2024夏アニメ 7月19日視聴分 | アニメ視聴日記

アニメ視聴日記

日々視聴しているアニメについてあれこれ

2024年夏アニメのうち、7月18日深夜に録画して7月19日に視聴した作品は以下の5タイトルでした。

 

 

義妹生活

第3話を観ました。

今回は初めて沙季の本心が明らかとなったエピソードでしたが、なかなか演出が独特ですね。これは確かに見る価値はある作品だと思いました。ただ相変わらず辛気臭くて別に面白くはないので、なんとか我慢して最終話まで完走したいものだと思う。基本的には大して面白くないので途中で切るのは簡単なんだけど、なんかそれじゃ勿体ない気がするんですよね。最終話まで見ても「イマイチだったなぁ」となると思うんですが、途中で切るとずっと後悔しそうな作品でもある。だから見続けるつもりなんですが、それはあくまで現状の面白さが低空飛行ながら維持されていればの話で、この後、雰囲気が変わって、単に辛気臭いだけじゃなくて壊滅的に不快になったり死ぬほどつまらなくなったりしたら後悔無く切れるかもしれません。

あと、沙季と悠太の2人のキャラが結構今回で好きになれたのは大きい。他のラノベの登場人物とは違ってかなり生々しくてリアリティのある設定なので、萌えるとか性癖にぶっ刺さるとか、そういう薄っぺらい魅力じゃなくて、生身の人間として愛おしさを覚えました。リアリティ重視なのでどうしても話は今後もつまらないんでしょうけど、この作品こそキャラの魅力でなんとか見れるという作品ですね。それだけキャラは気に入った。面白いとかじゃなくて、愛せる。クドクドと辛気臭い理屈を言ったり、オタクっぽいことを言ったり、普通は「ロシデレ」とか「ふたきれ」なんかではそういうのウンザリするんですけど、この作品のこの2人の場合はそういう欠点も含めて愛せてしまえる。だから途中で見るのを止めたくはないのです。

何だろう。この作品のこの2人の場合は欠陥を抱えた人間として描写されてるから、そういう意識高いところとか拗らせてるところがちゃんと「欠点」として描けてるのが良いんでしょうね。他のラノベ作品みたいに読者層に媚びてそこを安易に肯定的に描いてないところが好きなのかもしれない。ただ話はおかげで盛り上がらないしつまらないですよ。

今回も、悠太が学校での沙季への態度が配慮に欠けたと反省したり、沙季が悠太が女装趣味がある可能性を考慮しない会話をしたことを反省したり、相変わらず辛気臭い。悠太は咄嗟にやってしまったことは反省して見直すならば問題視すべきでないと慰めるが、沙季は「浅村君は私のことを理解しすぎ」と非難めいたことを言って去っていく。その後、悠太が干してある沙季の下着に咄嗟に目を奪われたのを見られてしまい、咄嗟にやってしまったことだからと赦してもらい、悠太は欲望は無いわけではないが欲望のままに行動はしないと弁解する。その後、沙季がずっと塞ぎこむようになり、深夜に下着姿で悠太のベッドに上がってきて、身体を買わないかと誘ってくる。

実は沙季は父親が母親を女だからと蔑視していたのを見て男性不信になっており、「男に頼らず生きていかなければいけない」と強く思って生きてきたのだが、悠太と一緒に暮らすようになり、悠太があまりにも自分のことを理解して気遣ってくれるので好意を抱いてしまい依存したくなってしまったのがとても危うく思えてしまった。男性不信の沙季は男を信じて裏切られることが怖くなり、悠太に依存してしまう前に悠太も他の男と変わりないということを証明して悠太を嫌いになろうと思い、それで悠太を誘惑したのです。

だが悠太は沙季の誘いを拒否した。だが、それは悠太が紳士だったからではなく、悠太もまた母親の浮気で父親が苦しんでいたのを見てきたせいで女性不信になっており、特に性的にだらしない女性が苦手だった。それで沙季の行為を拒絶しただけだったのだが、この一件でお互いの弱いところを知った悠太と沙季は、自分たちは似たもの同士だから良い兄妹になれるんじゃないかと確認し合うが、それでも沙季は悠太のことを「お兄ちゃん」と呼ぶことを拒み「浅村くん」と呼び続ける。それは「お兄ちゃん」と呼ぶことで悠太への依存が止まらなくなってしまうことを恐れているからなのだと自分に言い聞かせる沙季であったが、心の奥底では、あくまで悠太とは兄妹ではなく他人でいることの方が1人の女性として望ましいという想いがあったようです。まぁ今回はそんな感じで次回に続きます。

