に所有しているダェグ・ガルス関係者を洗えば、王子の監禁場所は絞り込めるのではないかとスカーレットは言うのです。

すると、例の仮面舞踏会で転倒して負傷したキアラ・グラフトンはダェグ・ガルスの仲間であったが、彼女の家は埠頭を所有しており、そこには倉庫のあるはずだとランドルフは言う。そこで調べに行くことになったが、コンスタンスも同行するという。ランドルフとしては危険な展開になる可能性もあるのであまり歓迎できないところだったが、いつも「1人で行動するな」と言っているのに勝手に1人で行動するコンスタンスを1人で残しておいた方がむしろ危なっかしいので自分を納得させる。

ただランドルフは馬車の中でコンスタンスに向かって、そうした「コンスタンスを監視する」という役目ももうすぐ終わりだという話をする。コンスタンスが危険なことをするのはスカーレットの「復讐」を手伝っているからです。スカーレットを刑死させた黒幕は父であるカスティエル公爵であったことは判明したが、公爵にそうした苦渋の決断をさせたのはファリス王国の「エリスの聖杯」という侵略戦争の陰謀であった。だからスカーレットの「復讐」はまだ終わっていない。ファリスの「エリスの聖杯」計画を暴き、ぶっ潰すことでようやくスカーレットの無念は晴れるといえます。そして、それはユリシーズ王子を救出して「エリスの聖杯」計画を頓挫させ、それを企んだ人間を明らかとすることで達成される。

この馬車の向かう先にユリシーズ王子が居ればそこで達成される。もし今回達成出来なかったとしても近いうちに達成されるはずだ。いや達成されなければ戦争が始まってしまうのだから、絶対に達成させねばならない。だから「もうすぐスカーレットの復讐は終わる」という心づもりでランドルフもコンスタンスも動いている。だが、そうなるともうコンスタンスはスカーレットのために危険な行動をする必要も無くなり、元の平穏な生活に戻ることになる。そうなればランドルフはコンスタンスを監視する必要が無くなり、見せかけの婚約者を続ける必要も無くなる。

だから「婚約関係を解消する手続きの準備をする」とランドルフは言う。もちろんコンスタンスに非が無い形で解消して、コンスタンスの経歴に傷がつくことの無いようにするとのこと。ランドルフとしては「コンスタンスを監視する」という目的以外に「結婚をしたくないから見せかけの婚約者が欲しかった」という理由もあったのだが、もともとこの婚約は孤立無援だったコンスタンスに手を貸してやるという条件で結んだ契約であったので、ランドルフがコンスタンスの「弱みに付け込んだ」という形になっている。スカーレットの復讐が終わる以上、コンスタンスにとってはその「弱み」が無くなるわけだから、ランドルフがコンスタンスの弱味に付け込んで「形だけの婚約者」を演じさせていたという状態も自然解消されるのが当然の流れであった。

確かに始まりはそういう形であった。しかし現在はコンスタンスはランドルフを慕っており、もう彼女自身の心情としては「形だけの婚約者」のつもりではなくなっていた。だから婚約解消というのは寂しい。もちろんランドルフが自分のような冴えない家柄も低い女を本気で好きになるはずはないとは思っているが、それでもランドルフが「結婚したくない」という事情を抱えているのなら、自分ならばそんなランドルフの傍に居ることは出来るのではないかと自負してはいた。

ランドルフが結婚をしたくない理由は、王家の闇の処刑執行人のような役割を果たす家柄ゆえに「普通に女性と結婚して幸せにすることが出来ない」というコンプレックスがあるからだった。コンスタンスはそのことを先日知ったのだが、その際に「自分ならばそんなランドルフを受け入れることが出来る」という気持ちは伝えたつもりだった。それに対してランドルフも素直に応じてくれていたので、コンスタンスは「本当の婚約者ではなくて形だけでも2人の婚約関係は続けていけるのではないか」と淡い期待を抱いていた。

だがランドルフは朴念仁なので、そうしたコンスタンスの想いを「友情」と解釈していた。血で染まった家系の男のことを本気で好きになる女性など居るはずがないと思っていたので、あくまでコンスタンスが友人として自分の傍に居て支えてくれようとしており、そのために自分の幸せを犠牲にして「形だけの婚約者」を演じ続けようとしてくれているのだと解釈しており、それはコンスタンスの未来のために良くないと思っていた。本当はランドルフもコンスタンスと離れたくはなかったのだが、自分の事情にこれ以上若いコンスタンスを付き合わせるべきではないと我慢した。

コンスタンスはランドルフが自分の気持ちを受け入れて婚約関係を続けてくれるのかと期待していたのでショックを受け、このままランドルフが孤独に生き続けるつもりなのかと心配になり「閣下はどうするんです?」「結婚はしないの?」と問う。それを聞いてランドルフはコンスタンスとならば今の関係を続けていけるのではないかと思いつつ、それは口にすべきではないと思い、感情を押し殺すように「しない」「相手を幸せに出来る自信がない」と腕組みしてコンスタンスから目を逸らしたまま答える。それでコンスタンスも「自分ではランドルフの力にはなれなかったのだ」と落胆して黙り込んでしまう。そうした2人の遣り取りを見てスカーレットは「バカな男ね」とランドルフに呆れる。どうしてコンスタンスの恋心に気付いてやれないのか。しかしコンスタンスにそうした指摘を伝えて言わせるわけにもいかないのでスカーレットとしても打つ手なしであった。

そうしてグラフトン家の所有する埠頭の倉庫に到着するが、鍵が閉まっていて中には入れない。中から物音もしない。そこでスカーレットが浮かび上がって窓から中の様子を窺うと、中には何者かが居た形跡があったが、もぬけの殻となっていた。そこに突然にランドルフとコンスタンンスが襲撃を受けた。手榴弾が投げ込まれ、複数の人間からの銃撃も受けた。慌てて物陰に隠れてランドルフは反撃するが、どうやらランドルフ達が接近してくるのに勘づいて待ち伏せしていたようだ。

つまりダェグ・ガルスがこの倉庫を見張っていたのであり、やはりこの倉庫にユリシーズ王子が監禁されていたみたいです。中に人が居た形跡があったのも王子を監禁していた形跡なのでしょう。おそらくランドルフ達がやって来るのに気付いて、サルバドルは慌てて王子を袋にでも詰めて別の出口から逃げて行ったと思われ、配下の連中が待ち伏せしてランドルフ達を攻撃してきたようです。

完全に囲まれてしまっていたので、ランドルフはコンスタンスを逃がすために自分が囮になると言い出す。そうして自分が敵の注意を引き付けている間に逃げるようにとコンスタンスに言い、スカーレットにもコンスタンスを頼むと言い残し、ランドルフは隠れていた場所から飛び出して1人で駆けまわって敵と銃撃戦を繰り広げる。コンスタンスは慌ててランドルフを追いかけようとしますがスカーレットに止められる。

一方追い詰められたランドルフはいよいよ最期かと覚悟を決めるが、そんな状況でも頭に浮かぶのは「グレイル嬢は無事に逃げ延びただろうか?」とコンスタンスを心配する考えばかりだった。自分の命が危ないというのにコンスタンスのことばかり考える自分に苦笑するランドルフであったが、いよいよ最後の突撃をかけようという時、敵に対してスカーレットの雷撃が炸裂して戦力が大きく減り、その隙を突いてランドルフは窮地を脱して反撃に転じて勝利することが出来た。

実はスカーレットはランドルフが危ない状況でコンスタンスがあまりに狼狽して動けなくなっていたので、いっそランドルフを加勢した方がマシだと思って参戦していたのです。コンスタンスは自分が動けないせいでスカーレットに無理をさせてしまったのではないかと更に狼狽して最初の隠れていた場所に1人で突っ立っていましたが、そこにスカーレットが戻ってきて、次いでランドルフも戻ってきて「逃げろと言ったはずだが」と説教しようとするが、コンスタンスはランドルフに縋りついて「このバカ閣下!」と怒鳴り「あんな状況で閣下を置いて逃げられるわけないじゃないですか!」と詰る。

しかしコンスタンスが泣いているのでランドルフがどうして泣いているのか尋ねるとコンスタンスは「怖かったから」だと答える。「怖かったのなら逃げれば良かったじゃないか」と指摘するランドルフに対してコンスタンスは「あなたが死んじゃうと思ったから怖かったんです!そんなことも分からないのか!この大馬鹿野郎!」と、とことん鈍いランドルフへのいら立ちを爆発させる。それでランドルフもようやくコンスタンスが自分を愛してくれているのだと気付き、これまで自分の無神経な発言でコンスタンスを何度も傷つけてきたのだと悟り反省する。

その上でランドルフも自分の気持ちに正直になる覚悟を決め、コンスタンスの涙を拭く手に触れ、「俺も怖かったんだ」「君を失うかと思って」と正直に打ち明け、自分が無茶な行動をとってコンスタンスを怖がらせてしまったのは確かに無神経な行動ではあったが、それは大切なコンスタンスを失うのが恐ろしくて、それならいっそ自分が死んだ方がマシだと思ってしまったからなのだと説明する。そして、結局2人とも相手を大切に想うあまりに失うのが怖くなって自らを危険に晒してしまったという点では同じだったのだという意味で「同じだな、コニー」と、初めてコンスタンスを「グレイル嬢」ではなく親愛を込めて「コニー」と呼んだのでした。

その上でランドルフはコンスタンスの手をとって「許されるなら、君と共に人生を歩んでいきたいんだ」と言う。コンスタンスに自分と共に人生を歩ませるということは不幸にするということであり、ランドルフはそんなことは許されないと思っている。しかし、それに対してコンスタンスは「私が許します」と応じる。自分が不幸になることをコンスタンス自身が許すというのだから、他の誰がそれを許さないと言ったとしても何の意味もない。だからランドルフは何も気にすることなく自分と共に人生を歩んでくれていいのだとコンスタンスは言うのです。そして、それでもランドルフを非難する人間がいたとしたら「ひっぱたいてやります」とコンスタンスが笑うと、ランドルフは「君はすごいことを言う」と驚きつつ「是非そうしてくれ」と応じて、こうして2人の恋は成就したのでした。

一方、修道院を脱走したデボラがアビゲイルへの意趣返しに姪のルチアを誘拐するという事件を起こすが、サルバドルがデボラを修道院に戻してしまう。それも散々に痛めつけてロクに喋れない状態にして。どうやらユリシーズ王子を隠すために憲兵局の注意をデボラに向けさせておく方がサルバドルには好都合みたいであり、デボラの個人的な復讐など余計なことみたいです。そういうわけでサルバドルはルチアを一旦は解放したのですが、ルチアがユリシーズ王子の存在に気付いたためにサルバドルはルチアを返すわけにはいかなくなったようで、ユリシーズと共に連れ去ってしまったみたいです。サルバドルは「子供を殺さない主義」と言っているので、おそらくルチアを殺してはいないと思います。

また、グラフトン領の埠頭の倉庫を検分してみたところ、ユリシーズに提供されていたと思われる食事も残されていたことから、ユリシーズ王子が殺されてはおらず生存していることも明らかとなった。そのことについてファリス反戦派のサン達が不審に思う。ユリシーズは「アデルバイドに誘拐された」という戦争の口実にさえなればいいはずだから、生死はどっちでもいいはず。ただサン達がファリスにおける黒幕だと睨んでいる第4王子のテオフィリスが主犯だとすればユリシーズは殺されるはずだとサン達は睨んでいた。何故なら王族内での血の濃さではテオフィリスとユリシーズが共に抜きん出ており、テオフィリスから見てユリシーズは邪魔者のはずだからです。だから戦争の口実にするついでに命も奪うはず。だがユリシーズが殺されていないということは、黒幕はテオフィリスではないことになる。そうなると王位継承権を放棄していない第2王子のロドリックが怪しいということにサン達は気付いた。

一方、ランドルフとコンスタンスを襲ったダェグ・ガルスの下っ端たちの使った爆薬がメルヴィナ共和国から不正に輸入されたものだったことが判明した。この件についてアデルバイドのエルンスト王がメルヴィナを非難し、この件を不問とする代わりに貿易協定を結ぶよう要求することになった。これはつまり、もうメルヴィナはファリスに武器弾薬の提供が出来なくなり、代わりにアデルバイドには武器弾薬を融通するようになるということです。これによってファリスはアデルバイドとの戦争で不利な立場となる。要するにエルンスト王は埠頭での事件を利用してメルヴィナを揺さぶりファリスを牽制して開戦を断念させようとしているのです。既にファリスはかなりの武器弾薬を備蓄しているので短期決戦は十分に出来るでしょうけど、もし戦争が長引けばファリスが不利になる可能性が生じたわけで、これはファリス内の反戦派を勢いづかせる効果はありそうです。

つまりエルンスト王はアデルバイド内のダェグ・ガルスの手によってメルヴィナ産の爆薬が不正輸入されているという情報を既に掴んでおり、それが使用されるのを待ち構えていたのです。リリィの手紙にも記されていたようにセシリア王太子妃がメルヴィナの爆薬の不正輸入の手引きをしていたのであり、どうやらエンリケ王太子がセシリアがダェグ・ガルスの一員だと分かった上でわざと王太子妃にして傍に置いて監視して、そうした不正を全て把握していたようです。把握しても罰することは出来なかったし、あえて罰することもせず、泳がせてこうしてメルヴィナへ圧力をかける口実を作ってくれるのをじっと待っていたみたいです。これはセシリアの失態であり、この結果「エリスの聖杯」作戦は失敗の可能性が上がってしまった。ただ、それでもセシリアやルーファスらはエンリケに毒を盛って動けなくしておいて「エリスの聖杯」を強行するつもりみたいです。

そのために「邪魔者は片付けておく」という意味でセシリア達が仕掛けてきたのが、コンスタンスをユリシーズ王子誘拐犯として逮捕するという工作であった。これが冒頭の場面でダェグ・ガルスがパメラを唆してやらせたことであり、どうやら冒頭の場面は時系列的には埠頭の事件の後だったようですね。つまりダェグ・ガルスは埠頭の銃撃戦に居合わせたコンスタンスとランドルフをユリシーズ王子の誘拐犯だと冤罪で陥れようとしたわけです。埠頭の倉庫にユリシーズが監禁されていたのは間違いなく、それならその場に居合わせた2人が怪しいというわけです。

これに根拠を与えたのがパメラでした。パメラは「グラフトン領の埠頭でコンスタンスを見かけた」と憲兵局で証言したのです。しかもその前にコンスタンスと会い「グラフトン領の埠頭で貴方を見かけたような気がする」と言ったところ否定されたのだとも証言した。これは確かに事実であり、コンスタンスは音信不通だったパメラがいきなり現れてそんなことを言ってきたので、つい反射的に「人違いじゃないかしら」とはぐらかしていたのです。パメラはコンスタンスがはぐらかすというのは計算のうちで、それを利用して「コンスタンスが嘘をついて隠そうとした」と証言して、ますます怪しいという印象操作を行ったのです。

実際はコンスタンスが埠頭に居たのは憲兵局では周知のことだったので「コンスタンスは怪しい」という印象になってしまった。ただコンスタンスもランドルフも「ユリシーズ王子を探していたら襲撃された」と証言はしており、パメラが嘘を言っている可能性も十分ある状況なのだが、パメラの取り調べをしたのがダェグ・ガルスに内通しいている憲兵のゲオルグであったので、パメラの発言は全て真実とされ、一方的にコンスタンスが怪しいと見なされてコンスタンスはゲオルグによって逮捕されてしまった。

ただダェグ・ガルスはコンスタンスを「邪魔者」と見なしているわけではない。あくまで動きを封じたいのはランドルフの方です。このままランドルフを自由にさせておくとユリシーズ王子を見つけ出してしまうかもしれない。それを避けるために婚約者のコンスタンスを誘拐犯に仕立てあげてランドルフのことも共犯の容疑者として取り調べて、自由に動けないようにしようとしているのだ。コンスタンスが犯行を否認することは予想していたので「それなら共犯の可能性があるランドルフを調べなければならない」というように話を持っていこうというのがダェグ・ガルスの目論見でした。

だがコンスタンスはそうしたダェグ・ガルスの思惑を理解し、なんと「自分がユリシーズ王子を誘拐しました」とあっさり認めてしまい、ランドルフは無関係であり「ダェグ・ガルスという犯罪組織を後ろ盾にして誘拐した」ととんでもないことを暴露してしまった。これで「ユリシーズ王子の誘拐はダェグ・ガルスの仕業」という真実がバレてしまったことになる。こうなるとゲオルグはこれ以上コンスタンスを取り調べることが出来なくなった。下手に喋らせると何を言い出すか分かったものじゃないからです。しかもコンスタンスは犯行は完全に認めており、ランドルフは誘拐事件に無関係だと言い、ランドルフとの婚約も破棄してしまった。こうなるとランドルフを拘束して調べる口実も無くなってしまう。

