8歳でピアノを始めたペルトコスキは、11歳でワーグナー・オペラに魅了され、指揮者になることを志した。14歳になるとフィンランドの指揮者であるヨルマ・パヌラから指揮レッスンを受け、その4年後にはヘルシンキにあるシベリウス・アカデミーに入学した。サカリ・オラモ、ハンヌ・リントゥ、ユッカ=ペッカ・サラステ、エサ=ペッカ・サロネンに師事している。
・モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」
録音:2023年2月
近年におけるピリオド楽器や室内楽編成によるモーツァルト像からなる演奏となっており、第1楽章からその強固さは充分なまでに伝わってくる。しかし、それがスマートでありシャープさもあるためスッキリとしていて透明度の高い筋肉質と勢いの良い演奏となっている。ダイナミック・レンジの幅広さがあることによって、音をダイレクトに受けるというわけではなく細部にわたって細かく聴き込むことのできる演奏となっている印象に近いだろうか。いずれにしても度肝を抜かされた演奏であることは間違いないので、これは必聴である。
・交響曲第40番
録音:2023年2月
テンポの緩急からなるダイナミクス変化もそうだが、細部にわたってキレ味の良い筋肉質なサウンドが聴いていて惚れ惚れするものがある。これは誰もが聴いてかっこいいと思わざる演奏であることは間違いない。固すぎることもなく、絶妙なバランスと強固な群としての弦楽器演奏が抜群に良い。聴いていて言葉を失ってしまうような印象も少なくはない。たまには今回のようなモーツァルトも良いなと思えた瞬間が各楽章ごとに必ずある演奏だった。
・交響曲第36番「リンツ」
録音:2023年2月
先ほどの2曲に対して多少の優美さが加えられた演奏となっており、第4楽章の美しさ極まった音色と引き締まった響きは聴いていてどこか清々しい感覚を覚える。迷うことなく真っ直ぐに突き進んでいく強い意志もそうだが、ペルトコスキとドイツ・カンマーフィルが一体感のある演奏をしているためこれには驚かされた。テンポの緩急を見事に使いこなしたダイナミクス変化の効果は抜群で、演奏を聴いた誰もが虜になってしまうだろう。
![](https://ssl-stat.amebame.com/pub/content/9477400408/amebapick/item/picktag_autoAd_301.png)