SACDにもなったロト&レ・シエクルによるサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」とピアノ協奏曲第4番。2012年に元々通常CD盤が発売されたが廃盤となったため10年近く手に入れづらい期間が続いた。2022年に再販された際は多くの人々が喜んだに違いない。
・サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」
録音:2010年5月6日(ライヴ)
・・・オルガンはグラン・カヴァイエ=コル(1860年)をフランソワ=グザヴィエ・ロトの父であるダニエル・ロトが演奏している。ダイナミック・レンジの幅広さが大分あり、オーケストラ全体に加えてオルガンの荘厳さや壮大さを余すことなく味わえる演奏である。全体的に速いテンポのアプローチで演奏されているが、ダイナミクス変化に関しても細かく変化する形で作り込まれており、木管楽器と弦楽器の透き通るような透明度の高い音色が非常に美しく奏でられている。第2楽章後半に入った瞬間のオルガンの響きは他の演奏では味わえないような重厚感と分厚いサウンドからなる感動的な音色を聴くことができるようになっているため、聴くもの全てが感動することができる。そして曲が終わった後のオルガンの残響までも美しいと感じるだろう。
・サン=サーンス:ピアノ協奏曲第4番
録音:2010年6月16日(ライヴ)
・・・1874年のエラール製ピアノを使用してジャン=フランソワ・エッセールが演奏している。ピアノ含めてオーケストラの生き生きとして快活的な演奏からはシンプルながらに多彩で美しさ溢れる音色を聴くことができる。第1楽章は二部、第2楽章は三部からなる形式となっているがそれもこの曲ならではと言えるものとなっており、テンポの緩急や細かいダイナミクス変化を細かく聴き分けることができるようになっているため後味がしつこくなくスッキリとしていて聴きやすい。これもピリオド楽器による演奏の醍醐味とも言えるかもしれない。