こうしてダェグ・ガルスの目論見は失敗に終わってしまい、コンスタンスの供述を信用するならば「未だ行方不明のユリシーズ王子はダェグ・ガルスによって何処かに監禁されている」ということになるが、そんな「真実」は不都合すぎるので黙殺され、犯行はコンスタンスの単独犯であり、犯人は逮捕されたが被害者のユリシーズ王子は行方不明という奇妙な状況で幕引きということになってしまう。そうして強引に話を纏めてしまい、その間に開戦してしまおうということになる。

つまりダェグ・ガルスの企みを阻止するためにコンスタンスは犯罪者となり、ランドルフはせっかく初めて心から一緒になりたいと思えた婚約者を失ったということになる。そしてユリシーズ王子の誘拐がアデルバイド人によって行われたということで、未だファリスがアデルバイドに戦争を仕掛ける口実は生きており、それを阻止するためにはコンスタンスの犠牲で自由を得たランドルフがユリシーズ王子を開戦までに見つけ出すしかない。

そんな状況下でランドルフは牢屋にやって来てコンスタンスに婚約破棄について抗議する。コンスタンスの考えは理解できる。こうして自分が自由に動けるようになることが開戦を阻止してアデルバイドを救うために必要なことだと分かっている。だがそれでもこれまで人生において自分が結婚してもいいと思えた初めての相手であるコンスタンスから婚約を破棄されたということが、たとえコンスタンスの本心を分かった上であっても、ランドルフの心を大きく傷つけていたのだ。

そんなランドルフに向かってコンスタンスは、もしも全てが終わって皆で笑い合える時が来たらランドルフのもとに押しかけて、その手を掴みに行きたいと思っていることを伝える。するとランドルフは「それは難しいだろうな」と応える。それは「笑い合える日が来る」のが難しいという意味ではなく、「押しかけること」が難しいという意味です。何故ならコンスタンスがランドルフのもとに押しかけるよりも前に、全てが終わったら真っ先にランドルフの方がコンスタンスのもとに押しかけてプロポーズをするからなのだという。そうして2人は鉄格子越しに約束のキスをして別れますが、婚約破棄して他人同士の関係なので唇でのキスではなくランドルフがコンスタンスのおでこにキスをしただけに止めました。

しかし、エルンスト王がメルヴィナに行き不在の上にエンリケ王太子が毒を盛られて寝込んでしまっている状況で代理の王として玉座に座る第二王子のジョアンに対してルーファスがジョアンの娘を人質にとって「ファルスによる開戦を止めるためにはユリシーズ王子誘拐犯のコンスタンスの公開処刑という見せしめが必要」と迫る。これは一体どういう意図なのか。ダェグ・ガルスはコンスタンスを処刑すること自体はどうでもいいはず。あるいはコンスタンスの命を盾にランドルフに何か取引を持ち掛けるつもりなのかもしれません。そういうところで今回のお話は終わり、次回に続きます。

 

 

勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録

第10話を観ました。

今回を含めて残り3話となりました。今回は前回のお話の続きで、ヨーフ市でザイロ達は待機を命じられる。フェアリーと手を組んだ共生派の狙いがテオリッタと判明し、危険なので街に出ることは出来ずテオリッタはつまらなさそうです。一方でキヴィアは前回セドリックが言い残した「マハイゼル・ジエルコフ」という共生派の名前に心当たりがあるようで悩んでいる様子。そんな中、ライノーという懲罰房に入った勇者を出獄してくるが、どうも薄ら笑いを浮かべて綺麗ごとばかり言う胡散臭い男で、自ら志願して勇者となった変わり者みたいです。

そこに敵襲があり、フェアリーが港の塔を占拠しているというが、それは囮だとザイロとライノーは判断します。しかし民間の街区の防衛は勇者部隊に押し付けられて聖騎士団は貴族の街区を守るために城壁の奥に残ることになり、勇者部隊は圧倒的に人手が足りない状態となる。それに対してライノーは城壁を砲撃で破壊して貴族の街区にもフェアリーを侵入させれば全軍一丸で戦えるなどとムチャクチャな提案をする。「苦しみや痛みは皆で共有して絆を結んでいくからこそ人間は素晴らしい」とか綺麗ごとを言ってますが完全にサイコパスです。

ザイロはその案は「民間人を危険に晒す」という理由で却下しますが、港に停泊している貴族の財産を積んだ船を砲撃するようライノーに命じます。それなら城壁内の民間人の被害を出すことなく、貴族の財産を守るために聖騎士団も城壁外に出撃して来ざるを得なくなるからです。その一方でベネティムは船が襲われたのを口実にジェイスのドラゴンの使用許可を願い出るが、マーレン大司祭の名を出したところキヴィアの怒りを買い、慌てて地下通路の閉鎖の話に切り替えて誤魔化しますが、どうもキヴィアは叔父のマーレンだ疑われていると誤解して感情的になったようです。どうもキヴィアは叔父のマーレンを共生派だと疑っているのかもしれません。

戦場ではフェアリーが聖印を扱って攻撃してくるという予想外の事態も生じる。どうやら共生派の連中が使い方を教えたようです。これをライノーが撃破しますが、その際に民家も吹っ飛ばしてしまう。また地下通路の防衛線にはブージャムが現れて騎士たちを虐殺して侵入してくる。そんな中、キヴィアは叔父マーレンの言葉を聞き何か深刻な顔になる。そういうところで今回のお話は終わり、次回に続きます。

2026年冬アニメのうち、3月10日深夜に録画して3月11日に視聴した作品は以下の2タイトルでした。

 

 

真夜中ハートチューン

第10話を観ました。

今回を含めて残り3話となりました。今回はまず学校でしのぶと六花と寧々が山吹の噂話をしている場面から始まる。前回のエピソード内容を承けて、山吹がイコのコラボ配信で奔走したいたとか、また寧々に声優学校のパンフを10冊送り付けたとか、六花には路上ライブの日程を詰めにきたりと、相変わらず精力的に動いているという話です。しかし、そんな六花と寧々の話を聞いているしのぶの顔がちょっと困惑した感じなのは、しのぶの場合はそういう山吹の積極的な働きかけが無いからなのでしょう。ただ嫉妬したり焦ったりしている様子でもない。単に「困っている」という感じです。

それは、おそらくしのぶはイコや寧々や六花に対して山吹が積極的に手伝っているのにはそれなりの理由があるのだということが分かっているからなのでしょう。そして、それが自分には無いということも分かっている。だから自分だけ山吹が積極的に働きかけてこないのは当然のことだと諦めている。

イコや寧々や六花の「それなりの理由」というのは、彼女らは自発的に夢に向かって動いていたからです。イコは無謀ではあったが登録者300万人を目指してトップ配信者の百歳あおに張り合おうとしていた。寧々は演劇部でのお芝居に挑戦しようとしていた。六花はオリジナル曲を作ろうとして四苦八苦していた。それらは全て上手くいかず行き詰ってしまい、その結果、山吹が助け舟を出し、結果的に3人はそれぞれ夢に向かって一歩前進できた。それらは山吹の手柄みたいにも見えるが、もともとは3人が自発的に困難に挑戦したからこそ始まった話なのであり、3人が動いた結果、夢に一歩近づき、そして山吹との絆も深まり、山吹はよりいっそう3人の夢に深く関わっていくようになったといえます。

だが、しのぶの場合はそういうふうに自発的に夢に向かって動いていなかった。だから4人の中でしのぶだけが夢に向かって一歩も進んでおらず、山吹とも深く絡むことがなかった。だから自分だけが他の3人のように「山吹にこういうことをしてもらった」と言えるような話題が特に無いのも「仕方のないことなのだ」と、しのぶは諦めている。だが、だからといって他の3人と山吹が親密だという話を聞いて平静でもいられない。そこは「仕方がない」とは言えない。

つまり、しのぶの「困惑」の正体とは、そういう「仕方ない」という気持ちと、それと真逆に「仕方なくない」という気持ちが心の中に同居している状態に「困惑」しているということなのでしょう。もっと詳細に言えば、「夢に向かって進んでいないのだから他の3人に比べて山吹との距離が遠いのは仕方ない」という「理性」と、「それでも山吹との恋愛で他の3人に負けたくない」という「感情」のせめぎ合いに困惑しているという感じでしょう。しのぶ本人は「理性」の方を優先して遠慮がちであろうとしているようですが、どうしても「感情」も抑え難いようで、そういう自分の「感情」に困惑しているといえます。

今回のエピソードはそうしたしのぶの複雑な心理がメインで描かれたわけですが、まずは放送部に遂に新機材が入って、それに合わせて昼休みの校内放送でも「4人の恋愛相談コーナー」という新企画がスタートしたというお話が描かれます。校内の匿名の誰かからの恋愛相談に放送部の4人のヒロインたちがワイワイやりながら答えていくというものです。なお山吹は「恋愛相談は専門外だ」とのことで、昼休みは放送室には行かず他の生徒たちと一緒に食堂で昼食を摂っている。

ここで「イタチさん」という人からの恋愛相談があり、4人がそれぞれ山吹との出来事を連想してアドバイスをしたところ、実はイタチさんの正体は体育の鮫島先生であり、放送部顧問の安藤先生へのアプローチに関しての相談であったのですが、4人のアドバイスは全て裏目に出てしまい鮫島先生は安藤先生にフラれてしまうという悲しい結末となりました。しかも山吹とのハグを根拠に「ハグすべき」と主張した六花と、山吹とのキス(文庫本越しだが)を根拠に「キスすべき」と主張した寧々の意地の張り合いが新機材を扱い慣れていないしのぶのミスで校内に流れてしまい、六花と寧々が「経験豊富」だと誤解されて校内で大恥を掻くという失態もありました。

そんなアホなことをやっていたので慌てて山吹も放送室に駆け付け、とにかく「全てフィクションでした」とまとめて昼休みの放送は終わりましたが、お開きとなったその場で、ついでに山吹がイコと次の配信計画の打ち合わせを始める。その会話の中で山吹が以前のように「霧乃」ではなく「イコ」と呼んでいるのに他の3人は気付く。山吹は最近はイコと一緒にいる時間が増えて、ついつい無意識に「イコ」と呼ぶようになったのだという。

それで山吹はイコに確認をとってみたところ、イコは「嫌じゃない」と言うので、山吹は今後は「イコ」と呼ぶと決めた。すると張り合うように寧々も「寧々」呼びを要求し、六花も「六花」呼びを要求し、山吹は3人のことを名前呼びすることになった。しかし、そうなると「雨月のことも他の3人と同じように『しのぶ』と呼んだ方がいいのだろうか?」と山吹は気を遣い、しのぶに確認してみたところ、しのぶは「私は恥ずかしいからいい」と遠慮する。

実際はしのぶは「自分は他の3人と比べて夢に向かって進んでない分、他の3人よりも山吹くんとの距離が遠いのは仕方ない」という「理性」を持っているので、それに従って「他の3人が名前呼びになったからといって、それに便乗して自分も名前呼びにしてもらうのはズルい」と思って名前呼びは遠慮したのでした。だが山吹はそんなしのぶの気持ちは分からないので、単に普通にしのぶの言葉をそのまま受け止めて「名前呼びを恥ずかしがって拒否された」と解釈した。

そうして山吹としのぶは放課後の2人でファミレスに行って勉強会をします。これは「アナウンサーには教養が必要だ」という山吹の提案で、山吹がしのぶの勉強を見てやっている会なのだが、これは他の3人のように「しのぶが自発的に何かに挑戦した結果の産物」というわけではない。あくまで山吹が一方的に発案したものです。だからしのぶは受け身な立場でこの勉強会に参加していることになります。ただ、それでもしのぶは積極的にこの勉強会に参加している。

そのファミレスでの勉強会の場で、山吹が食べているポテトが美味しそうだったので、しのぶは1本貰うことになったが、しのぶがポテトを触ると油が本やノートに付いてしまうので山吹は自分の手でしのぶにポテトを食べさせようとする。すると「自分が他の3人みたいに山吹くんと距離を縮めるのはズルだ」と思っているしのぶは思わず遠慮してしまい、急に「ポテトはあんまり好きじゃない」と言ってしまう。

山吹は不思議に思うが「そうか」と引き下がり、何気なく「ここのポテトは六花も好物らしいぞ」と言う。それを聞き、さっそく山吹が「六花」と名前呼びしていることにしのぶは嫉妬してしまう。理性では「自分にはそんな資格は無い」と思いつつ、いざ山吹が六花を名前呼びしているのを聞くと、しのぶはどうしても嫉妬の「感情」が湧き上がってきて「理性」を押しのけてしまう。それでしのぶはいきなり山吹の手を掴んで、山吹の持っていたポテトにかぶりつき、真っ赤な顔でそれを呑み込むと「もう1本ください」と言って山吹の顔をキッと睨む。

山吹はしのぶの奇妙な行動に面食らうが「もしかして六花を名前呼びしたので怒って態度が変わったのか?」と気付き、試しに会話の中で「寧々」や「イコ」とわざわざ名前呼びをしてみる。するといちいち、しのぶの反応が顕著だったので、山吹は「やはり他の3人を名前呼びするとしのぶは動揺するようだ」と確信する。それでしのぶに「他の3人を名前呼びしてることと関係あるのか?」と確認してみたところ、しのぶは「関係ない」と否定する。また「お前も名前呼びしなくていいのか?」と確認してみるが、しのぶは「大丈夫」「それだとズルだから」と言う。

山吹は「ズル」というのは意味が分からなかったが、要するにさっき放送室で「恥ずかしいから名前呼びしないでほしい」と言っていたのは嘘であり、どうやらしのぶは本当は名前呼びしてほしいみたいであり、それを「ズルだから」という理由で遠慮しているのだということは分かった。ただ、その「ズル」というのがやはりよく分からないままだった。

そうして勉強会は終わり、雨が降り続いていたが山吹の傘が大破して使い物にならないので2人は相合傘で帰ります。そうして並んで歩きながら、しのぶのモノローグでその「ズル」についての説明がある。ここでしのぶは「4人の中で私だけ夢の形が違う」ということが「後ろめたい」のだと言っている。そして、しのぶは「夢との距離がそのまま山吹くんとの距離になる」という独特の考え方をしており、他の3人は夢に向かって近づいたから山吹との距離も近づいたのに対して、自分は夢に向かって進んでいないので山吹との距離を縮めてはいけないと思っている。

ただ、ここでしのぶの言っている「後ろめたさ」というのが何を指すのかがどうもハッキリしない。それは「夢の形が違う」というのが具体的にどういう意味なのかこの時点ではよく分からないからです。今回描かれた内容から推測すると「夢に向かって進んでいない=夢の形が違う」とも解釈できて、つまり「自分だけ夢に向かって進んでいないことが後ろめたい」とも解釈できます。ただ、そうではなく「夢に向かって進んでいない自分が山吹と距離を縮めてはいけない」にもかかわらず、感情に流されて「自分も名前呼びしてほしい」とか「成績が上がって夢に向かって進むことよりも、このまま成績が上がらず山吹との勉強会がずっと続く方がいい」などと思ってしまう自分の身勝手な感情が「後ろめたい」とも解釈できる。

ただ、この場合も結局のところ、しのぶが「夢に向かって進まないで恋愛を優先することは後ろめたいことだ」と基本的に考えていることが原因といえます。ならば「夢の形が違う」というのは「私だけ夢よりも恋愛を優先している」という意味なのかもしれない。今回のエピソードの文脈においては、それが最も「後ろめたさ」の正解に近いのかもしれない。だからしのぶは現在の「夢に向かって進むよりも恋愛を楽しんでいる自分」は名前呼びされるのは後ろめたいので苗字呼びが相応しいと考えている。そして、いつか夢に大きく近づいたと思えたなら、その時にはもう後ろめたさは無いので、名前呼びをしてほしいと思っている。「後ろめたさ」や「夢の形が違う」という言葉の意味は大体そんなところなのだろうとは思う。

ただ、こうしたしのぶの特殊な「夢」と「山吹との恋愛」に関する考え方こそが、しのぶ自身に「名前呼び」や「勉強会への姿勢」などで「後ろめたさ」を感じさせる要因になっているといえます。普通の人間はこんなことで「後ろめたい」なんて思ったりしません。しのぶは何か変なのです。そもそもどうしてしのぶは夢に向かって進もうとしないのか?アナウンサーになるという夢があるはずなのですから、とっとと他の3人みたいに夢に向かって進めばいい。アナウンサーは確かに大卒でなければなれない仕事だが、それでも高校生の今でこそ出来ることがあるのは体育祭の告白代行の時に証明したはずだ。しのぶさえその気になれば他の3人と同じように夢に向かって進めるはずだ。

しのぶは別に「山吹との恋愛を優先したいから夢を疎かにしている」というわけではない。結果的にたまたまそういう形になってしまっているが、「山吹への恋愛感情」は本来は「夢」とは全く無関係に独立して存在する問題です。しのぶが勝手に「夢を疎かにしている」だけに過ぎない。しのぶには何か別の「夢に向かって進めない理由」があるみたいです。ただ「夢に向かって進めない」という事情を抱えた人間など世の中にはたくさんいるので、それをもってしのぶが特殊だと言うつもりはない。しのぶが特殊なのは「夢に向かって進めないこと」に「後ろめたさ」を感じていることなのです。