 

 

俺は全てを【パリイ】する ~逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい~

第3話を観ました。

今回はノールがギルバードと模擬戦で勝負することになり、ノールはどうしてギルバードのような上級者が自分と勝負しようとするのか意味が分からないが良い経験になると思い胸を借りるつもりで挑む。一方ギルバードはミノタウロスを一撃で倒したという噂のノールと本気の勝負が出来るのを楽しみにして模擬戦に挑む。

そうして模擬戦が始まるが、ギルバードの攻撃がノールに当たらないので、ノールはギルバードが気を使って手を抜いてくれているのだと思い、手は抜かなくてもいいと言う。それでギルバードも無意識に手加減をしていたのかと思い、本気の本気で攻撃を繰り出すが、やはり攻撃は当たらず、ノールはきっとギルバードがワザと隙を見せて誘っているのだと解釈して警戒して反撃せず攻撃を避けることに専念する。そうしているうちにさすがにノールも、もしかしたらギルバードは本気で攻撃してきていて、自分が強くなっているのではないかと気付く。しかしギルバードが奥義の技を繰り出して、それがノールも避けるので精一杯だったので、やはり自分はまだまだ弱かったのだとノールは反省して、自ら敗北を認めて模擬戦を終えて帰っていく。だがギルバードは回避出来るはずがない自分の奥義が避けられてしまったことに驚き、負けたのは自分の方だと思い、秘かにノールを好敵手と認めたのでした。

そして、町に戻ったノールは王様から貰った聖剣でドブさらいをしたりして過ごしていたが、リーンがやってきて弟子入りしたいとしつこく言ってくる。それで自分の様々なスキルを見せて、自分が弟子にするに値する人間であると示そうとする。だがノールはリーンが凄い能力の持ち主だと知れば知るほど自分がリーンに教えることなど何も無いと思ってしまい、リーンの弟子入りを拒む。それでもリーンが諦めてくれないので、ノールはどうやらリーンが自分のことを強者だと誤解しているようだということに気付き、どうにかして自分が弱者だと理解してもらおうとする。それでノールは自分はプチファイヤーぐらいしか使えないのだということを示すため、プチファイヤーを出してみせる。しかしノールのプチファイヤーは王国で最高の魔術師の出すプチファイヤーよりも遥かに大きなものであったので、リーンはやはりノールは凄い研鑽を積んだ冒険者だったのだと思い、そんな人の前でただ見栄えのする平凡な魔力量の技を自慢げに披露した自分を恥ずかしく思う。そんな自分の慢心をノールに戒められたのだと解釈したリーンであったが、王族としてそんなノールの強さこそ自分が身につけねばいけないものだと改めて決意し、ノールに強引に弟子尻するのでした。今回はそこで終わり次回に続きます。

 

 

女神のカフェテラス(第2期)

第15話を観ました。

今回は新たに近所に開店したレストラン「ファミリー」が盛況で、お客を奪われてしまったファミリアが巻き返しを図ろうとするところから始まります。そのために白菊に新メニューを考えてもらうのだが、良い料理が思い浮かばないという。ファミリアの前の店主は隼の祖母でありフランスで三ツ星シェフだった人で、その祖母の幸子が考えたメニューは完成されたものであり、そこに追加する新メニューなど自分では思いつかないと白菊は言うので、皆もそれは仕方がないと納得する。

