正n角形を作図出来るか否か -正七角形-
数学の世界で正n角形を作図出来るか否かを論じることがある。ここでいう作図は、直線を引くことしか出来ない定規と、円を描くことと線分を保持することしか出来ないコンパスだけを使い、有限回の操作で作図出来るか?ということになる。よくあるのが、「定規とコンパスを使って~」はちょっと端折り過ぎかなとは思っている。あとで説明するが、このnはとりあえずは奇素数に限定することとする。この判定として簡単な判別式がありまして、22a+1=naは非負整数で、nが素数となれば、正n角形は作図出来る。という簡単に判定出来てしまいます。簡単とは言ったが、計算順序を間違えないように。最初に計算するのは、右肩の上に乗った小さな文字で書かれたところからなので、本当に注意してください。これはフェルマー数と呼ばれるもので、nが素数となるものをフェルマー素数と呼ぶ。なので、フェルマー素数であれば、作図出来るということです。220+1=3 素数221+1=5 素数222+1=17 素数223+1=257 素数224+1=65537 素数225+1=4294967297=641・6700417 合成数226+1=18446744073709551617=274177・67280421310721 合成数227+1=340282366920938463463374607431768211457=59649589127497217・5704689200685129054721 合成数228+1=115792089237316195423570985008687907853269984665640564039457584007913129639937=1238926361552897・93461639715357977769163558199606896584051237541638188580280321 合成数229+1=13407807929942597099574024998205846127479365820592393377723561443721764030073546976801874298166903427690031858186486050853753882811946569946433649006084097=2424833・5529373746539492451469451709955220061537996975706118061624681552800446063738635599565773930892108210210778168305399196915314944498011438291393118209 合成数…こうやって羅列してみると解るが、フェルマーの生きていた時代、まだコンピュータもなかったわけで、素因数分解を手作業でやっていたことだろう。aが4まで素数なことは解っても、aが5で最小の素因数が641、6で最小の素因数が274177といったものなので、素数判定はかなり大変だったことだろうし、もしかすると素数かもくらいの認識だったかもしれません。また、これが正n角形が定規とコンパスで描けるかということに関係しているとは、後々解ることになるわけです。定規とコンパスで有限回の操作で作図できる正"素数"角形は、n={ 3, 5, 17, 257, 65537, … }また、定規とコンパスを使って、任意の角の二等分線を引くことが出来ることから、これらのnを2のべき乗倍の正多角形も作図出来るとなる。任意の角の三等分線を定規とコンパスでは引くことが出来ないので、3のべき乗倍の正多角形は作図出来ないということでもあり、4等分は出来ても、5以降の2のべき乗以外は等分出来ない。続いては折り紙による作図です。正方形の折り紙を折ることで、折り線による正n角形は作図出来るか?この判定として使う判別式は、2a・3b+1=naは正の整数、bは非負整数です。これは、ピアポント数と呼ばれるもので、nが素数のとき、ピアポント素数と呼ぶ。変数が2つになったので、nが素数、つまりピアポント素数をピックアップする。21・30+1=322・30+1=521・31+1=722・31+1=1323・30+1=1721・32+1=1922・32+1=3723・32+1=7325・31+1=9722・33+1=109…折り紙の有限回の操作で作図出来る正"素数"角形は、n={ 3, 5, 7, 13, 17, 19, 37, 73, 97, 109, … }更に、折り紙では、任意の角の二等分はもとより、90度未満の任意の角の三等分も可能であるので、これらの素数に2のべき乗倍や3のべき乗倍や両方を掛けた正多角形も作図出来ることになります。25までのnについて、簡単に表にまとめてみると、 n 定規とコンパス 折り紙 3 ◯ ◯ 4 ◯ ◯ 5 ◯ ◯ 6 ◯ ◯ 7 ✕ ◯ 8 ◯ ◯ 9 ✕ ◯ 10 ◯ ◯ 11 ✕ ✕ 12 ◯ ◯ 13 ✕ ◯ 14 ✕ ◯ 15 ✕ ◯ 16 ◯ ◯ 17 ◯ ◯ 18 ✕ ◯ 19 ✕ ◯ 20 ◯ ◯ 21 ✕ ◯ 22 ✕ ✕ 23 ✕ ✕ 24 ◯ ◯ 25 ✕ ✕ 定規とコンパスで作図出来るならば、必ず折り紙でも作図出来てしまうのです。この表から解る通り、折り紙で作図出来ない最小のnは11となり、正11角形が作図出来ないということになる。