そして、どうやらその「後ろめたさ」は山吹に対してだけ感じているみたいなのです。しのぶは山吹に対して「夢に向かって進んでいないこと」で後ろめたさを感じているのです。だからこそ「夢との距離がそのまま山吹くんとの距離になる」という奇妙な考え方に行き着くのだ。つまり、しのぶは「夢に向かって進んでいる者しか山吹と一緒にいるべきではない」「夢に向かって進んでいない自分は山吹の前に立つ資格は無い」「夢に向かって進んでいない自分は山吹に対して後ろめたい」などと考えている。こんな奇妙なことを思い込める人間が居るとすれば、それは「アポロ」なのではないかという疑惑がどうしても湧いてくる。

「アポロ」は中学1年の時に山吹と「一緒に夢を実現しよう」と約束したが失踪した。それは「夢を叶えることが出来そうになくなったので逃げたから」と言っていた。アポロは間違いなく「夢に向かって進めない自分」を山吹に対して「後ろめたい」と思っているはずだ。もし「アポロ」が「夢」に向かって進めなくなったことで山吹に後ろめたさを感じていたとするなら、そんな自分が山吹のことを「かつて共に夢を目指そうと誓った相手」としてではなく、単に1人の男性として好きになってしまい、「夢を追うこと」よりも「恋愛」を楽しみたいなどと思ってしまったとしたなら、さぞ「自分にはあそんな資格は無い」と苦悩することだろう。

現状、4人のヒロインの中でそうした苦悩を見せているのはしのぶだけです。だからしのぶが「アポロ」である可能性が高いようにも思えるが、もし「アポロ」が山吹との再会を経て現在は再び夢に向かって進むことが出来ているのだとするなら、他の3人のうちの誰かが「アポロ」でも問題は無い。ただ少なくとも「アポロ」は体育祭の時点ではまだ「後ろめたさ」は感じていたはずなので、体育祭以前のエピソードで山吹との恋愛に遠慮がちであったヒロインがアポロである可能性は高い。しかしそうなると全員が当てはまるようにも思えてくるので、結局現時点で結論めいたことは言えません。それでも今回のエピソードにおけるしのぶの「山吹との恋愛と夢に関する奇妙な考え方」はかなり引っかかるポイントではありました。そういう感じで今回のお話は終わり、次回に続きます。

 

 

ダーウィン事変

第10話を観ました。

今回はリヴェラがルーシーの秘密について話を持ち出したところから始まりますが、それについては今回は「君らは共にアイデンティティを巡る旅をしている」とリヴェラが言及したのみで話は終わりました。「君ら」というのはルーシーとチャーリーのことを指すのだと思われる。チャーリーがヒューマンジーという特殊な存在として「自分は何者なのか」と考えるのは当然として、ルーシーの場合のアイデンティティの揺らぎとは一体何なのか、現時点では詳細は不明だが、ルーシーの動揺っぷりを見る限り、ちょっと重い問題みたいですね。

一方でチャーリーはリップマン少佐と対決しており、リップマンは現在の人類の文明は動物だけでなく人類自身にも有害なものとなりつつあることを指摘し、チャーリーが動物の代弁者ではなく人間側の痛みや苦しみを減らすことを目的としていたとしても協力はし合えるはずだと言って説得しようとする。しかしチャーリーは「僕はこの世界に対して全然責任を感じない」「勝手に放り込まれただけだから」と答える。この世界におけるチャーリーの異物感と、冷淡なまでの距離の取り方。それは出自や生い立ちからして仕方ないものだといえますが、リップマンは自分たちの常識の範疇を超えたチャーリーの怪物ぶりに戦慄する。そしてチャーリーはリップマンを倒してルーシーの監禁されている山小屋にやってきます。

そこでリヴェラはチャーリーに「チャーリーの生誕」に関する話をします。それによると、実はチャーリーの生母であるエヴァが実験動物として飼育されていたストラルド生物化学研究所を襲撃するようALAに依頼したのはその研究所で研究をしていたグロスマン博士だったのだという。グロスマン博士はエヴァと自分の精子を交配させてヒューマンジーであるチャーリーを生み出した、チャーリーの生物学上の父親にあたる人物です。

グロスマン博士は不正な研究データや莫大な報酬を支払い、その上で研究所を襲撃してエヴァを救い出してほしいと依頼したそうだ。つまりグロスマンの真の目的は「ストラルド研究所からエヴァとお腹の中のチャーリーを救い出すこと」だったようなのです。リヴェラは末端のメンバーには秘密でエヴァをグロスマンが指定した動物病院まで運んで放置していったらしいが、そのリヴェラもお腹の中の赤ん坊がグロスマンとの交配によるヒューマンジーだとは全く知らなかったそうです。

どうしてもグロスマンはチャーリーを誕生させたかったみたいですが、それはつまりストラルド研究所に置いたままではチャーリーは産ませてもらえなかったということなのでしょうか。そもそもストラルド研究所はグロスマンの研究を全く知らなかったらしいので、エヴァのお腹に赤ん坊が居ること自体を知らずにそのまま出産失敗となった可能性が高いということでしょうか。それならば出産までグロスマンがやり遂げれば良さそうなものだが、出産前にグロスマンは失踪してリヴェラにエヴァ救出を依頼し、それが成功した後もチャーリーに一度も会おうとせず現在も失踪中なのですから、何だか意味が分かりません。

リヴェラも人類の進化の加速のためにグロスマン博士を探しているという。そしてチャーリーに「父親に会いたいなら協力できる」と言ってチャーリーをALAに勧誘します。だが、そこにリップマンが現れてルーシーを人質に取ってリヴェラに「チャーリーを殺せ」と言う。リップマンから見てチャーリーはコントロール不能の異質な存在でありALAの敵となるから危険だということみたいです。だがリヴェラはそれに従う素振りは見せず、チャーリーはルーシー奪還のためにリップマンに襲い掛かるが、そこにグラハム保安官補の率いる警察隊がやってきてリップマンを撃ち、リヴェラを逮捕する。実はルーシーが事前にALAの襲撃に備えてグラハムに自分に付けた発信機を受信できるようにしていたのです。

これで一件落着かと思われたが、リヴェラの真の狙いが「ルーシーをエサにしてチャーリーを誘き出した隙にスタイン夫妻を殺す」ということだと判明し、チャーリーは慌てて家に戻りますが、自宅は既に炎に包まれており、炎の中に飛び込んだチャーリーは放火される前に既にスタイン夫妻が殺されていたことを知る。リヴェラの言うには近隣住民の仕業だというが、本当なのかは分からない。ALAの仕業かもしれないし、ALAが近隣住民を唆したのかもしれないし、本当に近隣住民の仕業だったのかもしれない。そのあたりがまだ不明な中、現場に駆け付けたFBIはチャーリーを拘束しようとして、銃を向けられたチャーリーは逃走する。また慌ててチャーリーを追いかけたグラハム保安官補とルーシーが山小屋を離れた後、リヴェラが警察隊を皆殺しにして逃亡します。そういうところで今回のお話は終わり、次回に続きます。

2026年冬アニメのうち、3月9日深夜に録画して3月10日に視聴した作品は以下の3タイトルでした。

 

 

ゴールデンカムイ最終章

第59話を観ました。

今回から遂に五稜郭での最終決戦編の開始となります。金塊の隠し場所が五稜郭であるという刺青人皮の暗号解読に同時に成功した鶴見陣営と土方陣営。ただし海賊房太郎の掴んでいた情報によって先に函館に向かっていた土方陣営が一歩先んじて五稜郭に到着したが、広大な五稜郭の何処に金塊が隠してあるのか分からない。そうしているうちに第七師団の函館の兵士たちが五稜郭にやってきて、それらを全滅させたものの土方たちは「鶴見陣営も暗号を解読して札幌から函館に向かっている」ということを知る。「先に暗号を解読したのだから五稜郭で腰を据えて金塊を探せばいい」と考えていた土方陣営は大いに計算が狂い、鶴見陣営が第七師団の兵たちを率いて五稜郭にやってくる半日後までに金塊を見つけ出して運び去らねばいけないという状況となる。

しかし現実的にはそんなことは不可能だった。まず金塊が何処にあるのか分からないというのが大問題であったが、百歩譲って今すぐに金塊が見つかったとしても、その量は2万貫だから現代の重さの単位に換算すると75トンとなる。総計75トンの金塊を土方陣営の10人程度の人数でたった半日で運び出すのは不可能です。数時間後にはソフィア率いるロシアパルチザンの120人もやって来るから、その人数なら運び出すことは出来るかもしれない。だが一体それだけの大量の金塊を何処に運んでいって隠すのか、そもそもアテもないし、何往復することになるのかも分からない。その場所に運び終わる前に間違いなく第七師団に見つかってしまうだろう。

とにかく金塊は探さねばならないし、見つければ運び出さねばいけない。そのためには多大な時間が必要なのだ。だが第七師団がやってくるのでその時間にタイムリミットが生じてしまっている。それが最大のネックであった。ならば解決策はただ1つ「タイムリミットを引き延ばす」ということしかない。つまり第七師団が五稜郭にやって来ても戦ってそれを食いとめて、そうして稼いだ時間の間に金塊を見つけて運び出せばいいのだ。

前回、杉元が「戦おう」と言ったのは、別に土方陣営やロシアパルチザンの連合軍で第七師団に勝利しようと言っているわけではない。最新装備で完全武装し兵員の数でも上回る第七師団相手にそれはさすがに厳しいことは杉元だって分かっている。ただ持久戦に徹して、金塊を見つけて運び出すだけの時間稼ぎが出来れば、それでいいのです。それぐらいなら出来るという意味で土方も「五稜郭での戦い方をよく知っている」と言っている。

五稜郭は幕末の戊辰戦争で幕府軍の最後の抵抗の地であり、土方歳三はここに立てこもって官軍を相手に籠城戦を戦い抜いた。つまり五稜郭で時間稼ぎのための持久戦をやるなら勝手は知っているのです。五稜郭は五芒星の形をしているが、これには籠城戦における有利を形成する工夫があり、5つの星の頂点付近に防御兵を配置することによって、五稜郭に接近してくる攻城側の兵たちを挟み撃ちにして攻撃出来るようになっており、それによって全く死角が存在しない籠城戦が可能になるのだ。それによって防御側の兵数が少なくても大軍相手に十分に持久戦を戦うことが出来る。実際、幕末の戦いの際は大軍で押し寄せた官軍を相手に土方たち幕府軍は兵数で劣っていながら長期間戦い抜くことが出来た。

もちろん幕末の官軍と日露戦争後の第七師団とでは戦力は全く違う。それでも、そもそも五稜郭のようなコンセプトの城というのは西洋で火縄銃が最強兵器だった頃に考案されたものであり、それでもナポレオン戦争を経た西洋軍の武器を採り入れた幕末の官軍相手に十分に戦えたのだから、第七師団相手でもそれなりに五稜郭も機能はするはずです。

いや、そもそも「それなり」で十分なのです。今回は幕末の戦いのように長期間籠城する必要は無い。金塊を見つけて運び出すための数日間を稼ぐだけでいいのです。それに第七師団だって幕末の官軍のように大軍で五稜郭を長期間にわたって包囲することなど出来ない。そもそも幕末とは違い、この戦いは「合法」ではないのです。現在の日本は日本政府が安定的に統治している状態であり、その中で鶴見たち第七師団の行動は「反乱」でしかない。だから大々的に攻城戦なんて出来ないのです。

五稜郭は確かに現在は無人の地であり周辺に民家も無い。しかし、それでもいきなり攻城戦なんて始めたら函館の一般人がビックリして中央政府も動き出し、第七師団が鎮圧される羽目となるだろう。だから鶴見としては「千人程度の兵力で一気に五稜郭を制圧して金塊を見つけ出して運び去る」という算段なのだと思われ、そこに土方陣営が五稜郭に立てこもってしぶとい籠城戦なんてやり始めたら鶴見としても計算が狂ってくるはずです。

土方陣営の10人程度では五稜郭の5つの星の頂点に防御網を作ることなど出来ないが、ロシアパルチザンの120人が加わればそれも可能になる。幕末の官軍相手ならどうにもならない程度だが、非合法に動くしかない第七師団相手に数日持ちこたえるのは十分に可能といえる。但し、それはあくまで兵数においての話であり、近代戦というのはそう単純ではない。最新兵器の登場によって兵数の議論など全く意味をなさなくなることが多々ある。

この第七師団を相手にする際に問題となってくるのは、五稜郭の構造上の有利を無意味にしてしまう圧倒的火力だ。具体的には長距離射程の榴弾砲と機関銃だった。これらの最新兵器は日露戦争で登場し、それによって防御陣地には「塹壕」が必要となった。城に居る兵たちは塹壕に籠っていなければ砲撃でただ一方的に全滅させられる羽目となる。これでは時間稼ぎどころではない。鶴見中尉の目算通りに電撃的に制圧されてしまうだろう。しかし五稜郭には塹壕が無いので、まずは塹壕を掘らねばいけなくなる。第七師団が五稜郭に到着する半日後までに十分な塹壕を掘ることが出来るかどうか分からないが、ロシアパルチザンたちが到着すれば人手も増えるし、籠城側の人数がそもそも少ないので塹壕もそこまで大規模でなくてもいけるかもしれない。

そうして塹壕を掘っていくことになり、そうしているうちにロシアパルチザン120人も五稜郭に到着し、防御陣地の構築も着々と進んでいった。それと同時進行で金塊探しも続けられたが、土方は五稜郭内の兵糧庫の床下を掘るようにと指示する。その理由は、土方の身体に彫られた刺青人皮には幾つもの文字の中に混じって「神」の文字があり、刺青人皮を重ね合わせて五稜郭の地形が完成した際、その土方の刺青人皮の「神」の文字の部位が五稜郭内のこの兵糧庫の位置と符号したのだという。

なお他の刺青人皮には「神」の文字は無かった。土方歳三の刺青にだけ、たった1ヵ所の「神」の文字があったのだ。そのようにウイルクが彫ったということになる。ならば、それはウイルクから土方に向けたメッセージなのではないかと思えた。そもそもウイルクは自分に追手がやってきてアイヌの仲間同士の殺し合いが起きて自分ものっぺらぼうとなった時「もう自分が金塊を使うことは出来ないかもしれない」と観念し、それで刺青人皮の暗号で金塊の隠し場所を残そうとしたと思われるが、どうやらその決断の直後に迷わず網走監獄を目指したみたいなのです。

それはおそらく「網走監獄に土方歳三が収監されている」という情報を得ていたからではないかと思われる。そして土方の身体にだけ「神」の文字を彫った。それは「五稜郭で戦ったことがある土方がこの暗号を解いたなら、必ずこの兵糧庫に何かがあるということに気付くはず」という計算があったからなのだろう。逆に土方以外の誰かが暗号を解いたとしても、この兵糧庫には辿り着くことは出来ない。つまり、この兵糧庫には何かが隠してあり、それは「土方歳三ならばその意味を理解してくれて自分の望み通りの使い方をしてくれるはず」とウイルクが考えたような代物であるということになる。

普通に考えればそれが「金塊」なのだと想像してしまう。しかし「土方歳三なら理解できるはず」という条件が加わるとなると、単純に「金塊」というわけでもないようにも思える。そもそもウイルクの作った刺青人皮の暗号は「五稜郭」という解答を提示するためのものであり、そこから更に突っ込んで「金塊の隠し場所」を教えるものではないようにも思える。「五稜郭」という場所さえ判明すれば、こんな切羽詰まった状況でさえなければ、あとは自力で探し出せるはずだからです。だからこの「神」の文字で示された兵糧庫に隠された物はもっと別の「土方歳三宛ての何か」であるのかもしれない。だが、そのためにわざわざウイルクは網走監獄に行ったわけだから、これはこれでよほど重大なものなのでしょう。そして土方はこれが金塊の隠し場所の重要な手掛かりになるかもしれないとも思い、まずこの兵糧庫の床下を掘ることにしたのでした。

そうして掘り進み、深夜に兵糧庫の床下から出てきたものは厳重に保管された1冊の冊子であった。それは土地の権利書であり、冊子にはその権利書が作成された経緯も記されていた。それによると、幕末の頃に金塊を集めてロシア領事と取引して武器を買おうとしていたキムシプらアイム指導者たちはロシア領事たちが死んで金塊の使い道が無くなった後、五稜郭に立てこもった幕府軍と取引をして金塊と引き換えに土地の権利を得たみたいでした。

当時、五稜郭に逃げ込んできた幕府軍は「蝦夷共和国」という独立国を作ったが、軍資金が足りず苦労しており、そこで使い道の無くなった金塊を持っていたキムシプたちとの間に取引が生じたのです。キムシプたちは蝦夷共和国の総裁であった旧幕臣の榎本武揚と「金塊を渡す代わりにアイヌの土地占有を認める」という条約を結んだのだという。その土地の権利書がこの兵糧庫の床下に埋められていた権利書であり、つまり「金塊で買った土地の権利書」というわけだが、その土地は北海道の各地の山林を含む広大な範囲にわたっていた。

