ヤンセンにとって9年ぶりの協奏曲録音となったのは、シベリウス交響曲全集を完成させたばかりのマケラ&オスロ・フィルとのシベリウス、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲である。UHQCD × MQA-CDによる高音質盤となっているのは非常に多くのファンが待ち望んでいたことになるのではないだろうか?
・シベリウス:ヴァイオリン協奏曲
録音:2023年6月5〜7日
テンポの緩急からなる圧倒的な柔軟性の高い演奏となっており、ヤンセンが奏でるヴァイオリンの音色からは強靭さもそうだが、一音一音に重さが伴っている。それによって非常にインパクトを感じ取ることのできる演奏となっている。そういう今では第3楽章が非常に躍動的に奏でられているが、第2楽章に関しても濃厚にたっぷりと演奏されているので、聴きどころとして十二分にある演奏となっているのは間違いない。UHQCD × MQA-CDからなる高音質盤ということもあって、ダイナミクス変化も細部まで細かく演奏され、ダイナミック・レンジの幅広さを生かした情報量の多い演奏を聴くことができる。
・プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第1番
録音:2023年6月5〜7日
美しさにより特化したような演奏となっており、その透き通るように美しいヤンセンのヴァイオリンを余すことなく味わえる作品だった。シベリウスのヴァイオリン協奏曲がメインのようにも思えてしまうかもしれないが、個人的にはプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番こそ真のメインだったと体感的には感じられただろうか。特に第1楽章と第3楽章におけるたっぷりと歌い上げるヴァイオリンの旋律には思わずうっとりさせられたものがある。もちろん第2楽章における俊敏かつ躍動的なヴァイオリンも功を奏する形となっていたのは間違いない。
シベリウスのヴァイオリン協奏曲は久しぶりに聴いたが、個人的にはプロコフィエフのヴァイオリン第1番の方が個人的には好みだった面が強いかもしれない。実際当盤を聴き終えた後も繰り返し聴いているところがある。他のプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番録音を聴いてみたいと考えさせられた素晴らしい演奏だった。
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