第1839回「ジョナサン・ノット&東響によるチャイコフスキー交響曲第3番」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、ジョナサン・ノット&東京交響楽団によるチャイコフスキーの交響曲第3番「ポーランド」です。2023年シーズンは「NOTTISSIMO」とノットは名付け、東響と数多くの名演を繰り広げてきました。当盤は夏に行われた「フェスタサマーミューザ KAWASAKI」で演奏されたライヴとなっています。


「ジョナサン・ノット指揮/東京交響楽団」

チャイコフスキー作曲:
交響曲第3番 ニ長調作品29「ポーランド」



 ジョナサン・ノット&東響による久しぶりのCDとも言える当盤。この後にチャイコフスキーの交響曲第4番が発売される。それに関してはまた後日取り上げるのだが、これまでマーラーやブルックナーの交響曲を多く演奏してきた両者がチャイコフスキーの交響曲をCD化させたことは個人的には少しばかり意外に思えた。しかもその演奏がよく聴かれた名盤とは違うアプローチからなる演奏とは予想もしていなかった。多くの人々から評価されるのも頷ける。


・チャイコフスキー:交響曲第3番「ポーランド」

録音:2023年7月22日(ライヴ)

 第1楽章冒頭よりずっしりとした重さのあるテンポから始まり、徐々にテンポが上がっていくのだがガッツリテンポの緩急からなる速さが感じられるほどに速くなるわけでもなく、どちらかといえば控えめなくらいのほどよい速さである。また、途中テンポを落としたりしていることもあるため、弱めのブレーキがかかるような印象であったりする。これも終結部における加速も含めてのアプローチなのだろう。終結部の加速に関しては他の同曲録音と同じくらいである。音色も優美ではあるがアタックも緩く、キレ味はそこまでない。その分弦楽器と木管楽器の美しい伸びやかな音色と響きが功を奏している。


 第2楽章はややテンポの速い印章を受けなくもない。しかし、その中でも弦楽器と木管楽器によって演奏される旋律が流れの良いものとなり、非常に心地良い美しさと軽快さがある。ダイナミック・レンジの幅広さも多少あるため、伸びやかで鮮明な音色を余すことなく堪能するには充分である。


 第3楽章に入り、やや叙情的で暗めな印象も受けなくはない世界観に変わったが、ここで演奏される楽器たちに芯のあるサウンドを奥深い演奏で堪能することができる。低弦の重厚的な音色が響きわたる瞬間もどこか美しさを感じる。


 再びテンポの加速が感じられる俊敏さを演奏から聴くことができる第4楽章。特に木管楽器と弦楽器による柔軟性の良い演奏が功を奏しており、統一されたサウンドから繰り返し変化する演奏は細かいダイナミクス変化も味方としているため鮮明で聴きやすい。弦楽器によって展開される空間的な効果も絶大である。


 第5楽章は重厚的で分厚いスケールからなる弦楽器の上で木管楽器と金管楽器が演奏していることもあって、やや重みを感じとることのできるような演奏が展開されている。余韻が充実した響きを作り上げており、ノットの声も聴こえるくらいにちからがこめられている。6:54〜の圧倒的かつ荘厳的なスケールには鳥肌が立つ上に、金管楽器の音色が第1楽章から一貫してまろやかなキツさを感じない音色で奏でられている。ここを演奏するために最初から作り上げていたのであればこれは大きな納得に繋がった。終結部のテンポに関してはゲルギエフほど速くなく、そこまで大きな変化は感じられないかもしれないがオーケストラ全体としてまとまりは十二分にある演奏となっているので、深みある終わりとなっているのは間違いない。


 ノット&東響によるチャイコフスキー交響曲第3番「ポーランド」。次回取り上げる際は交響曲第4番を取り上げたいところである。今回と同じようなアプローチになるのか?それとも他の指揮者と同じアプローチとなるのか?個人的には今回と同じような演奏であると楽しめるかと思うので、早いうちに聴きたいと思う。