だが現在それらの土地はアイヌの占有にはなっていない。つまりこの契約は履行されていないのだが、その理由は、そもそもキムシプらが榎本に金塊を引き渡す前に五稜郭の戦いが幕府軍の敗北で終了してしまい「蝦夷共和国」が無くなってしまったからであった。ただ榎本は自分たちを支援してくれようとしたキムシプらとの約束を果たすため、明治新政府がその契約を引き継いでくれるよう交渉してくれた。それを明治新政府も了承し、金塊は明治新政府に引き渡された。だがアイヌの土地占有は認められなかった。明治新政府は最初から約束を反故にして金塊だけを手に入れる算段だったのです。

ところが榎本は明治新政府がそういうつもりであろうことを想定して、キムシプらとの条約を調印した際に西洋列強諸国の外交官も立ち合わせて正式な国際条約として調印したため、明治新政府としても公式に反故にすることも出来ず、ただ金塊を奪った上でアイヌとの約束は黙殺するという形になったのだろう。財政難であったはずの明治新政府が五稜郭の戦いの後で急に羽振りが良くなったことや、旧幕臣の中で何故か榎本だけは新政府で役職を得ているのも、明治新政府がそういう後ろ暗い過去を隠蔽するためだったと考えれば辻褄が合う。

なお榎本と共に五稜郭で戦っていた土方がこの契約のことを知らなかったのは、この五稜郭での戦いの末期の頃は土方は各地を転戦するのに忙しくてほとんど五稜郭に戻っていなかったからでした。そして五稜郭の戦いの後でキムシプ達から金塊を得た明治政府は約束を履行しなかったが、土地の権利書はキムシプ達の手元に残った。権利書を盾にキムシプ達が訴え出ても明治政府は無視を決め込み、キムシプ達は国際社会に訴え出る手段も持っていなかったので泣き寝入りという形となったが、それでもこの権利書が明治政府にとって都合の悪いものであることは分かったので空き家となっていた函館のロシア領事館に隠したのだ。

ウイルク達がキムシプの案内でロシア領事館の隠し部屋に行った際に目にしたのはこの権利書であった。そしてウイルク達はこの権利書を五稜郭の兵糧庫の地下に埋め、その隠し場所を土方歳三が突き止められるようにした。それは、土方がこの権利書とその作成経緯を読めば、それが土方たちの作った「蝦夷共和国」の意思で結ばれた契約であることを理解し、その契約の意思を尊重してくれると信じたからです。

土方は当時の蝦夷共和国の実態を知っていたので、おそらく榎本がアイヌたちに土地の占有を認めたのは「資源の開発」を期待してのものだったのだろうと解釈した。当時の幕末のキムシプたちアイヌの指導者たちもそういうつもりであったのかもしれない。ただ、この土地の権利書をロシア領事館で手に入れて五稜郭に移動させ、その隠し場所を示す暗号まで作ったウイルクがその隠し場所に「神」の文字をあてた意思というのは、「神=カムイ」ということから「アイヌのカムイを守るために土地を活用してほしい」という意思ではなかったかと推測は出来る。

アシリパは父の遺志をそう解釈した。アイヌのカムイとは森そのものだ。それらの土地の森林を保護すればアイヌのカムイアイヌの文化は守られる。カムイさえ守られればアイヌが消えて無くなることはない。父はそのように考えて、自分しか知らないキーワードで解ける暗号を作り、土方と協力して暗号を解くことを期待したのだとアシリパは考え、鶴見が「悪しき神」と呼んだ「ゴールデンカムイ」は幕末のアイヌの先人たちの手によって「山林」という「アイヌを守る良きカムイ」へと姿を変えていたのだと歓喜する。

それに対して土方は網走監獄でウイルクから「森林の保護」などという話は聞いたことがないのでウイルクの意思は違うのではないかと異議を唱える。そもそもアシリパ自身が「金塊を手に入れたらその金で土地を買ってアイヌの暮らす森林を保護するしか戦争をせずにアイヌを守る道は無い」と考えていたので、父もきっとそうだったのだと思い込んでいるだけなのかもしれない。しかしソフィアがアシリパに「ウイルクやユルバルスの考えにもう縛られる必要は無い」と言い、自分の信じる道を突き進むよう背を押してくれたのでアシリパは迷いが無くなった。もともとウイルクが引き継いだ権利書であり、この権利書の契約では「土地の使用はアイヌの意思に委ねられる」とも記されており、土方としても権利書に介入する余地も無かったので、この権利書はアシリパの所有となった。

つまり、金塊は土地の権利を得るために使ってしまったのであり、全て明治政府に引き渡されてしまい、その代わりにアイヌにしか使えない土地の権利書が1つ残っただけだったのだ。「此処には金塊は無い」と分かった以上、五稜郭に長居は無用だった。おそらくあと二時間ほどでここには鶴見率いる第七師団がやってきて包囲されてしまう。鶴見達は金塊がもう無いとは知らずに攻め寄せてくるだろう。そうなると無意味な戦闘に巻き込まれて死ぬことになるかもしれない。そうなってしまう前に急いで五稜郭から撤収しようとしたところ、権利書を読んでいた土方が重大な事実に気付く。

なんとそこには「土地の権利の取得のために榎本に支払われる金塊は九千九百貫」と記されており、二万貫あった金塊のうち半分以上は使われていないことが分かったのだ。つまりウイルク達がキムシプの案内でロシア領事館の隠し部屋でこの権利書を見つけた時、そこには残り1万貫強の金塊も一緒に隠してあったのだ。するとウイルクたちは権利書と一緒にその38トンほどの金塊も五稜郭に運び、何処かに隠したはずだ。

そのことが分かって土方陣営の皆が歓喜したところ、そこにいきなり砲弾による攻撃が襲ってきた。鶴見たちによる攻撃であった。予想よりも2時間早かったので杉元たちは驚くが、どうも攻撃は海からのようであった。見てみると駆逐艦4隻が函館湾上に

浮かんでいた。実は鶴見は札幌で暗号解読を開始した時点で青森の大湊にいる鯉登の父の鯉登平二海軍少将に連絡し、駆逐艦隊を率いて室蘭まで来て待機してもらっていた。そして暗号解読と同時に函館行きの列車ではなく室蘭行きの列車を乗っ取った。函館に行くよりも室蘭に行く方が早いのだ。そして室蘭から駆逐艦に乗って函館湾に乗り込み、一旦鶴見達は上陸して、再び函館湾上に出た鯉登少将指揮のもと五稜郭に艦砲射撃をしてきたのです。

この鶴見の予想外の行動によって土方陣営は2時間の読み間違いをして急襲を受けることとなってしまったが、こういう状況そのものは全く予想していなかったわけではない。鶴見が鯉登少将を仲間に取り込んでいることは分かっていたので、駆逐艦隊による支援は予想はしていた。だから艦砲射撃への対応も分かっていた。そして敵の状況も読めた。駆逐艦には陸兵は16人までしか乗れないので、4隻の駆逐艦で移動してきた第七師団の兵の数は64人。つまり鶴見はとにかく急いで五稜郭に向かうために自分を含めた64人を先遣隊として駆逐艦で運ばせたのであり、残りの兵たちは列車で移動しているからまだ函館には到着していない。つまり現時点で土方陣営がパルチザンを含めて130人ほどであり、それに対して第七師団は64人であり、数では土方陣営の方が優勢なのだ。だから鶴見陣営の方から五稜郭に攻めてくることは出来ない。だから艦砲射撃を驚かせて五稜郭の3か所の出口の橋を走って逃げ出してくる土方たちを待ち伏せして倒すために64人の兵が3班に分かれて橋の近くに隠れているはず。

だから今ならまだ3か所の橋以外の場所からならば逃げ出せる。2時間も経てば第七師団の本隊が到着して五稜郭を囲んでしまい脱出は難しくなってしまう。しかし金塊がまだ残り半分、38トンほど五稜郭にあると分かった以上、逃げ出すわけにはいかない。だがこのまま艦砲射撃を受け続ければ全滅してしまうかもしれない。そういう切羽詰まった状況で艦砲射撃が突然に止まった。それは永倉新八が五稜郭の外に出て第七師団に一旦投降して、使者として鶴見に会い交渉した結果であった。

永倉は鶴見に会うと「金塊は無かった」と伝えた。もちろん嘘なのだが、鶴見もそんな嘘はすぐに見破り「艦砲射撃で土方たちを全滅させて、その死体をどけてから金塊の有無を確かめれば済む」と強気を示す。だが、ここで永倉は嘘の中に真実を混ぜ込む。「アイヌが金塊で買った北海道の土地の権利書があった」と言ったのである。そしてアイヌと蝦夷共和国が幕末に条約を結んだ結果、金塊が明治政府の手に渡されて、それでここには金塊など無いのだと説明する。

権利書があるというのは本当のことだ。榎本とアイヌが条約を交わしたのも本当のこと。明治政府がその金塊を横取りしたのも本当のこと。だが金塊がそれで全部なくなったというのだけが「嘘」だった。だが真実の中に嘘を混ぜると嘘が分かりにくくなる。他人の嘘を見破ることに長けている鶴見も、さすがにこれには幻惑された。なまじ情報将校として政府の事情などにも詳しいため、もともと戊辰戦争の後の政府の財政状況や榎本の処遇などに疑念も抱いていたので、永倉の言っている話はとても辻褄が合うものには思えた。

少なくとも「権利書があった」という話は本当のことにように思えた。そこに永倉は美味しい話を持ち掛ける。その権利書には「土地の使用はアイヌの意思に委ねられる」と記されていたという。これも本当の話だ。そして第七師団には有古のようなアイヌ兵が何人もいるので、彼らをその権利の継承者だと仕立てあげれば北海道の広大な山林の開発権を鶴見は握れることになる。「もう金塊は無いのだから、せめてその権利書は手に入れたいところだろう?」と永倉は鶴見を脅しているのです。「もし艦砲射撃で権利書を吹き飛ばしてしまったらアンタは何も得られないんだよ」と脅して艦砲射撃を止めさせるよう誘導しようとしている。鶴見相手にこれだけの駆け引きを仕掛けることが出来るのだから、やはり老いたといっても新選組二番隊の組長である。

その上で永倉は鶴見に「権利書を渡す代わりに皆の命を保証してほしい」と土下座して頼み、土方のことも必ず説得して投降させると約束した。土方は結局は戦って死ねる場所を求めているだけの新選組の生き残りに過ぎず、こんな戦いは不毛なので自分が説得すると言う永倉であったが、鶴見はそれは「嘘」だと見破る。土方がイカレた死にたがりだというのが「嘘」なのではない。永倉がそんな土方を説得するという話が「嘘」なのだ。永倉もまた同じように「戦って死ねる場所を求める新選組の生き残りのイカレた老人」そのものなのだと喝破した鶴見は、そんな嘘を言って艦砲射撃を止めさせて時間稼ぎをして土方と一緒に何か反撃の算段でも練っているのだろうと見破り、その場で永倉を殺そうとする。

しかし永倉も不意をついて逃げ出し、民家で日本刀を手に入れて血路を切り開き五稜郭に向かう。鶴見の方は土方に何か策があると見なしたが、かといって「権利書があるのかもしれない」「もしかしたら本当に金塊が無いのかもしれない」と迷いが生じて艦砲射撃を止めざるを得なくなった。そもそも鶴見に金塊の話を持ち掛けてきたのは第一師団の奥田師団長であったが、戊辰戦争にも関わっていた彼はこの権利書の話も知っていて、鶴見を利用して権利書を手に入れようとしていたのかもしれない。だとすると最初から金塊など無かったのかもしれないと、鶴見は疑心暗鬼にもなった。

そうした迷いを鶴見に生じさせた永倉の作戦勝ちであったといえる。そうして稼いだ時間で実行する策は確かにあるようで、永倉は鶴見のもとに向かう前に門倉に「あとは頼んだ」と伝え、門倉はそれを承けて土方のもとに向かい、永倉が艦砲射撃を止めたと伝え「手筈通りにやります」と言って、キラウシとパルチザン兵の1人マンスールと一緒に五稜郭の外に出て馬で何処かに向かっていき、途中で永倉とも合流する。鶴見の方はとにかく金塊はあるという前提で、第七師団の本隊が到着したので艦砲射撃無しで普通に攻囲戦で五稜郭を陥落させようと決意します。

一方、艦砲射撃が止んだことで、第七師団の本隊が到着していない間にアシリパだけ権利書を持たせて脱出させようと皆が言いますが、アシリパは残ると言う。そもそもアシリパの父のウイルクが始めたことのために皆がここまで導かれて命をかけて戦っているのだ。それを自分だけ知らない顔をして安全地帯に逃げたくはない。皆のために役に立ちたい。そしてこの戦いを最後まで見届ける義務が自分にはあるとアシリパは思っていた。そんなアシリパを皆は説得しようとするが、杉元はアシリパの意思を尊重し、いざ危なくなったら自分がアシリパを連れて脱出させると皆に約束します。そうしているうちに第七師団の本隊も到着したのでいよいよ戦いが迫ります。

そんな話をしているところに門倉がやってきて、土方に挨拶をして任務のために去っていったわけですが、その際、門倉が開いた扉から吹き込んだ風が端っこに放置されていた門倉の刺青人皮を吹き上げて、五稜郭の暗号を解いた状態で重ね合わされた他の刺青人皮の上に飛んでいき、ピッタリと模様が合う位置に落ちた。前回のエピソードで門倉の刺青人皮は「あってもなくても変わりない」と皆に笑われていましたが、そうやって門倉の刺青人皮が所定の位置に重なったのを見て土方の顔色が変わる。

どうやら門倉の刺青人皮は無意味なんかじゃなかったようです。門倉はとんでもなく悪運が強い男で、幸運の申し子といえる。今回もたまたま放置されていた門倉の刺青人皮がたまたま吹いた風であおられて、たまたまピッタリの位置に落ちるという信じられないような偶然が起きたわけですが、その結果、土方陣営にとんでもない幸運をもたらすことになったみたいです。土方は門倉の刺青人皮が重なったことで、五稜郭の地図に新たに「馬」の文字が加わり、その意味を唐突に理解したのです。

そもそも門倉の刺青人皮は「24枚目」であった。つまりウイルクが最後に彫った刺青人皮だったのです。ウイルクは「24枚全部が揃わなくても暗号は解ける」という作り方をしていた。実際24枚揃わなくても土方陣営も鶴見陣営も暗号は解けた。じゃあどうしてウイルクはわざわざ「24枚目」の刺青人皮を作ったのか?門倉の話によれば、23枚目が完成した後、ウイルクは独房に収監されてしまい囚人に刺青を彫れなくなってしまい、それで門倉が頼み込まれて彫らせてやったらしい。それはつまり「24枚目はどうしても必要だったから」なのでしょう。つまり24枚目の刺青人皮に「金塊の隠し場所」が記してあるのだ。

土方は門倉の刺青人皮が重なったことで五稜郭地図に新たに「馬」の文字が加わり、それが自分の五稜郭の古い記憶と照合することを唐突に思い出すと同時に、そこに重大な意味があるということに気付いた。それは門倉から聞いていた「24枚目の刺青人皮が彫られた経緯」が重大な意味があること、つまり「金塊の隠し場所が示されている」ということだと得心したからであった。つまり、その「馬」の場所に金塊が隠してあるのだ。

そこは土方が幕末に五稜郭で戦っていた頃、馬用の井戸として使っていた場所だった。今回久しぶりに五稜郭に来て、その本来は馬用の井戸があったはずの場所に井戸が無いということに気付かないぐらいに、それは記憶の彼方にあった。だが門倉の刺青人皮が重なったことで目に留まった「馬」の文字を見て、そこに馬用の井戸があったことを思い出した土方は「ウイルクが井戸の上に土を被せて隠したのだ」ということに気付いた。つまり、そこに金塊が隠されているのだと思った土方の指示で杉元たちが土を掘ると井戸が現れて、その中に杉元とアシリパが降りていくと、底には大量の革袋が落とされており、その中は金塊であった。そして杉元はアシリパと笑顔で顔を見合わせながら「とうとう俺たちで金塊を見つけちまったね」と言う。そういうところで今回のお話は終わり、次回に続きます。

 

 

姫様”拷問”の時間です(第2期)

第21話を観ました。

今回はまず姫様が拷問に屈するのを我慢するために魔王軍の武器庫からくすねてきた雷撃のチャームをエクスに預けて、自分が屈しそうになったら雷撃でビリビリさせるよう命じます。その日の拷問はトーチャーによるフライドチキンであったが、姫様は簡単に屈しそうになる。するとエクスが容赦なく雷撃を食らわせ、急にビリビリして光ったりする姫様を見てトーチャーは一体どうしたのかと心配する。しかし姫様はどうしてもフライドチキンを食べたいので根性で雷撃に耐えて見事に屈するのであった。その根性を屈さない方に少しは活かせたらよいのだが。