だが隼は白菊が全力でやっていないと指摘する。白菊は幸子の作ったメニューを尊重しているので自分がそれを変えるようなことをしたくなくて無意識に自分の発想を縛っていたのです。だが隼はそもそも幸子の作ったメニューは幸子の全力のメニューではなく、孫の隼と2人でそこそこ楽しく暮らしていければよいというコンセプトのメニューなのだと言い、今の白菊に求められているのは一気に客足を取り戻せるようなレベルの高い料理なのだと指摘する。それでも幸子の店で幸子のメニューを勝手に変えたくないと言い張る白菊に、隼はこの店は幸子ではなく自分の店だと言い返し、自分を支えるために戻ってきてくれたのなら自分のために新しい料理を考えてほしいと頼む。そして、白菊も最初から幸子の料理のコピーをするためにこの店に来たのではないはずだと言う。それを聞いて、白菊はもともと自分は一流の料理人になる修業のつもりで幸子の弟子入りをしたのだということを思い出し、他の皆にも好きにやって幸子を超えてほしいと背を押されて、白菊はピンチャスというスペインでよく食べられているサンドイッチを新たに多数の種類用意してメニューに加えて、更にプリマヴェーラという新作のピンチャスを考案して、それを新たなファミリアの看板メニューとした。

こうしたピンチャスを低価格でメニューに加えることが出来たのは流星が仕入れ先と交渉してくれたお蔭でした。流星は白菊が隼のために自分の出来ることで役に立とうとしているのを見て、自分も自分の出来ることで貢献したいと思って張り切っていたのです。流星はそうして地道に仕入れ先を回っている際にファミリーの5人組のうちの現役アイドルの莉々花に絡まれて嫌味を言われたりしたが、自分には「落ちぶれた経験」という強みがあるのだと言い放つ。

その流星は白菊の新メニュー完成と桜花のハロウィン用の新制服の完成に合わせて、サクラの客として商店街の人たちを集めて、以前に海の家でトラブルを起こしたテレビクルーを呼んできた。そして、これまでは自分の素性を隠してバイトをしていた流星が「落ちぶれた元天才子役が立て直そうと奮闘しているお店」というコンセプトでテレビ局に撮影を依頼して、ファミリアの宣伝を仕掛けたのでした。これがつまり「落ちぶれた経験」という強みだったのです。

そうしてファミリアは再び盛況となり、逆にファミリーの方は閑古鳥が鳴く状況となり、莉々花たちファミリーのバイト5人は店内で愚痴を言い合い、莉々花は自分のファンの悪口を言ったりしていた。するとそこに流星がやってきて、莉々花とそのファンの悪口を言い始め、莉々花に引退をするよう言ったりしたので、莉々花や仲間たちは怒って流星と口論になり、莉々花は自分のファンを侮辱されたことに腹を立てて、これからも自分はファンを信頼して頑張ると言い返す。

すると流星は急に莉々花が直前までやっていた店内からの動画配信を切り忘れていたことに気付いて、莉々花のミスのせいで自分の暴言が拡散されて大迷惑だとキレて慌てて帰っていった。それで莉々花も慌てて炎上を心配して動画を見てみると、莉々花がファンを庇ってことで莉々花の評判は上がっていた。それを見て、莉々花たちは不自然なタイミングでいきなりファミリーにやって来た流星が、配信切り忘れに気付いて、莉々花がファンの悪口を言ってるのが配信されてしまっているのをフォローするために助け舟を出すために来てくれたのだということに気付く。

その結果、逆に流星の方が叩かれる羽目となり、ファミリアの客足も少し減ることになってしまったが、隼は流星がうっかり配信切り忘れに気付かなかったという言い訳は嘘で、莉々花が叩かれるのを過去の自分に重ね合わせて同情して、それで助け舟を出したのだろうということは察した上で、流星のそういうところは嫌いじゃないと言って褒めてくれた。そんな感じで今回は終わり次回に続きます。

 

 

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

第2話を観ました。

今回はタクミがアレンとエレナと一緒にパンやさんに行き、この異世界には無いアンパンやクリームパンを作ったり、アレンやエレナと一緒に迷宮に行って鍋料理を喰ったりフレンチトーストを喰ったりしながら迷宮を攻略します。その後、フェンリルがタクミの契約獣として現れたのでジュールと名付けるが、風の神シルの仕業かと思ったら水の神の眷属からの贈り物らしく、どうも水の神がアレンとエレナの親みたいです。その後、シルも契約獣を贈ってきて、それが虎だったというところで今回は終わり次回に続きます。

 

 

先輩はおとこのこ

第3話を観ました。

今回はまことが母親に女物のハンカチを持っていることがバレてしまった前回のラストシーンの続きから始まり、夏休みが終わって楽しみにしていた創立記念パーティーまでが描かれて、とても素敵なエピソードでありました。また、まことの謎がだいぶ明らかとなったエピソードでもありました。

