第1888回「上原彩子&原田慶太楼によるチャイコフスキーとラフマニノフのピアノ協奏曲」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、上原彩子さんによるピアノと、原田慶太楼さん率いる日本フィルハーモニー交響楽団によるチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番です。2002年に第12回チャイコフスキー国際コンクールピアノ部門で日本人初、女性初の優勝を経て20年後の2022年にサントリーホールにて行われたライヴを収録しています。


「上原彩子(ピアノ)、原田慶太楼指揮/日本フィルハーモニー交響楽団」

ラフマニノフ作曲:
ピアノ協奏曲第2番 ハ短調作品18

チャイコフスキー作曲:
ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調作品23

18の小品 作品72より第5曲 瞑想曲



 思えば上原さんのピアノCDを聴くのは当盤が初となるかもしれない。2002年の第12回チャイコフスキー国際コンクールピアノ部門当初は何枚かCDが出ていたようだ。今回は原田さん率いる日本フィルをバックにラフマニノフとチャイコフスキーのピアノ協奏曲を演奏している。


・ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番

録音:2022年2月27日(ライヴ)

 テンポの揺らぎも繰り返し演奏されており、非常に濃厚でたっぷりと幅を取られた演奏となっている。ここまでたっぷりとしたラフマニノフ演奏はあまり聴いたことがないようにも思える。しかし、「緩→急」へとテンポの流れが変化した際の緩急は見事なもので、勢いの良さからなる推進力のエネルギーを充分に体感できた。演奏したことがある曲であり、よく聴くラフマニノフのピアノ協奏曲第2番ではあるが、他の同曲録音とは違うアプローチ、ダイナミクス変化やピアノ演奏だったことは間違いなく、別世界の演奏を聴いているような感覚だった。


・チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番

録音:2022年2月27日(ライヴ)

 第1楽章と第2楽章は他に類を見ないほどに濃厚かつ幅広く演奏されているため、演奏を聴いている体感時間は非常に長く感じたのは言うまでもない。しかし、第3楽章に入ると多少ながら前向きに演奏が行われているため、「緩→急」におけるテンポの変化は明確に聴き取ることができるようになっている。日本フィルによる音色や響きもまろやかに奏でられているため、キレ味というよりはラフマニノフ同様に濃厚な演奏を聴くことができるようになっているのは間違いない。


・チャイコフスキー:18の小品より第5曲瞑想曲

録音:2022年2月27日(ライヴ)

 この演奏会でアンコールとして演奏された「18の小品」より第5曲瞑想曲が収録されている。幻想的であり、思わずうっとりとしてしまうピアノ演奏を聴くことができる。たっぷりとした濃厚なピアノ協奏曲を聴いた後に聴くさっぱりとしたアンコールだった印象も少なからずあったと言えるだろうか。


 上原彩子さんと原田慶太楼さんによるサントリーホールでのラフマニノフとチャイコフスキーそれぞれのピアノ協奏曲を聴くことができた当盤。いずれの演奏も、これまでに聴いたことがないほどに濃厚かつたっぷりと演奏されているため、聴き終えた後には大変大きな満足感を味わえると言えるだろう。コッテリとしたラーメンを食べ終えた感覚に近い気がする。また機会があれば他の録音も聴いてみたいところだ。


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