続いて、またもや「研究中の魔法が暴走する」パターンの話となります。今回はその影響でトーチャーが「光のトーチャー」と「闇のトーチャー」に分裂してしまった。光のトーチャーは元に戻す方法を探して奔走中とのことで、今回は闇のトーチャーが姫様の拷問をすることになる。闇の人格でもちゃんと仕事は休まずやるんですね。闇トーチャーはエクレアで姫様を拷問して、姫様は簡単に屈してしまいそうになるが、闇トーチャーはさすがに闇だけあって欲望に忠実であり、姫様から秘密を聞き出すことよりも姫様と一緒に美味しいものを食べたいという気持ちが勝り、2人で美味しくエクレアを食べました。しかし姫様はエクレアのお礼に手紙に秘密を書いて闇トーチャーに渡して帰し、翌日元に戻ったトーチャーはその手紙を受け取ったのでした。ちなみに魔法の暴走の原因は姫様が雷撃のチャームを盗んだせいだったので、姫様は自分の罪を白状して謝ったのでした。

続いては、遂に新人拷問官のサクラが姫様の拷問に初めて臨むが、サクラは相手の捕虜が姫様だとは聞かされていなかったので、牢屋の中で姫様と対面して驚く。サクラは元は暗殺者であり、姫様を暗殺する任務のために王国に潜入して姫様の友人となり、戦場で姫様を背後から斬りつけ、負傷した姫様の反撃を受けて重傷を負ったが逃げ延びていた。そういう過去の経緯があったので、サクラは姫様と思わぬ再会を果たして非常に気まずい思いをした。

しかし姫様はサクラが生きていたと知って涙を流して喜ぶ。姫様があの日、サクラの攻撃が中途半端なものであったのでサクラも本心では自分を殺したくなかったけど仕方なくやったのだと分かっていた。そして自分もサクラを殺したくなかったが仕方なく反撃するしかなかった。そうして友人であるサクラを殺してしまったと思い、姫様はずっと後悔していた。だからサクラが生きていてくれて嬉しかったのだ。

サクラはそれを聞き、自分もずっと「姫様と本当の友達になれたらいいのに」と思っていたのだと打ち明け涙を流して喜ぶ。姫様は自分も同じ気持ちだったと伝えようとしますが思いとどまる。サクラがこうして魔王軍で拷問官として再出発しようとしているのだから捕虜としてそれに応えてやるべきだと思い直したのです。そうして姫様は「ここから先は拷問で聞き出してみせろ」とサクラに言う。そしてサクラは姫様のために見事なジャグリングを披露して、姫様は見事に屈して、自分の本当の気持ちをサクラに打ち明けて夜通し話をしたのであった。そしてCパートではみんなで牧場に遊びに行ったのでした。そういう感じで今回のお話は終わり、次回に続きます。

 

 

幼馴染とはラブコメにならない

第10話を観ました。

今回を含めて残り3話となりました。今回は春の歓迎会の席上でいきなり春が汐と灯に「えーゆーのこと、どう思ってんの?」と質問したところから始まります。春としては世之介の恋路を応援してやろうと思ってのことだったのですが、汐と灯の気持ちを知るのが怖い世之介は必死で制止する。それで何とか誤魔化そうとして昔話を始めて、春にも調子を合わせるよう言ったところ、子供の頃に罰ゲームで世之介とキスしたという話を春がしてしまう。

その頃は世之介は春が男の子だと思い込んでいたので「男同士でキスをする」という罰ゲームのつもりだったのですが、春が女の子だったと判明した今は、しかも汐と灯の前でそんな話をされると世之介としては非常に気まずいことになってしまう。汐と灯は世之介とのキスを春に先を越されてしまっていたと知ってショックを受け、「キス」という言葉に過敏に反応するなど挙動不審となる。それを見て春は「脈アリ」なんじゃないかと世之介に言うが、世之介は「幻滅されてるだけ」だと思えて、ますます針のムシロのような心境となってしまう。

そこにるなが帰宅してきて春と顔を合わせ、先日の自転車女が幼馴染の「ハル」だったと知ってパニック発作を起こす。るなは子供の頃に春にカエルでイタズラされて以来トラウマになっており、春の顔を見ると発作を起こしてしまうようだ。それでるなが部屋の中を逃げ回り、春が追いかけ回す展開となったのだが、春が躓いて世之介にダイブしてしまい、絵に描いたようなラッキースケベ展開で2人がキスをしてしまう。これを見て汐と灯とるなは大ショックを受けるが平静を取り繕って歓迎会を終え、春も平気そうな顔で帰っていくが、昔とは違って世之介のことを意識してしまう。そんな女子たちの複雑な心理を知る由もない世之介は混乱しているのは自分だけだと思って悔しがる。

そして翌朝、平静を取り戻そうとして休日の朝のランニングをしていた汐は同じくランニング中の春に遭遇し、一緒に走ることになる。そこで汐は春に「えーゆーのこと好きなの?」「キスして嬉しそうだった」と挑発し、春は自分はあくまで世之介の親友として接しているつもりなのでそんなことを言われてちょっとムカついて「汐こそえーゆーのことが好きだから嫉妬してるんだろ?」とからかう。そこから2人は互いにムキになって全力疾走で競争する羽目となり、2人ともフラフラになる。春は「俺は幼馴染だし」と言い、汐は「私だって幼馴染だよ」と、互いに世之介への想いは明かさぬまま、その場は別れる。

そして汐は意識朦朧で家に帰りつくが、ちょうど家の外に世之介が出てきており、汐は勢いで世之介にキスしてしまう。そのまま汐は家に帰ってしまい、世之介も何事も無かったかのように家に戻って朝食を食べるが「よく考えたら汐とキスしてた」「これはラブコメになっちゃうよ」と愕然とする。そして休み明けに登校して2日ぶりに会う汐とどんな顔で会えばいいのかと思って混乱していたところ、汐が全くいつも通りの態度だったので拍子抜けする。

それで世之介は「キスしたはずなのに」と落ち込み、公園のベンチで座り込み「女の子の友達にキスされた」というワードで検索していたところ、春とるなに遭遇し、春は自分とのキスの件で世之介が悩んでいたのかと勘違いする。その誤解を解こうとして世之介はつい「汐とキスした」とバラしてしまい、春とるなは驚く。春は汐は脈アリだと見て世之介に「お前も汐にキスしろ」とそそのかし、るなは「互いに好意が無いとキスしちゃダメです」と反論し、世之介に汐への気持ちを問う。しかし世之介は「幼馴染との本気のラブコメなんて想像できない」と逃げ腰であり、春とるなは呆れて立ち去っていく。

そんな中、体育祭が近づき、汐がクラスの体育祭実行委員に立候補したので、世之介は汐の気持ちを確かめようと思って実行委員に立候補し、2人で実行委員をやることになった。そして体育倉庫で2人きりで備品のチェックをすることになるが、実は汐の方も世之介の真意が分からずずっと悩んでいた。勢いでキスしてしまい、世之介がどう思っているのかと悩んでいた汐は世之介の反応が怖くて平静を装って話しかけていたのだが、世之介の態度があまりにいつも通りに見えてますます混乱してしまっていた。そんな2人は互いに体育倉庫で2人きりになった機会にキスの話をしようとするが、なかなか切り出せないまま互いに意味不明な行動をとるだけで終わってしまった。そのまま体育祭の前日となったところで、灯が汐に「ちょっと面貸しなさいよ」と言って話をしようとするところで今回のお話は終わり、次回に続きます。

2026年冬アニメのうち、3月8日深夜に録画して3月9日に視聴した作品は以下の4タイトルでした。

 

 

正反対な君と僕

第9話を観ました。

今回は11月1日が谷の誕生日なのでサプライズで何かしたいと鈴木は考える。そこで平のコンビニで山田や平に相談しますが、平は恋愛系の相談を自分にされても困ると思いつつ「誕生日を他人が覚えててくれて祝ってくれるってことの方が大事なんじゃないの?」と自分に置き換えて精一杯なことを言う。すると「大人だ」なんて感心されてしまい罪悪感を覚えます。ただ鈴木はやっぱり祝おうとしてることがバレずに当日いきなり谷をビックリさせることに拘りたいと言う。付き合って初めての誕生日だから、一生忘れられないようなインパクトを残したいようです。

しかし谷は11月1日が自分の誕生日だと当然知っており、その前日の鈴木の態度を見ていると「サプライズされそう」だと察してしまう。そうなると谷はせっかく鈴木がサプライズを仕掛けてくれても上手に驚ける自信が無い。事前に予想も出来てしまっているので、本心から驚くことは出来そうになく、もともとリアクションの薄いタイプなので上手く驚いた演技をする自信も無い。そこで谷は鈴木が「平はリアクションが面白い」と言っていたのを思い出し、体育の時間に「リアクションで心掛けてることってある?」とまるで平がリアクション芸人であるかのような質問をしてしまったりします。

平はそれを聞いて鈴木の誕生日サプライズのことだと気付き、思わず自分の誕生日の時のことを思い出す。実は平の誕生日は10月10日であり、先日過ぎたばかりだった。その日「自分の誕生日なんて誰も知らないだろうな」と思っていると、校内放送でバースデーソングが流れて、一瞬山田たちが自分の誕生日をサプライズで祝うつもりなのかと驚いてしまった。だが実際は別のクラスの女の子の誕生日サプライズであり、平は実際は誕生日を祝ってもらうのを期待していた自分を恥ずかしく思った。その後、東が平の誕生日をたまたま覚えていてくれたので、東は平にその場に持っていたシールをプレゼント代わりに渡してくれたが、平はそれを律儀に定期入れに貼っていて、それを後日に見た東は自分が渡したことを覚えていなかった。

谷の方はその日の夜、深夜12時に日付が変わった瞬間に鈴木からサプライズの誕生日祝いの電話がかかってくるんじゃないかと思い、眠くても寝るわけにいかず必死に起きていたが、もう限界に達してベッドでウトウトし始める。すると11時59分に枕元に置いたスマホの呼出音が鳴り、谷が寝ぼけながら電話に出ると、鈴木からの電話であった。

鈴木は色々と凝ったサプライズを考えた末に結局はシンプルに「一番最初におめでとうと言いたい」という考えに落ち着いたようです。谷は驚くことはなかったし、無理に驚いてみせる必要も無くなり、むしろ鈴木のその素直な気持ちが嬉しく思えた。結果的に今までで一番嬉しい誕生日サプライズになった谷は「ありがとう」と鈴木に伝える。そして鈴木が谷が眠そうで悪いので早く電話を切ろうとすると、その前にもう谷が返事が無くなってしまい、谷が寝た者だと思って鈴木は「好きだよ」と冗談で言ってみる。すると谷は寝ぼけながらそれに反応して「うん、好き」と返してきて、鈴木は天にも昇る気持ちとなったが、谷はもう寝てしまっており、翌日も「好き」と言われたことも言ったことも覚えていなかった。でも本当に谷が自分のことを「好き」だと思ってくれていると思えて鈴木は嬉しかった。

翌日、学校で鈴木が「今日は谷くんの誕生日」という話をしていると、皆が谷に持ち合わせたお菓子などをプレゼントとして贈ってくれる。そんな中、東がそういえば10月10日は平の誕生日だったと鈴木に言い、鈴木と谷は放課後に平のコンビニに寄って谷の誕生日ケーキを買い、ついでに店のチョコを買って「僕だけ貰ったままじゃアレだから」と言って平に遅ればせの誕生日プレゼントだと言って渡してくれます。それで平も2人が帰った後は思わず良い笑顔になります。

その後、鈴木と谷は公園に行ってベンチに座り、ケーキにロウソクを立てて谷の誕生日を祝い、谷は素直に嬉しく思えてくる。そして鈴木からの誕生日プレゼントとしてマフラーが贈られ、谷は鈴木の手を握って顔を近づけ感謝の言葉を伝えるが、てっきりキスされると思い込んで身構えていた鈴木は恥ずかしくなってしまいます。そうして今週の週末は「谷くんの行きたいところに行って谷くんのしたいことをしよう」ということになる。

しかし谷は特に行きたいところが無かった。それでもそれを言ってしまうと「受け身すぎるのではないか」と思って、考え抜いた末に消去法で博物館に行くことにした。だが谷は博物館に行き慣れているわけではないので勝手が分からず、あまり楽しめなかった。だから鈴木もきっと楽しくないんだろうと心配になるが、鈴木は何だか楽しそうにしているので谷は安堵する。そうして博物館を回り終わると外は暗くなっており、腹が減ったので夕食を食べることになり、谷はあらかじめ店をチョイスしていたのだが、その日は臨時休業だった。焦って他の店も探すが、どれもあまり良い感じではなかった。

それで結局、ベンチに座ってテイクアウトの御飯を食べることになり、谷は「今日、自分の提案がことごとく上手くいってない」と感じる。でも鈴木はどんな状況でも常に楽しそうにしてくれる。それによって谷は救われた気持になり、自分は「何処に行くか」「何をするか」よりも「鈴木さんが楽しんでくれるのが良い」と思っているのだということに気付く。そのことを伝えると、鈴木も「私もそう」だと言う。谷は鈴木にいつもデートではリードしてもらっていて頼りっぱなしだと思っていたが、鈴木も本当は「何処に行くか」よりも「谷くんと何処に行くか」が大事なのだというのです。それを聞いて2人は共に相手を愛おしいと思えてきて、帰り道の別れ際、鈴木が目を閉じて谷に近づくと谷は鈴木を抱きしめて「おやすみ、また明日」と別れようとしますが、鈴木は谷の頬にキスをして「おやすみ」と言って別れ「キャ~」と叫びながら帰っていった。そういうところで今回のお話は終わり、次回に続きます。

 

 

花ざかりの君たちへ

第10話を観ました。

今回を含めて残り3話となりました。今回は桜咲学園で学園祭の時期がやってきます。これは3日間かけて体育祭と文化祭を一緒にやるような行事であり、3つの寮の対抗戦として行われる。第1寮は体育系の生徒で構成され、第3寮は文科系の生徒で構成され、瑞稀たちの属する第2寮は体育系の文科系の生徒たちが混合している。優勝した寮は何か色々と優遇されるのだそうで、各寮は血眼になって優勝を目指している。また最も得点を稼いだクラスには金一封も出るとのこと。

そうして第2寮が寮長で大将の難波を筆頭に気合を入れていると、そこに第1寮の寮長で空手部部長の天王寺が寮生たちを連れて乗り込んできて挑発してくる。そんな中、第2寮の四天王の1人で空手部副部長の九条が瑞稀に妙な視線を送ってくる。また学園祭ではミスコンも行われることになっており、自薦他薦を問わず女装でコンテストに出ることになる。しかし瑞稀は女であることがバレるのを恐れて辞退するのだが、金一封目当ての難波やクラスメイトたちの勢いに負けて結局出場することになってしまった。その他、瑞稀は騎馬戦や500mリレーにも出場することになります。また3日目の最終種目で勝敗の行方を左右するという2000mリレーの出場選手は難波が勝手に選んで機密保持のためにメンバーは不明となったが学年で一番足の速い瑞稀はどうも入っていそうです。

そうして学園祭が始まり、まず体育祭パートとなりますが第2寮は最下位発進となってしまう。どうも第1寮がズルい手を使っているようです。また相変わらず九条は怪しい視線を送ってきて、更に瑞稀は第3寮長の演劇部の部長オスカー・M・姫島とかいう変態にも絡まれる。そんな感じで午前中の競技は最下位となってしまった第2寮であったが、応援団戦で2位に浮上し、500mリレーでアンカーの瑞稀が逆転して1着となり、第1寮を追い上げた。しかし瑞稀を騎馬戦で潰すようにと指示を出す何者かが暗躍しているようだ。一方で難波寮長は年上の女性と何やらシリアスなムードとなっているのを瑞稀は目撃してしまう。そんな感じで今回のお話は終わり、次回に続きます。

 

 

違国日記

第10話を観ました。

今回は朝は「呪縛」という言葉が気になる。笠町の父親が倒れて入院したらしいのだが、父親の病院でのあまりに尊大な振る舞いに笠町が憤慨して槙生に電話してきた。それで槙生が「ゆっくりでも解けるといいね、貴方の呪縛」と笠町に言う。笠町は父親に否定されてきたことが一種の「呪縛」になってきたみたいです。それが父親の入院を契機に解けつつあるのかもしれない。笠町に言わせると槙生も「呪縛」されているらしい。但し、槙生の場合はだいぶ解けているらしい。笠町の言う槙生の「呪縛」というのも家族の呪縛なのでしょう。槙生の場合は姉や母の呪縛ということなのでしょう。

それで、その会話を聞いていた朝が「呪縛」という言葉に興味を持った。自分も何かに呪縛されているのだろうか。亡くなった両親に今でも呪縛されているのだろうかと考え始める。同時に1年生バンドの歌詞も考えたりしているが、文系理系の選択など、自分は本当は何をやりたいのかと考えてモヤモヤします。自分が何をやりたいのかハッキリしないのも、両親の呪縛のせいなのではないかと考えたりする。