前回、まことは夏休み明けの高校の創立記念パーティーにドレスを着て参加することをもともと決意していましたが、ドレスは通販で買おうとしていた。だが、咲に一緒に買いに行こうと言われて、男の格好でドレスを買いに行けないと言って躊躇していました。それで咲に「女装をして買いに行けばいい」と強く勧められて買いに行くことにしましたが、学校の女子制服であるセーラー服以外に女性用の服を持っていなかったので、ウィッグを被ってゆったりめのTシャツにキュロットパンツで女の子に見えるようにしてドレスを買いに行きました。

普段、学校でセーラー服を着て奇異な目で見られていて、それでもドレスを着てパーティーに参加するというのは、かなり勇気のある行動だと思います。そんなに勇気があるまことがどういうわけか学校外では女装する勇気は無い。女装して外出が出来ないから普段から女性用の服はおろか女の子用の小物なども買うことが出来ない。だから女の子用の小物の持ち合わせも少なくて、たまたま他人から貰ったりすることぐらいでしか入手出来ていない。だからまことは入手した女の子用の小物を体育倉庫の私物用ロッカーに大事そうに保管している。咲が鼻血を出した時もセーラー服のポケットから出したのは男用のハンカチでした。だから咲からプレゼントされた女の子用のピンクのフリル付きのハンカチも貴重なものですから大事にしていた。

だが、さすがに男の格好でドレスや服を買いに行くのは無理としても、別に女用のハンカチぐらい男の格好をしていても買いに行けるはずです。プレゼント用だとでも言えば何の問題も無いし、そんな言い訳しなくても堂々と買っても咎める店員などいないでしょう。それでもまことはこれまでは頑なに外で女用の小物を買うことをしないようにしていた。学校での堂々とした女装っぷりを見ているだけに、そのあたりの慎重さはどうにも不可解でありました。

今回はまずそのあたりの謎が解明されます。それはドレスを買いに行った後、まことが自宅に戻った時、まことがベッドの下に隠していたピンクのハンカチを母親が見つけてしまっていて、それについて問い質された場面の母親とのやり取りから分かったことです。このピンクの女物のハンカチは先述のように咲からプレゼントされて大事にしていたものですが、普段は女物の小物は全て体育倉庫のロッカーに保管しているまことが1学期の終業式の日にうっかりしてカバンの中に入れて持ち帰ってしまって、それで自室のベッドのマットの下に隠しておいたものでした。それを母親が部屋の掃除をした際に見つけてしまったのです。

このハンカチをまことに示して、母親は「まだこんな女の子みたいなもの好きなの?」と涙を浮かべて問い質す。それを聞いてまことは内心焦り、最近、咲と出会ってから浮かれすぎていて油断していたと反省する。そして、努めて平静を装い、笑顔でそのハンカチは咲のものであり、この前咲が家に来た時に借りていたもので、返すのを忘れていただけだと説明する。それを聞いて母親は安心しますが、それでもまことに抱き着いて涙を流しながら「もうお母さんのこと困らせないでね」と言う。それに対して、まことは「大丈夫、もう困らせないから」と応えます。

返すのを忘れていただけのハンカチをベッドのマットの下に隠しているというのは不自然なのであり、母親もそうした不自然さは気づいているはずですが、まことが疑惑を否定するのなら、それを受け入れようとしているみたいに見えます。ハンカチを見つけて動転して思わずまことを問い詰めてはみたものの、疑惑を徹底的に追及して真実を直視すること自体はやはり怖いのでしょう。母親の情緒不安定な様子を見ていると、そういう心理状況が何となく分かります。つまり母親はまことの「女の子みたいなものが好き」ということに大きなトラウマを抱えているようです。