さて、判定はフェルマー素数やピアポント素数を使えば簡単に出来るのだが、実際に作図しようとするとなると、更なる数学の知識が必要となっていく。概念的に理解するならば、定規とコンパスによる作図は、定規は直線、つまり一次方程式。コンパスは円、つまり二次方程式。これらによる交点は、連立方程式となる。平面における直線と直線の交点の個数は0個、1個のいずれか。平面における直線と円の交点の個数は0個、1個、2個のいずれか。平面における円と円の交点の個数は0個、1個、2個のいずれか。この3種類しかない。つまり有限回の操作をしたところで、最大の解の個数は2個なのだ。しかし、折り紙では無限個の解となる折り方があって、簡単に言えば、放物線の接線が無限にあるイメージ。そこで2つの放物線の共通接線を折り紙では求めることが出来る。これにより三次方程式の解を求めることが出来るのだ。まぁ、ざっくりとした説明になっているが、実際にorimath(おります)による正七角形の実演をしてみようかと思う。ここまでは説明不要で日本人なら折り紙の素養は幼稚園ごろから培っているだろうから、問題なく折れることだろう。中心を(0, 0) 、折り紙を8×8だとすると、点(4, 1)を直線x=2上に、 … (1)点(2, 4)を直線y=2上に、 … (2)(1)、(2)、それぞれが同時に成り立つように折る。この折り方は幼稚園児では分からないだろうが、折り方として理解出来るかもしれない。(1)だけの解ならば、点(4, 1)を基準とする放物線の傾きとして無限に存在することとなる。(2)だけでも同様である。(1)と(2)の2つの放物線の共通接線を求める作業になるのだが、折り紙ならば作図出来るいうことになる。さて、折り紙の辺と、この直線出来る右上の直角三角形に着目すると、横をxと縦をyとして比で表すと、x:y=1:2cos(2π/7)となっている。2π/7というラジアンは、円周である2πを7等分した角度そのものであるから、正七角形の作図に役に立つことは解るだろう。あとで詳しく説明するが、x3+x2-2x-1=0という三次方程式の3つの解の内の一つが2cos(2π/7)なのです。今回の操作では、この直線の傾きが欲しかったのです。傾きはxの増加量分のyの増加量ですから、分母のxは1より、傾きは-2cos(2π/7)ということです。傾きは一般的にtan(θ)として表されるので、tan(θ)=-2cos(2π/7)θ=arctan(-2cos(2π/7))のようになる。6で出来上がった傾きθを都合の良い場所に生成したい。折り紙の左下頂点を通る、6の傾きの直交線を折る。出来上がった直線の方程式は、(-4, -4)を通る傾きが先の傾きθと直交している。今回の破線の傾きθは、arctan(-2cos(2π/7))-π/2となる。この直線を通る座標が解るので、y=tan(arctan(-2cos(2π/7))-π/2)x+b(x, y)=(-4, -4)を代入して、bを求めると、-4=-4tan(arctan(-2cos(2π/7))-π/2)+bb=4tan(arctan(-2cos(2π/7))-π/2)-4となり、y=tan(arctan(-2cos(2π/7))-π/2)x+4tan(arctan(-2cos(2π/7))-π/2)-4となる。実は、欲しいのはy切片ではなくて、x切片なのだ。7の直線のx切片を利用して、4との中線を作る。さて、x切片を利用すること解ったので、ちょっと頭を捻って、図の左が上になるように首を傾げることにする。つまり、傾きθ=arctan(-2cos(2π/7)で、(-4, 4)を通る直線。y=tan(arctan(-2cos(2π/7))x+by=-2cos(2π/7)x+b4=-2cos(2π/7)×-4+bb=4-8cos(2π/7)首の傾げを戻すと、b=4cos(2π/7)とx切片が求まり、破線のx座標はx=b+(4-b)÷2=b/2+2=(8cos(2π/7)-4)/2+2x=4cos(2π/7)となる。中心座標(0, 0)を通り、点(4, 0)が直線x=4cos(2π/7)上に来るように折る。この折り方の傾き2θは、斜辺の長さを4に対して、原点からxまでの長さが4cos(2π/7)である。cos(2θ)=4cos(2π/7)/4=cos(2π/7)2θ=2π/7θ=π/7となる。先の折り線が、折った上でのx軸に重なるように折る。つまり、正七角形の中心を14等分した角θは、14θ=2π、半分に折ったことで、7θ=πであり、右側にθを残した状態で、6θを半分に折って3θとしたということになり、折ることで3θ+θ=4θとなる。4θを半分にして2θにする。2θを半分にしてθにする。赤点から下辺への垂線を折る。これで一気に正七角形のすべての辺を折ることになる。現実の折り紙でこれをやるには、かなり厚みが出てしまい難しいだろうから、現実は現実でいろいろと考慮する必要があるだろう。これを開く。あっというまに正七角形の出来上がり。定規とコンパスでは正七角形は作図出来ないが、折り紙ならば作図出来る。ということになります。さて、実際の折り紙でやろうとするならば、出来るだけ重ならないように重ねては開いて、ということをやり続けるほうが得策かなと思われる。さて、図付きで多少は解説したが、数学的な一般性の考証をもう少しだけやっておこう。