槙生のもとには母親から電話がかかってきて、もうすぐ槙生と朝が一緒に暮らし始めて1年になるという。つまり姉夫婦の事故死から1年になるということだ。それを区切りとして、何か朝のやりたいことをやらせようというのが母親の話であった。普通はお坊さんを呼んで一周忌の法要をしたりするのだが、まだ高校生の朝がそういうことはしたくないというのなら、それはそれでいい。ならば何か別のことをやらせればいい。とにかく一周忌という区切りで何か朝のやりたい形で何か、例えば槙生と話をするだけでもいい、そういうことを選ばせようという話です。

そのことを槙生は朝に伝えるが、朝は「やりたいこと」が分からないのですぐには返事が出来ない。また槙生はもともと「共同生活1周年お疲れ様の会」をやろうとは思っていた。些細なことに思いがちだが、大人と違って子供はそうした「飲み食いする口実」が少ないのだから、記念日はちゃんとやらないといけない。同時に槙生は誕生日をちゃんと祝っていなかったことも思い出し、今年は朝の分も自分の分もちゃんと誕生日会はすること、そして去年スルーしてしまった朝の誕生日会も「共同生活1周年お疲れ様会」の代わりにやることにした。

槙生がそんなふうに思うようになったのは母からの電話だけが理由ではない。スランプの時に遊びに来てくれたジュノさんと喋った時に、槙生が朝の親代わりの関係が朝が大学に入学するか成人するまでだと言ったのに対して、ジュノさんが「それは甘い」と言った。仮にも親子の関係になった以上は、期限付きで綺麗に終わるなんてことは有り得ない。「悪魔の契約」のようなものであり、朝が大人になった後でもそれは何らかの形で残って続いていくものなのだとジュノさんは諭してくれた。

それを聞いて、槙生はその通りだと思った。しかし、そうなると自分にも何かが残っているはずだということになる。大人になって家を出て母と姉との関係は終わったと思っていた。でもそうではなかったのだと槙生には思えた。ただ、もし姉もそうであったとしたら、本来は朝が大人になっても続いていたはずの姉と朝の親子関係は姉の死によって失われたことになる。「本来はあるはずのもの」が失われたことになる。それは姉にとっては悔しいことだろう。「きっと姉は死にたくなかったのだろう」と槙生には思えた。自分がそれを代わりに引き継いでいいのだろうかとも疑問に思えてくる。そして、本来これからもずっと続いていくはずの姉との本当の親子関係が朝の中では永遠に失われてしまったことも気になった。

そんなある日、朝が学校に行くと、軽音部で4月に新入生歓迎の校内ストリートライブをやることになり、部員全員が平等にボーカルのオーディションを受けられることになり、しかもオリジナル曲でなくてもいいのだという。つまり朝たちがオリジナル曲で

1年生バンドで冬公演に出ようとしていたことは無意味になり、朝はもう作詞をしなくてもよくなった。

しかし朝は乗り気になれなかった。朝は「いつまでもその他大勢ではいたくない」という1年生バンドの意気込みに惹かれたのであり、作詞もせず、オリジナル曲をやらずに、1年生バンドでもなく、単にシャッフルされて「その他大勢の1人」として歌のオーディションを受けるだけというのには全く惹かれなかったのです。それで朝は「自分は本当は歌を歌うことは好きではない」ということに気付いた。

では、なんで中学では合唱部に所属し、今でもよく歌を歌うのか。それは小学校の合唱コンクールの時に父親に呪縛をかけられたからなのだと朝は思いだした。父親は朝が合唱しているのを「目立ってた」と言ってくれた。それで朝は褒められたと思い、歌を歌うようになったのだ。でも自分が本当にやりたいことは歌ではない。そして学校の友達が「悪目立ちするとイジメられる」と言っているのを聞いて、朝は父親が言っていた「目立ってた」というのは決して良い意味ではなかったのだと思えた。すると呪縛が解けたように「唄なんか唄って目立ってもロクなことはない」と言い出し、朝は軽音部のオーディションには出ないと言い出す。そして自分は自分のなりたいものを探すために孤独に砂漠を旅するしかないと思う。

その一方で、えみりはどうもセクシャリティの件で思い悩んでいるようであり、両親を亡くした朝のことを少し重く感じていりようです。しかし、それは朝が嫌いというわけではなく、普通の人とは違う悩みを抱えるえみりもまた孤独や静寂の時間を大切にしたいと思っているからなのでしょう。また、朝のクラスの優等生で医者志望の千世は医大の女性を排除する入試不正事件に対して憤っていた。そういうところで今回のお話は終わり、次回に続きます。

 

 

火喰鳥 羽州ぼろ鳶組

第8話を観ました。

今回は土蔵街で二連発で爆発火災が起きて、一発目は朱土竜、二発目はそれより大きな爆発を起きます。更に火の玉が飛んできたりして火事場は異様な状況となる。二発目の爆発の火の色が青かったと聞いた星十郎は「亜鉛の粉末の粉塵爆発」だと推測し、水をかけてはいけないと言う。亜鉛の火災の場合は水をかけると火の勢いが逆に増すからです。そこで星十郎は大量の砂をかけて火を消すことを提案しますが、このあたりにそんな大量の砂など無い。だがちょうどさっき新之助と歯磨き粉の話をしていたことを思い出した源吾は、歯磨き粉を扱っている問屋の土蔵になら大量の砂が保管してあるはずだと言う。江戸の歯磨き粉は砂を使用していたからです。

そうして砂をかけて亜鉛の炎の消火を進めつつ、消火作業の邪魔をするように飛んでくる火の玉を始末するよう彦弥と寅次郎に命じる。星十郎が火の玉の軌道から発射地点を割り出し、そこに駆けていった彦弥と寅次郎は屋根の上に設置してある発射装置を発見し、それを破壊して火の玉の発射を止めます。土蔵の火も消し止め作業は終わりましたが、他に朱土竜を仕掛けている土蔵が無いか見回っている時、人形に仕掛けた爆破装置で町火消の金五郎親方が爆死してしまう。

そこに長谷川平蔵がやってきて、この火事は狐火という火付けの仕業だと言い、狐火が狙うのは老中の田沼意次を支援している商家ばかりだという。それで平蔵が動いているわけだが、平蔵は金五郎を殺されて憤る源吾たちに情報を提供し合うことを提案する。源吾らはそれを了承し、星十郎は亜鉛の取り扱いや火の玉の発射装置のこともあり、犯人は砲術家ではないかと推測する。しかし源吾は夜道を1人で歩いている時、狐火の付け火の現場で聴いたことのある鈴の音がしたのである長屋を探ろうとする。すると隣の住人が源吾に鈴の音の話を聞くと「鈴の音はお糸ちゃんの幽霊ではないか」と怖がる。

お糸は何年も前に亡くなったが、鈴をいつも身に着けていたという。そしてお糸の死因は「花火の事故」であったという。なんでも父親は花火師だったらしい。その話を聞いて源吾は花火師の氏神が稲荷様であり「狐」に通じるということに気付く。そして花火師ならば亜鉛などの珍しい火薬にも精通しており発射装置にも詳しいはずだ。その父親の名前は秀助というらしい。そういうところで今回のお話は終わり、次回に続きます。

2026年冬アニメのうち、3月7日深夜に録画して3月8日に視聴した作品は以下の6タイトルでした。

 

 

青のミブロ 芹沢暗殺編

第11話を観ました。

今回を含めて残り3話となりました。今回は八木邸で芹沢と斬り合いとなった沖田と土方の戦いが描かれます。沖田は謎の二刀流を披露しますが、芹沢は一気に間合いを詰めて沖田が大刀で芹沢の斬撃を受け止めて小太刀で仕留めに来るのを読み、その小太刀を振るう沖田の手首を掴んで締め上げ、沖田は小太刀を床に落としてしまい再び一刀に戻ってしまう。そうして大刀同士の戦いとなり、正々堂々の勝負となる。この間、土方が芹沢の背後に立ちながら一切手出しできずにいた。もうこの作戦は失敗だと心が折れてしまっていたのだ。

芹沢は沖田の攻撃を悉く見切りながら追い詰めていき、沖田の剣才を惜しみます。己のために剣を振るえば剣神にも近づけたものを、誰かのために剣を振るい「我」が無いから剣を究めることが出来ていないのだというのだ。しかし沖田は「それはあなたも同じですよ」と芹沢に指摘する。芹沢ももし「強さ」だけを求めれば剣神にもなれたはず。しかし芹沢は「組織」を選んだ。それゆえにミブロは軌道に乗れたのだ。「ここまでのお膳立て、実に見事でした」と沖田は芹沢に感謝する。

そして同時に沖田は、さっき落とした小太刀を蹴り上げてそのまま空中で左手で掴み、その小太刀で芹沢の腹を水平に斬り払う。沖田が普段はやらない二刀流を急にやり始めたのは、お梅と一緒に斬った際に芹沢の右目が潰れたのを確認していたからだ。これによって芹沢の右側に死角が出来るので、その死角から突然に来る斬撃ならば達人の芹沢でも回避は出来ないと考え、左手に小太刀を握ってわざと落とし、それを利用して左手で繰り出す予想外の斬撃を仕掛けたのだ。

これによって芹沢は重傷を負い、もはや勝負はついたと思えた。これで芹沢も観念して戦いも終わるだろうと沖田は考えた。だが芹沢はまだ抵抗を続け、沖田を剣で押し込んでひっくり返すと「まだだ」「死に場所はここではない」と言って背後を向いて歩きだす。その方向には土方が立っており、土方は芹沢が外に出ていくのを阻止せねばならない。だが土方の身体は動かない。

土方は農民出身だが、農民であることに誇りを持っていた。だが同時に武士に憧れてもいた。しかしそれは「武士の魂」に憧れていたのであり、武士そのものに憧れていたわけではない。長い泰平の世において日本を支えてきたのは農民であった。特権に胡坐をかいて威張っていただけの武士階級は腐りきっており、そんな武士たちには本来あるべき「武士の魂」が宿ることはもうあり得ないと土方は確信していた。今の世の武士など所詮は「偽物」に過ぎない。もし「武士の魂」を宿す者が現れるとしたなら、それは三百年間ずっとこの国を支えてきた農民階級から生まれるはずだとも土方は確信しており、その確信は近藤勇との出会いによって、より強固なものとなっていた。

しかし浪士組に応募して芹沢に出会い、共に京都まで来てミブロをやっていくうちに、豪胆にして繊細、勇気と知略を併せ持ち、危険だが人望もある、そんな芹沢こそが自分の思い描いていた「真の武士」そのものなのではないかと思えてきた。同時に嫉妬した。芹沢を見ていると「偽物」は自分の方だったのではないかと思えてきて情けなくなった。だから芹沢を殺したいと思ったのかもしれない。「ミブロのため」という大義で覆い隠しているが、そうした個人的感情が動機だったのではないか。こうして作戦が失敗してからずっと土方の中でそのような疑念が湧き上がっていた。そんな自分の個人的動機が暴走して無関係のお梅を殺してしまい、今こうしてこの国を憂う「真の武士」たる芹沢を葬ろうとしている。偽物の武士でしかない農民の子に過ぎない自分の個人的な劣情がそんなことをしていい道理があるのだろうかと土方には迷いが生じていた。

そんな土方を芹沢は「ド農民が!」と一喝し、カッとなった土方は斬りかかるが、その剣には力が無く弾き返され、芹沢は「ガッカリよ」「お前は所詮、鬼にはなりきれん」と土方を見下ろして「死に場所はどこだ?」と呻きながら廊下を通って去っていこうとする。そこに沖田が追いすがり、狭い廊下ゆえ必殺の三段突きで仕留めようとする。沖田も真剣で三段突きを使うのは初めてのことであったが、実際には三段ではなく五段突きであった。沖田の突きはあまりに速いので道場で皆が勝手に「三段」だと誤認しているだけで実際には4回突きを放っていた。だが相手が必ず4回目の突きで倒れるので誰も気付いていなかったが、本当は沖田は5回目の突きを放つ準備をしていた。つまり芹沢にとってもさすがに5回目の突きは想定外であったはず。しかしそれでも芹沢はその沖田の5回目の突きをも捌き切ってしまう。

そうして芹沢は沖田を突き飛ばし、沖田は八木家の家族の寝所に突っ込んで文机に足をとられて転び死に体となってしまう。その無防備な沖田にトドメの一撃を振り下ろそうとした芹沢の動きが止まる。八木家の子供が1人逃げ遅れて沖田の背後に重なっており、このままでは巻き添えに斬ってしまうからであった。芹沢は子供が好きであり、どうしても子供のことが気になってしまう。太郎を拾って面倒を見ていたのもそれゆえだった。それが芹沢という人間の「本質」であった。だが芹沢は「真の武士」として大義に殉じようとする自分にとってそんな「本質」は不要であると考えていた。今もこうしてその「本質」が足を引っ張ろうとする。そんな苛立ちを込めて芹沢が再び大きく剣を振り下ろそうとしたところ、大振りとなった剣は鴨居に刺さってしまうという初歩的なミスを起こしてしまった。

そこに土方の体当たりのような不格好な、それでいて力強い突きが芹沢の脇腹に突き刺さる。土方は芹沢こそが真の武士であり、自分は所詮は偽物に過ぎないと認めていた。そんな偽物の自分が「大義」で覆い隠して個人的動機で立てたこの作戦も過ちであったとも認めていた。だが、そんな卑小な自分でも、どうしても仲間である沖田だけは失いたくなかった。いつでも自分を信じて、自分を守ってきてくれた沖田だけは死なせるわけにはいかない。それが土方という人間の「本質」であった。そうした「個人的な理由」で迷いなく放った土方の攻撃は、自分の「本質」から目を逸らそうとしたゆえに生じた芹沢の一瞬の隙を突き、致命的な一撃を決めたのであった。

芹沢はそんな土方を見て「なんと小さき男よ」と思った。大義の前ではそのような個人的な小事は捨てるべきもの。そのはずであった。だがそんな小さな理由で放った土方の攻撃が今までの一番痛いと感じた芹沢は、所詮は人間は小事にこだわる「本質」からは逃れられない小さな者なのであり、その真実に向き合った土方が真実に向き合えなかった自分を超えたことで鬼になり切ることが出来たのだと認め「それでいいんだ、土方」と言葉をかける。

だが、それでもまだ自分はここで死ぬわけにはいかないと思った芹沢は土方を沖田の方へ突き飛ばすと障子を外してそちらに放り投げて目隠しをすると脇腹に刺さった剣を引き抜いて廊下を立ち去っていく。土方と沖田は慌てて芹沢を追いかけるが、芹沢の姿が屋敷の中に無い。どうやら外に出たようだが、あれほど重傷を負ってそこまで素早く外に出れるとは思えない。「誰か手引きした者がいるのではないか?」と疑念を抱いた。実は芹沢を外に連れ出したのはにおであった。そういうところで今回のお話は終わり、次回に続きます。

 

 

お気楽領主の楽しい領地防衛 ~生産系魔術で名もなき村を最強の城塞都市に~

第9話を観ました。

今回はまずアルテの魔術適性が何なのかヴァンが興味を抱き、それは傀儡の魔術だと分かる。それは貴族の間では忌み嫌われている魔術だと知っていたヴァンであったが、アルテが傷つかないようにと思い、傀儡の魔術を見せてほしいと言い、見せてもらったところ素晴らしかったのでステージを組んで村の皆にも見てもらおうとヴァンが言い出す。

それでヴァンがアルテが見つけてきたミスリル鉱石で人形を作ってアルテの魔術で踊らせようということになったが、アルテはずっと蔑まれてきた自分の魔術を人様に見せられないと遠慮する。しかしヴァンは自分の生産系魔術だって不遇だとか言われてきたけど皆を喜ばせることが出来たのだから、きっとアルテの魔術だって皆に喜んでもらえるはずだと言って励ます。ヴァンにそう言われてアルテも自分に価値があると信じてみることにする。

そうして傀儡舞踊のステージが始まりますが、観客たちが傀儡の魔術だと気付き非難めいたことを囁き合うのが耳に入り、アルテは怖気づいてしまう。だがヴァンの助け舟で再び勇気を奮い、傀儡の魔術で人形を踊らせる。その見事さに観客たちは拍手喝采を贈り、アルテは感激して泣きながらヴァンに抱き着いて喜ぶのでした。

後日、パナメラが王家の紋章の入った馬車でセアト村に戻ってきたが、なんと国王陛下や宰相も一緒であった。国王たちはヴァンの評判を聞いてセアト村の視察にやってきたようだが、ヴァンが生産系魔術で何でもすぐに作ってしまったと聞いて驚き、にわかに信じられないと言う。またアプカルルやヒャッハー達も仲良く暮らしているのを見て更に驚く。そしてアプカルルの族長が国王にオリハルコンを贈ったところ、ヴァンがオリハルコンで剣を作ったのを見て国王が欲しがったので、ヴァンは代わりに自分にこの村の永住権を与えてほしいと願い出る。

ヴァンを王都に招きたいと思っていた国王は意外に思うが、ヴァンは民が窮することなく平和に暮らせる領地を作ることが自分の使命だと言って、この地を豊かにしていきたいのだと言う。これで王都には行かずに済んだヴァンであったが、そこにドラゴンが襲来してきて防衛準備に取り掛かったところで今回のお話は終わり、次回に続きます。

