第1874回「ペルトコスキ&ドイツカンマーフィルによるモーツァルトの交響曲」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは本日ご紹介していくのは、23歳の若きフィンランド出身の指揮者タルモ・ペルトコスキとドイツ・カンマーフィルハーモニーによるモーツァルトの交響曲第35番「ハフナー」、第36番「リンツ」、第40番です。指揮者でありながらピアニスト、作曲演奏家、作曲家という多彩な音楽家となっています。そんなペルトコスキの「ドイツ・グラモフォン」デビュー作をみていきます。


「タルモ・ペルトコスキ指揮/ドイツ・カンマーフィルハーモニー」


モーツァルト作曲:
交響曲第35番 ニ長調 K.385「ハフナー」

交響曲第40番 ト短調 K.550

交響曲第36番 ハ長調 K.425「リンツ」



 8歳でピアノを始めたペルトコスキは、11歳でワーグナー・オペラに魅了され、指揮者になることを志した。14歳になるとフィンランドの指揮者であるヨルマ・パヌラから指揮レッスンを受け、その4年後にはヘルシンキにあるシベリウス・アカデミーに入学した。サカリ・オラモ、ハンヌ・リントゥ、ユッカ=ペッカ・サラステ、エサ=ペッカ・サロネンに師事している。


・モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」

録音:2023年2月

 近年におけるピリオド楽器や室内楽編成によるモーツァルト像からなる演奏となっており、第1楽章からその強固さは充分なまでに伝わってくる。しかし、それがスマートでありシャープさもあるためスッキリとしていて透明度の高い筋肉質と勢いの良い演奏となっている。ダイナミック・レンジの幅広さがあることによって、音をダイレクトに受けるというわけではなく細部にわたって細かく聴き込むことのできる演奏となっている印象に近いだろうか。いずれにしても度肝を抜かされた演奏であることは間違いないので、これは必聴である。


・交響曲第40番

録音:2023年2月

 テンポの緩急からなるダイナミクス変化もそうだが、細部にわたってキレ味の良い筋肉質なサウンドが聴いていて惚れ惚れするものがある。これは誰もが聴いてかっこいいと思わざる演奏であることは間違いない。固すぎることもなく、絶妙なバランスと強固な群としての弦楽器演奏が抜群に良い。聴いていて言葉を失ってしまうような印象も少なくはない。たまには今回のようなモーツァルトも良いなと思えた瞬間が各楽章ごとに必ずある演奏だった。


・交響曲第36番「リンツ」

録音:2023年2月

 先ほどの2曲に対して多少の優美さが加えられた演奏となっており、第4楽章の美しさ極まった音色と引き締まった響きは聴いていてどこか清々しい感覚を覚える。迷うことなく真っ直ぐに突き進んでいく強い意志もそうだが、ペルトコスキとドイツ・カンマーフィルが一体感のある演奏をしているためこれには驚かされた。テンポの緩急を見事に使いこなしたダイナミクス変化の効果は抜群で、演奏を聴いた誰もが虜になってしまうだろう。


 ペルトコスキのCDは現在までに数こそ少ないが、今後間違いなく増えていく今期待の指揮者であることは間違いないだろう。いずれワーグナー・オペラを指揮することもあるのだろうか?まずはモーツァルトだったが、ベートーヴェン録音も聴いてみたいと思えた演奏だった。

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