複素平面上に、原点を中心として、辺の長さを1とする正”素数”角形をイメージする。正二角形というものは平面上には描けたとしても線分となってあまり意味がない。正”奇素数”角形としても良いのだが、面倒なので正(2n+1)角形で考える。今回は(2n+1)という奇数ということを活かすために、頂点の1つを虚数軸の正側に取ることとします。アナログ時計でいうならば、12時の方角ですね。6時から12を考えましょうか。正七角形を例にしてみます。6時から時計回りに12時の方向へ頂点のx座標の差分を取っていきます。辺の長さを1としたので、最初の頂点のx座標は1/2となります。次の頂点までのx座標の差分はcos(2π/7)となり、これが最右端となります。次の頂点までのx座標の差分はcos(4π/7)、次の頂点までのx座標の差分はcos(6π/7)となります。つまり、この差分を足し合わせると、行って来いでプラマイゼロになることを利用して立式すると、1/2+cos(2π/7)+cos(4π/7)+cos(6π/7)=0こんな式になります。これは、正n角形の中心ををn等分するときの円周角と、正n角形の外角が等しいことによるものです。一般性を持たせると、1/2+cos(2π/(2n+1))+cos(4π/(2n+1))+…+cos(2nπ/(2n+1))=0ということになり、θ=2π/(2n+1)とおくと、1/2+cos(θ)+cos(2θ)+…+cos(nθ)=0となります。ここで、2倍角とか3倍角とかの定理、もっと言えばチェビシェフの多項式とかの知識が必要になります。また具象としての正7角形に戻して考えると、θ=2π/7とおくと、1/2+cos(θ)+cos(2θ)+cos(3θ)=0に対して、2倍角、3倍角の公式、cos(2θ)=2cos2(θ)-1cos(3θ)=4cos3(θ)-3cos(θ)と置き換えると、1/2+cos(θ)+(2cos2(θ)-1)+(4cos3(θ)-3cos(θ))=04cos3(θ)+2cos2(θ)-2cos(θ)-1/2=0両辺を2倍して、8cos3(θ)+4cos2(θ)-4cos(θ)-1=0x=2cos(θ)とおくと、x3+x2-2x-1=0という三次方程式となり、この解の一つが2cos(2π/7)であることは、逆に辿れば解るだろう。正七角形以上も考えたいので、n倍角を羅列してみる。その際に必要となる数学の知識がチェビシェフの多項式だ。Tn=cos(nθ)とおくと、T1=cos(θ)T2=cos(2θ)=2cos2(θ)-1T3=cos(3θ)=4cos3(θ)-3cos(θ)2倍角の公式、3倍角の公式までやったのには理由がある。これ以降の計算は、Tn=2・Tn-1・T1-Tn-2という三項間漸化式となっているのだ。cos(2θ)=2cos2(θ)-1cos(3θ)=4cos3(θ)-3cos(θ)cos(4θ)=8cos4(θ)-8cos2(θ)+1cos(5θ)=16cos5(θ)-20cos3(θ)+5cos(θ)cos(6θ)=32cos6(θ)-48cos4(θ)+18cos2(θ)-1cos(7θ)=64cos7(θ)-112cos5(θ)+56cos3(θ)-7cos(θ)cos(8θ)=128cos8(θ)-256cos6(θ)+160cos4(θ)-32cos2(θ)+1cos(9θ)=256cos9(θ)-576cos7(θ)+432cos5(θ)-120cos3(θ)+9cos(θ)…cos(nθ)=2cos((n-1)θ)cos(θ)-cos((n-2)θ)n=3のとき、2n+1=正7角形であり、n=3次方程式の解を必要とすることとなる。これを踏まえて一般化すると、n=1のとき、2n+1=正3角形で、1次方程式の解n=2のとき、2n+1=正5角形で、2次方程式の解n=3のとき、2n+1=正7角形で、3次方程式の解n=4のとき、2n+1=正9角形で、4次方程式の解n=5のとき、2n+1=正11角形で、5次方程式の解n=6のとき、2n+1=正13角形で、6次方程式の解n=7のとき、2n+1=正15角形で、7次方程式の解n=8のとき、2n+1=正17角形で、8次方程式の解n=9のとき、2n+1=正19角形で、9次方程式の解…n=nのとき、正(2n+1)角形で、n次方程式の解となる。さて、高次方程式の解の公式は、代数的には4次までしか存在しない。1次は方程式と呼ぶまでもないが、2次方程式の解の公式、3次はカルダノの解法、4次はフェラーリの解法、ということになる。5次以降はどうやって解くのだろうか?という疑問が残るだろう。正11角形が折り紙でも作図出来ないのは、5次方程式の解を必要とするからに他ならない。多重折りという技法を使えば、作図出来るらしいが、そのあたりは調査が必要だ。では、正13角形は6次方程式の解を必要とするのに、折り紙で作図出来てしまうのはなぜか?これは、後々やりましょう。準備も大変だな。正三角形、正五角形を飛ばしたから、そこを一度挟もうかな。それとも、幼稚園児だったころの自分と折り紙のことを語ろうかな。そんなことよりも、こんな難しい数学の知識がなくとも、正七角形の折り方をマスターして、ちょちょいと折れたら、それはそれでかっこいいかもしれないな。ではではa 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