 

 

TRIGUN STARGAZE

第9話を観ました。

今回は5ヶ月間に及んだナイヴズによる監禁からようやく脱出し、追撃してきたリヴィオの別人格であるラザロも倒したことでようやく一息つくことになったヴァッシュが今後のことを考える場面から始まる。監禁中にナイヴズが移民船団をノーマンズランドに落として人類を滅ぼすつもりだという話は聞いていたヴァッシュは、第一都市のオクトヴァーンだけが無事で人類がそこに集結していると聞き、ナイヴズが移民船団がやってくるタイミングでそこを狙ってくるつもりだと判断します。その時しかナイヴズを止めるタイミングは無いと思い、その準備を進めるヴァッシュであったが、同時にホープタウンに取り残された孤児院の子供たちのことも考えねばいけなかった。

町の住民たちが物資を根こそぎ持ってオクトヴァーンへ向かってしまったので、このままでは1週間ぐらいしか生きていけない。かといってナイヴズが襲撃してくることが分かっているオクトヴァーンへ向かわせるわけにいかないし、車も無いので子供たちの足ではオクトヴァーンに辿り着けない。辿り着けたとしても孤児たちが受け入れてもらえる可能性も低い。そこでヴァッシュはホームで孤児院の子供たちを受け入れてもらおうと思いついた。

移民船団の到着までまだ猶予はあり、どうせその時までナイヴズとの対決は無いので、今からホームに行って子供たちの受け入れを依頼して返事をもらって戻ってきて、それからオクトヴァーンに向かっても間に合うはずだと考えたヴァッシュはウルフウッドのバイクを借りてホームに向かおうとするが運転が上手く出来なかった。しかしウルフウッドはまだ身体がラザロとの戦いの後遺症で本調子に戻っていなかったので、結局リヴィオが慣れないバイクを運転してヴァッシュに場所を教えてもらってホームに向かうことになった。

そうしてリヴィオの戻りを待つ間、ヴァッシュは孤児院の子供たちに自分がこの星に来る前の宇宙船の中で生まれたという話をして、自分と兄を育ててくれたレムの言葉を子供たちに教える。それは「人はみんな行先の無い真っ白な切符を持っており、そこに何を書き込むのかは自分次第」という話だった。それは人にはどんな辛い境遇でも無限の可能性が残されているという希望を与える言葉であった。その白い切符がある限り、人はどんな辛くても我慢することが出来る。ヴァッシュ自身がそうやって戦い抜いてきた。だから今はこんな状況でも必ず移民船団がやってきて子供たちも希望の地に行くことが出来るのだとヴァッシュは子供たちを元気づけるのでした。

リヴィオの方は砂漠で盗賊に襲われたりワムズに呑み込まれたり道に迷ったりして予定よりだいぶ遅れてホームに辿り着いたが、ルイーダは子供達をホームに受け入れることは出来ないと言う。ホームはこれからナイヴズと決戦に向かうので、ホームに居ると逆に危険だからです。むしろホームの子供たちの避難先を探していたぐらいだったので、いっそ物資と共にホームの子供たちを受け入れてほしいとルイーダは頼み、ホームをホープタウンに移動させて、そこで子供達を降ろす。

そうしてホープタウンには子供達と非戦闘員とパペットマスターとミッドバレイが残ることになった。メリルとミリィはヴァッシュに同行してナイヴズとの決着を見届けると言い、ヴァッシュもそれを受け入れる。ヴァッシュはナイヴズが取り込んでいるプラントを自分の能力を使って引きはがすことが出来ると考えており、ナイヴズが説得を受け入れない場合はそうしてナイヴズを弱体化させるつもりだった。そうしてナイヴズを弱体化させれば移民船団を落とすことは出来なくなり、人類はこの星を無事に去ることが出来る。だが、そのためにはジュライの時と同じような状況となり、下手したらジュライの再来でオクトヴァーンを壊滅させて、この星の人類を全滅させかねない危険な賭けであった。だからヴァッシュはまず何とかして方舟をオクトヴァーンから引き離してからナイヴズと対峙したかった。

そんな中、ミリィがワムズ使いの家系であると知ったメリルは、ミリィの「ワムズ同士は離れていても互いに繋がっているので居場所を伝えることが出来る」という話を聞き、プラント同士であるヴァッシュとナイヴズでもそれが可能なのかもしれないと考える。そのことをヴァッシュに伝えると、ヴァッシュもそれは可能かもしれないと考える。ナイヴズは必ず弟である自分を手元に置いた状態で人類を滅ぼしたいと考えていたので、移民船団到着の前に自分の居場所がナイヴズに伝わるように発信すれば、安全な場所にナイヴズを誘き出すことが出来るかもしれない。

その決戦の場所としてヴァッシュは心に決めた地があり、ウルフウッドとリヴィオとメリルとミリィを連れてそこに向かって出発することにして、ホームと孤児院の子供たちに盛大に見送られて決戦の地に向かって旅立つ。その際、パペットマスターとミッドバレイは自分たちの手持ちの薬品を全てウルフウッドに託し、人類の命運を賭けた戦いの勝利を願い送り出す。そうして5人が旅立ったところで今回のお話は終わり、次回に続きます。

 

 

不滅のあなたへ Season3

第18話を観ました。

今回はまず学校でフシ人形と戦うトナリが逃がしたリガードが町を飛び回ってカイやハイロやメサールやエコに危機を報せて回る場面が描かれます。彼らはもちろんフクロウであるリガードの言葉は分かりませんが、いつもトナリと一緒にいる賢いフクロウのリガードがそのような異常な行動をとっていることから、彼らはトナリの身に何か緊急事態を起きたことを察し、トナリのいる中学校に向かいます。トナリがリガードをわざと逃がしたのは、フシがどういうわけか介入できない現状でこのように仲間達に危機を報せて援軍に来てもらうためだったのです。

学校ではトナリ達が一旦炎で包んで身体を大部分損傷させてフシ人形が復活まで時間を要している間に理科室に逃げ込みます。そしてフウナ達に鍵をかけてバリケードを作るよう指示して、そうして時間稼ぎをした間にトナリはフシ人形を足止めするための武器作りを始める。火薬弓矢や薬物などでフシ人形を燃やすことは出来る。しかし燃やすとスプリンクラーが作動してフシ人形の身体を包む炎を消そうとするので、十分に燃やし尽くすことが出来ずにすぐにフシ人形が復活してしまい戦いがキリが無くなってしまい、そんなことをしているうちに火薬弓矢の矢も尽きてしまうでしょう。

要するにスプリンクラーの「水」がネックなのだが、トナリは古代世界の大科学者であったので「水」を逆利用する方法があることを思いついたのです。トナリが理科室にあるはずだと思って探していたのは「乾燥剤」でした。厳密に言うと、乾燥剤の中身は生石灰であり、トナリが探していたのはこの「生石灰」でした。この「生石灰」の特徴は「水を加えると発熱する」ということ。つまりスプリンクラーの水に触れると発熱するのです。またフシ人形自体が水の中に含まれたノッカーの集合体ですから「全身が水で満ちている状態」であり、生石灰をぶっかければ発熱します。

但し、その熱は100度ほどなので、紙も燃えたりはしません。つまり生石灰に水をかけても、フシ人形にぶつけても、発熱はするけど発火はしない。しかしフシ人形は燃やさねば倒せないのだから「発火」させなければいけない。そこでトナリは理科室にある金属粉をこの生石灰に混ぜるという作戦をとった。アルミニウム粉やマグネシウム粉などの金属粉は引火点が低くて、生石灰と混ぜておくだけでは引火はしないが、もし「生石灰+金属粉」の混合物が水に触れると、生石灰の発熱によって金属粉が引火して発火するのです。しかも金属粉による炎は水をかけて消火しようとすると延焼が促進されるという特徴を持っているので、スプリンクラーの水を逆利用してフシ人形を燃やし続けることが出来るのです。

フシ人形は復活して理科室にやってきてドアを破ろうとしますが、フウナ達がバリケードで耐えている間にトナリはアイコと共にこの「生石灰+金属粉」の混合物をバケツに入れたり袋詰めにしたりして多数用意し、バリケードの上部からフシ人形が侵入してこようとしたところにこの粉袋を1つ投げつけ、フシ人形の水分によって発火して足止めしている間に「10分後に屋上で」と約束して理科準備室からアイコとフウナ達を逃がし、トナリ自身はフシ人形と火薬弓矢や粉袋や粉の入ったバケツで戦います。それらによる攻撃でフシ人形は発火し、更にスプリンクラーの水によって逆に火の勢いは増し、そこに更にスプリンクラーの水が降り注ぐのでフシ人形は燃え続けることになります。

ただトナリも金属粉による発火ぐらいでフシ人形を燃やし続けることは出来ても燃やし尽くすことは出来ないとは思っていました。フシ人形はフシの身体と同じレベルの再生力があるので、もっと爆発的な炎でなければ中のノッカーを絶滅させることは出来ない。だからトナリの戦いは実は単なる時間稼ぎであり、アイコに「10分後に屋上で」と言葉を交わしたのは、つまり「トナリが10分の時間を稼ぐ間にアイコ達がフシ人形を倒すためのトラップを屋上に仕掛ける」という作戦であったのです。本当はもっと時間が稼げればいいんですが、トナリとしても「せいぜい10分しか持ちこたえられない」と読んでいたので、アイコ達はなんとしても10分以内にトラップを完成させなければいけない。アイコはフウナ達とで2手に分かれて、そのトラップを作るために必要なものを校内で調達して回ります。

ただ、このトナリとフシ人形の追いかけっこは実は2人だけの戦いではなく、そこにフシとノッカーが介入はしていた。フシはようやく外の世界に干渉出来る状態となり、学校を覆っていた奇妙なノッカーの花を排除していき、トナリの逃走も支援しようとしていた。一方でノッカー側もトナリの逃走を邪魔しようとして傀儡となった人間の身体を動かしてきたりする。ただ、どちらも十分な支援は出来ないようでした。それは同時進行で地下空間ではフシとイツキノッカーとの戦いが行われていたからです。

ただ、その戦いは異様なものでした。フシはひたすら無抵抗にイツキノッカーの攻撃を受けて器を奪われ続け、イツキノッカーは次々と現れるフシの器を倒していくのに大忙しという感じで、それでお互いに学校に介入する余裕が無いという状況でした。フシの力をもってすればイツキノッカーを倒すことは造作もないことのはずでしたが、しかしフシはそうはしない。イツキノッカーは戦意を喪失したのか?」と不審に思うが、フシは「戦意を喪失したというか、関心に変わっただけだな」と答える。

フシはもう今はノッカーに対して敵意を抱いていない。観察者が言っていたように「人間のように生きようとするノッカーもいる」ということを信じられるようになっている。それはイズミノッカーと接したからであった。そして、それはイツキノッカーも同じなのではないかとフシは考えていた。イツキノッカーは明らかに人類に敵意を抱いている。というか「不幸な過ちの存在」と見なして「死」をもって救済しようとしている。だが同時に彼はイツキの記憶も受け継いでおり、イツキとして過ごしてきた時間も長い。あるいは彼は「不幸な過ち」だと蔑みながらも何時しか「人間として生きること」に魅せられてしまったのではないかと、フシは関心を抱き始めたのです。

おそらく彼らの住む宇宙空間の「楽園」という場所は地上ほどは魅力的な場所ではないのだろう。いや、或いはノッカーにとっては十分に魅力的な場所なのかもしれないが、少なくとも人間の姿をして暮らすぶんには地上の方が魅力的なのだろう。そのように地上の暮らしを「魅力的だ」と感じてしまうこと自体がノッカーの価値観では「堕落」と言うのかもしれない。いわば現在の「人間に寄生したノッカー」という存在は「地上に堕ちた神」のようなものだ。人間を「死」で救済するために地上に降りてきたはずなのに、人間の身体などという「堕落」したものに入ってしまったために「堕落」してしまい「人間として生きていたい」なんて思ってしまったのだ。

これは天空の「楽園」に居るノッカー達から見ればとんでもない裏切りだが、そんな「人間に寄生したノッカー」が実はたくさん居るのだろう。例えば養護施設に居たノッカーなどもそういう存在なのだろう。ただ、あのノッカーを見ても分かるように、天空のノッカーの指令で操られてしまうこともある。しかしそうした強い干渉を受ける時以外の通常時は「人間として生きたい」と思っている友好的存在なのだ。そうした二面性を持つ地上ノッカーというものにフシは興味を抱き、彼らとどう向き合うべきなのか試行錯誤を始めている。

イツキノッカーもフシによって「楽園の生活」と「地上での人間としての生活」とのどちらが自分の本当に望むものなのかという問いを突き付けられ、「こんなものがあるから不幸になるんだ」と悪態をつきながらも、人間として長年ずっと好物としてきた妻の作ったビーフシチューを口にして「美味しい」と呟き、自分の本当に望むものを自覚するのであった。それをユーキは「共通言語」と呼んだ。人間とノッカーは確かに異質な存在である。正反対な存在であった。だがノッカーが「人間の身体」という共通言語を得たことによって、「身体を持つゆえの苦しみ」を共有するようになった。それなら心だって通じ合えるはずなのだ。その「共通言語」の価値観を信じられるか、信じることが出来ないか、そのことを人間側もノッカー側も「試されているんだ」とユーキは言う。

そしてユーキ達がミズハの死体を背負って遂に地下通路から地上に出てきたところ、外は守護団の信者たちに囲まれていた。おそらくは全てがノッカーに寄生されている半ギョウ体や全ギョウ体みたいです。そこにフェンやニクソンからユーキ達の行動を聞いたボンがひろとしを連れて助けに来たが緊迫した状況となる。

一方、学校の方ではトナリとフシ人形の追いかけっこも10分が経過し、トナリが屋上に向かうと、そこにはアイコやフウナ達がトラップを完成させて待ち構えていた。トラップといっても簡易的なものであり、学校中からかき集めたガソリンや引火性のガスを撒き散らしておき、それを屋上に出る階段の最上部の踊り場に積み上げたダンボール箱で隠してあるというだけのものだった。それを飛び越えてトナリが屋上に出た後、炎に包まれたまま追いかけてきたフシ人形の身体の炎がそれらのガソリンやガスに引火して大爆発して炎上した。

そうしてフシ人形は燃え尽きて戦いは終わった。屋上で再会したトナリやアイコ達はそう思って歓喜したが、ほとんど骨だけになって燃えながらもまだフシ人形の中のノッカーは完全には死んでいなかった。そうなるとフシ人形の外殻は炎の中で少しずつ再生していくので戦いはまだ続くことになる。だが、そこにカイ達がやってきて学校に置いていた自分たちの武器を手にして加勢してくれた。カイ達はこの時代にノッカーが存在していることをまだ知らないので、燃えるガイコツが動いてトナリ達を襲っている状況がいったいどういうことなのかと困惑するが、とにかく応戦する。またエコから危機を知らされたマーチもオニグマに乗ってトナり達を助けに来ます。

しかしカイ達がフシ人形と戦ううちに、屋上の貯水槽が破壊されてノッカーに汚染された水が屋上に溢れ、フウナ達に警告されたカイ達は間一髪で水を避けますが、トナリが水に触れてしまいノッカーに寄生されて操られてしまう。更にフシ人形も復活して危機的状況となり、カイ達もどうやらノッカーが現代にも存在しているらしいことや、フシがそのことを隠していたこと気付く。フシも遠隔から屋上の戦いに介入しようとするが、イツキノッカーとの戦いは終わったものの、撃たれた瀕死のミズハの祖父を運んだりするのに忙しく、なかなか十分な介入が出来ないままトナリが傷つき、フシも痛みを感じる。

だが屋上での危機的状況は突然に終わる。時が止まったようにトナリとフシ人形の動きが止まったのだ。そこにサトル少年がやってくる。つまりこの危機的状況を救ったのはサトル少年となった観察者であったのだ。観察者はそこでノッカーに寄生されたトナリをどうすべきか思案する。一方で地下通路の出口付近でのユーキ達と守護団信者のノッカー達との対峙状況の方は、突然にミズハが間に割って入る。

ミスハといっても、本物のミズハは前回死んだので、ここでは全ギョウ体となったミズハ、つまりミズハノッカーである。このノッカーとしてのミズハが「私、ここに残る」と言い出す。そしてミズハは「残って守護団当主としての任務を果たす」「ご先祖様の期待に応えたいの」と続ける。それはノッカーの本来の任務ではなく、人間としてのミズハの抱いていた願いであったはずだ。それをノッカーのミズハがやりたがっているのは奇妙にも見えるが、ミズハノッカーもまたミズハの記憶や想いを引き継いでいるのだ。ミズハノッカーはそうした人間としての想いをノッカーとしての任務よりも優先させると宣言しているのです。それはもう人間とは敵対しないという宣言でもあり、この場に集まった地上ノッカー達にもそれに賛同するよう求めている。

