クナッパーツブッシュによるバイロイト音楽祭での「パルジファル」は1951,52,53〜64年までの間に指揮をしてきた。その中でもこれまで1955年ライヴのみ発売されることがなかったが、バイエルン放送所蔵の音源がついに発売された。すでに1955年ライヴ以外に関しては「Venias」からセット発売されており、48枚にわたるCDを収録している歴史的価値の高いBOXで手に入れることができるようになっている。
・ワーグナー:舞台神聖祝典劇「パルジファル」
録音:1955年8月16日(ライヴ)
・・・私自身クナによる「パルジファル」は1951年と1962年のバイロイト音楽祭でのライヴを聴き終えているため今回の1955年ライヴで3種類目となる。音質の心配もあったが歴史的録音としての価値がある代物故にその点は気にしないように聴き進めたが、想像していた以上に音質が良かったので驚いている。
・アンフォルタス:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
・ティトゥレル:ヘルマン・ウーデ(バス・バリトン)
・グルネマンツ:ルートヴィヒ・ウェーバー(バス)
・パルジファル:ラモン・ヴィナイ(テノール)
・クリングソル:グステュ・ナイトリンガー(バリトン)
・クンドリー:マルタ・メードル(メゾ・ソプラノ)
・第1の聖杯騎士:ヨーゼフ・トラクセル
・第2の聖杯騎士:アルフォンス・ヘルヴィッヒ
・小姓、花の乙女:イルゼ・ヘルヴィヒ、フリードル・ペルティン、パウラ・レンヒナー、ドロテア・ジーベルト、ユッタ・ヴィルピウス(以上ソプラノ)
・エリーザベト・シュルテル(メゾ・ソプラノ)
アルト独唱:マルタ・メードル(メゾ・ソプラノ)
バイロイト祝祭合唱団
非常に音質が良い状態で演奏を楽しむことができるためオーケストラ全体の演奏もそうだが、豪華歌手陣の存在感をたっぷりと感じながらその歌声を楽しむことができるようになっている。ノイズもほとんどなく、ダイナミック・レンジの幅広さすら感じることができるためこれは本当に1955年録音なのか?と思ってしまうくらいの素晴らしさである。ディースカウやヴィナイ、ナイトリンガーなど名だたる歌い手によるワーグナー・オペラは聴くだけで価値があるものであることは間違いない。
4時間8分が今回の「パルジファル」の演奏時間だが、体感時間は正直言ってもっと短いようにも思えた。やはりクナによる「パルジファル」は他の演奏と比べても聴き終えた後の感覚が違う。ぜひまだ聴いていない残り10種類の「パルジファル」に関してもBOXを購入して聴いてみたいところだ。