前回も何となくそういうことは示唆されていましたが、今回は回想シーンで過去の経緯がハッキリと描かれました。前回はまことの回想で幼稚園の頃に女の子のような可愛いものが好きで、それが普通じゃないことを知らなかったと言ってましたが、今回はその続きの回想で、小学校に上がってから男女の持ち物や服装が明確に分かれてくるようになって、まことは以前よりも頻繁に女の子っぽいものを好むことを咎められるようになっていき、母親がそのことで困っていることもまことは気付くようになり、女の子の友達に可愛いものを貰ったりしても自宅の机の引き出しの中に隠すようになっていた。だが、中学に上がって引き出しの中の可愛い小物の存在を知った母親がそのことを問い質そうとまことの部屋に入った時、まことが興味本位で母親のスカートを履いてみようとしていた場面に遭遇してしまい、母親はショックで泣き叫び、まことを激しく拒絶した。

それでまこともショックを受けてしまい、ずっと泣いている母親をどうしたらいいか分からず、父親に相談してみたところ、父親は母親のことも心配だったが、まことのことも心配だったようで、知り合いにまことの女の子のもの好きの件を相談したようです。その人というのが現在まことが通っている高校を運営している人で、その人はまことが性同一性障害なのではないかと思ったみたいで、もしまことが女性になりたいというのなら、女性としてのまことを学校で受け入れると言ってくれたようです。それで父親がまことに「女の子になりたいのか?」と質問すると、まことは性同一性障害というわけではないので「分からない」と答えて、それで父親はとにかく一度、まことの好きな格好で高校に通ってみて、その上でまこと本人が考えて将来どちらの性を選択するか決めればいいと言って、それでまことは今の高校に女装して通うことが出来るようになったのです。

そういうわけで、まことは以前からやってみたかった女装を高校という場においてだけ堂々とやれることになったわけですが、別に普段から女装しなくても耐えられないというわけではないので、学校以外では男の子の格好をしているのです。そもそも、まことが高校で女装しているということは母親に内緒にするということで父親と学校側の間で話はついており、母親はまことが学校で女装していることは知らない。まことの女装のことを母親が知れば情緒不安定になってしまうことは分かり切っているので、それで父親から学校側に頼んで、体育倉庫にまこと専用の私物ロッカーを置かせてもらい、女装のための服や小物などを保管できるようにしてもらっているのです。

まこともそうした父親の気遣いによって高校で女装が出来るようにはなったが、もともと中学では女装せずに学校生活を送っていたので、絶対に女装しなければ辛いというわけではない。ただ単に女装した方が楽しいし学校公認なのだからせっかくなので女装を満喫させてもらっているだけです。そして母親に女装を知られたらまた母親を情緒不安定にして悲しませてしまうことが分かっているので、それが怖くて、高校以外の場所では決して女装はせず、女の子の服や小物などを買ったりすることも徹底的に避けてきたのです。だから、高校の敷地内の創立記念パーティーでドレスを着ることは平気でも、家で女物のハンカチを持っていることはビクビクして隠すという、一見すると奇妙な大胆さと臆病の同居現象が起きているのです。

だが、咲から貰った女物のハンカチを家に持って帰ってしまったために母親をまた悲しませてしまった。それは自分の気の緩みのせいだとまことは反省した。咲と竜二と一緒に楽しく過ごすようになってから自分の気は緩んでいた。ハンカチをすぐに学校のロッカーに持っていかずに、せっかく咲に貰ったものだからと思って自室に置いてしまったことも気の緩みであったし、今までは女装して高校以外の場所に行くことなど無かったのに、ウィッグを被って女の子のフリをして買い物に行き、ドレスやハイヒールや小物を買ってしまったのも気の緩みだった。そんな自分の気の緩みが母親を悲しませてしまった。幸い上手く誤魔化せたが、今のような生活を続けていればいずれは本格的に母親に女装がバレてしまい、取り返しのつかないことになるだろうとまことは思った。咲と竜二のおかげで特に最近は女装して楽しい日々を送ることが出来た。これぐらい楽しんだのだからもう十分だ。女装と男装の二重生活を1年以上送ってみて、幸い自分は性同一障害というわけではなく、女装しなくても苦痛を感じるわけではないということも分かった。だから、そろそろこのあたりで終わりにしようとまことは思った。

