ロジェストヴェンスキーによるショスタコーヴィチ録音は以前より知っている上に、交響曲全集も随分前に購入したが中々聴くことができていない。そういう意味では当盤は2曲だけ収録されていることもあってすぐに聴くことのできる手軽さはあるだろう。加えて、直近でパワーのある演奏が聴きたかったので、そうなるとやはりショスタコーヴィチ作品を聴くしかないと考えた結果当盤を取り上げるに至った。
・ショスタコーヴィチ:交響曲第4番
録音:1978年9月9日(ライヴ)
ライヴ録音ではあるものの、非常に良質な音質でロジェストヴェンスキーによるショスタコーヴィチの交響曲第4番を楽しむことができるようになっている。ロジェストヴェンスキーはフィルハーモニア管弦楽団と1962年に交響曲第4番の西側初演を行った指揮者でもある。演奏難易度に関しても非常に高い作品であることもあって、その完成された世界観は申し分ない仕上がりとなっている。特に第1楽章でのフガートや「緩→急」へと変化した際のダイナミクス変化による盛り上がりも爆発的な印象を受ける。オーケストラ全体によるダイナミクス変化もそうだが、テンポの緩急からなるテンポ設定が絶妙なバランスを生み出している。ノイズなどもあるが正直それは気になることもない。
・交響曲第11番「1905年」
録音:1997年10月4日(ライヴ)
第4楽章以外意外と遅めで重々しさも残る状態での演奏となっているが、金管楽器による咆哮や圧倒的な弦楽器群による分厚いスケールなどが強烈である。オーケストラ全体叫び続けているかのようなインパクトがあり、第4楽章になるとダイナミクス変化に加えてテンポの緩急が急に激しくなるためややうるさいくらいにどの楽器も叫び続けている。壮絶な一本の映画を見せられているかのような衝撃的な演奏であることに変わりない。この曲に関しては長い間ラザレフ&日本フィルによる演奏が個人的に決定盤だったが、それに引けを取らない凄みを体感できたと言えるだろう。
ロジェストヴェンスキーによるショスタコーヴィチの交響曲2曲を今回取り上げた。想像していたよりもずっと聴きごたえがあった名演であることは間違いないだろう。この流れで次に聴くとしたら間違いなくロジェストヴェンスキーによるショスタコーヴィチ交響曲全集である。多少時間がかかるかもしれないが、早いうちに取り上げたいと思う。