今週は相続や贈与の知識についてお送りしています。
今日は「遺言」について。
先日、地方の30代女性からあった相談ですが、
一人暮らしの病弱な叔母(父の妹)を一家で面倒見ている。
叔母には子供がいないが、付き合いのない兄弟姉妹が健在。
叔母は自宅の土地と家を父名義に移転して、
今後も世話になりたいと思っているが、父が応じない。
このまま面倒を見続けた場合、叔母の自宅は父と私達兄弟のもの
になるんですよね・・・?
このケースは「争続」が起きる可能性あり、といえます。
相談者の父もけっこうなお歳の上、健康ではない様子で、
叔母より先にお亡くなりになることもありうる。
もし、父が亡き後に叔母の遺産相続が発生すると、
付き合いのなかった叔母の兄弟姉妹は法定相続人であるので、
遺産分割を主張してくることも考えられます。
そこで、やはり叔母が元気なうちに「遺言」を書いてもらうのがいい、
とお話しました。
おそらく父が名義変更に応じないのは、名義移転によって
叔母の自宅の固定資産税やなんかが、
年金収入しかない自分にのしかかってくるのを懸念して、
のことだと思います。
結果、相談者は子の立場からは大変言いにくいことではありますが、
先の「法律上の相続の決まり」をお話して、父に名義変更に応じて
もらったそうです。ひと安心です。
どなたも亡くなった後に身内でもめて欲しくはありませんよね?
身近でお世話した方も、離れて住む肉親も、亡くなった方の意志が
伝わってさえいれば、もめることも少ないと思います。
「故人はこう思っていた、いや違う!こうだったはずだ・・・。」
思惑は飛び交い、もう誰にもわかりません。
故人の意志を残す・・・「遺言」は大切です。
財産があろうとなかろうと、皆がまる~くおさまるように、
故人の意志はあるに越したことはない。
もし納得いかない「遺言」だったとしても、
相続人全員の合意があれば、相続人全員の意思で分割できます。
「遺言」を作成するって難しい・・・と思っていませんか?
もっとも簡単で安上がりな「自筆証書遺言」という方法があります。
15歳以上なら誰でも作成できます。
全文自筆で、日付と氏名を自署して押印(認印可)でいいのです。
“日付が新しい方”が有効となりますから、書き直しも。
ただし、紛失や発見されないリスクがありますから、
確実に残したいという場合は、費用がかかりますが、
公証人に内容を筆記してもらう「公正証書遺言」や、
公証人のもとで存在を確認しておく「秘密証書遺言」があります。
なんだかピンとこない先の話・・・
「まるで亡くなるのを期待してるような・・・」ご年輩の方は憤慨なさる
方もありますが、ここは冷静に考えてください。
子世代が幸せであり、自分の亡きあとの面倒もかけずにイイ人生を。
子孫繁栄、資産を残さずとも素敵な終末、理想です。
実は私も子供達に、
遺産分割だけでない「遺言」を書いておこうと思ってます。
今週はこの辺で・・・(*^ー^)ノ