そうして翌日、二学期が始まると、まことは男子の制服のまま女装はせずに教室に行くようになった。学校の皆は驚いたが、特に咲と竜二は驚き、どうしたのかと聞いてくる。それでまことが母親に悲しまれたからとか本当のことを言うわけにもいかないので、昨日買い物に行ってすごく楽しかったのでもう満足したのだと嘘の理由を説明したところ、咲は「嘘だ!」と叫んで「先輩のバカアホマヌケ~!」と悪態をついて走り去ってしまった。まことは呆気にとられて見送るが、竜二は「お前が決めたならそれでいいと思う」と言って受け入れてくれた。竜二もまことの説明はウソ臭いとは思ったが、内心では、まことが男の格好をするようになってくれれば、変に意識することなく男同士の親友として接することが出来るようになるんじゃないかと思って、むしろ好都合だと考えることにしたようです。

そうして、まことは男の格好で初めて高校生活を送るようになり、そうすると以前は妙に気を使って距離をとっていた他の生徒や教師との間も自然に距離が縮まって人間関係もスムーズになった。また、もともと綺麗な顔立ちのまことは男の格好をしていたら普通にイケメンなので、今まで女装していたのでノーマークにしていたまことの魅力に気付いた女生徒たちからのアプローチもあり、まことは普通にモテるようにもなった。そのように全て順調なまことの新生活であったが、唯一つ、咲だけがあの日以降まことの前に姿を現さなくなっており、まことはそのことが気になっていた。

そんなある日、放課後に下校しようとしているまことに咲が声をかけてきて一緒に下校することになり、咲はあの日からずっと考えた末、やっぱりまことの言ってることは嘘だと思うと言う。それに対して、まことは「嘘じゃないよ」と返すが、それでも咲は「嘘です」と言って譲らない。そんな咲に対してまことは別に腹を立てたりはしなかった。まこと自身、別に無理しているつもろもなかったし、嘘を言っているつもろもなかったのです。確かに母親にハンカチを見つかってひと悶着あったことを隠してはいたが、もう十分に女装生活を満喫したので終わりにしようと思ったのは嘘ではなかった。だから、いくら咲に「嘘です」と言われても苛立つことはなく、どうやったら理解してもらえるのだろうかと思うだけだった。

そして、まことの方も咲に言いたいことがあったので、せっかくこうして会えたので伝えることにした。それは咲に「付き合ってほしい」と伝えることでした。今までは女装している自分が咲の気持ちに応えることは出来ないと思っていたが、これから男の格好で完全に男として生きていくことにした以上、もう誰から見ても自分が咲と付き合っても文句が出ることはないし、咲が悪く言われることもないだろう。母親だって自分と咲が交際すれば喜んでくれるだろう。何より、これからちゃんと男らしく生きていくためには女の子と交際する方がいい。普通の男の子として普通に恋をして普通に生きていこう。その相手として一番に思い浮かぶのは咲だった。だからまことは咲に交際を申し込みました。咲だってあんなに自分を好きだと言ってくれていたのだから喜んでくれるはずだとまことは思った。しかし咲は「嘘だ」と呟き「今の嘘つきの先輩にはそんなこと言われても嬉しくないです」「本当のこと言ってください!」と涙を流して走り去ってしまう。

後日、まだまことと咲が仲直りしていない様子に業を煮やして竜二が咲のもとにやってくるが、咲はやっぱりまことが嘘をついているのが気に食わないと言い、どうして嘘だと思うのかという竜二の問いに「好きが満足することなんて無い」と言う。まことは女装や可愛いもの好きにもう満足したから止めると言っていたが、心から好きなものを満足して終わりにすることなど出来ないはずだと咲は言うのです。ただ、そのはずなのにまことが満足したとか言ってるので、咲はまことが変になってしまったと思って困惑して、それでまことにどう接していいか分からず困っているのだという。

まことの方はクラスの女子に創立記念パーティーで一緒に踊ってほしいと誘われて、そういえば創立記念パーティーが近いということを思い出し、父親からスーツを借りて参加しようと思うが、もともとはドレスで参加しようと思ってドレスを買っていたということを思い出し、咲や竜二と一緒にドレスを買いに行った時の楽しさを思い出してしまう。それで、まことは「やっぱりドレスを着てパーティーに参加したかった」と一瞬後悔してしまう。やはり咲の言うように「好きが満足することなんて無い」のです。しかし、まことは二度と母親を悲しませてはいけないのだと思い直し、自分の中に生じた後悔の感情に蓋をするために、体育倉庫に行き、女物の私物やあの日購入したドレスやハイヒールを保管していたロッカーを破壊して、ドレスを破って、私物と共にハイヒールもゴミ袋に放り込んでしまう。そして女の子っぽいものへの未練を捨てて普通の男として生きようと決意する。

