前回ツィメルマンとラトル&ベルリン・フィルによるブラームスのピアノ協奏曲第1番を取り上げたが、今回は小澤さんとボストン響をバックに演奏するラフマニノフのピアノ協奏曲第1番、第2番の2曲を聴くことができるようになっている。第1番と第2番のみ録音されており、全集だった場合の衝撃は凄まじいのだろうというイメージが演奏から伝わってくるのは今でもない。
・ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番
録音:1997年12月
曲目的にこの後のピアノ協奏曲第2番に目が行きがちではあるが、個人的に当盤で大きな衝撃を受けたのはどちらかといえばピアノ協奏曲第1番である。ややロシア色が色濃く感じられる楽章もあるかもしれないが、非常に濃厚でたっぷりと歌い上げられる壮大なスケールや濃厚かつ奥深いサウンドと伸びやかな演奏だけでなく、テンポの緩急からなるメリハリのきいた素晴らしい演奏を楽しむことができたのは間違いない。ツィメルマンと小澤さん&ボストン響という最高の演奏者たちによる決定的な演奏を堪能することができた。
・ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
録音:2000年12月
ピアノ協奏曲第1番に引けを取らないスマートなピアノ協奏曲第2番を聴くことができる。溜めはそこまでないため、たっぷりとしておらずどちらかといえばあっさりとしている感覚に近いかもしれない。ツィメルマンによるスピーディながら確信を突いたピアノタッチが聴き手の心を掴む演奏とも言えるものとなっており、テンポの緩急がそれに加わることによってより効果的なダイナミクス変化を生み出している。オーケストラとのバランス配分も絶妙なものとなっており、圧倒的で伸びやかな弦楽器群によるスケールには思わずうっとりしてしまう。
「ドイツ・グラモフォン」に多くのピアノ協奏曲やピアノ曲録音を残しているツィメルマン。そのほとんどが名盤であるというのは非常に大きな功績と言っても良いだろう。ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集にしろ前回取り上げたブラームスのピアノ協奏曲第1番など注目生としても高い名盤が多いので、聴くたびに好奇心を抑えられない。今後もツィメルマンの録音は積極的に聴いていきたいところである。
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