しかし、それはミズハがもう元の生活には戻らないと宣言しているようにも思えてハンナは寂しく思う。そして、これまでのように暮らしたいと言う。ハンナにとってはミズハの中に居るのが人間であろうがノッカーであろうが、ミズハの記憶を引き継いでいる以上はどちらでも同じみたいです。ボンはミズハにノッカーの侵略を止めさせるよう求めますが、ミズハは「出来る限りのことはします」と答える。

これは十分に誠意のある回答でしょう。実際、ノッカーの本隊は天空にある「楽園」のノッカーなのであり、ミズハは地上の実行部隊の指揮官に過ぎない立場なのです。しかも「楽園」からのテレパシーによる支配も一定程度は受ける立場ですから「絶対に侵略を止めさせます」とは軽く言えないのも当然です。つまり状況はまだ混沌としている。そういう状況の中、ユーキがミズハの手を握り「僕らと守護団でこれからについて話し合いましょう」と提案する。つまり、かねてからユーキが言っていた「平和協定」を話し合おうという誘いです。それを聞きミズハが「私たちのこと、信じてくれるの?」と驚く。ノッカーを信じようとする人間という存在に驚いたようです。そして「私もみんなを信じていいんだね?」と涙を流す。そういうところで今回のお話は終わり、次回に続きます。

 

 

グノーシア

第20話を観ました。

今回を含めて残り2話となりました。ラキオの部屋で銀の鍵を見つけたユーリは、その銀の鍵を自分に寄生させて再びループを繰り返して銀の鍵を満たし、その時に開く次元の扉を通ってセツの居る因果律で繋がっていない別の宇宙に行こうと考える。そうすればセツが自分に銀の鍵を渡して、セツ自身の銀の鍵を満たしてループを終えることが出来ると思われるからです。

だが、そこにラキオが戻ってきて、そのプランには2つ問題点があることを指摘します。まず「二重存在の問題が解決していないこと」が指摘されます。このままユーリが別の宇宙に行くと、そこには本物のユーリも存在していているので因果律が破綻して宇宙が崩壊してしまいます。そしてもう1つの問題点は「そもそも次は銀の鍵を満たしてループを終えることは出来ないかもしれないこと」でした。銀の鍵やループについて研究しているラキオに言わせれば、今回ユーリがループを終えることが出来たのは奇跡のようなものであり、次も同じように上手くいくとは限らないらしい。

しかし、その第二の問題点についてはユーリは大丈夫だと言う。ループを延々と繰り返すということは時間はたっぷりあるということである。それにループすればこの船に乗り合わせた仲間達がいる。この仲間達と一緒ならきっとゴールに辿り着けるという自信がユーリにはあった。ついさっき終わったループは「皆が誰1人欠けることなく幸せになれる世界」だった。そこがループの終点だというのなら、この仲間達と一緒なら再びきっとそこに辿り着くことが出来るとユーリには確信があったのです。

それを聞いてラキオも半ば呆れてユーリに銀の鍵を渡し、ユーリは皆に事情を説明し、ユーリの考えを受け入れてくれた皆は宇宙船の食堂でユーリの送別会を開いてくれます。この送別会がダイジェストでしたが何ともカオスで面白かったです。そして、こんなカオスなのに何故だかちょっと感動的なのは、やはりここまでの物語の積み重ねがあるからというのと、今回のエピソードの構成の巧さでしょうね。

そうして送別会もカオスの末に終了し、ユーリが食堂のソファで寝ていると、そこにラキオがやって来ます。ラキオだけは送別会に参加せずに部屋で何か作業をやっていたみたいです。ラキオは第一の問題点「二重存在」の解決法を考えていてくれたのです。ラキオはユーリのことを「他人のために自分の時間を費やす理解できない人間」と否定したが、実際はラキオもまた同じようにユーリのために自分の時間を費やしてくれる優しさの持ち主であったのです。そのことについて指摘すると、ラキオは照れて「僕はただ哀れな実験体を笑いに来ただけ」と言って去っていく。

そしてユーリは酔い潰れて寝ている皆に別れを告げ、銀の鍵を使って再びループを開始する。そしてここから様々な世界線でのグノーシア騒動の様子がダイジェストで描かれていくが、これがまたカオスで、それでいてちょっと感動的でした。また、そうした新たなループの中で特徴的だったことは、まず「セツがいないこと」であったが、これは予想した通りではあった。しかし何故かどの世界線でも「ククルシカが倉庫で人形のまま眠っていて動かない」というのも共通していた。それについてはユーリも理由は分からなかった。

そして更にループを続けていき、夕里子がユーリに「グノーシアを全て凍らせて自分たち2人が生き残ることが出来れば真実を教える」と言う世界線に至った。前のループの際にもこれに似た世界線があったが、その結果、夕里子が教える真実が「ユーリはグノースによって作られたバグである」ということであることは既にユーリは知っていた。それでもその世界線でユーリは夕里子の出した課題に応えて、2人で会話をする機会を設けた。それは夕里子にある願い事をするためであった。

ユーリは夕里子に星船の位置を教えてもらい、そこまでの案内を頼んだのだ。宇宙船の船長のジョナスも上手く説得し、そして星船へ接近しシステムにハッキングし、グノースの力でユーリの意識を電脳化して次元の扉の向こうに送り、セツの居る別の宇宙に居る本物のユーリにその意識を移植する。それこそがラキオの教えてくれた「二重存在」の解決法であった。ただ、この方法はグノースによってユーリの意識が呑み込まれれば終わりという、大きな賭けであった。しかしユーリはグノースはおそらくそうはしないだろうと見ていた。

果たしてユーリがグノースにハッキングして自分の意識を電脳化すると同時に銀の鍵が遂に満たされ次元の扉が開き、それを通ってユーリの意識がは別の宇宙へ行き、宇宙船の医療用ポッドの中で眠る本物のユーリの身体に移植された。そしてセツがいつものように医療用ポッドを開いて、遂にユーリはセツとの再会を果たすのであった。そういうところで今回のお話は終わり、次回の最終話に続きます。なお、この作品はゲーム原作ではありますが、おそらく次回で綺麗に完結すると思います。

 

 

メダリスト(第2期)

第20話を観ました。

今回を含めて残り3話となりました。今回はいのりのジャンプ練習のためにジャンプの専門家である魚淵翔コーチがやってきてくれた場面から始まります。ここでいのりはいきなり、これまで跳ぶことの出来なかった3回転フリップも3回転ルッツも跳べてしまう。これにはいのり本人も、コーチの司や瞳も驚愕する。いのりはこれまで3回転フリップや3回転ルッツに関しては十分な練習時間も取れていなかった。その状態から早期にこの2つの高難度ジャンプを跳べるようになって、そこから完成度を上げていって2週間後のノービスA全日本大会に臨もうという算段であったので、早期に跳べるようになることは期待しており、そのためにこそ魚淵に来てもらったのだ。しかし、それにしてもたった1回ハーネス付きで跳んで成功、その後にハーネス無しで跳んでこれも1回で成功とは、期待を超える収穫であった。

しかもいのりだけではない。ルクス東山FSC所属の他の生徒たちもみんな魚淵のハーネスを使ったレッスンを受けると、これまで苦戦していたジャンプをどんどん跳べるようになっていった。司と瞳がまるで魔法を見ているようだと唖然としていると、魚淵は「ハーネスの良さを伝えることが出来て嬉しいです」「これがあるとジャンプ練習の効率が格段に良くなるんですよね」と平然としている。自分が凄いことをしているという自覚があまり無いように見える。いのりのように1日で高難度ジャンプを習得してしまうなんてことも魚淵の場合は「よくあること」らしい。彼の言うには「僕はこれだけで食べてるんで、これぐらいの成果を出せないと仕事にならない」とのこと。

司には魚淵がずいぶんと謙虚に思えた。司や他の選手のコーチ達が四苦八苦している「難しいジャンプを跳べるようにすること」をこんな簡単にやってのけてしまえる魚淵は、自分なんかよりも凄いコーチになれそうに見える。それなのに、あくまで「ジャンプの専門家」として特定の選手の専属コーチになることなく全国を飛び回っている。一流選手の隣でキスアンドクライに座って賞賛を浴びることも出来そうなのに、そうなろうとはしていない。ずいぶん謙虚で酔狂な人だと思えた。

ただ、そんな魚淵なりに自分の仕事に誇りは持っているようで、彼は帰り際に「ジャンプを跳べるか否かは選手の道を左右するので、困ったら遠慮せず呼んでください」「どんな困難に溺れても僕が吊り上げてみせます」と言った。その言葉の意味がよく分かったのは、その翌日、司が自腹でハーネスを買ってきて魚淵の見よう見まねで生徒たちにハーネス指導をやってみた時であった。司はもともとアイスダンスの選手だったので他の人に並走して滑るのに慣れていたし「一度見たものは大体は真似が出来る」という稀有な才能もあったので、魚淵のように上手くハーネスを使ったレッスンが出来てしまったのです。

その時、司は中学3年の卯山雪のジャンプ練習をハーネスを使ってやってみた。雪はダブルアクセルが跳べなくなっていて、そのせいで6級バッジテストを落ちていた。その雪がハーネスを使ってみたらすぐにダブルアクセルを跳べるようになり、涙を流して喜んでくれたのだ。雪はもう高校受験も控えていて6級バッジテストも落ちていたので、フィギュアスケートを辞めようかと悩んでいたらしい。でもこうしてダブルアクセルが跳べたことで6級の合格の目途がつき「これで私またスケート頑張れる」と泣いて司に感謝してくれた。

それを聞いて司は自分も同じ気持ちだったことを思い出した。選手は難しいジャンプを跳びたいわけではない。もともと「ただ氷の上でスケートすることが好きなだけ」なのだ。だが「ジャンプを跳べない」ということが足枷になってスケートを好きなのにスケートを辞めていく子が多い。前回のエピソードで岡崎いるかが「ジャンプの下手な子はすぐスケート辞めていく」とこぼしていたが、あれも「ジャンプ出来ない奴はスケートやる資格なし」などと言いたかったわけではない。「ジャンプが出来ないせいで良いスケート選手がスケートを辞めていく」ということを残念がっていたのだ。いるか自身がジャンプだけに頼らない華麗なスケーティングを武器にしている選手だから、きっとそういう意味で言っている。いのりの姉の実叶が辞めたことだって本当は残念に思っていたのだろう。

もちろん元全日本強化選手だった魚淵もそんなことは分かっている。フィギュアスケートの本質はジャンプだけではないのに「ジャンプが跳べない」なんていう理由だけで「本当にスケートが好きで、良いスケートをする選手」が辞めていく現状を憂えている。だからこそ彼はそういう被害者を減らすために「ジャンプを跳べるようにするぐらいなら自分が全部引き受けますよ」というつもりで全国を飛び回っている。それは自分にしか出来ない仕事だとプライドは持っているが、同時に彼は「選手にとって一番大事なコーチの仕事は自分の仕事ではない」と割り切ってもいる。選手にとって一番大事なコーチの仕事とは「良いスケートを教えること」であり、そして何より「スケートを諦めることがないようにしてあげること」なのです。

魚淵が決して自分や瞳に対して偉ぶった態度を示さず敬意を払い続けていたのはそういう理由だったのだと司は理解した。それは要するに「あなたたちの選手に対して負う責任はもっと大きいんですよ」というプレッシャーにも思えた。それで司は改めて自分はハーネスを使いこなせるようになって「自分の生徒たちをスケートを意に沿わず辞めるようなことにならないように守り抜いてみせる」と固く心に誓うのでした。

とにかくこうして、いのりに関しては3回転ルッツも3回転フリップも跳べるようになり、これでトリプルアクセル以外の5つの3回転ジャンプの手札が全部揃ったことになった。あとはこれから全日本大会までの2週間でこれら2つの高難度ジャンプをコンビネーションジャンプに組み込んでいき、狼嵜光と勝負できるプログラムを作っていくことが急務となった。ところがその矢先、いのりの3回転ルッツをハーネスで吊って指導していた時、司が転倒して肋骨にヒビが入ってしまった。

いのりのジャンプは幅があるのでハーネスが引っ張られてしまい司には難しく感じられていたが、その時も司は引っ張られてしまい、そこに運悪く氷に開いていた穴にスケート靴のエッジが引っかかってしまい、受け身を取るためにハーネスの竿を手離すといのりに当たってしまうので、司は竿を両手で握ったまま胴体で氷に上に激突して肋骨にヒビが入ってしまったのだ。まぁ肋骨にヒビが入るぐらいでは重傷ではなく、日常生活に支障があるものではなく自然治癒を待ちながら普通に生活を送ったり生徒の指導も可能ではあったが、さすがに氷の上を滑ったりハーネスを使ったりするのは出来なくなってしまった。

ただ深刻であったのはいのりの状態の方であった。いのりは自分のジャンプ練習のせいで目の前で司が転倒して顔面血だらけになったことで動揺し、更に「肋骨にヒビが入った」と聞いてショックを受けてしまった。「肋骨にヒビが入る」というのがそんなに深刻な状態ではないということも子供のいのりにはまだよく分かっていないようで、ショックを受けたいのりはその後、せっかく魚淵の指導で跳べるようになっていた3回転ルッツも3回転フリップも再び跳べなくなってしまった。いや、それどころか2回転ですら跳べなくなってしまったのでした。

司は自分が見よう見まねでハーネス指導なんかしたせいでいのりを精神的に追い込んでしまったと悔やみ、自分の自惚れを深く反省した。そうしていのりの状況が改善しないまま全日本大会まで残り9日となった。このままでは全日本はかなり厳しい状況で臨むことになってしまう。ここで司が魚淵に連絡して相談してみたところ、現在新潟のリンクに居るという魚淵が明日の朝ならいのりの指導をすることが出来るようスケジュールを調整してくれて、司は明日の朝イチで新潟のリンクに着けるように、いのりを乗せて夜通し車を運転して愛知から新潟に向かうことになった。

いのりはまだ落ち込んでいたが、司からいのりが精神的にキツい状況にあることを聞いていた母ののぞみは出来るだけいのりを前向きにしてあげたいと思い、初めての車中泊を楽しむよう背を押してくれる。そうした母の気持ちを汲んで、いのりもハイテンションで新潟行きの車中ではしゃぎ、朝イチの練習に備えて早く寝てほしいと思っている司は困惑しつつ、いのりとの車の旅を楽しみ、意外にいのりが元気そうなので少し安堵する。

だが途中の諏訪湖サービスエリアで司が車外で小休止して車に戻ると、ようやく車中で寝たと思っていたいのりが起きていてジャンプの練習映像をスマホで見ているのを見て、司はいのりがやはりジャンプを跳べなくなったことを気にしているのだと思い、車の外に出て諏訪湖を眺めながらいのりと話をします。そこで司は、いのりが「自分の全日本に向けてのジャンプ練習で司先生に怪我をさせてしまったから、絶対に全日本までに難しいジャンプを跳べなければならない」というプレッシャーを自分にかけているということに気付く。

いのりは何時の間にか「大会で難しいジャンプを跳んで勝つ」ということが全てになってしまっている。それで過度のプレッシャーを自分にかけて、ますます跳べなくなってしまい、このままでは「ジャンプが跳べなくて負けた」ということになればスケートを嫌になってしまうかもしれない。それは間違っている。スケートの本質はそこじゃないのだ。そのことを教えるため、司は眼下に広がる諏訪湖が冬には一面凍りつくということを伝えて、残念ながら諏訪湖は勝手に滑ってはいけないのだが、もし諏訪湖でいのりが跳んだらすごくかっこいいだろうと言う。

そして、今回新潟に行ったら、今後は全国の色んなリンクに行って色んな氷の上で跳び回ろうと、いのりを誘う。そして「明日跳べなくても大丈夫」「色んな方法を試して一緒に積み重ねていこう」と言う。大会のリンクで跳べなくても、それで自分たちのスケートが終わるわけじゃない。ただ氷の上で滑れるだけで自分たちのスケートは大丈夫なのだと、司はいのりを安心させてあげたのでした。

それでいのりも安堵して「はい」と笑顔で応え、司は自分の怪我が心配するようなものではないと示すため、いのりを背負って歩いていく。しかし司の平熱は37度と高めなので、背中が温かくてポカポカしていのりは眠くなってくる。それでいのりは寝ぼけながら司の平熱が高いという話を聞き「司先生はきっと氷の上でたくさん滑るために温かい身体で生まれてきたんですね」と呟く。それを聞き、司は自分のスケート人生が初めて報われたような気がした。これまで周囲に冷遇され続けて「自分がスケートをすることなど世界に望まれていないのだ」と思い続けた人生であった。そうした末に司はスケートを辞めることになった。

だが、いのりはこんな自分を「スケートをするために生まれてきた」と言ってくれた。ハッとして振り返ると、いのりはもう司の背中で眠っていた。司は立ち止まり、諏訪湖の方を見つめる。すると諏訪子の氷の上を滑走するいのりの幻が見えて、司は再び車に向かって歩き始めながら涙がこみ上げてくる。そして涙を流しながら司は心の中でいのりに向かって「俺もあなたを、スケートをやるために生まれてきたって世界中で言われる選手にするからね!」と誓うのでした。そういうところで今回のお話は終わり、次回に続きます。