そうして創立記念パーティーの当日、まことは父親のスーツを借りて着て参加してクラスの女子と一緒に居て、咲はあの日購入したドレスを着て参加して、まことと気まずくて近づけず竜二と一緒にいた。まことは相手の女子がウィッグを被っているのを見て羨ましいなどと思ってしまい、慌ててその気持ちを打ち消したりしていたが、スーツのポケットに母親が例のピンクのハンカチを入れてくれていたのに気づく。母親はそのハンカチを咲のものだと思っているので、まことから咲に返すようという意味で洗濯してポケットに入れていたのです。

それで、まことはこのハンカチもあのロッカーの私物と同じように捨てなければいけないと思う。そうすると、このハンカチをプレゼントしてくれた咲から貰った様々な言葉が脳裏に甦ってくる。それで、まことは咲が男っぽいとか女っぽいとか関係なく、ただ好きなものを好きでいる自分のことを大切に思ってくれていたということを思い出す。まことはロッカーの私物を捨てた時、自分の中の「女っぽさ」を捨てたのだと思っていた。だが本当に捨てたのは「好きなものを好きでいる自分」だったのです。そして、咲に交際を申し込んだ時も「男」として咲に好きだと伝えたつもりだったのだが、咲が求めていたのは「男」としての自分ではなく「好きなものを好きでいる自分」だったのだ。しかし自分はそうした本来の自分を捨てて咲に交際を申し込んでしまい、それによって咲を傷つけてしまったのだ。そのことに気付いたまことは、このハンカチを捨てて完全に「好きなものを好きでいる自分」を捨ててしまってはいけないのだと思った。そして、「好きなものを好きでいる自分」として、改めて咲の前に立たねばいけないと思ったまことは、クラスの女子にウィッグを借りて、スーツ姿にそれを被って咲のもとに向かう。だが、咲はゴミ収集車が積み込むゴミ袋の中にまことのハイヒールを見つけて、それを追いかけて学校の外に走り出してしまっていた。そのことを竜二から聞いたまことは咲を探しに学校の外に駆けだしていく。

咲はまことに交際を申し込まれた時、まことの目が普段可愛いものに夢中になっている時や、あのハイヒールを選んでいた時のようには輝いていなかったことに気付いた。それで、まことにとって可愛いものは特別なものであり、自分は特別なものじゃないのだと咲は思った。だが、それでも自分はまことにとっての特別な存在になりたい。だから自分はまことの特別なものを大切にしたいのだと咲は思った。それで咲は可愛いものにもう満足して止めると言ったまこと本人を叱ったのであり、今こうしてハイヒールを取り戻そうと走っている。

そうして何とかハイヒールを取り戻した咲が1人で砂浜を歩いて学校に戻ろうとしていると、咲を探しに来たまことがそれを見つけて「僕は可愛いものが大好きだ!」と自分の思い出した本当の気持ちを叫ぶ。そして、男だからと思って何度も諦めようとしたのだと説明し、それでも、咲がしてくれたように、自分も本当の自分を諦めたくない、好きなものをちゃんと好きと言いたいのだという想いを伝える。そんなまことのスーツにウィッグの姿を見て、咲は「素敵です」と言う。

そうしてまことがそもそもどうしてゴミ収集車を追いかけていったのかと理由を問うと、咲はハイヒールを取り戻そうとしたのだと説明して、ハイヒールを取り出す。それを見てまことは感謝して咲に抱き着いて礼を言い、咲はその場でまことにハイヒールを履かせて、更に自分のドレスを脱いでまことに着せる。前回、咲が買ったドレスがサイズが大きめだったのはこの場面のための伏線だったんですね。そうして、ウィッグにドレスにハイヒールですっかり女の子の姿になったまことが、まことから借りたスーツを着た咲にダンスを申し込み、2人が浜辺でダンスを踊る場面で今回は終わり、次回に続きます。まだ母親の問題など全く解決はしていないが、とりあえずまだ3話目にしてかなりのキメ回をぶっこんで来たものだと思います。今後の展開が楽しみですね。