第1935回「ブッフビンダーと5人の指揮者によるベートーヴェンピアノ協奏曲全集」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、ルドルフ・ブッフビンダーによる3度目のベートーヴェンピアノ協奏曲全集です。「ドイツ・グラモフォン」にて録音されたこの全集は、5人の指揮者と5つのオーケストラと録音しているため非常に面白い名盤と言えるでしょう。今回は国内盤のUHQCD × MQA-CDで視聴しています。


「ルドルフ・ブッフビンダー(ピアノ)
アンドリス・ネルソンス指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団」

ベートーヴェン作曲:
ピアノ協奏曲第1番 ハ長調作品15


「ルドルフ・ブッフビンダー(ピアノ)、マリス・ヤンソンス指揮/バイエルン放送交響楽団」

ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調作品19


「ルドルフ・ブッフビンダー(ピアノ)、ワレリー・ゲルギエフ指揮/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団」

ピアノ協奏曲第3番 ハ短調作品37


「ルドルフ・ブッフビンダー(ピアノ)、クリスティアン・ティーレマン指揮/シュターツカペレ・ドレスデン」

ピアノ協奏曲第4番 ト長調作品58


「ルドルフ・ブッフビンダー(ピアノ)、リッカルド・ムーティ指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」

ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調作品73「皇帝」



 ブッフビンダーは今回の全集含めて3種類のベートーヴェンピアノ協奏曲全集を完成させている。ウィーンで録音されたベートーヴェン生誕250年を記念したピアノ協奏曲全集となっており、注目的なのは5人の指揮者とそれぞれのオーケストラと演奏を行っているということ。今回は国内盤で発売されたUHQCD × MQA-CDからなる高音質盤にて視聴している。


・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番

録音:2019年10月(ライヴ)

 録音されたのは比較的最近ながら往年の時代における音色、響きが聴こえる。充実した響きと奥行きを感じることのできるやや太めなサウンドは聴いていてどこか清々しさを感じなくもない。ダイナミック・レンジの幅広さが増しているということも効果的なアプローチに繋がっているポイントの一つで、テンポの緩急からなるダイナミクス変化は細部まで細かく変化していくため非常に聴きやすい。ゲヴァントハウス管のサウンドも芯のある美しさ溢れる音であることには変わりないので、最初から聴き手の心を掴む演奏であることは間違いない。


・ピアノ協奏曲第2番

録音:2019年10月(ライヴ)

 ヤンソンス&バイエルン放送響による演奏のもと、ブッフビンダーがピアノを奏でる。ピアノ協奏曲第1番とはまた違うキラキラしたサウンドを聴くことができるようになっている。若干空間的にもスマートなサウンドを聴くことができるようになっており、テンポの緩急がその時に功を奏する形となっている。キャッチーなアプローチも垣間見ることができるようになり、聴いていて非常にテンションが上がる名演である。


・ピアノ協奏曲第3番

録音:2019年11月(ライヴ)

 厳格さも感じられながらキレ味の良さを躍動感のある演奏から聴くことができるようになっているピアノ協奏曲第3番。独特なアプローチからなるテンポの緩急やダイナミクス変化が演奏から聴くことができるようになっているのは、ゲルギエフ指揮だからこそなのだろうか?真っ直ぐに演奏が突き進められていくかのようなストレートさも演奏から感じ取ることができるようになっている。ピアノとオーケストラによる演奏バランスも絶妙な良さとなっているので同曲録音とも聴き比べたい録音だ。


・ピアノ協奏曲第4番

録音:2020年10月(ライヴ)

 ティーレマン率いるシュターツカペレ・ドレスデンをバックにブッフビンダーがピアノを演奏している。SKD(シュターツカペレ・ドレスデン)のサウンドがどちらかといえば骨太寄りになっていることもあるのだろうが、ブッフビンダーのピアノも同じような音色に聴こえなくはない。ダイナミック・レンジの幅広さが生かされた伸びやかな演奏と、キレ味のある躍動感を感じ取ることのできるような圧倒的なサウンドが功を奏する形となっている。今回の全集の中で割と気に入った演奏かもしれない。


・ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

録音:2019年12月(ライヴ)

 やはりピアノ協奏曲第5番が演奏されるとその世界観は気品や優美さが感じられるサウンドを奏でるようになるのはよくわかる点と言えるだろうか。ブッフビンダーが奏でるピアノもそうだが、オーケストラ全体の音色や響きが生き生きとしており、明瞭な音色からなる演奏を聴くことができるようになっている。ダイナミック・レンジの幅広さが増しているからこそ味わえる奥行きの良さや細部にわたって細かく作り込まれたダイナミクス変化も功を奏する形となっている。UHQCD × MQA-CDで聴いたからこそ楽しめる高音質っぷりだった。

 期間が集中しているとはいえ、5人の指揮者と5つのオーケストラによる演奏からなるベートーヴェンのピアノ協奏曲ということもあって、それぞれの特徴や色が全く違うというのが中々に面白いのでつい聴き入ってしまう。今までで一番二番で聴き入った全集になるのではないか?と考えてしまうほどである。ピリオド楽器や室内楽編成とは違う面白さを充分に味わうことができたので、聴き終えた今は満足しかない。

https://tower.jp/item/5232242/ベートーヴェン:-ピアノ協奏曲全集